~緊急事態宣言全国拡大から1年~調査報告「在宅ワーク・夫と妻のニーズ」
ワークライフバランスの変化と同居家族の意識について
旭化成ホームズ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:川畑 文俊)くらしノベーション研究所は、昨年4月の緊急事態宣言発令後に普及が進んだ、在宅ワークにおけるくらしの現状について、二度目の調査を行った結果をまとめましたので報告致します。
本調査はコロナ後の状況に近い緊急事態宣言解除後の9月に実施されました。住宅部分で仕事をするすべての行為を在宅ワークと定義していますが、オフィス通勤をしているテレワーク者が多くを占め、通勤日と在宅日の生活の違いを分析しています。「家で仕事をする」という行為が、住まい方に与える変化や影響を、在宅ワークを実施している本人だけではなく、その影響を受けることが予想される配偶者の意識を含めて調査していることが大きな特徴です。
調査の結果では、週1回以上の在宅ワーク者が約8割を占め、子どもが保育園や学校に通う中で在宅での仕事が定着し、夫婦の出勤や在宅の頻度で様々な在宅での状態があることがわかりました。これらの実態から、在宅ワークの空間を今後の家づくりの要件として組み込む必要が生じると思われます。
本調査はコロナ後の状況に近い緊急事態宣言解除後の9月に実施されました。住宅部分で仕事をするすべての行為を在宅ワークと定義していますが、オフィス通勤をしているテレワーク者が多くを占め、通勤日と在宅日の生活の違いを分析しています。「家で仕事をする」という行為が、住まい方に与える変化や影響を、在宅ワークを実施している本人だけではなく、その影響を受けることが予想される配偶者の意識を含めて調査していることが大きな特徴です。
調査の結果では、週1回以上の在宅ワーク者が約8割を占め、子どもが保育園や学校に通う中で在宅での仕事が定着し、夫婦の出勤や在宅の頻度で様々な在宅での状態があることがわかりました。これらの実態から、在宅ワークの空間を今後の家づくりの要件として組み込む必要が生じると思われます。
■調査トピックス
前回調査で明らかとなった、在宅ワーク本人の生活改善のメリットは、今回調査でもはっきりと示されました。また、在宅ワークスペースの設計では、本人の希望と共に同居家族への配慮も必要であることが明らかとなりました。LDK周辺での在宅ワークでは合間に家事を行いやすく、子育て期の共働きなど、通勤で昼間留守であった夫妻にメリットがあります。一方で夫妻双方が在宅ワークの際など、家族が在宅時にはWeb会議がしにくいという問題が生じ、その際の逃げ場のスペースを考慮する必要があります。また家族の在宅が多い場合はLDでの在宅ワークは同居家族に負担を生じさせる可能性が高く、個室での在宅ワークスペース確保が推奨されます。
当社は30年以上前より、共働き家族のくらしそのものの調査・研究を続けており、その経験を背景として、効率的に家事をこなしながら、子供を見守るLDの学習コーナー(+NEST:2009年~)や子供の成長に合わせ可変するLDKに隣接する小部屋(BLANK:2018年~)など、住まいの提案を随時行ってきました。今回の調査から、そうした提案が令和の職住融合時代の暮らしにも適応できる可能性をつかむことができました。当社は今後も家で働くことと、暮らし・家族の関係に着目・研究をしていくことで、お客様の「いのち・くらし・人生」を支えるLONGLIFEな商品・サービスの提供に努めてまいります。
■調査の背景と目的
