子育て世代133人が回答、長期休暇の体験機会に関する調査分析
~8割が自己肯定感の向上効果を感じるも、6割が金銭的理由で参加を断念した経験あり~

国際交流を起点に多様性あふれる社会の実現を目指す一般社団法人HelloWorld(ハローワールド、沖縄県沖縄市)は、国際交流や多文化理解等に関する調査・研究を推進するため、IntEx(*)研究所を設立しています。この度、連携先であるHelloWorld株式会社(本社:沖縄県沖縄市、Co-CEO野中光、冨田啓輔)が「子どもに対する、国際交流を含む体験機会の提供に関する調査」を実施し、未就学児~大学生の子どもをもつ保護者133名から回答を得ました。IntEx研究所が独自にその内容を分析しましたので、結果を公表します。
(*)「IntEx」(インテックス)とは、International Exchange / International Experienceの総称。リアル・オンラインを問わず、多文化理解等を目的に、人と人が国際交流をする活動を総体的に捉える概念をいいます。
調査分析結果 ポイント
★保護者の約8割が、校外での体験によって子どもの自己肯定感の高まりや自信がついた実感があると回答。
★最も体験させたいのは「異文化体験プログラム」である一方、旅行・自然体験・文化的体験なども、それぞれ5割超の保護者が「検討したことがある」結果に。
★76.7%の保護者が「体験機会の提供について悩んだことがある」と回答。具体的な悩み上位は「金銭的負担の大きさ」と「日程調整の難しさ」。
★約6割の保護者が、長期休暇中の体験活動について、実際に「金銭的理由で断念した経験がある」と回答。
一般社団法人HelloWorldの取り組みと調査分析背景について
一般社団法人HelloWorldは、異文化交流や多様性に触れる経験をより多くの子どもたちに届けることが分断のない持続可能な社会の実現につながると考えています。そのためIntExの提供を重点テーマとし、家庭の経済状況にかかわらず子どもたちがIntExを経験できるよう、公教育での活用推進や基金を通じた「まちなか留学」の無償提供などに取り組んでいます。一方、子どもたちの「体験格差」は社会的なテーマとなっており、IntExにとどまらず課題解決が求められています。こうしたことから、夏休みシーズンを前に、保護者の方々がどのような悩みを抱えているのか、またこれまでにどのような体験から子どもの変化を感じたのかを可視化することで、社会が一体となった課題解決に寄与すべく、本調査を実施したHelloWorld株式会社と連携し、結果の分析を行いました。
尚、HelloWorld株式会社からは、個人を識別できない形式に加工した統計データとしてアンケート結果を受領しております。
調査分析結果 詳細
1. 保護者の方々に、学校外での経験によって子どもの自己肯定感が高まったり、自信がついたと感じた経験があるか伺ったところ、78.9%の保護者が「ある」と回答しました。HelloWorld株式会社が提供している「まちなか留学」への参加を経たコメントも見受けられる一方、習い事やボランティア活動を通じた変化に言及するコメントも見られました。
図1:「長期休暇中に限らず、学校外での経験によってお子さんの自己肯定感が高まったり、自信がついたと感じた経験はありますか?」

<「ある」と回答した保護者の具体的なコメント>
・習い事が上手になり、自信がついてきた。(未就学児の保護者)
・小学校1年生の時に野外活動宿泊キャンプに1人で参加したが、普段できないことをして自信がついたようだった。(小学校1~3年生の保護者)
・自分を評価しない環境で自由な発言が許されたとき、自己肯定感が上がったような良い表情をしていた。(小学校4~6年生の保護者)
・留学体験や体験イベントに参加し、様々な国の文化に興味をもち理解しようという姿勢がもっと出てきたようだ。自分と人との違いをポジティブに受け入れることができ、相手の立場になって考え、より相手に優しく接するようになった。(小学校4~6年生の保護者)
・スポーツや習い事で褒められて、自分に自信がつくことが多い。(中学生の保護者)
・「まちなか留学」で英会話への恐怖心が解かれたように思う。また、キャンプに参加することで、人見知りを克服しつつある。(中学生の保護者)
・ボランティアなどに参加し、社会の役に立てることに加わって少し積極的になった。(高校生の保護者)
2. 子どもに対し用意する体験機会として、これまでに検討したことがあるものと、その中で最も体験させてあげたいものを伺いました。最も体験させてあげたいものは「留学やホームステイなどの国際交流、異文化体験プログラム」がトップで78.2%でしたが、検討したことがあるものは「旅行」が64.7%、「野外学習など自然体験プログラム」が59.4%、「芸術鑑賞などの文化的体験」が50.4%となり、多くの保護者が幅広い体験機会を検討していることが分かりました。それぞれの体験について、選んだ理由のコメントも一部ご紹介します。
図2:「お子さんに対して用意する体験機会として、これまでにどのようなものを検討しましたか。」(複数回答可)

