エヌ・イー ケムキャット、令和4年度 触媒工業協会技術賞を受賞:「シリーズハイブリッド(SHEV)自動車における三元触媒浄化反応モデルの構築」が高く評価

~予測が困難とされている“エンジン冷間始動時”および“再始動時”における、排出ガスの温度と雰囲気変動に伴う触媒活性変化に対応した「TWC触媒浄化反応」のモデル化に成功~

エヌ・イー ケムキャット株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 櫛田祭)は、一般社団法人触媒工業協会により、2022年6月9日にオンライン形式で開催されました、令和4年度表彰式において、「シリーズハイブリッド(SHEV)自動車における三元触媒浄化反応モデルの構築」について、触媒工業協会技術賞を受賞しましたのでお知らせいたします。

世界的な環境規制の強化等を背景としたパワートレーンシステムの多様化や自動車の高機能化により、自動車の設計開発工程が大幅に増加しています。そのため、メーカー各社では、モデルベース開発(MBD)の導入・活用による開発工程の効率化を急速に進めており、排気浄化システムにおける最も重要な要素の一つである三元触媒(TWC : three-way catalyst)に関しても、汎用的な予測精度を発揮できるモデルの構築が急務となっています。しかしながら、TWCは非常に複雑な反応経路をたどるため、酸化・還元反応から酸素貯蔵能(OSC)反応、副生成物までを網羅したモデルは未だ確立されておらず、中でも白金系貴金属(PGM)の酸化還元による性能変化を考慮したモデルは非常に限定的なものとなっていました。

今回当社では、モビリティの電動化加速により、ハイブリッド自動車(HEV)は今後ますます重要な選択肢となっていく中で、特に市場シェアの拡大が見込まれるSHEVの排気浄化システムに着目しました。SHEVにおいては、エンジンは発電に特化できるため、熱効率の高い運転ポイントでの稼働と停止を繰り返すことがSHEV特有の排出ガス特性をもたらします。そこで当社は、触媒の酸化還元状態変化を考慮することで、稼働と停止が繰り返される使用条件下においても、また汎用的な条件においても浄化特性を再現し、且つ高い予測精度を発揮できる革新的な三元触媒反応モデルを構築いたしました。

特に初期の酸化状態から排出ガスの温度と空気過剰率に応じて段階的に還元賦活化していく挙動をモデル化すると共に、その後の雰囲気変動に伴う触媒表面の酸化還元に応じて、速度定数を変化させる制御を採用することで、過渡試験モード全体を通して直下触媒出口の排出ガスを、非常に高い精度で予測することに成功いたしました。

また今後も強化される排ガス規制を見据え、規制対象への追加が議論されているアンモニア(NH3)及び亜酸化窒素(N2O)についても網羅した予測が可能となり、さらに、モデル構築過程の実験及び計算を通して、ライトオフ過程における具体的な反応メカニズムなど触媒設計を含めた排気浄化システム開発に役立つ有益な知見が示されました。構築したモデルは、今後HEV排気浄化システムのMBDにおける活用が期待される成果である点が評価され、今回の受賞にいたりました。

当社は、本研究成果を生かし、今後ますますの加速が予想される、自動車設計開発におけるモデルベース化に貢献してまいります。

■研究概要(モデル化の流れ):
SHEVではエンジンは熱効率の高い運転ポイントでの稼働と停止を繰り返す特性を考慮し、本研究では急激な空燃比(λ)変動を伴うエンジン再始動時と、従来からの課題である冷間始動~触媒ライトオフ時の2つをモデル化における重点と定めました。

その後、モデルガス試験の結果により、エンジン再始動時におけるλ変動範囲で条件設定したライトオフ試験を中心に、TWC浄化反応特性を調査。同結果等から、ライトオフ及びエンジン再始動時の排出ガス浄化挙動を再現する上で必要不可欠なNH3及びN2Oの生成、分解を含む計33の反応式を選定し、浄化反応モデルの基本形を構築しました。

その上で、ライトオフ試験結果を元に各λ水準(0.88~1.03の間で計11水準)での速度パラメータ値を同定し、これらはλ変動に伴う触媒表面の酸化還元によりリッチ側(λ<1)とリーン側(λ>1)とで大きく変化することを特定し、λに応じ速度パラメータを変化させる制御を考案しモデルに実装することで、エンジン再始動時の浄化挙動を再現することが可能となりました。(図1)

           図1 λに応じた速度パラメータ制御を導入したTWCモデル構築過程

次に、最も予測精度が要求される「冷間始動時」における排出ガス浄化性能挙動の再現を目指しました。まずは前処理条件の異なるモデルガスライトオフ試験を行い、その結果から酸素過剰雰囲気での前処理後にロジウム層では、触媒の表面酸化により活性低下状態にあることが判明しました。そこでTWCのパラジウム層とロジウム層、それぞれの浄化特性を再現した単層モデルを作成した上で、ロジウム層については初期の触媒表面酸化により活性低下した”Oxide base”状態から、温度とλに応じて賦活化した”Metal base”状態へと活性状態が変化する挙動を、アレニウス式ベースの移行速度式を用いてモデル化し(図2)、最終的に両層を組み合わせた二層触媒モデルを構築しました。

これらにより、難しいとされていた冷間始動~ライトオフ完了を含む領域での予測精度が大幅に向上し、さらにNH3及びN2Oの排出についても網羅した予測が可能となりました(図3)。

         図2 冷間始動時からのRhの還元賦活に伴う活性状態移行モデルのコンセプト

       図3 WLTCモードシミュレーションでの排出ガス積算値と反応モデル中での活性状態変化

関連論文:
Ind. Eng. Chem. Res. 2021, 60, 4, 1583–1601. (DOI: 10.1021/acs.iecr.0c05436)
Ind. Eng. Chem. Res. 2021, 60, 39, 14069–14086.  (DOI: 10.1021/acs.iecr.1c02252)

■一般社団法人  触媒工業協会について:
触媒を製造する企業および触媒関連資材を生産する企業並びに触媒製品の販売や資材の販売に携わる企業の協調、連絡、親睦を計り図り、健全な触媒工業の発展を促進する目的で設立された業界団体です。

■エヌ・イー ケムキャット株式会社について:
エヌ・イー ケムキャットでは、化学触媒・自動車触媒(三元触媒・ディーゼル自動車触媒等)・燃料電池触媒等の開発・製造・販売や貴金属触媒の回収精製を行っております。

【本社】〒105-5127 東京都港区浜松町二丁目4番1号 世界貿易センタービルディング南館27階
【沼津事業所】〒410-0314 静岡県沼津市一本松678
【つくば事業所】〒306-0608 茨城県坂東市幸神平25番3号
【代 表 者】 代表取締役社長 櫛田 祭
【設立年月】 1964年4月    
【資 本 金】 34億2,350万円
【U R L】 https://www.ne-chemcat.co.jp/

 
 
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