「外国人留学生と教職員の就職意識調査」企業と留学生が求める「仕事内容」にギャップあり。留学生がやりたい仕事、そして求人票に一番書いて欲しいこととは?

~調査期間:2021年7月~8月、回答数:留学生301名・教職員81名

外国人留学生専門の人材紹介会社 株式会社ASIA Link(本社:東京都小平市、代表取締役:小野朋江)は、海外展開中の製造業に対して海外営業職・エンジニア職の新卒紹介を行っています。この度、外国人留学生と彼らが在籍する大学・専門学校・日本語学校の教職員を対象に、日本での就職に関する意識調査を行いました。
●調査項目
1.留学生・教職員が感じる、企業と留学生の認識・希望のギャップ
2.留学生が希望する企業と、教職員が留学生に勧めたい企業
3.企業の採用選考に対する、留学生・教職員からの要望

調査対象・アンケート回答者属性
*外国人留学生・元外国人留学生(ASIA Link登録者)  ※以下「留学生」と表記
 有効回答数301名
 ・国籍:中国114名、ベトナム44名、台湾21名、韓国14名、インドネシア14名、ミャンマー11名など
 ・性別:男性161名、女性137名、どちらでもない・選びたくない3名
 ・学位:大学院博士14名、大学院修士91名、大学学部129名、専門学校56名、日本語学校11名
 ・専攻:文系190名、理系111名
 ・日本語:日本語能力試験N1・165名、N2・113名、N3・17名、N4,N5・6名
 ・就活状況:現在就職活動中81名、就職活動終了者(すでに働いている方を含む)220名
*大学・専門学校・日本語学校の教職員(キャリアセンター職員、外国人留学生の日本語教育・キャリア教育・
 就職支援等に関わっている教員 ※関わる予定の人も含む) ※以下「教職員」と表記
 有効回答数81名
 ・所属機関:大学・大学院54名、専門学校17名、日本語学校10名


1.留学生・教職員が感じる、企業と留学生の認識・希望のギャップ          

●ポイント
・留学生・教職員ともに、1位は「仕事内容」のギャップ
・留学生の「日本語力」と企業が求める「日本語力」にも教職員の半数がギャップを感じている
・留学生の日本語力が上がるほど、「給与・待遇」に対するギャップが大きくなる傾向

【質問1】留学生と企業の認識・希望でギャップを感じる点はありますか?
■選択肢(複数回答)
1.仕事の内容(留学生がやりたい仕事と、企業が求める仕事が違う)
2.日本語力(留学生の日本語力よりも、企業が求める日本語力が高い)
3.給与・待遇(留学生が希望する給与・待遇よりも、実際の企業の給与・待遇が低い)
4.日本で働く年数(日本で長く働きたいか、それとも数年後に母国の子会社へ転勤したいか、という希望が、
  留学生と企業との間で違う)
5.勤務地(留学生が希望する勤務地と、実際の企業での勤務地が合わない)
6.ギャップは感じていない
7.高学歴(留学生は修士や博士の学歴が就職に有利になると考えているが、企業はそう考えていない)
8.ジョブホッピング(短い期間でどんどん転職して成長したい留学生と、1社で長く働いてほしい企業との間で
  考え方が違う)
9.学歴(日本の大学・大学院を卒業していないと、企業の募集条件に合わない)
10.わからない
11.その他

留学生がやりたい仕事と、企業が求める仕事が違う
 留学生・教職員ともに、1位となった選択肢は「仕事内容(留学生がやりたい仕事と企業が求める仕事が違う)」でした。割合も留学生・教職員の半数前後が仕事内容にギャップを感じているとの結果になりました。
 留学生について、属性別に分析したところ、大学院・専門学校・日本語学校に比べ、学部生(または学部卒)がこの傾向が強いことがわかりました。学部生が仕事内容に対してギャップを感じている背景の一つとして、学部生は自分の専門知識や強みを仕事で生かしたいという希望がそれなりに強いですが、雇用企業からすると学部生は大学院生に比べて専門性がそこまで高くないため、専門性が求められる研究開発職やコンサル職への内定や配属が難しいという現状があると考えられます。実際、ASIA Linkと留学生とのキャリア相談でも、第一希望の研究開発職から技術職へ応募職種を変更したり、コンサル職から営業職へ変更するなど、就職活動の過程で職種を変更するケースをよく目にします。

