「こども選挙」が第17回キッズデザイン賞で最優秀賞・内閣総理大臣賞を受賞!
市民の力で、茅ヶ崎市から全国へ。本当の選挙と同時開催の模擬選挙プロジェクトに最高位の栄誉
受賞理由は、”2022年に成立した「こども基本法」には、「全てのこどもが意見を表明し社会活動に参加 する機会が確保されること」が明記された。子どもを社会的弱者と捉えるのではなく、 これからの社会をつくり、担う主役として位置づけることはとても重要である。(後略)”とされました。
「こども基本法」の成立にも後押しされたプロジェクト発足
2022年6月、こども家庭庁設置法とともに「こども基本法」が成立し、「こどもが意見を表明する機会」や「社会活動に参加する機会」を確保することが基本理念として示されました。そんな社会の動きに後押しされるようにスタートしたのが、神奈川県茅ヶ崎市で始まった「こども選挙」です。
「こども選挙」の目的は、子どもたちに対する主権者教育です。投票率が低迷する中、主権者意識の芽生えのきっかけとなるリアルな学びを提供し、子どもの社会参加の機会にしようと、有志の市民が「こども選挙実行委員会」を発足(湘南スタイルメンバー5人も参加)。2022年10月30日の茅ヶ崎市長選挙をターゲットに、2022年6月より活動を開始しました。
市内11カ所に投票所、566票が集まった「ちがさきこども選挙」
「子どもが聞いて、子どもが選んで、子どもが届ける。」を掲げた「こども選挙」は、小学生から17歳までの子どもたちを対象とした模擬選挙プロジェクトとして、2022年10月30日の茅ヶ崎市長選挙と同日に「ちがさきこども選挙」として初開催されました。
当日は、カフェやショッピングセンターなど市内11ヶ所に、茅ヶ崎市選挙管理委員会から借り受けた本物の記載台と投票箱を設置した投票所を開設。投票用紙と共に候補者へのメッセージ用紙も用意し、投票行為の後、任意でメッセージも記入できるようにしました。子どもたちは真剣な眼差しで投票し、悩みながらも選んだ理由や候補者への要望、街への想いなどをメッセージ用紙に託しました。
開票の結果、投票所とネット投票の合計は566票でした。メッセージも399通集まり、子どもたちの熱意が感じられる結果となりました。数日後には、インターネット上で開票結果を公表。参加した子どもたちからは「大人になったら絶対選挙に行く」「大人だけ投票してずるいと思っていたから嬉しい」といった声が届き、テレビや新聞等のメディアでも大きく報道されました。
運営も子どもたち自身の手で
「ちがさきこども選挙」の大きな特徴は、その運営も子どもたち自身が担ったことです。投票日の数ヶ月前より、公募によって集まった15名の「こども選挙委員」(小学3年生〜6年生)が民主主義や自分の街について学び、候補者への質問を考えました。
話し合いの末、厳選された3つの質問に対して候補者が回答した動画は、子どもたちの投票の参考になっただけではなく、「誰にでもわかりやすい選挙メディア」と話題になりました。
投票日当日は、投票所の運営も「こども選挙委員」の手に委ねられました。大人の見守りの中、受付、投票方法の説明、投票時の監視役も行い、投票時間終了後は厳格な方式を用いた開票作業も子どもたち自ら行いました。
また、子どもたちから集まった399通のメッセージは、こども選挙委員が候補者に届けました。子どもたちからの熱いメッセージに、候補者の中には涙ぐむ候補者も。投票結果だけではなく、子どもたちの声を市政に届けることが「こども選挙」の大きな役割であると考えています。
子どもたちに芽生えた主権者意識
「こども選挙」を運営した「こども選挙委員」からは、こんな声が届きました。
「茅ヶ崎は自分の住む街としか思っていなかったけど、子ども選挙のあとは自分の大切なものになって、より良くしたいと思うようになりました」
「選挙はただ投票するだけだと思っていたけど、こんなにいろいろなことを考えて投票するんだとわかりました」
また、夏休みの自由研究で、市議会議員へのインタビューをまとめた子どももいました。「子どもが聞き、子どもが選び、子どもが届ける」という4ヶ月間のプロセスのなかで、子どもたちの中に主権者意識が芽生え始めたことを実感しています。
茅ヶ崎から全国へ
「ちがさきこども選挙」には、全国から「自分の街でもやりたい」という声が届きました。そこで、「ちがさきこども選挙実行委員」のメンバーはノウハウやロゴ等のリソースをすべてオープンにし、相互扶助の関係性で全国展開を目指す自律分散型コミュニティ「全国こども選挙実行委員」を設立。お互いの活動を支え合うコミュニティとして機能し、2023年4月の統一地方選挙では、埼玉県さいたま市で「さいたまこども選挙」、鳥取県鳥取市で「とっとりこども選挙」、香川県高松市で「さぬきこども選挙」の開催が実現しました。2023年9月現在も全国から多数の問い合わせが届いており、今回のキッズデザイン賞受賞を機に、今後ますますの広がりが予想されます。
理解されにくい活動に社会的承認を
しかし「こども選挙」の活動は、実際には理解されにくいものでした。選挙や政治に対してタブー視する風潮や、子どもの能力を軽視するような声も届きました。そんな中、今回キッズデザイン賞・最優秀賞&内閣総理大臣賞の受賞理由として、
「子どもを社会的弱者と捉えるのではなく、 これからの社会をつくり、担う主役として位置づけることはとても重要である。 また、今後のキッズデザインのあり方を示すものであり、最優秀賞にふさわしい作品と評価した」
という言葉をいただけたことは、私たちにとって大きな励みであるとともに、今後このような活動が社会的承認を得るための第一歩になると感じています。「こども選挙」に最高位の栄誉を与えてくださったキッズデザイン賞審査員のみなさまには、心より感謝と敬意を贈りたいと思います。
第17回キッズデザイン賞受賞概要
【受賞番号】:230083
【受賞企業・団体名】:こども選挙実行委員会
【受賞作品名】:こども選挙
1.賞名 最優秀賞 内閣総理大臣賞
受賞部門:子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門
2.受賞理由
2022年に成立した「こども基本法」には、「全てのこどもが意見を表明し社会活動に参加 する機会が確保されること」が明記された。子どもを社会的弱者と捉えるのではなく、 これからの社会をつくり、担う主役として位置づけることはとても重要である。 また、今後のキッズデザインのあり方を示すものであり、最優秀賞にふさわしい作品と評価した。
キッズデザイン賞ホームページ
「こども選挙」に関する問い合わせ
公式ホームページ
主催:こども選挙実行委員
info@kodomo-senkyo.com
すべての画像