nori enomotoとKotoka Izumiがコラボ――「nori enomotoの新しい見せ方ができた」Kotoka Izumiが完全ディレクションを務めたプロダクト撮影の舞台裏
これまでとは違う、モードで洗練された《nori enomoto》を体感しよう
「絵になる小物」をコンセプトに掲げ、“mardi matin”をはじめとした、曲線が特徴的なバッグアイテムを中心にブランド展開を行う《nori enomoto(ノリエノモト)》。同ブランドでは、各界で活躍するクリエイターを起用し様々な企画を行っています。そんな《nori enomoto》が今回ルック撮影を依頼したのは、フォトグラファーやアートディレクター、イラストレーターなどマルチに活動するKotoka Izumiさん(以下、和泉)。フォトグラファー兼ビジュアルディレクターとして和泉を迎え、作成されたクリエイティブは公式InstagramやWEBサイトで見ることができ、2024年8月19日(月)〜9月1日(日)に〈NEWoMan新宿〉で行われるポップアップのメインビジュアルとなります。
ファッション感度の高い若者の心をつかんでいる両者のクリエイティブはどのように融合したのか。《nori enomoto》のパタンナーでありデザイナーである榎本紀子さん(以下、榎本)と和泉、ふたりの仕事の原点やコラボレーションへの思いをインタビューを通して紐解いていきます。
作る工程が面白いものを作ると、デザインも面白くなる
――榎本さんはなぜデザイナー、パタンナーを仕事にしようと思ったのでしょうか。
榎本:もともとファッションがすごく好きだったので、ファッション系の大学に通っており、アパレル企業に就職しようと思っていました。ですが、就職のタイミングが近づくにつれ、ものづくりをもっとしっかり学びたかったなぁという思いが強くなり、就職をせずに専門学校に通うことにしました。専門学校では、デザインをして縫製をしてパターンを引いて、最後はショーまでやっていたのですが、その体験によって、自分はデザインをすることや、ショーを作ることに興味がないと気がつきました。今はデザイナーでもありますが、本来パターンや縫製など、自分の手で形を作っていく工程が好きなので、それができる職種であるパタンナーになろうと思い、『RAINBOW SHAKE』(nori enomotoの運営会社)でパタンナーになりました。
――専門学校で学ぶ中では、デザインに興味がなかったということですが、そこからデザイナーになるまでにはどのような心境の変化があったのでしょうか。
榎本:パタンナーとして働き始め、自分でものづくりをしていく中で「作る工程が面白いものを作っていたら、デザインも面白くなる」と気がついたんです。そこから、作る工程が面白いものをどんどん作っていったら、素敵なデザインだねって言われるようになり、デザイナーになりました。
――《nori enomoto》では曲線のデザインが特徴的ですが、曲線もそのようにして生まれたのですね。
榎本:はい。私が作っているバッグは、フェイクのレザーを自分の好きな気持ちのいい曲線に切り抜いて、目打ちを使って別の生地で少しずつ包みながらパイピングして作るのですが、その工程が心地よくて好きなんです。
――《nori enomoto》のアイテム誕生の原点は、「作る工程が面白い」というところだったのですね。和泉さんのフォトグラファーとしての原点は何だったのでしょう。
和泉:2016年からイラストレーターとして活動していたのですが、2021年にアパレルブランドの《Knuth Marf(クヌースマーフ)》をスタートして、同ブランドのアートディレクターになりました。そこから、フォトグラファーとしてアパレルの撮影をするようになりました。カメラは元々趣味ではやっていて、友人知人のモデルさん達をよく撮影させてもらっていました。でも、全く知識がなく感覚だけで撮っていたので、お仕事として撮影の依頼を受けた際に、フォトグラファーですと言えるように少しずつ勉強をしたり、ライティングなどの技術を学びながら今に至っています。自信を持ってフォトグラファーですと名乗れるようにするのが今年の目標で、周りにもそう伝えています。口にだすと仕事もいただけるようになって、その中でこうして《nori enomoto》さんからもお声がけをいただくことができました。まだ原点といえるほどの蓄積はないので、ここから始まるのかなと思っています。
制作過程で出る「余白」がヒントに
――ものづくりをお仕事にされているお二人ですが、どんなものから着想を得ていますか。
榎本:日常的に見る人間の動きや仕草とか、自然で作られた植物の色とか、普段の日常生活からインスピレーションを受けているような気がします。本当に何気ないところから。あとは制作過程の中にあるものも、デザインのヒントになっていたりします。例えば裁断をしたときの、制作には使わない余白の方の形が綺麗だなと思って、そっちを使ってみようとか。海外旅行にもよく行くので、日本とは違った色彩やデザインを見てそこから刺激を受けることもあるのですが、海外に行ったからじゃあいいものが作れるかというと、そうではないかなと思います。自然に存在しているものの方が、私のものづくりに繋がっていると思います。
和泉:私も日常生活の中で行き交う人は目に留まりますね。あの人の色使いかわいいなとか。最近だと、現代の写真家の作品からインスピレーションを受けることが多いです。海外の写真家の作品も見るのですが、国ごとに写真の色があって、私はロンドンの人が撮る写真が好きでよく見ています。インスタとか雑誌とかで見る海外の方のクリエイティブが面白くて、そうしたところからアイデアが湧いてくることが多いです。
「琴華さんが楽しんでくれればそれでいい」