「日本語力」のギャップは留学生の日本滞在期間に連動、教職員では職員のほうが高い
留学生・教職員の2位は、「日本語力(留学生の日本語力よりも企業が求める日本語力のほうが高い)」でした。
留学生については、日本滞在期間が短いほど一般的に日本語力は低いため、「日本語力」のギャップを最も感じているのは日本語学校生との結果になりました。しかし一方で、日本語学校生に次いで大学院生も、日本語力へのギャップを強く感じているとの結果が出ました。この背景としては、近年母国大学から日本の大学院へ直接入学する留学生が増えていることに加え、そのような大学院生を受け入れている大学の多くが、英語だけで学べる環境を整えていることから、英語力は高いが日本語力が低いまま就職活動時期を迎える大学院生が増加している、という現状があります。
 教職員については、1位の「仕事内容」とほぼ同率の52%が「日本語力」にギャップを感じていました。職員(キャリアセンター等)と、教員(日本語教師等)を比較したところ、職員のほうがより多く「日本語力」へのギャップを感じていることがわかりました。その背景として、次の3点が考えられます。
・キャリアセンター職員は企業の人事担当者と接する機会が多く、企業から高い日本語力が必要だという話を聞いている。
・留学生の日本語力について、「アカデミックな日本語ができている」と感じる教員と、「ビジネス日本語ができていない」と感じる職員とのギャップ。
・学内で日本語のクラスを受講していない(日本語教師と接する機会のない)大学院英語コースの留学生に対して、キャリアセンター職員が日本語力への問題意識を持っている。

 

 

留学生日本語力が上がるほど、「給与・待遇」に対するギャップが大きくなる
留学生の3位には、「給与・待遇(留学生が希望する給与・待遇よりも、実際の企業の給与・待遇が低い)」が選ばれました(25%)。一方教職員のほうは「給与・待遇」を選択したのは留学生の半分以下の12%で、順位も11位中8位となりました。
 留学生を属性別に見てみると、日本語力の高さと「給与・待遇」のギャップには相関関係が見られました。日本語力が上がるほど(N1に近づくほど)、留学生(元留学生)が現在の給与に不満がある、もっと高い給与を求めていることがわかります。


一般的に思われているほど留学生のジョブホッピング志向は高くない
「ジョブホッピング(短い期間でどんどん転職して成長したい留学生と、1社で長く働いてほしい企業との間で考え方が違う)」を選択した留学生は、わずか1割でした。ASIA Linkが企業から外国人採用の相談を受ける際、「外国人=定着しないのではないか」という不安を持たれている方が多いと感じます。実際に、外国人社員は様々な事情で転職をします。しかし、ASIA Linkで見てきた留学生の転職の大半は、キャリアアップのための戦略的なジョブホッピングではなく、現在の職場で働き続けたいのに様々な理由でそれが難しくなったケースです。例えば、母国への海外展開のために採用された留学生が、雇用企業の海外戦略見直しのために母国での事業計画がなくなり、存在意義を失うケースはよくあります。また、採用面接で聞いていた職務内容と入社後の配属が違い、その後も数年に渡って状況が変わらずにやむなく転職に至るケースもあります。ASIA Linkに転職相談に来る元留学生は、「とりあえず登録しておいて転職のチャンスをつかみたい」方は少数派であり、大半はかなり悩んだうえで相談にきています。


2.留学生が希望する企業と、教職員が留学生に勧めたい企業             

●ポイント
・留学生・教職員ともに、1位は「外国人の強みを活かせる仕事」ができる企業
・「外国人の採用実績がある」企業も、留学生・教職員から高い支持
・「専門性を活かせる仕事ができる」企業への支持は、意外に低い35%前後

質問2 留学生・元留学生向け】どのような企業を希望していますか?
質問2 教職員向け】どのような企業を留学生に勧めたいと思いますか?
■選択肢(複数回答)
1.外国人としての強みを活かせる仕事ができる
2.海外に拠点があり、グローバル展開をしている
3.外国人の採用実績がある
4.給与・待遇が良い
5.専門性を活かせる仕事ができる
6.福利厚生が充実している
7.経営が安定している
8.教育制度が充実している
9.ワークライフバランスが取れる
10.キャリアパスが明確である
11.ブランド・社会的イメージが良い
12.業界上位である
13.採用人数が多い
14.その他
15.わからない


留学生・教職員ともに、「外国人の強みを活かせる仕事」を求めている
 留学生・教職員ともに、1位となった選択肢は「外国人の強みを活かせる仕事ができる」企業でした。割合も7割前後という高い結果となりました。
 留学生のほうは、2位に「海外に拠点があり、グローバル展開をしている」、3位に「外国人の採用実績がある」が来ていることから、留学生が「グローバルにビジネスを行っていて外国人の採用ニーズがあり、実際に外国人の強みを活かせる仕事があり、さらにはすでにそのような外国人社員が活躍していて受入れ風土ができている企業」を求めていることがわかります。

