事業の持続性/起業家の人生設計/投資家の利益のフラットな関係性を目指す投資スキームを開発。(株)ゼブラアンドカンパニーが投資第1号案件として(株)陽と人と基本合意
〜開発した投資スキームを標準化したタームシートの雛形も公開〜
陽と人は福島県国見町を拠点に福島の農家の所得向上と、都市に住む働く女性の生きやすさの向上を目指し、事業の発展とそのモデル化による社会課題の解決を行うゼブラ企業です。特産である桃の規格外品の販売事業から始まり国見町で農業を営む方々との信頼を形成し、2020年から同じく特産であるあんぽ柿の製造工程で捨てられていた柿の皮を利活用したデリケートゾーンのトータルケアブランド「明日 わたしは柿の木にのぼる」を展開しています。
Z&Cは、小林氏が作り出した『明日 わたしは柿の木にのぼる(以下、明日柿)』という事業が、福島という地域の課題と都市の女性の課題の両方を解決する事業であり今後のゼブラ企業の参考事業になること、Z&Cの理念と陽と人の理念が一致していることを評価し投資に到りました。
今後も資金面のみならず、経営面での支援を通して陽と人の成長と課題の解決に寄与して参ります。
本出資に関するZ&C陶山と陽と人小林氏との対談記事:
https://www.zebrasand.co.jp/990
また、本発表と同時に今回の投資理念とスキームを基にしたタームシートの雛形(LIFE type1 : Long-term Investment structure for Future Equity=将来の公正のための長期的投資スキーム 試作1)を公開します。
今回の投資では、将来の見通しが難しい立ち上げ初期のフェーズでも、経営者と投資家がフラットな関係性の元で一定の成長を遂げた後のリターンの設計について対話することを促すスキーム作りを目指しました。
本タームシートの公開により、IPOやM&Aなどのイグジットを前提としない投資を検討する投資家や起業家に応用していただくことを狙っています。
LIFE type1 (将来の公正のための長期的投資スキーム 試作1)ダウンロード
: https://forms.gle/2HHzPZTQGxc9rA54A
■「陽と人」とは
陽と人は「しあわせ・笑顔・豊かさの循環」をビジョンとして眠ったままの地域資源を見つけ、価値あるものへと編集し、地域と都市でしあわせが循環する社会をつくりを目指す会社です。
会社名 株式会社陽と人(ひとびと)
設立 2017年8月9日
代表取締役 小林味愛
本社所在地 〒969-1751 福島県伊達郡国見町大字塚野目字三本木11番1
事業内容
・地域を伝える農産物の生産・流通・卸売事業
・地域資源を活用した商品の企画・販売事業
・地域づくりコンサルティング・プロデュース事業
・その他(講演・研修など)
ウェブサイト https://hito-bito.jp
代表小林味愛氏経歴
1987年東京都立川市生まれ。2010年慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、衆議院調査局入局、経済産業省へ出向。2014年に退職し、株式会社日本総合研究所へ入社。全国各地で地域活性化事業に携わる。2017年8月、福島県国見町にて株式会社陽と人を設立。子育てをしながら、福島県と東京都の2 拠点居住生活を送る。
業務実績
公務員時代は諸外国の法制度調査、コーポレートガバナンス、スチュワードシップコード、産業競争力強化法案策定業務、ローカル経済圏に係る政策等に従事。株式会社日本総合研究所では、観光振興をはじめとした地域活性化関連業務等に取り組む。現在は農産物の流通・商品企画販売事業やコンサルティング等を実施している。
■「明日 わたしは柿の木にのぼる」とは
『明日 わたしは柿の木にのぼる』は2020年に立ち上げた、柿にまつわる古来の知恵に着目したデリケートゾーンのトータルケアブランドです。
柿の果皮から抽出した成分*に加え、厳選した植物由来成分*を配合。身体に優しいシンプルな処方にこだわり、国内工場で製品づくりを行っています。
女性の身体はとても繊細で、さまざまな要素が不調の原因となり、体調に不安を抱えながら生活をされている方は少ないという課題に着目。
「デリケートゾーンは、自分の心と身体を知るバロメーター」だと考え1日10秒でも、毎日デリケートゾーンケアを行うことで、身体に起こる小さな変化に気付くようになりより健やかで自分自身を大事にしてもらうことこと、そしてすべての女性が生き生きと輝く社会になることを願い、商品の企画販売のみならず社会への啓発活動も行うブランドです。
「サスティナブルコスメアワード2020」で銀賞に輝くなど、業界から高い評価を受けています。
(*うるおい成分)
https://ashita-kaki.com
■Z&Cが考える陽と人による社会的インパクトとは
Z&Cでは社会的インパクト投資におけるインパクト測定・マネジメント(IMM)の考え方に則り、TOC(セオリー オブ チェンジ)とロジックモデルを用いて社会課題をどのように解決していくかの仮説を持つことで投資前に事業を評価し、投資後の事業伴走の起点にしています。
陽と人は2つの社会課題の解決を目指して事業を展開しています。1つ目は、東日本大震災からの復興を支援した際に繋がった福島(地方都市)の課題の解決。2つ目は、自身が東京で男性のように働くことで体を壊してしまったことから、女性が心と体を壊さずに自分らしく働けるようにしたいという女性の健康課題の解決です。
