ついに刊行! 絵本作家・田島征彦さんの「沖縄戦」を描いた最新作『なきむし せいとく』

本土復帰から50年をむかえる沖縄。その沖縄に70数年前に起きたことを真正面から描いた本作への思いについて、作者の田島征彦さんにインタビューしました。

株式会社 童心社

株式会社童心社(出版社 本社:東京都文京区 代表取締役社長・後藤修平)は、絵本『なきむしせいとく 沖縄戦にまきこまれた少年の物語』(たじまゆきひこ・作)を4月25日より発売いたします。
書籍詳細:https://www.doshinsha.co.jp/search/info.php?isbn=9784494012480

 

『なきむしせいとく 沖縄戦にまきこまれた少年の物語』たじまゆきひこ 作『なきむしせいとく 沖縄戦にまきこまれた少年の物語』たじまゆきひこ 作

  • 沖縄戦を真っ正面から描いた絵本

舞台は1945年戦争末期の沖縄。国民学校2年生の男の子「せいとく」は、いつも泣いているのでみんなから「なちぶー」とよばれています。戦況がきびしく敗色が濃くなっていく中、出征していた父に続き、中学生だった兄までも「鉄血勤皇隊」に招集されてしまいます。

せいとくと母、妹の3人は少しでも安全な場所を求めて家を捨て、南へ南へと避難します。
激しいアメリカ軍の砲撃でせいとくは母を失い、軍民が入り乱れる混乱の中、妹とも生き別れてしまいます……。

本作は8歳の男の子、せいとくの視点から物語が描かれます。
空襲や艦砲射撃、そして地上戦……。家族を失い、死体を踏み越えて逃げ、味方と避難場所を奪い合う凄惨をきわめた沖縄戦を経て、泣き虫だったせいとくはついに、涙をながすことすらなくなってしまいます。

 

少年兵として出征する兄を泣きながら見送る主人公・せいとく。少年兵として出征する兄を泣きながら見送る主人公・せいとく。

  

母のなきがらと、妹を藪にかくすせいとく。そのそばを日本刀をもった兵隊が走りぬけていく。母のなきがらと、妹を藪にかくすせいとく。そのそばを日本刀をもった兵隊が走りぬけていく。

地上戦にまきこまれ、戦車にひかれそうになるせいとく。混乱し自分の子どもとせいとくを間違えたアメリカ兵に命をすくわれる。地上戦にまきこまれ、戦車にひかれそうになるせいとく。混乱し自分の子どもとせいとくを間違えたアメリカ兵に命をすくわれる。

 

 

 

  • 田島征彦さんへのインタビューより
これまで沖縄に40年以上通い続けてきました。その中でずっと考え続けてきたことは「もしもあの戦争中に、僕自身が沖縄にいたらどうしていたか」ということです。

僕自身、大阪の堺市で戦争は体験しましたが、沖縄戦は体験していません。絵本を創るときはいつも、大なり小なり主人公は僕自身の分身なのですが、沖縄戦の当事者ではない僕に、どうしたらリアリティが出せるのか、それを考え続けてきました。

ここ20年くらいの間でしょうか。僕らが経験した「戦争の時代」と、どこか同じ空気が感じられるようになったと思っています。かつて日本人が犯した罪悪すらをも、肯定する人が増えてきていますね。それはひとつ、想像を広げる作業を、怠っている人が多いということなのだと思います。

戦争を経験していない世代ももちろんだけれど、戦争を経験した僕だって、もっと想像を広げる作業をしていかなければならないと思うのです。

どうしたら戦争を肯定するような言説に対抗できるのか。僕にできることといえば、絵本を創ることしかありません。どういう絵本を創れば、警鐘を鳴らすことができるのか、常に考えています。
 

普天間基地を見つめる著者普天間基地を見つめる著者

 

 

 
  • 戦争を起こさせないために
なぜ沖縄に通い続けているのかと聞かれたら、それは沖縄が好きだからです。土地、風土、そこに住んでいる人たちの魅力ですね。ただ、あまりにも本土の人たちが、沖縄のことを理解しようとしてくれない。その腹立たしさが、これまでの仕事を後押ししてきたのだと思います。歴史の問題、基地負担のこと、今まさに進んでいる辺野古の埋め立てや、高江のヘリパッドのこと……あまりにも本土の人たちは、知ろうとしないし、想像できていない。

少しでも知ってもらえるように、絵本を描き続けてきました。こんな恐ろしいことが、ほんの七十数年前に起きていたのです。そしてそれは珍しいことではなくて、今も世界のどこかで起きています。僕らの周りでもう起きないということは、ありません。戦争が起きないためにはどうすれば良いのか、どうしたら防ぐことができるのか。実際に起きてしまったら、これほどに恐ろしいことはありません。起こさせないために、努力せなあかんのです。絵本を読んで、大人も子どもも一緒になって、考えてもらいたいです。
(まとめ・編集部)


田島征彦さんのインタビュー全文は以下
<インタビュー>田島征彦さん『なきむしせいとく』刊行記念インタビュー 「沖縄戦」を描く
https://www.doshinsha.co.jp/news/detail.php?id=2646
 
  •  書籍詳細

【著者】たじまゆきひこ(田島征彦)
1940年大阪府堺市に生まれる。高知県で少年時代を過ごす。兵庫県・淡路島在住。
絵本に『祗園祭』(第6回世界絵本原画展金牌受賞)『じごくのそうべえ』(第1回絵本にっぽん賞受賞)『あつおのぼうけん』『ななしのごんべさん』(いずれも吉村敬子・共作)『とんとみーときじむなー』『てっぽうをもったキジムナー』『やんばるの少年』(いずれも童心社)、『てんにのぼったなまず』(第11回世界絵本原画展金牌受賞)『のら犬ボン』『ふしぎなともだち』(第20回日本絵本賞大賞受賞/いずれもくもん出版)、35年間の画業をまとめた、自伝的画集『憤染記(ふんせんき)』(染織と生活社)などがある。

【書誌情報】
書名:なきむしせいとく 沖縄戦にまきこまれた少年の物語
作:たじまゆきひこ
定価:本体1600円+税10%
判型:25.1×25.6cm
ページ数:48ページ
ISBNコード:ISBN978-4-494-01248-01
発売日:2022年4月25日
対象:小学校中学年以上
童心社ホームページ:https://www.doshinsha.co.jp/search/info.php?isbn=9784494012480


【本件に関する報道関係者からのお問い合わせ先】 株式会社童心社 広報担当:編集部 井上厚治
電話:03-5976-4402 メールアドレス:k_inoue@doshinsha.co.jp FAX:03-5978-1079

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会社概要

株式会社 童心社

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URL
https://www.doshinsha.co.jp/
業種
情報通信
本社所在地
東京都文京区千石4-6-6
電話番号
03-5976-4181
代表者名
後藤修平
上場
未上場
資本金
1600万円
設立
1957年03月