昨年発生した新型コロナウィルスのパンデミックは、私たちの暮らしに大きな影響を及ぼしました。一年前に発令された緊急事態宣言下では、大人から子供まで多くの国民が外出を自粛し、毎日を自宅で過ごす生活が続きました。特に私たちの働く環境は大きく影響を受け、在宅ワークが急激に進んだことで、ワークライフバランスの重要性が強く認識されるようになりました。そこで当社は昨年4月に、コロナ禍で普及が進んだ在宅ワークスペースの現状とくらしの変化について、在宅ワークをするご本人を中心に調査を行い、その結果を公表しました※1。その結果、戦後昭和の専業主婦モデルから平成の共働きモデルへ、そして職住が融合する令和の在宅ワークモデルへと変化する様子を浮き彫りにすることができました。しかしながら前回調査を実施した4月は緊急事態宣言の発令期だったこともあり、保育園・学校に子が通えないなどの特殊な状況であったため、当社はその後も調査を進め、昨年9月に再度在宅ワークによるくらしの変化について調査を実施しました。この時期は緊急事態宣言が解除された後、感染防止に注意を払いながらも学校や保育園が通常通りの運営に戻り、企業においても一定割合の在宅ワークを織り込みながら事業を継続しており、今後訪れるアフターコロナの生活に近い状況であると考えられます。今回、こうした時期に実施した調査結果を分析することで、コロナ終息後のニューノーマル時代に合ったくらし方の提案を模索することとしました。
※1 前回の調査リリース:https://www.asahi-kasei.co.jp/j-koho/press/20200605-02/index/
■調査の概要
1.週1回以上の在宅ワークが柔軟な働き方と共に定着
本調査は、在宅ワークの定義を併用住宅の場合に自宅部分での仕事に限定したため、オフィス通勤者の比率が夫96%妻89%と高く、自宅テレワークの方を中心とした調査となっているのが特徴です。調査時期である2020年9月はPCR検査のコロナウィルス陽性者数が一段落し、経済活動の再開が進んでおり、アフターコロナを占うのに適した時期となりました。このような状況下でも在宅ワークの頻度は夫妻共通で週1回以上が約8割、週3回以上が5割あり、在宅ワークが定着していることを示す結果となりました。また、出勤前や、早く帰宅しての終日ではない在宅ワークが2~4割見られ、夫の時差出勤、妻の時短勤務がそれぞれ2割程度あるなど、柔軟な働き方が一定の割合を占めるようになってきています。
在宅ワークになると家族との時間が増え、夕食が早まり生活リズムが正常化する傾向は前回調査と同様に見られました。通勤日と在宅日で夕食開始の平均時刻を比較すると夫で66分、妻で39分早まっており、夫19:22妻19:10と夫妻の差が縮まっています。また夕食後に仕事をしている層が夫で16%(n=111)みられ、その場合、夕食時刻は111分早まり19:13となっており、仕事の状況に関わらず一定の時間に夕食を取る在宅ワークのメリットがよく表われた結果となりました。ライフステージ別にみると、長子が幼児、小学生の場合に夫の夕食開始時刻の早まりが大きく、夕食開始時刻も他の世代より早いことから、家族と一緒に夕食を食べていると推測されます。
在宅日は通勤時間が不要なため起床時間も夫妻共通で約30分遅くなり、睡眠時間が増加しています。ライフステージ別にみると、長子が幼児、小学生の場合に夫の起床時間が他の世代より遅くなる傾向が見られます。在宅ワークには特に子育て世代の忙しさを緩和し、生活の質を向上させる効果があると言えそうです。
そのような生活の中で、本人回答での在宅ワークによる機会・不安の増減を聞くと、夫妻の差は少ないものの、調理の機会増(夫38%妻58%)と光熱費増の不安(夫59%妻78%)で差があり、家事の増加が妻に偏る傾向が見られます。
3.家づくりの際、在宅ワークは想定していなかったが子供の勉強場所、趣味の書斎が活躍
家づくりの際に在宅ワークを想定していた割合(経験者+未経験想定者の計)は2020年引渡では4割近くまで上昇していますが、2018年までは2割程度しか想定されていませんでした。在宅ワークする家としての満足度は、在宅ワーク経験者や想定者では当然ながら高く、PC置場を想定したかどうかで不満者に大きく差がつきました。ヘーベルハウスではLDKに隣接した子どもの勉強場所として+NESTやBLANK※といった空間を提案し、二世帯住宅を中心として居場所としての書斎の提案を勧めておりましたが、そうした場所がある場合はそこでの在宅ワークの率が大きく高まっていました。
