ケイデンス、Tensilica NeuroEdge 130 AI コプロセッサで物理 AI アプリケーションを高速化
新クラスのプロセッサが、性能効率の水準を引き上げ面積を30%、消費電力を20%削減

ケイデンス(本社 米国カリフォルニア州サンノゼ市)は、5月7日(米国時間)、Tensilica® NeuroEdge 130 AI Co-Processor (AICP) を発表しました。この新しいクラスのプロセッサは、あらゆるNPU(Neural Processing Unit)を補完し、先進的なオートモーティブやコンシューマ機器、産業用機器、モバイルSoC上で最新のエージェンティックAIおよびフィジカルAIネットワークをエンドツーエンドで実行できるように設計されています。大成功を収めたTensilica Vision DSP製品群の実績あるアーキテクチャをベースにしたNeuroEdge 130 AICPは、性能に影響を与えることなく、面積を30%以上、消費電力とエネルギーを20%以上削減します。また、同じソフトウェア、AIコンパイラ、ライブラリ、フレームワークを活用し、市場投入までの時間を短縮します。現在、複数の顧客とのエンゲージメントが進行中で、顧客の関心は高まっています。
Tensilica NeuroEdge 130 AICPは、自社製NPU、Cadence Neo™ NPU、サードパーティ製NPU IPとのシームレスな互換性を実現する拡張性の高い設計を採用しており、特定用途向けの先行製品よりも高いパフォーマンスと効率性でオフロードタスクを実行します。Tensilica DSPが持つ電力・性能・面積(PPA)の優位性を新たなレベルに引き上げたNeuroEdge 130 AICPは、AIネットワークおよびオペレータにおいて、Tensilica Vision DSPと同等の性能を維持しながら、面積を30%以上削減し、消費電力とエネルギーを20%以上削減します。その他の利点としては、以下のものが挙げられます。
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構成可能なオプションを備えたVLIWベースのSIMDアーキテクチャにより、高性能と低消費電力を実現
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制御プロセッサとしてNPUに命令とコマンドを発行
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最適化された命令セットにより、ReLU、sigmoid、tanh など、NPUにはあまり適さないタスクも処理可能
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AIサブシステムにプログラマビリティ、柔軟性、将来への対応を提供し、未知のAIワークロードと将来のAIワークロードをエンドツーエンドで実行可能
Tensilica NeuroEdge 130 AICPは、Cadence NeuroWeave™ Software Development Kit (SDK) によってサポートされています。これは、CadenceのすべてのAI IPで使用できる単一のSDKです。Tensor Virtual Machine(TVM)スタックを活用するNeuroWeave SDKは使いやすく、設計者はCadenceのAI IP向けにAIモデルをチューニング、最適化、展開することができます。Tensilica NeuroEdge 130 AICPには、軽量のスタンドアロンAIライブラリも搭載されており、お客様は新しいプロセッサ上でAIレイヤーを直接プログラミングし、一部のコンパイラフレームワークの潜在的なオーバーヘッドを回避できます。
Cambrian AI Research社コメント
Karl Freund氏(founder and principal analyst)
「自律走行車、ロボット工学、ドローン、産業オートメーション、ヘルスケアなどの物理的AIアプリケーションにおけるAI処理の急速な普及に伴い、NPUはより重要な役割を担うようになっています。今日、NPUは計算集約的なAI/MLワークロードの大部分を処理していますが、MACレイヤー以外の多くのレイヤーには、専用プロセッサにオフロードした方が良いプリ/ポスト処理が含まれています。しかし、現在のCPU、GPU、DSPソリューションにはトレードオフがあり、業界は、コプロセッシングに最適化され、急速に進化するAI処理のニーズに対応できる将来性を備えた、低消費電力で高性能なソリューションを必要としています。」
Edge AI and Vision Alliance社コメント
Jeff Bier氏(founder)
「AIとコンピュータービジョンは、ますます幅広い組み込みアプリケーションにおいて重要な役割を果たしています。しかし、AIモデルと関連する前処理・後処理は急速に進化しています。例えば、今日では多くの開発者がトランスフォーマーベースのマルチモーダルモデルやLLMベースのAIエージェントを採用しています。私たちは、エッジAIとビジョンを広く展開するための鍵となる、柔軟で効率的なプロセッサにおけるケイデンスの継続的なイノベーションを高く評価しています。」