(1:福島県国見町の地域課題の解決)
地方の大きな課題である「人口減」。陽と人は「農家の所得を上げること」をミッションの一つに掲げ、若い人たちが戻りたい・働きたい・住みたいと思ってもらえるエコシステムづくりを狙っています。
人口が減っていく要因として出生減、死亡増、流入減、流出増という4点があります。その中でも流入と流出に関しては東京や近郊都市に人が出て行ってしまい戻ってこないことが原因となっています。
東京や都市への人口集中の原因は、仕事、学びの機会、医療、エンタメ、関係性、生活インフラ等、多岐にわたります。陽と人では、特に、農家が今以上に仕事を付け足すことなく、今あるもので価値に転換できていないものを価値化すること(規格外品の桃を販売したり、捨てられるはずであった柿の皮をデリケートゾーンケア商品へ活用するなど)で一次産業の所得を向上し、地域外からの外貨を得て域内での仕事が増えることを目指しています。また、所得を増やすのみならず、農家が自分の仕事に自信を持つという価値観の変容が起こることで、他の取組みとの連携を通じて、少しづつ福島への移住を増やし、都市への移住を減らし、福島をより魅力的な地域にできると考えています。
(2:働く女性の健康課題という都市課題の解決)
日本では就労環境の変化から女性の就業率が上昇していますが、女性が身体や心を壊すことなく働き自分らしさを発揮できる社会になるためには、就労環境、男女間の経済格差、家庭環境、価値観、教育、資源配分、健康課題といった多くの課題が存在します。
陽と人では「明日柿」の販売と、デリケートゾーンケアを中心とした生物学的女性という身体に対する知識の向上を通して、女性の健康課題と女性が働く上での課題の解決を目指しています。
デリケートゾーンは女性の身体の中で最も体調が現れやすいといわれています。明日柿の商品を日々使うことでデリケートゾーンケアから自分の身体の変化に気づいてもらい健康に関する意識を変えていこうとしています。また、女性の身体に対するファクトをまとめて発信していくことで家庭や職場において男女の生物学的な違いに関する理解を深め、女性に関する認識や関係性を変えていき、価値観や経済格差の解消へとつなげていこうと考えています。
さらに、医療や工学分野において女性の身体を基にした商品開発・設計を行うことで新しいイノベーション(ジェンダードイノベーション)の事例となることも目指しています。ホルモンバランスが一定になりやすい男性の身体を基に設計がなされている事が多く、女性の身体を基にした商品開発等が一般的ではないことから、女性の体を基にすることで新しいイノベーションにつながると考えているからです。
(陽と人が福島と女性の課題を解決するロジックモデル)
上記2つの社会課題の解決を、アクティビティ(活動内容)、アウトプット(商品・サービス)、初期アウトカム(短期的な成果)、中期アウトカム、長期アウトカムという流れで何が起こっていくかを上記図のように整理しています。
このようなモデルで整理することで陽と人の事業展開と社会課題の解決の両立における注力ポイントを見極め、社会的インパクトの達成に向けて伴走してまいります。
■LIFE type1(将来の公正のための長期的投資スキーム)とは
創業間もない会社の経営者にとって、将来のイグジットの形や成長のあり方を定めることは容易ではありません。しかし事業を成長させるために資金を集めようとすると、実績がないため融資や助成金では十分な資金が集められないか、VC型の投資を集めることで本意ではない短期間での上場や事業売却等のイグジットを目指さざるを得ないという課題がありました。
この課題を解決するために、投資検討時点で合意できる事業成長目標と投資リターンの水準を定めながらも、実際の事業の成長に応じて多様なイグジットやリターンの選択肢を残すことができる投資スキームとして「LIFE type1」を開発しました。
「LIFE type1」は、目標達成時に経営株主以外の株主の合意によって、会社の経営に影響を与えない範囲で自社株買いによる株主還元がなされることを担保し、一定期間経過や目標達成をトリガーに自社株買い以外の選択肢にも変更することを想定した投資スキームとして設計しています。
本投資スキームを活用することにより、経営者が将来のイグジットの形や成長のあり方を柔軟に選択することができる余地を残し、投資家にとっても投資先企業が成長した際の株主還元を担保することが可能になることで、事業の持続性/経営者の人生/投資家の利益のフラットな関係性作りのきっかけになることを目指しています。
Z&Cでは今後も投資の内容に応じて新しい投資スキームを開発し公開していきます。
今回のスキームを作るにあたり、長期的に起業家を支援するという観点から、東南アジアのBeacon Fundや欧州のトリオドス銀行グループなど国際的にプレイヤーが増えてきているエバーグリーンファンドを参考にしています。また、IPOやM&A以外のイグジットという観点からレベニューシェアや自社株買いの仕組みについても研究し、インパクト投資の古参プレイヤーであるアメリカのVillage CapitalやEarnest Capitalなども参考にしました。
実際のタームシートの雛形に関してはこちらをご覧ください。
https://forms.gle/2HHzPZTQGxc9rA54A
※ 本雛形は一般的な活用を想定して標準化したため実際の合意内容とは異なります。