BLANK:子供の成長に合わせ可変するLDKの小部屋(2018年~)
書斎は二世帯の居場所として高密度個室書斎を2013年に提案
4.LD派は家事並行、個室派は仕事に集中できることをメリットと感じている
在宅ワークで最も使う場所では夫がLD派(ダイニングテーブル+他のLD)4割、個室派(共用個室+専用個室)6割の比率だったのに対し、妻はLD派が75%に達し、前回調査と同様に夫妻で異なる傾向となりました。在宅ワークのメリットで夫妻に共通して高かったのは、「通勤時間分を他に使える」「家族と過ごす時間が増える」「宅配便や書留などの受取」「災害時対応しやすい」が挙がり、LD派は「仕事の合間に調理や洗濯などの家事ができる」を始めとして家事関連のメリットを挙げる人が個室派より多く、個室派は「仕事に集中できる」ことを挙げる人がLD派より多い結果となりました。また家事、育児関連双方で夫より妻の方がメリットして挙げる人が多く、在宅ワークとなっても家事が妻に偏る傾向があることも見てとれました。
6.夫の家事は在宅ワークをきっかけに増加
在宅ワークによる夫の家事時間の増減を調べると、若年層(長子小学生以下、子がいない場合は40代以下)夫の65%、熟年層(同中学生、50代以上)夫の52%が増えたと回答し、減った人はほぼいません。その中で若年層、熟年層共にLD派の方が個室派より増えたとの回答が多い傾向が見られます。夫の家事分担増加を図るには、LDでの在宅ワークの方がより効果的と考えられます。若年層の夫についてそれぞれの家事をしている場合を在宅ワークがきっかけなのか、それ以前からかを聞いたところ、全体にLD派に在宅ワーク以前から家事をしている夫が多い傾向があり、特に夕食の準備など調理関係についてはその傾向が顕著でした。
以上の調査結果を踏まえ、在宅ワークの空間としては①LDK周辺のカウンター+Web会議用の逃げ場所 ②仕事専用あるいは寝室兼用の個室、という2つに整理することができました。しかし仕事専用の個室が確保できるケースは現役世代では少なく、いかに他の用途と兼用しワークスペースを確保できるかが課題と思われます。
LDK周辺において、従来からある子どもの勉強場所のニーズと絡めて、ワークスペースの確保が現実的です。そのためオープンな空間で子どもの勉強の様子がわかる「+NEST」空間で少し仕切りを高くした提案や、建具で仕切れ、子どもの成長に合わせて変化させる3帖の小部屋「BLANK」をワークスペースとする提案、さらにWeb会議時の逃げ場となり収納スペースとしても使える1帖大の「BOOTH」を設ける提案を用意しました。また、個室フロアの提案として2帖大のコンパクトな書斎「COCKPIT」のご提案を準備しています。
■+NEST:子どもの勉強場所兼用のワークスペースがあるLDK(在宅ワーク+通勤 夫婦提案)
LDの子供の勉強場所は、適度なこもり感とキッチン付近から目が届くことが設計の要件ですが、在宅ワークを兼ねる場合、少しキッチンからは離し、座っている人が隠れるくらいの仕切りを設けます。普段は配偶者が通勤し、LDKを在宅ワークで独占できるようなご夫婦に向けた提案です。
近年はLDにあるものが細かくなり、周囲の壁に奥行の浅い棚を設けたリビングクロークと呼ばれる1畳程度の収納空間が多く造られています。普段は広く明るいダイニングテーブルや+NEST空間を使い、Web会議がある方がBOOTHへと逃げる、W在宅ワークのご夫婦に向けた提案です。
2帖程度の仕事空間を個室フロアに独立、または寝室等に付属して設ける提案です。飛行機の操縦席のように必要なモノに囲まれ、趣味の空間を兼ねた居場所にもなります。PCやプリンタを置き、本やコレクションなども収納できます。また壁に固定した棚は防災上も有利です。
- 週1回以上の在宅ワークが柔軟な働き方と共に定着
- 家族との時間や睡眠時間が増え、特に子育て期の生活リズムの正常化が顕著
- 家づくりの際、在宅ワークは想定していなかったが子供の勉強場所、趣味の書斎が活躍
- LD派は家事並行、個室派は仕事に集中できることをメリットと感じている
