「職場の環境は保育士の継続に影響が高い。―保育者ケアからみる保育士の仕事に対するモチベーションと要因関係―」
【背景】
保育士は、早期の離職者が多く、平均勤続年数は7.6年(※1)と全産業の12.1年(※2)に比べて短くなっており、約半数が経験年数7年以下(※3)という実態があります。今回、この深刻化する保育士不足に対し、『kidsly(キッズリー)』を導入している園の保育士の協力のもと、「保育士として働くこと」に関するコンディション診断(※4)を実施し、「保育士の仕事に魅力/やりがいを感じられている」、「今、保育士の仕事をしていることに迷いがある」の2点について影響を及ぼす要因を洗い出しました。その上で分析結果より保育士が意欲的に働き続けられるための職場環境を導き出しています。
(※1) 厚生労働省「平成25年社会福祉施設等調査」(※2) 厚生労働省「平成26年賃金構造基本統計調査」
(※3)保育園を離職した理由:個人の状況」出典:潜在保育士ガイドブック(株式会社ポピンズ)」平成23 年度厚生労働省委託事業 (※4)4/3よりサービス提供開始している保育者ケアの試験版となります。診断期:2016年10月~2016年12月、対象:kidsly(キッズリー)利用の保育士300名
【詳細】
最初に「保育士の仕事に魅力/やりがいを感じられている」の要因関係についてご報告致します。この質問に対しては87%の人が「そう思う」と回答を致しました。(※5)
(※5)回答は「そう思う」、「そう思わない」、「どちらとも言えない」になりますが、「どちらとも言えない」は明確にポジティブに答えられない理由があると想定していますのでネガティブと見なしています。
要因について以下の12分類があり、更に詳細で51個の質問項目があります。
「子どもへの関わり」
「保護者との関係」
「社会への貢献感」
「仕事の充実感」
「保育者としての自信」
「将来イメージ」
「他の職業への魅力」
「職場の働きやすさ」
「職場の人間関係(まわりのこと)」
「職場の人間関係(あなたのこと)」
「園運営の納得感」
「職場環境・待遇」
これらの因果関係を決定木(※6)と呼ばれるデータマイニングにより分析したところ以下の結果となりました。
(※6)決定木は目的の質問に対してその質問に寄与している質問をツリー構造で示してくれる因果関係の把握が容易な手法になります。
■報酬以外での要素が「保育士の仕事に魅力/やりがいを感じられている」に寄与
この結果によると①「保育士の仕事に魅力/やりがいを感じられている」に影響するのは②「仕事の充実感:仕事の成果や喜びを感じられている」であり、①を「そう思う」と回答している人のうち、78%が②も「そう思う」と回答しております。②単体で「そう思う」と回答している割合は69%なので相関があることがわかります。反対に②を「そう思う」と答えている人のうち98%が①も「そう思う」と回答している結果となっております。しかしこれは副次的な結果となっておりますので、さらに②に影響を及ぼすものは③「子どもへの関わり:子どもと過ごす時間が充実している」、④「社会への貢献感:保育士の仕事を通じて社会に貢献できている」、⑤「園運営の納得感:園/施設の理念や方針に共感できる」、⑥「将来イメージ:保育士としての将来像がイメージできている」の4つの要因が上がりました。②を「そう思う」と回答している人のうち、68%が③~⑥全てを「そう思う」と回答しております。全体では③~⑥全てを「そう思う」と回答している割合は59%なので相関があることがわかります。反対に③~⑥全てを「そう思う」と答えている人のうち87%が②も「そう思う」と回答している結果となっております。また質問項目⑦「園運営の納得感:仕事に見合う報酬が保障されている」に「そう思う」と回答している人のうち②「仕事の充実感:仕事の成果や喜びを感じられている」にも「そう思う」と回答している割合は65%なのに対して、⑦に「どちらとも言えない・そう思わない」と回答している人が②に「そう思う」と回答している割合は73%と報酬が保障されていると回答している人よりも仕事の成果や喜びを感じられている割合が高いことがわかりました。
これは報酬以外での要素が「保育士の仕事に魅力/やりがいを感じられている」に寄与しているということになります。
■職場の環境は保育士の継続に影響が高い
次に「今、保育士の仕事をしていることに迷いがある」の要因関係についてご報告致します。この質問に対しては49%の人が「そう思わない」と回答を致しました。
同様にデータマイニングにより因果関係を分析したところ以下の結果となりました。
この結果によると①「今、保育士の仕事をしていることに迷いがある」に影響するのは②「職場の働きやすさ:今の職場で働くことに迷いがある」であり、①を「そう思わない」と回答している人のうち、71%が②も「そう思わない」と回答しております。②単体で「そう思わない」と回答している割合は44%なので相関があることがわかります。反対に②を「そう思わない」と答えている人のうち80%が①も「そう思わない」と回答している結果となっております。ちなみに質問項目の中で「他の職業への魅力:保育士以外の仕事に魅力を感じる」に「そう思う・どちらとも言えない」と回答している人が全体で74%いますが、この人たちの「今、保育士の仕事をしていることに迷いがある」の「そう思わない」の割合は26%しかありませんが、「職場の働きやすさ:今の職場で働くことに迷いがある」に「そう思わない」と回答している場合、「今、保育士の仕事をしていることに迷いがある」の「そう思わない」の割合は76%になります。つまり保育士以外の仕事に興味がある人でも職場の環境によって今後も保育士の仕事を継続したいと思う可能性があることになります。それくらい職場の環境は保育士の継続に影響が高いということになります。
続いて、②「職場の働きやすさ:今の職場で働くことに迷いがある」に影響を及ぼすものは③「職場の人間関係(まわりのこと):職場は明るく、活き活きとしている」、④「職場環境・待遇:仕事量が多すぎる」、⑤「職場の人間関係(あなたのこと):私は職場の人に普段から気兼ねなく話をしている」の3つの要因が上がりました。②を「そう思わない」と回答している人のうち、72%が③、⑤を「そう思う」、④を「そう思わない」と回答しております。全体では③、⑤を「そう思う」、④を「そう思わない」と回答している割合は44%なので相関があることがわかります。反対に③、⑤を「そう思う」、④を「そう思わない」と答えている人のうち71%が②も「そう思わない」と回答している結果となっております。以上の結果からコミュニケーションが取り易く、仕事量が多すぎない職場が働きやすい職場ということになります。
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【本件に関するお問い合わせ先】
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