第30回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会学術集会にて横隔膜ペースメーカの使用経験の報告
「第30回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会学術集会」において、東京女子医科大学東医療センター新生児科 山田洋輔先生が、国内初となる横隔膜ペースメーカーの植込みをされたCCHSの患者様の呼吸管理についてご報告されました。
■発表概要
共同企画3「先天性中枢性肺胞低換気症候群(CCHS)と指定難病肺胞低換気症候群~移行期(トランジション)医療の推進・確立にむけて~」
演題名「先天性中枢性肺胞低換気症候群(CCHS)診療の標準化を目指して~呼吸ドックの啓蒙・普及~」
発表者 山田洋輔 先生
■内容概要
CCHSでは覚醒時にも重篤な低換気が起きることが知られており、そのことは肺高血圧、心不全に進展するため、CCHSにおいて重要な症状です。東京女子医科大学東医療センターでは、CCHSの患者様の呼吸中枢・呼吸器・換気状態と呼吸器を包括的に評価し、適切な呼吸管理を決定する「CCHS呼吸ドッグ」を実施しています。
また東京女子医科大学東医療センターにおいて、横隔神経電気刺激装置「NeuRx(ニューアールエックス)横隔膜ペーシングシステム」(以下 NeuRx)を国内で初めて植え込まれた、CCHSの患者様の管理を行っています。今回NeuRxを導入した患者様も、覚醒時の低換気、肺高血圧に悩まされていましたが、NeuRx導入後に覚醒時も簡便にぺーシングに合わせた呼吸ができるようになり、覚醒時の低換気は著明に改善、肺高血圧も改善傾向となりました。
今後は、夜間の人工呼吸器の離脱、気管切開の閉鎖なども期待され、CCHSの新しい呼吸管理法として非常に注目されます。
■横隔膜ペーシングシステム「NeuRx」
現在国内で横隔膜ペーシング治療への使用において、承認を受けている製品は唯一NeuRxのみとなっております。本品は「横隔神経の電気刺激により横隔膜の収縮が可能な、人工呼吸器に依存する(1)脊髄損傷、(2)中枢性低換気症候群」の患者様が適用の対象となります。横隔膜に植込まれた電極に電気刺激が送られて、横隔膜が収縮することで呼吸補助を行います。電極の植込み手術は、腹腔鏡を用いて2時間程度の所要時間で、比較的低侵襲に行うことが可能です。電極は横隔膜に左右2本ずつ経皮的に植込まれ、体外式のペースメーカにより電気信号が送られます。術後に横隔膜のリハビリトレーニングを実施して、在宅での管理が可能となります。本品を使用している間は、人工呼吸器を一時的に離脱することが可能となり、患者様のQOLが大幅に改善されることが期待されます。
体外式のペースメーカは、小型で携帯性に優れており(重さ:約250g、サイズ:8cm×13.7cm×3.4cm)、外出も容易となります。駆動には市販の単2サイズのアルカリ乾電池やリチウム乾電池が用いられることから、生命維持装置として課題の一つである災害時の電源確保といった点においても容易に対応が可能です。NeuRxは、モータ等の駆動が無いことから、これまで人工呼吸器の音が気になっていたような場面でも周囲を気にすることなく使用することができます。また、介護者様にとっても吸引回数が減るなど、人工呼吸器と比較してケアの負担軽減が期待される機器であります。
今回、NeuRxは国内で初めて横隔膜ペーシング治療用の医療機器として薬事承認を取得し、保険収載されたことで、これまで人工呼吸器という手段に頼らざるを得なかった脊髄損傷や中枢性低換気症候群の患者様の呼吸管理において、経済的負担も最小限に抑えながら、新たな治療の選択肢を提供することが可能となりました。
【日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 概要】
目的
呼吸管理の基礎ならびに臨床に関し,その進歩発展と普及に寄与することを目的とする.
団体の名称:一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
所在地:〒113-0033 東京都文京区本郷3-28-8 日内会館7階
TEL/FAX:03-6806-7703
理事長:順天堂大学大学院医療看護学研究科 臨床病態学分野呼吸器系
教授 植木 純 先生
設 立:1991年8月4日設立
URL: http://www.jsrcr.jp/
【会社概要】
会社名 : USCIジャパン株式会社
所在地 : 〒151-0053 東京都渋谷区代々木3-28-6
設立 : 1999年4月
事業内容: 医療機器の輸入・製造・販売
URL : http://www.usci.co.jp/
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像