- 本人の在宅ワーク時に在宅ワークしていない配偶者に立入りや音の配慮が生じている
- 夫の家事は在宅ワークをきっかけに増加
前回調査で明らかとなった、在宅ワーク本人の生活改善のメリットは、今回調査でもはっきりと示されました。また、在宅ワークスペースの設計では、本人の希望と共に同居家族への配慮も必要であることが明らかとなりました。LDK周辺での在宅ワークでは合間に家事を行いやすく、子育て期の共働きなど、通勤で昼間留守であった夫妻にメリットがあります。一方で夫妻双方が在宅ワークの際など、家族が在宅時にはWeb会議がしにくいという問題が生じ、その際の逃げ場のスペースを考慮する必要があります。また家族の在宅が多い場合はLDでの在宅ワークは同居家族に負担を生じさせる可能性が高く、個室での在宅ワークスペース確保が推奨されます。
当社は30年以上前より、共働き家族のくらしそのものの調査・研究を続けており、その経験を背景として、効率的に家事をこなしながら、子供を見守るLDの学習コーナー(+NEST:2009年~)や子供の成長に合わせ可変するLDKに隣接する小部屋(BLANK:2018年~)など、住まいの提案を随時行ってきました。今回の調査から、そうした提案が令和の職住融合時代の暮らしにも適応できる可能性をつかむことができました。当社は今後も家で働くことと、暮らし・家族の関係に着目・研究をしていくことで、お客様の「いのち・くらし・人生」を支えるLONGLIFEな商品・サービスの提供に努めてまいります。
■調査の背景と目的
昨年発生した新型コロナウィルスのパンデミックは、私たちの暮らしに大きな影響を及ぼしました。一年前に発令された緊急事態宣言下では、大人から子供まで多くの国民が外出を自粛し、毎日を自宅で過ごす生活が続きました。特に私たちの働く環境は大きく影響を受け、在宅ワークが急激に進んだことで、ワークライフバランスの重要性が強く認識されるようになりました。そこで当社は昨年4月に、コロナ禍で普及が進んだ在宅ワークスペースの現状とくらしの変化について、在宅ワークをするご本人を中心に調査を行い、その結果を公表しました※1。その結果、戦後昭和の専業主婦モデルから平成の共働きモデルへ、そして職住が融合する令和の在宅ワークモデルへと変化する様子を浮き彫りにすることができました。しかしながら前回調査を実施した4月は緊急事態宣言の発令期だったこともあり、保育園・学校に子が通えないなどの特殊な状況であったため、当社はその後も調査を進め、昨年9月に再度在宅ワークによるくらしの変化について調査を実施しました。この時期は緊急事態宣言が解除された後、感染防止に注意を払いながらも学校や保育園が通常通りの運営に戻り、企業においても一定割合の在宅ワークを織り込みながら事業を継続しており、今後訪れるアフターコロナの生活に近い状況であると考えられます。今回、こうした時期に実施した調査結果を分析することで、コロナ終息後のニューノーマル時代に合ったくらし方の提案を模索することとしました。
※1 前回の調査リリース:https://www.asahi-kasei.co.jp/j-koho/press/20200605-02/index/
■調査の概要
- 調査の目的:在宅ワークしている本人と同居配偶者の意識を調べ、家づくりに役立てる
- 調査時期:2020年9月17日~9月23日
- 調査方法:Webアンケート調査
- 調査対象:1990年1月~2020年8月引渡の自社設計施工の住宅
- 有効回答数:夫妻どちらかが在宅ワークをしている方 n=1,492(本人回答1,213(内252は配偶者も在宅ワークしている)+在宅ワークしていない配偶者回答279)在宅ワークは週7時間以上勤務の就業者が、月1回以上実施していることを条件とした
1.週1回以上の在宅ワークが柔軟な働き方と共に定着