「外国人の採用実績がある」企業は、教職員からも高い支持
 留学生の3位(48%)にきている「外国人の採用実績がある」企業は、教職員では2位(60%)とさらに高い順位となりました。外国人の採用実績がある企業は、外国人を受け入れる社風・制度があり、留学生が入社後も安心して活躍できるという期待が、教職員側にも高いということがわかります。
 実際に、ASIA Linkが留学生との面談の中で求人企業の説明をする際にも、「この企業ではすでに外国人社員が働いていますか?」という質問はよく受けます。また、企業の人事担当者からも、Web上の求人ページに外国人社員の写真を掲載したり、合同企業説明会のブースに外国人社員も同席することで、留学生の応募数が増えたという声をよく聞きます。

専門性を活かしたくないのではなく、活かせないという実態
 「専門性を活かせる仕事ができる」企業を選んだのは、留学生・教職員ともにほぼ同率の35%前後で、順位も5位という結果になりました。これは想定していたよりも低く感じたのですが、回答の真意を考えてみたときに、日本型雇用文化が背景として浮かび上がってきます。
 留学生と面談をすると、彼らの多くが「特定の業界や企業」から就職先を選ぶのではなく、「仕事内容・職種」から選ぼうとしていることがわかります。例えば化学専攻の留学生が「高分子材料の開発職」を探していたり、機械工学専攻の留学生が「大学院で研究した金属の熱処理の知識を活かして、金属部品の生産技術及び品質保証の仕事がやりたい」と言ったりします。
 これは理系留学生だけではありません。文系留学生のほうも、例えば大学でマーケティングを重点的に学んだ留学生が「マーケティング職」を希望したり、卒論で企業の人材開発について研究した留学生が「人事」の仕事に応募したいと希望するケースも多いのです。私たちASIA Linkが、彼らに海外営業職など他の職種も提案すると、「大学の専門と違う仕事に応募しても、日本企業は大丈夫なのでしょうか?」と逆に留学生に驚かれることもあります。
 しかし、当初は専門性に合う職種にこだわりを持っていた留学生も、実際に就職活動を始めると、企業の募集要項にある「全学部全学科応募可」「文系総合職・理系総合職」「営業職・技術職」というざっくりした文言を目にすることになります。この仕事は果たして自分の専門に合っているのか?専門を活かせるのか?と、ここで悩む留学生は多いのです。会社説明会や一次面接で、詳細な仕事内容や自分の専門分野との関連性を果敢に質問する留学生もいますが、企業側からは「きちんと研修があるので専門外でも挑戦できますよ」「大切なのはやる気と好奇心です」「入社後、幅広く経験していきます」という回答が返ってくることもあり、次第に彼らは「専門性を活かすことにこだわりすぎると日本での就職活動はうまくいかない」という現実に気付き始めます。
 つまり、「専門性を活かしたくない」のではなく、「活かせない」または「活かすことにこだわりすぎてはいけない」という気持ちが、今回のアンケート結果に出ているのではないかと思います。新人を社内でゼロから丁寧に育成し、複数の部署・職種を経験してもらって幹部候補に育てていく、日本企業の雇用文化の一端が表れていると見ることができるのではないでしょうか。


3.企業の採用選考に対する、留学生・教職員からの要望               

●ポイント
・留学生・教職員ともに、1位は「留学生が応募可能かどうか求人票に書いてほしい」
・留学生の4割、教職員の6割が、適性検査で留学生が不利にならないよう要望している
・長期インターンシップの要望は、留学生・教職員に意識の差

【質問企業の選考(採用活動)について、企業への要望はありますか?
■選択肢(複数回答)
1.留学生が応募可能かどうか求人票にはっきり書いてほしい
2.SPIなどの適正検査で留学生が不利にならないようにしてほしい
3.日本語能力試験だけを見て書類選考をするのではなく、面接で日本語力を確認してほしい
4.遠方の学生、学業が忙しい学生が参加できるよう、オンライン(Zoom等)で対応してほしい
5.もっと人柄を見てもらえるよう長期インターンシップなどに参加できるようにしてほしい
6.勉強・研究に専念できるように、卒業後に就職活動ができるようにしてほしい
7.授業を欠席せずに選考を受けられるようにしてほしい
8.要望はない
9.わからない
10.その他


