株式会社Penetrator、価値ある不動産を見つけだす「ポテンシャル不動産マップ」を開発。宇宙から見る地上の明るさのデータを活用
衛星夜間光データから導出した経済活発度指標で「次に来る土地」を探索
株式会社Penetrator(本社:東京都文京区、代表取締役:阿久津岳生、以下「Penetrator」)は、衛星データとAIを活用して不動産仕入れプロセスをDXするSaaS『WHERE』を提供するJAXA発スタートアップです。このたび、夜間に地表から放たれる光を人工衛星で観測した「衛星夜間光データ」から市町村ごとの経済活発度指標を導出し、その月次変化グラフや「ポテンシャル不動産」のマップを自動で作成する新たなシステムを開発したことをお知らせいたします。
なお、本取り組みは、福岡県半導体・デジタル産業振興会議の公募事業「衛星データ活用ソリューション開発支援事業」の一環として実施いたしました。

「ポテンシャル不動産」を直感的に見つけられるマップを開発
衛星夜間光データとは、建物の明かりや街灯など、夜間に地表から放たれる光を人工衛星で観測したものです。今回の衛星データ活用ソリューション開発支援事業では、以下の3つの機能を当社の『WHERE』上に実装し、検証を行いました。
取り組みの背景
従来、経済活動の活発度を測るためには、POSデータ(販売記録)、電力需要データ、携帯電話のGPSによる人流データ、人口統計などが活用されてきました。しかし、これらのデータは取得にコストがかかるうえ、インフラに強く依存しているため、災害発生時にはデータの収集や分析が困難になるという課題がありました。
一方、衛星夜間光データは、広範囲をカバーし、無料で入手できるうえ、地上の状況に左右されず継続的なモニタリングが可能です。主にマクロ分析向けとされてきたものの、経済活動との高い相関があることから、今後の活用が期待されています。実際、海外ではこのデータをもとにした経済指標の提供やコンサルティングを行う企業も登場しています。
こうした背景を踏まえ、当社は不動産探索AI『WHERE』を通じて、夜間光データをグラフやマップ形式で提供する仕組みの開発に着手。直感的かつ実用的に経済活発度を把握できるソリューションの構築を目指しました。
本実証では、まず国土交通省の土地鑑定委員会が毎年公表している「地価公示データ」と、市町村の経済力を示す「税収データ」、そして衛星夜間光データから導出したと経済活発度指標の相関関係を調査しました。その結果、地価公示データとの間には強い相関は見られなかったものの、税収と夜間光データとの間には、0.9以上という非常に強い相関関係が確認されました。
また、当社の既存顧客へのヒアリングによると、従来の土地選定業務では、不動産投資信託(REIT)や都市計画、J-STATなど複数の情報ソースを行き来しながら候補地の比較検討を行っており、その作業に多くの時間を要することが課題となっていました。さらに、こうした情報は同業他社も同様に利用しているため、情報の質や視点において差別化が難しいという問題もあります。また、人口統計などのデータは国勢調査に基づく年次更新が多く、月単位といったより細かな粒度での判断ができない点もネックとなっています。
これらの課題に対し、『WHERE』で経済活発度を可視化できるようになれば、候補地周辺に人が集まっているかをリアルタイムに近い形で把握できるようになります。また、日本全国との比較による地域の経済活発度の相対評価も可能となり、従来では見えにくかった土地のポテンシャルをより的確に捉えることができます。これにより、土地選定の意思決定における精度とスピードの両方を大きく向上させることが期待されます。
1.全国の衛星夜間光データをマップ上に表示
処理を行う前の形式の衛星夜間光データをマップ上で可視化しました。福岡県を例に挙げると、天神エリアや博多エリアは、ほかの地域よりも明るくなっていることがわかります。

2.ポテンシャル不動産エリアを可視化
調査の結果、衛星夜間光データと市区町村単位の税収との間に相関があることが分かりました。(詳しくは後述します)これは、夜間光が明るい地域ほど経済力、すなわち購買力が高いと推察できることを意味します。購買力は高い一方で、地価がそれほど高くない地域を見つけることができれば、商業施設の立地に適した「ポテンシャル不動産」を特定できるのではないかと考え、マッピングすることを目指しました。

3.全国分の夜間光データの取得と月次比較/都道府県単位での偏差値取得
市区町村ごとに夜間光の合計値を算出し、月ごとの推移を確認できるグラフを実装しました。さらに、その市区町村が属する都道府県内での標準偏差もグラフ化することで、季節要因の影響を排除した分析が可能となるグラフもあわせて実装しました。

被災地の復旧状況の可視化を目指して
本事業では、大規模災害やパンデミックによる経済状況の変化や復旧状況を可視化する取り組みも行いました。具体的には、2022年1月から2024年6月までの石川県における月ごとの衛星夜間光データを用いて、2024年1月に発生した能登半島地震による影響を分析しました。


その結果、輪島市・内灘町では、2024年1月に夜間光の明るさが大きく低下しており、震災の影響が可視化されました。ただし、分析時点では復旧状況を把握できるほどの夜間光データが十分に蓄積されておらず、衛星データによる復興度合いの可視化については、今後さらに検討が必要であるとの結論に至りました。
今後の展開
今後は、一部の既存顧客を対象に衛星夜間光データを活用した機能のPoC(概念実証)を実施しながら、ポテンシャルマップの精度向上に向けた技術開発も進めていく予定です。Penetratorは、これからも最新技術を活用し、不動産業界のDXを推進してまいります。
不動産探索AI『WHERE』
本サービスは、人工衛星が撮影した「衛星データ」を活用し、世界中どこでも駐車場や畑など指定した不動産を自動識別し、所在地を特定できます。これまで、現地を訪れなければ取得できなかった不動産情報を、瞬時にリモートで取得できるのが特長です。2023年6月にベータ版をリリースし、2024年9月には公式版を提供開始。すでに大手デベロッパーをはじめ、多くのお客様にご利用いただいています。
▽▽サービス紹介ページ▽▽
https://pntwhere.com/service-where
株式会社Penetrator
株式会社Penetratorは、宇宙から不動産の課題を解決することをビジョンに掲げているJAXA発のスタートアップ企業です。創業者の阿久津は、これまでに8社の不動産関連企業を創業し、一つ上の視座から不動産市場を変えたいという志で2022年2月にPenetratorを創業しました。2025年3月には、シリーズAラウンドで5.5億円の資金調達を実施しました。
会社名:株式会社Penetrator
本店所在地:東京都文京区向丘2-3-10
代表者:阿久津岳生(あくつたけお)
会社設立:2022年2月
事業内容:不動産探索AI『WHERE』の開発/販売、宇宙探査機の製造
企業サイト:https://pntwhere.com/
[本リリースに関する問い合わせ先]
広報部:pr@pntwhere.com
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