本調査は、在宅ワークの定義を併用住宅の場合に自宅部分での仕事に限定したため、オフィス通勤者の比率が夫96%妻89%と高く、自宅テレワークの方を中心とした調査となっているのが特徴です。調査時期である2020年9月はPCR検査のコロナウィルス陽性者数が一段落し、経済活動の再開が進んでおり、アフターコロナを占うのに適した時期となりました。このような状況下でも在宅ワークの頻度は夫妻共通で週1回以上が約8割、週3回以上が5割あり、在宅ワークが定着していることを示す結果となりました。また、出勤前や、早く帰宅しての終日ではない在宅ワークが2~4割見られ、夫の時差出勤、妻の時短勤務がそれぞれ2割程度あるなど、柔軟な働き方が一定の割合を占めるようになってきています。
2.家族との時間や睡眠時間が増え、特に子育て期の生活リズムの正常化が顕著
在宅ワークになると家族との時間が増え、夕食が早まり生活リズムが正常化する傾向は前回調査と同様に見られました。通勤日と在宅日で夕食開始の平均時刻を比較すると夫で66分、妻で39分早まっており、夫19:22妻19:10と夫妻の差が縮まっています。また夕食後に仕事をしている層が夫で16%(n=111)みられ、その場合、夕食時刻は111分早まり19:13となっており、仕事の状況に関わらず一定の時間に夕食を取る在宅ワークのメリットがよく表われた結果となりました。ライフステージ別にみると、長子が幼児、小学生の場合に夫の夕食開始時刻の早まりが大きく、夕食開始時刻も他の世代より早いことから、家族と一緒に夕食を食べていると推測されます。
在宅日は通勤時間が不要なため起床時間も夫妻共通で約30分遅くなり、睡眠時間が増加しています。ライフステージ別にみると、長子が幼児、小学生の場合に夫の起床時間が他の世代より遅くなる傾向が見られます。在宅ワークには特に子育て世代の忙しさを緩和し、生活の質を向上させる効果があると言えそうです。
そのような生活の中で、本人回答での在宅ワークによる機会・不安の増減を聞くと、夫妻の差は少ないものの、調理の機会増(夫38%妻58%)と光熱費増の不安(夫59%妻78%)で差があり、家事の増加が妻に偏る傾向が見られます。
3.家づくりの際、在宅ワークは想定していなかったが子供の勉強場所、趣味の書斎が活躍
家づくりの際に在宅ワークを想定していた割合(経験者+未経験想定者の計)は2020年引渡では4割近くまで上昇していますが、2018年までは2割程度しか想定されていませんでした。在宅ワークする家としての満足度は、在宅ワーク経験者や想定者では当然ながら高く、PC置場を想定したかどうかで不満者に大きく差がつきました。ヘーベルハウスではLDKに隣接した子どもの勉強場所として+NESTやBLANK※といった空間を提案し、二世帯住宅を中心として居場所としての書斎の提案を勧めておりましたが、そうした場所がある場合はそこでの在宅ワークの率が大きく高まっていました。
【※】+NEST:子供を見守るLDの学習コーナー(2009年~)
BLANK:子供の成長に合わせ可変するLDKの小部屋(2018年~)
書斎は二世帯の居場所として高密度個室書斎を2013年に提案
4.LD派は家事並行、個室派は仕事に集中できることをメリットと感じている
在宅ワークで最も使う場所では夫がLD派(ダイニングテーブル+他のLD)4割、個室派(共用個室+専用個室)6割の比率だったのに対し、妻はLD派が75%に達し、前回調査と同様に夫妻で異なる傾向となりました。在宅ワークのメリットで夫妻に共通して高かったのは、「通勤時間分を他に使える」「家族と過ごす時間が増える」「宅配便や書留などの受取」「災害時対応しやすい」が挙がり、LD派は「仕事の合間に調理や洗濯などの家事ができる」を始めとして家事関連のメリットを挙げる人が個室派より多く、個室派は「仕事に集中できる」ことを挙げる人がLD派より多い結果となりました。また家事、育児関連双方で夫より妻の方がメリットして挙げる人が多く、在宅ワークとなっても家事が妻に偏る傾向があることも見てとれました。
5.本人の在宅ワーク時に在宅ワークしていない配偶者に立入りや音の配慮が生じている
