JICA オープンイノベーション企画:組織の枠を越えSDGsの実現に向けた共創を!タジキスタンチームが最優秀賞とオーディエンス賞をダブル受賞!

JICA Innovation Quest(ジャイクエ)

JICA(ジャイカ)

JICAは、2019年11月より、途上国でのSDGsの達成に向けて、JICA職員と多様な民間企業等からの参加者の共創によりアイデアを磨く、オープンイノベーション企画「JICA Innovation Quest(通称ジャイクエ)」を開始し、そして、2020年2月22日、SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)(注1)にて、約3か月間のプログラムを通じて生まれたアイデアを最終発表する公開イベント「ファイナル・プレゼンテーション」を開催しました。一般参加者用の座席約140席は募集開始後3日間で満席となりましたが、新型コロナウィルスの感染が拡大する状況を踏まえ、急遽一般参加を取り止め、アイデアピッチの模様をYouTubeを通じてライブ動画で配信しました。
(イベントの様子はYouTubeにアーカイブ公開中です。リンク→ https://www.youtube.com/watch?v=7naQFP_tNIk

 

 

スリランカ、ブータン、ペルー、マダガスカル、タジキスタンの5か国を対象に、各国チームがSDGsゴール2(飢餓・栄養)に資する革新的なアイデアを発表しました。食品メーカー・商社・ベンチャー等多様な企業から、起業家、コンサルタント、エンジニア、医師等多様な経験や強みを持つ参加者が集い、JICA職員とチームを結成。普段接点のない業種・業界の知識や技術を結集し、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(慶應SDM)(注2)の指導によりアイデア創出の手法を学んだ各チームは、3か月間SHIBUYA QWSに日夜集まり、各国の課題解決のために情熱を注いできました。

 

YouTubeによる動画配信の結果、約135名がライブで視聴し、その後の動画再生回数は1,600回超(2020年3月4日時点)。地方や海外からの視聴もあり、アプリを通じた質疑応答等オンラインでのインタラクションも行われ、多くの方にアイデアを届けることができました。

最終アイデア発表では、各国チームより革新的なアイデアが発表されました。住民へのアンケート調査や自費による現地渡航を実施したチームもあり、各チームともに現地の生活スタイルや課題を理解した上で、問いの切り口を捉え直し、知識・技術の普及やインフラ整備に留まらない「人間中心」発想のアイデアを創出しました。



タジキスタンチームは、「映え皿」のアイデアで最優秀賞とオーディエンス賞をタブル受賞
 


外部有識者を交えた審査の結果、タジキスタンチームが「最優秀賞」、さらにYouTube視聴者からの投票による「オーディエンス賞」をダブル受賞しました。タジキスタンチームは、油の多い肉料理中心の食生活や大皿の料理で客をもてなす文化のあるタジキスタンの人々の中で、肥満や高血圧、生活習慣病が問題になっていることに着目。しかし調査を進める中で、現地の人々が、実はパーティ費用を節約したい、油の摂取量を減らしたいと思っていることも発見。「おもてなし」の文化を守りながら、食事量、油の摂取量を減らすためにはどうしたらよいだろうか…という問いを立てました。
 

 

そして生まれたアイデアが、中央部を盛り上げてかさ増しし、油を溝に集める機能を付した「皿」の開発です。プロトタイプをいくつも作成し、同じ見た目で量を3分の1に減らすことができ、年間の油の摂取量を2.4リットルも減らせる試算を発表、ヒアリングの結果、国内外のタジキスタンの方々からも多くの支持を得ました。また、現地の伝統工芸品とコラボレーションすることで、見た目の「映え」も意識した皿の作成・普及を提案しました。審査員からは、現地の文化を踏まえ、何度も試行錯誤を繰り返したからこそ生まれた圧倒的なリアリティが高く評価されました。タジキスタンチームは、アイデアの実現可能性を検証するため現地視察を実施する予定です。

タジキスタンチームのメンバーからは「リサーチが得意な人、クリエイティブなアイデアを考えるのが得意な人等多様なチームメンバーに恵まれた」「似た価値観の人が集まった方が議論はスムーズに進むけれど、これだけ多様な人が集まってクラッシュを乗り越えたからこそ、新しいものを考えられた」といった多様性を重視してきたジャイクエならではの感想や「これからが始まりだと思う。ここに集まったみなさんとのつながりを活かして一緒に実現していけたら嬉しい」「5年後も10年後もこのオープンイノベーションプログラムが続いていくため、現地で応援してくれた方々のためにも、これからタジキスタンのために頑張っていきたい」とこれからアイデアを形にして現地の人たちに届けていきたいという想いが語られました。

またブータンチームは、「幸せの国」で実は最も幸福度の低い農家の人々の収入向上のため、斜面の多いブータンで農業を効率化するためのアプリ「斜メリコメンド」を開発することを提案し、「SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)賞」を受賞しました。

このアプリは、斜面を見て最適な作物を提案できる農業専門家の暗黙知を、衛星データ等を用いて形式知化することで、斜面を撮影する(写メる)と画像解析により、その土地で作るのに最適かつ栄養豊富で売れる作物を提案(リコメンド)する、というものです。さらにバイヤーや他の農家とのマッチング支援機能も備えることで、流通や情報交換も支援し、ラストマイルの農家まで情報を伝えることができるアプリとすることを目指しています。このアイデアは、実際のアプリ開発のための技術的な検討を進めるため、SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)にて活動を続け、他の会員、プロジェクトとも共創してアイデアの実現を目指します。