図3:「お子さんに用意する体験機会の中で、最も体験させてあげたいと思ったものはなんですか。」

<「留学やホームステイなどの国際交流、異文化体験プログラム」を選んだ方のコメント>
・お互いの文化を尊重したり新たな世界を知るプロセスを、全身で体験できる機会だと思うから。(小学校4~6年生の保護者)
・多文化と触れて感受性を高めたり、多言語に触れて興味を持ってほしい。また、英語に苦手意識を持ってほしくないため。(小学校4~6年生の保護者)
・人それぞれ色々な違いがあるということ、自分の当たり前がみんなの当たり前でないことを知ってほしいから。(中学生の保護者)
<「野外学習など自然体験プログラム」を選んだ方のコメント>
・最も欠けている体験だと感じるため。(小学校1~3年生の保護者)
・生きていくうえで必要な自立心を育ててあげたいと思ったから。(小学校4~6年生の保護者)
・生きる力につながると考えているため。(中学生の保護者)
<「企業が主催する職業体験など、学習系プログラム」を選んだ方のコメント>
・キャリア形成を自身で考えるきっかけにしてほしいから。(小学校4~6年生の保護者)
・親世代には想像できないような様々な職業がある中、自分の将来につなげていける経験をしてほしかったから。(中学生の保護者)
・民間の施設は対象が中学生までのところが多く、高校生だけの体験があると進学や進路選択に役立ちそうだから。(高校生の保護者)
3. こうした体験機会の提供について悩んだ経験があるかを伺ったところ、悩んだ経験が「ある」と回答した保護者は76.7%に達しました。多くの家庭が何らかの負担を感じていることがわかります。また、悩んだ経験が「ある」と回答した保護者に具体的な悩みを伺ったところ、最も多くの方が挙げたのは「金銭的負担が大きく(費用が高額)、参加させるのが難しい」で79.8%でした。次いで「親が同伴する必要があったり、遠隔地で送迎の負担が大きかったりするため日程調整が難しい」が56.9%でした。体験格差のテーマで指摘される金銭的負担だけでなく、共働き家庭が増えている中で体験機会の提供と仕事の両立が難しい実情がうかがえます。
図4:「体験機会の提供について、悩んだことはありますか。」

図5:「悩んだことがあると回答した方に伺います。どのようなことで悩みましたか。」(3つまで選択可)

4. 併せて、長期休暇中の学校外での体験活動について、金銭的な負担の大きさを理由に参加を断念した経験が実際にあるかを伺ったところ、58.6%が「ある」と回答しました。先ほどの質問で「悩んだ経験がある」と回答した76.7%よりは低いものの、およそ6割の家庭が金銭的理由で長期休暇期間中の体験機会の確保を諦めていることが分かりました。また、「実際には参加したが、かなり悩んだ経験がある」と回答した方は7.5%にとどまっており、負担を感じてしまうと参加にこぎつけるハードルが高いことがうかがえます。保護者から寄せられた具体的なコメントもご紹介します。
図6:「長期休暇中の体験活動について、金銭的負担の大きさを理由に参加を断念した経験はありますか。」

<具体的なコメント>
・夏休みの2週間のサマースクールは、きょうだいが多く金額がかなり大きかった。送り迎えも大変だったため次年度からは断念した。(小学校1~3年生の保護者)
・1人10万円のキャンプ費用だが、2人分を出すのは難しく断念した。(小学校1~3年生の保護者)
・子どもだけの合宿について、家族旅行や帰省の金額も考えると負担が大きく、単発の方が参加しやすい。一方で、そういった形は開催がなかったり日程が合わず断念した。(小学校4~6年生の保護者)
・海外に行くには、移動の費用や時間の負担が大きく、その割に現地での内容が薄いと感じられて断念した。(中学生の保護者)
・3泊4日のネイチャーキャンプに10万円以上かかり、そのお金があれば他にもたくさん経験させられると感じてしまった。(中学生の保護者)
・教育委員会主催の海外留学募集があったが、費用が20~30万円かかるため断念した。(中学生の保護者)
・留学や野外学習は金銭的負担が大きく、安全面の不安もある中で決めきれなかった。(高校生の保護者)
<総括>
本調査は「まちなか留学」の登録ユーザーが対象であり、国際交流活動に関心を寄せている保護者が多いと考えられますが、一方で図2で示されたように様々な体験活動が検討され、それぞれの活動に対し多様性理解の姿勢や自立心の向上、キャリア観の醸成などを期待していることがうかがえます。また、習い事なども含めた体験活動から子どもの自己肯定感や自信など精神面へのプラスの影響を感じている保護者は8割に達し、今後も学校外での体験機会への関心は高まっていくことが予想されます。
他方、多くの保護者が金銭面や日程調整などの悩みを抱えており、特に長期休暇中の体験機会の提供を進めるにはこうした悩みをクリアできる幅広く柔軟な選択肢を用意することが重要だといえそうです。
一般社団法人HelloWorldは今後も、参加の負担をできる限り抑えながらも子どもの心身の成長に寄与しうる体験プログラムの社会実装を目指し、様々なパートナーと協働してまいります。
<調査概要>

調査期間 |
2025年7月5日~2025年7月14日 |
---|---|
調査機関 |
HelloWorld株式会社 |
調査結果分析機関 |
一般社団法人HelloWorld |
調査対象 |
「まちなか留学」の公式LINEに登録し、未就学児~大学生の子どもをもつ30歳~69歳の方 |
有効回答数 |
133名 |
調査方法 |
インターネット調査 |
<団体概要>
団体名 :一般社団法人HelloWorld
代表者 :野中 光・冨田 啓輔
所在地 :沖縄県沖縄市中央1-7-8
設立 :2023年10月
活動内容:まちなか留学基金の運営、企業/団体等とのコラボレーションによる子どもたちへの支援、国際交流や多文化理解等に関する調査・研究の実施(IntEx研究所)など
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