在宅ワークは本人のメリットは大きいのですが、その配偶者には負担となる場合もあります。LDでの夫の在宅ワークでは、妻がそこに立入らない、音を出さないなどの配慮をしている方が約8割、逆の立場で夫がLD派の妻に対しては約7割いました。個室での在宅ワークでは約8割が立入らないことで配慮しており、家族共用の空間であるLDでの在宅ワークは同居家族に負担をかけることが示唆されました。しかし在宅ワークの困りごとでLD派と個室派の差を見ると、「好きなTVが自由に見られない」を除くと個室派でも同レベルの困りごとが挙がっており、個室にこもってもらうことが必ずしも解決策ではないとも感じられます。妻が非就業の場合より通勤、共に在宅ワークしている場合の方が負担感は少ない傾向があり、共働きで夫が在宅で家事並行するメリットを活かすにはLDでの在宅ワークも必要と思われます。特に若年層ではWeb会議の比率が高く、その場合の配慮の比率も高いことから、LDでの在宅ワークの場合はWeb会議に家族の負担を減らすことがポイントと言えそうです。
6.夫の家事は在宅ワークをきっかけに増加
在宅ワークによる夫の家事時間の増減を調べると、若年層(長子小学生以下、子がいない場合は40代以下)夫の65%、熟年層(同中学生、50代以上)夫の52%が増えたと回答し、減った人はほぼいません。その中で若年層、熟年層共にLD派の方が個室派より増えたとの回答が多い傾向が見られます。夫の家事分担増加を図るには、LDでの在宅ワークの方がより効果的と考えられます。若年層の夫についてそれぞれの家事をしている場合を在宅ワークがきっかけなのか、それ以前からかを聞いたところ、全体にLD派に在宅ワーク以前から家事をしている夫が多い傾向があり、特に夕食の準備など調理関係についてはその傾向が顕著でした。
7.調査結果を踏まえたワークスペースの提案
以上の調査結果を踏まえ、在宅ワークの空間としては①LDK周辺のカウンター+Web会議用の逃げ場所 ②仕事専用あるいは寝室兼用の個室、という2つに整理することができました。しかし仕事専用の個室が確保できるケースは現役世代では少なく、いかに他の用途と兼用しワークスペースを確保できるかが課題と思われます。
LDK周辺において、従来からある子どもの勉強場所のニーズと絡めて、ワークスペースの確保が現実的です。そのためオープンな空間で子どもの勉強の様子がわかる「+NEST」空間で少し仕切りを高くした提案や、建具で仕切れ、子どもの成長に合わせて変化させる3帖の小部屋「BLANK」をワークスペースとする提案、さらにWeb会議時の逃げ場となり収納スペースとしても使える1帖大の「BOOTH」を設ける提案を用意しました。また、個室フロアの提案として2帖大のコンパクトな書斎「COCKPIT」のご提案を準備しています。
■+NEST:子どもの勉強場所兼用のワークスペースがあるLDK(在宅ワーク+通勤 夫婦提案)
LDの子供の勉強場所は、適度なこもり感とキッチン付近から目が届くことが設計の要件ですが、在宅ワークを兼ねる場合、少しキッチンからは離し、座っている人が隠れるくらいの仕切りを設けます。普段は配偶者が通勤し、LDKを在宅ワークで独占できるようなご夫婦に向けた提案です。
■BLANK:子どもの遊びなどと兼用できる多用途の小部屋があるLDK(W在宅ワーク提案)
■+NEST空間+BOOTH:Web会議時の逃げ場のあるLDK(W在宅ワーク省スペース提案)
近年はLDにあるものが細かくなり、周囲の壁に奥行の浅い棚を設けたリビングクロークと呼ばれる1畳程度の収納空間が多く造られています。普段は広く明るいダイニングテーブルや+NEST空間を使い、Web会議がある方がBOOTHへと逃げる、W在宅ワークのご夫婦に向けた提案です。
■COCKPIT:作業スペースに囲まれたコンパクトな書斎(高密度 個室提案)
2帖程度の仕事空間を個室フロアに独立、または寝室等に付属して設ける提案です。飛行機の操縦席のように必要なモノに囲まれ、趣味の空間を兼ねた居場所にもなります。PCやプリンタを置き、本やコレクションなども収納できます。また壁に固定した棚は防災上も有利です。
以上
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