※ 本雛形の利用許諾は不要です。但し、個々の案件により最適な投資スキーム・契約内容は異なりますので、活用する場合には経営者、投資家、他の株主やステークホルダーと話し合い、弁護士とも相談してご利用ください。ご不明な点や相談事項がありましたら、Z&Cまでご連絡ください。
※ Z&Cは、本雛形の利用によるいかなる結果について一切の責任を負いかねます。
■陽と人 小林味愛氏からのコメント
「この度、弊社の理念に共感いただき、また成長を信じていただき、出資頂くことになりました。弊社はまだ設立数年の企業ですが、常に「地域にとってどのようにしたら持続可能な企業となるのか」を考えてきました。美しい地域を後世に残し、若い人たちが活躍できる地域をつくり、そして生み出すプロダクトやサービスで地域の課題解決のみでなく、あらゆる女性が生きやすい社会をつくることに貢献したい、そんな思いで走ってきました。しかし、この「持続可能性」を突き詰めた時に、企業としてのガバナンス・資本政策はもちろん、今後様々な新しい仕組みをつくっていく必要があります。今回の出資を機に、資金面のみでなく、経営をはじめ様々な課題解決に株式会社Zebras & Companyの皆さんのお力をお借りして、適正規模の成長と社会課題の解決の両立を進めて参ります。」
■「ゼブラ企業」とは
2013年にシリコンバレーのベンチャーキャピタリストが発したとされる「Unicorn startups」という評価額1000億円以上の未上場企業を総称する言葉があります。「Zebra」という概念は、「Unicorn startups」への行き過ぎた期待や過剰な資源の偏りからのリアクションとして2016年に米国西海岸で生まれました。
Zebras Uniteでは「Unicorn startups」と「Zebras」の違いを下記のように整理しています。
私たちZ&Cはさらにこれらを整理し、ゼブラ的経営者や企業の特徴として4点にまとめました。
1:事業成長を通じてより良い社会をつくることを目的としている
売上・利益の最大化自体が目的ではなく、社会課題の解決を事業の目的にしている
2:時間、クリエイティブ、コミュニティなど、多様な力を組み合わせる必要がある
資金があれば1社で短期間で成功できるという短絡的な事業ではなく、一定の期間をかけてPDCAを回し、クリエイティブやコミュニティなどの力を借りて事業を進めていくことが必要である
3:長期的で包摂的な経営姿勢である
短期的に株主価値を最大化させるのではなく、長期的にステークホルダー全員を幸せにするべく経営がなされている
4:ビジョンが共有され、行動と一貫している
多様な要素間の二律背反(トレードオフ)を踏まえつつ、具体的なあるべき姿を描き、日々行動している
■Z&Cが目指す社会的インパクト
Z&Cは「ゼブラ経営の社会実装」を行い、ゼブラ企業の成長と繁栄、ゼブラ企業を通した今は無名の社会課題の可視化、サービスの多様化、ゼブラ企業を支援する人材/企業の増加、ゼブラ企業を支援する資金の増加を起こしていきたいと考えています。
長期的な視野としては、それらが増えることで無名な社会課題の解決と持続的で健康な経営に向けて誰もが挑戦しやすい社会を作りたいと考えています。
■小林氏も登壇するZ&Cによるゼブラ企業カンファレンスのご案内
▼イベントタイトル
『ZEBRAHOOD 2022』
https://www.zebrasand.co.jp/659
▼開催日時
2022年2月4日(金)9:00-19:00
▼開催方法
オンライン配信
▼実施内容
カンファレンスパート
(キーノートを含むゼブラ的経営方法を話し合う6つのセッション)
ダイアログパート
(ジャンル別で集めた代表的ゼブラ企業がその実態を語りあう4つのセッション)
▼チケットお申し込みはこちら▼
https://zebrahood2022.peatix.com
▼主催:株式会社Zebras and Company (ゼブラ アンド カンパニー)
共催:一般社団法人東京ゼブラズ・ユナイト、SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)、
株式会社明光ネットワークジャパン
■株式会社Zebras and Company(ゼブラ アンド カンパニー)会社概要
「Different scale , Different future」をテーマに、誰もが社会課題解決と持続的で健康的な企業経営に挑戦できる「優しく健やかで楽しい社会」を目指し投資と経営支援を行う会社です。投資・経営支援、行政や金融企業との連携、「ゼブラ企業」に関するリサーチと情報発信を通してゼブラ的経営を体系化し、「ゼブラ企業」という概念が全ての企業にインストールされる世界を目指しています。
社 名:株式会社Zebras and Company(ゼブラ アンド カンパニー)
設 立: 令和3年3月12日
事 業:「ゼブラ企業」という概念の認知拡大のためのムーブメント・コミュニティづくり、及び、社会実装のための投資や経営支援の実行
公式サイト:https://www.zebrasand.co.jp
公式instagram:https://instagram.com/zebrasandco
公式Twitter:https://twitter.com/zebrasandco
問い合わせ:hello@zebrasand.co.jp
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