留学生が応募可能かどうか求人票に書いてほしい
 企業の採用活動に対する要望としては、「留学生が応募可能かどうか求人票に書いてほしい」が1位となり、留学生の2人に1人、教職員に至っては4人に3人がこの選択肢を選びました。実際に、ASIA Linkで面談を行っている就活中の留学生に聞くと、文系・理系を問わず一定数の人が、企業応募の際に「留学生は採用していません」と言われた経験を持っています。
 留学生は、上記のような経験をしたり、先輩や友人から同様の話を聞かされたりするうちに、自分が面接で不合格になった際にも、「この企業は外国人社員がいらなかったのではないか」と不安になる傾向があります。その結果、どの企業が留学生Welcomeなのか、応募の段階で知りたいというニーズがとても高くなるのです。
 そしてこのニーズは、留学生だけでなく教職員の中でも共有されています。ある大学のキャリアセンター職員は、企業の方が求人票を持って大学へ来校した際の打合せの中で、「留学生も応募できますか」と必ず確認するとおしゃっていました。確認しないとわからないからです。

適性検査で留学生が不利にならないようにしてほしい
 留学生・教職員ともに2位になったのは、「SPIなどの適正検査で留学生が不利にならないようにしてほしい」、という要望でした。日本語での適性検査・適性試験に苦手意識を持つ留学生は多いものです。日本人学生であれば、設問の内容への取り組みに集中できますが、日本語がネイティブではない留学生にとっては、日本語が正確に読み取れないと設問にも取り組めません。また、回答時間に制限があるため、日本語の質問読解に時間がかかり時間切れとなることもあります。
 留学生からすると、言葉の壁がなければ自分にも解ける内容の設問なのに、日本語の読解に日本人学生よりも時間がかかってしまうために、本来の実力を評価してもらえていないという悔しさが残ってしまうのです。
 この適性検査での不利解消については、教職員のほうが留学生以上に要望が高い結果となりました。言葉の壁に影響されすぎない形で、留学生の能力を正当に評価する方法を求めていることがわかります。

長期インターンシップの要望は、留学生・教職員に意識の差
 「もっと人柄を見てもらえるよう長期インターンシップなどに参加できるようにしてほしい」という要望については、留学生と教職員の間に意識の差が見られました。


教職員のほうは、専門学校教職員の半数以上が長期インターンシップの機会を求めています。その背景には、専門学校生は大学・大学院生に比べて応募できる求人が少なく、また応募できても書類選考がなかなか通過できないという現実があり、教職員としては少しでも企業と留学生の接点を作りたい、書類ではなく人柄を見てほしいという願いがあります。しかし、留学生のグラフに目をうつすと、専門学校生は最も低い16%しかインターンシップの要望がありません。
専門学校の留学生が長期インターンシップに前向きではない理由の一つに、専門学校のカリキュラムがあります。専門学校は大学と違い毎日必修授業があるほか、学外のインターンシップが単位として認められないことも多いため、学期中に授業を休んで長期インターンシップに行くのは現実的ではありません。一方、夏休み等の長期休暇中は、多くの留学生が毎日アルバイトをするため、無給のインターンシップに多くの時間を割くことが難しいという本音もあります。
文科省は2014年度から、専門学校の「職業実践専門過程」の認定を開始し、専門学校と企業の連携を促しています。長期インターンシップの活用も含め、専門学校の留学生にも就職への道筋がさらに開かれるよう望まれます。


まとめ ~コロナ後を見据えた留学生の採用・活用へ向けて              
 今回のアンケート結果からは、留学生・教職員の就職に関する意識として、仕事内容を重視していること、外国人の強みを活かした活躍・貢献を希望していること、そのような企業であることがわかる求人情報を求めていること、そして日本語の壁を超えて本質的な能力を見てほしいことが浮かび上がりました。
 昨年から始まったコロナ禍で、海外の往来や海外ビジネスが減少し、外国人材としての留学生の需要も減少傾向が見られます。長引くコロナ禍に先の見通しが持てず、日本での就職をあきらめて帰国を選ぶ留学生も増加。今回のアンケートでコロナ禍の就職への影響を聞いた質問では、教職員の43%が「帰国を選ぶ留学生が増えた」と回答しました。さらに日本政府はこの1年半、新規の留学生受入れをほぼ停止しており、この先数年間は日本で就職を希望する留学生は貴重な存在となってくるでしょう。
 留学生・教職員の意見や考えを知ることで、留学生とのより良いマッチングが進むよう願っています。


■調査結果レポート全文はこちらから
https://blog.asialink.jp/business/20211011/

■ASIA Linkコーポレートサイト
https://www.asialink.jp/

【本件に関する報道関係者からのお問合せ先】
株式会社ASIA Link  広報担当:井上
電話:042-312-1074  メールアドレス:info@asialink.jp
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