ケイデンス・コメント Boyd Phelps(senior vice president and general manager of the Silicon Solutions Group )「ケイデンスは、Tensilica DSPを用いたAIコプロセッサのユースケースで実績を上げてきました。AIワークロードが変革し、ドメイン特化が薄れつつある中、弊社のAI SoCおよびシステムのお客様は、より優れたPPAと将来性を備えた、小型で効率的なAI特化型コプロセッサを求めています。私たちはこの度IPイノベーションの実績を継承し、専用に設計された新しいクラスのプロセッサを発表しました。NPUコンパニオンとして設計されたTensilica NeuroEdge 130 AICPは、最も困難なお客様の要件であるAIアプリケーションに対応するために、パフォーマンス効率の水準を引き上げます。」
お客様・パートナーからの推薦
indie社コメント Hervé Brelay氏(Vice President of SW Engineering)
「自動車市場をターゲットとしたSoCソリューションのリーダーとして、indie社はSoCアーキテクチャの革新に注力し、面積効率と電力効率に優れた高性能を実現します。これを実現するために、特定の演算機能に最適な処理要素をSoCに統合することで、コンピュータービジョン、レーダー、センサーフュージョンといったADASシステムの要求に確実に応えられるソリューションを提供しています。indie社は、複数の量産ADAS SoCにTensilica DSPを導入し、成功を収めています。進化するAI対応自動車アプリケーションに対応するため、CadenceのIPポートフォリオにNeuroEdge AICPと、それをサポートするツール、ソフトウェアライブラリ、エコシステムが加わることを大変嬉しく思います。」
MulticoreWare社コメント
Dr. John Stratton氏(CTO)
MulticoreWare社は、ケイデンスとの長年にわたるパートナーシップにより、自動車をはじめとするエッジ環境にAIワークロードを導入するOEMやTier 1パートナーをサポートできるようになりました。これらの協業を通じて、NPUが完全なスタンドアロンAI導入ソリューションとして不十分な点を目の当たりにしてきました。DSPテクノロジーにおけるケイデンスのリーダーシップを基に、新しいNeuroEdge AICPハードウェアとSDKは、このギャップを巧みに解消します。NeuroEdge AICPを基盤として構築されたAI SoCモジュールは、今日の主要モデルで最高のパフォーマンスを発揮するだけでなく、将来のAIイノベーションにも対応できる柔軟性も提供します。
Neuchips社コメント
Ken Lau氏(CEO)
Neuchips社は、大規模言語モデルやトランスフォーマーの膨大な処理需要に対応できるよう設計された最先端のSoCにより、データセンターやサーバーファームに革命をもたらしています。SoC AIサブシステムは、プリ/ポスト後処理段階のサポートが課題となることが多いため、NeuroEdge AICPがそのようなタスクに対応できるように設計されているのは大変喜ばしいことです。ケイデンスのTensilicaツールチェーンとソフトウェアインフラストラクチャにより、この新しいIPを複雑なSoC設計に容易に統合できます。
提供開始
Tensilica NeuroEdge 130 AICPは現在一般提供中で、自動車市場向けにISO 26262に準拠しています。詳細については、Cadence Tensilica NeuroEdge 130 AICPをご覧ください。
※本プレスリリースは、2025年5月8日に米国で発表されたプレスリリースを日本語に翻訳したものです。内容および解釈については、英語版が正式なものとされます。
ケイデンスについて
ケイデンスはAI分野とデジタルツインのマーケットリーダーであり、シリコンからシステムまでのエンジニアリング設計におけてイノベーションを加速させる演算ソフトウェアのアプリケーションのパイオニアです。ケイデンスのIntelligent System Design戦略に基づくケイデンスの設計ソリューションは、ハイパースケールコンピューティング、モバイル通信、自動車、航空宇宙、産業、ライフサイエンス、ロボティクスなど、幅広い市場に対応するチップから電気機械システムまで、世界をリードする半導体およびシステム企業が次世代製品を構築するために不可欠なものです。2024年、ケイデンスはWall Street Journal紙により、世界で最も優れた経営を行っている企業トップ100に選ばれました。ケイデンスのソリューションは無限の可能性を提供します。ケイデンスに関する詳細についてはcadence.comをご参照ください。
この件に関する問い合わせ先
フィールド・マーケティング部
TEL: 045-475-2311 FAX: 045-475-2218
E-mail: japan_pr@cadence.com
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