タジキスタンチーム、ブータンチーム以外のアイデアも含め、今後の活用・実現方法は、JICA内外で検討を進めています。またYouTube視聴者からもアイデア実現のための協力の提案があり、今後の連携方法を検討中です。また、ジャイクエは来年度以降も継続して開催する予定で、今後も多様な参加者と国際協力を共創し、開発途上国の課題解決に貢献することを目指していきます。


 

【各チームのアイデア概要】


マダガスカル

『夢のおやつ』:子どもの低身長(慢性栄養不良)解決のため、普段の生活を変えずにタンパク質摂取量を増やすアイデア。現地で日常的に食される国民的おやつ(ムフガシ)の原料を米粉からきな粉(大豆)に変え、1日の必要量の1/3を摂取可能に。実際に試食用おやつを作り、現在のムフガシよりもモチモチした食感を審査員も体験。購入した場合にテレビがみられるサービスや、付属パウダーを入れる袋等に広告活用する等、持続的に購入を促す仕組みや販売価格を変えずに提供する案等も提案。

 

ペルー

『三色の神器』:子どもの過栄養・肥満解決のため、栄養バランスの取れた給食を提供するアイデア。地方部で栄養知識の不十分な母親たちが作る給食が炭水化物中心の「黄色い」ものであること、ペルーの人々(特に子ども)がカラフルな色彩を好む傾向に着目。「赤」「緑」「黄」の三色のかごに同色の食材を入れるだけでバランスの取れた食材調達が可能に。エプロンにもなるカラフルな風呂敷と簡単なレシピも用意し、栄養知識を醸成せずとも自然に三色バランスの取れた食材を選び、運び、作る仕組みを提案。


ブータン

『斜メリコメンド』:「幸せの国」で最も幸福度の低い農家の収入向上のため、斜面における農業効率化のためのアプリを開発するアイデア。斜面を見て最適な作物を提案できる農業専門家の暗黙知を、衛星データ等を用いて形式知化し、斜面を撮影する(写メる)と画像を解析、作るのに最適かつ栄養豊富で売れる作物を提案。バイヤーや他の農家とのマッチング支援機能も備えることで、流通や情報交換も支援し、ラストマイルの農家まで情報を伝えることを目指す。


スリランカ

 

『TERRA’s Health』:NCDs(非感染性疾患)患者の増加に対し、中年層の健康意識を醸成するため、毎月通う寺院での行動の中で健康診断を可能とするアイデア。靴を脱いでの行動が中心の寺院での祈祷プロセスを分析。献花・お祈り中の体重・体脂肪測定、お布施で仏像を撫でる動作にセンシング技術を用い血圧を測定、帰宅前のトイレでの尿糖検査等、手間やお金をかけずに毎月自身の健康状態を把握することを目指す。


タジキスタン

『映え皿』: NCDs(非感染性疾患)対策として、現地文化を変えずに食事量と油摂取量を減らせる皿のアイデア。油の多い肉料理中心の食生活、大皿の料理で客をもてなす文化が残る一方、実はパーティ費用の節約や油削減も望んでいる人々の意識を捉え、中央部を盛り上げてかさ増しし、油を溝に集める機能を付した皿の開発を提案。プロトタイプを作成し、1/3の量削減が可能と試算、国内外のタジキスタンの方々へのヒアリングでも支持を得た。皿が現地の伝統工芸であることにも着目。

 

(注1)SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)

2019年11月に渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)の15階にオープンした、社会価値につながるアイデアや新規事業等を生み出すための共創施設。ジャイクエ内外の人やプロジェクトとの出会いの場として、同施設の一部をブラッシュアップタームの活動スペースとして協賛にてご提供頂いています。https://shibuya-qws.com/

(注2)慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科

科学技術から社会システムまで、あらゆるものごと全体を俯瞰的に捉え、体系的に分析し、新しい解決策を創造的にデザイン・マネジメントしていく、システムデザイン・マネジメント思考を専門とする教育機関。システム×デザイン思考に基づいたアイディエーション等についてジャイクエプログラムへのノウハウを提供頂いています。http://www.sdm.keio.ac.jp/

 

JICA Innovation Quest ファイナル・プレゼンテーション

日時 2020年2月22日(土) 13:30-17:50
場所   SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)

当日のプログラム

13:30-13:50 開会のあいさつ/ジャイクエの軌跡 JICA理事本清耕造、運営チーム
13:50-16:30 ジャイクエ ファイナル・プレゼンテーション 対象国:マダガスカル、ペルー、ブータン、スリランカ、タジキスタン
16:30-16:40 審査・YouTube視聴者によるオーディエンス賞投票・フィードバックコメント記入
16:40-17:10 YouTube視聴者からのフィードバックコメントへの回答セッション
17:10-17:45 審査結果発表・フィードバック
17:45-17:50 クロージング

(JICA Innovation Questウェブページ: https://www.jica.go.jp/aboutoda/sdgs/jiq/index.html


 

 

 

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


会社概要

URL
https://www.jica.go.jp/index.html
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都千代田区二番町5-25 二番町センタービル(1階~6階)
電話番号
-
代表者名
北岡伸一
上場
-
資本金
-
設立
2003年10月