――今回のコラボはどのようにして実現したのでしょうか。
榎本:様々なクリエイターさんにディレクションをお願いし、色んな角度から《nori enomoto》のアイテム撮影をしていただく企画があり、その一貫として今回は琴華さんに声をかけました。《nori enomoto》のコンセプトである「絵になる小物」を軸に、その余白でクリエイターさんに遊んでもらっています。
――《nori enomoto》からKotoka Izumiにオファーをして実現したということですが、オファーをした理由を聞かせてください。
榎本:これまでの《nori enomoto》のビジュアル写真は、華やかでポップな雰囲気だったのですが、違った見せ方に挑戦したくて、モードで洗練された雰囲気のビジュアル撮影をしたいなと考えていました。そうしたイメージに近い表現をされるクリエイターさんを考えた時に、琴華さんの名前があがりました。また、イラストレーターとして琴華さんが描かれる作品は、繊細な線で描く人物画の印象が強くて素敵で。こんなイラストを描ける琴華さんにお任せするならば、これまでビジュアルにほとんど人物を入れてこなかった《nori enomoto》でも、新たな世界観を表現できるかなと思いオファーをしました。
――和泉さんは《nori enomoto》からオファーを受けた時、どう思いましたか。
和泉:撮影全体のディレクションでのオファーだったので、私のクリエイティブの世界観を気に入っていただけたのが嬉しかったです。最初はイラストでのオファーかなと思っていたのですが「フォトグラファーとしてクリエイティブから全てのディレクションをお願いしたいです」と言われて、自分が今やりたいことともすごくマッチしているなと思いました。お声がけいただいた時からワクワクしていました。
――ディレクションを引き受けた時、どんな作品にしたいと考えていましたか。
和泉:《nori enomoto》のクリエイティブは斬新なものが多く、毎回ガラッと違うものだったので、そこに対して自分がディレクションをする意味があるクリエイティブにしたいなと思っていました。noriさんもおっしゃっていたように《nori enomoto》のビジュアルは人物が少なく、バッグ単体で絵になっていたのが印象的でした。私はイラストでも写真でも人物を入れることが多いので、そこで融合できないか考え、人の素肌感とバッグがうまくバランスを取れるようなクリエイティブの構想を練っていました。実際の撮影でも、イメージ通りの撮影ができたと思います。
――撮影を終えて、感触はいかがですか。
榎本:人物を入れるとどうしてもファッションっぽくなってしまいがちなのですが、琴華さんのディレクションではアート感を出しつつ綺麗に撮っていただけたと感じています。人物を入れながらも、《nori enomoto》のコンセプトである「絵になる小物」はしっかり表現されていて、自分の中では新しい感覚がありました。また、今回の撮影では、ビジュアルに使用するアイテムの選定も琴華さんに完全にお任せするスタイルだったので、多種多様な形のカバンを入れ込んだ撮影になり、その点も新しいなと思います。
――撮影に使用するアイテムも和泉さんが選定されたのですね。かなり自由度の高い撮影になったのではないでしょうか。
和泉:自分がフォトグラファーとして仕事をする時は、クライアントさんがいて、ある程度こういう色味でとか、イメージの共有をいただいてビジュアルを作ることが多いです。でも今回は、私からイメージを提出して、意見があれば教えてくださいと連絡はしていたのですが、当日にnoriさんから「今日は琴華さんが楽しんでくれればいいので」っていう一言をかけられて、ずっとワクワクできる現場でした。ここまで任せていただけるのは、多分この先もそんなにない体験なんだろうなと、すごく新鮮で貴重な経験になりました。
これまでの《nori enomoto》とは違う顔を
――新宿NEWoManでの《nori enomoto》のポップアップは、どんなポップアップにしたいですか?
榎本:今回のポップアップでは琴華さんのビジュアルを使用して空間づくりができるので、ポップアップにお越しくださるみなさまには、これまでとは違う《nori enomoto》の雰囲気をお楽しみいただけたらいいなと思います。
和泉:もともとクリエイティブがとっても素敵なブランドなので、私のクリエイティブとうまく融合していただけたら嬉しいです。どんなポップアップになるのか、私も見に行くのが楽しみです。
Profile
榎本紀子(えのもと のりこ)
1996年生まれ。 共立女子大学被服学科卒業後、文化服装学院服飾研究科へ入学。 その後、技術専攻に進学し卒業後RAINBOW SHAKEに入社。 パタンナーとして活動しつつ2020年「nori enomoto」を開始。
Instagram:@37nori
和泉琴華(いずみ ことか)
2016年よりフリーランスのイラストレーターとして活動。2020年8月にCEOの中井とIN Inc.を設立。自身のクリエイティブ制作を行いながら、2021年に立ち上げた、自社で運営するアパレルブランド「Knuth Marf」のアートディレクターを務める。
Instagram:@kotoka_izumi
Information
《nori enomoto》〈NEWoMan新宿〉ポップアップ
開催期間:2024年8月19日(月)〜2024年9月1日(日) 11:00~20:30
場所:東京都渋谷区千駄ヶ谷 5-24-55 NEWoMan新宿
お問い合わせ先:《nori enomoto》
Instagram: @norienomoto_official
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