【医進の会が独自分析】約20%とされる医学部再受験の合格率 合格者に共通して見られた5つの要素を整理
データで読み解く“医学部再受験” ― 合格者に共通していた5つの戦略とは

医学部予備校「医進の会」は、近年増加している医学部再受験生の動向を踏まえ、過去の合格実績データおよび公開されている入試結果を基に、医学部再受験における合格者の傾向について独自の分析を行いました。
本分析では、再受験生全体の合格率がおおむね20%前後にとどまると推計される中で、実際に合格に至った再受験生に共通して見られた行動特性や学習戦略を整理し、「合格者に共通して見られた5つの要素」としてまとめています。
医学部再受験の合格率はおおむね20%前後と推計
本項では、公開入試データおよび医進の会が蓄積してきた受験生データを基に、医学部再受験生の合格率とその背景について整理します。
2018年に一部医科大学の入試に関して不適切な取り扱いが報道されて以降、文部科学省主導で入試プロセスの公正性確保が進み、合否データの公開や検証が以前よりも進んできました。
これにより、多浪生や社会人経験者を含む再受験生に対する評価状況についても、大学ごとの統計を通じてある程度傾向を把握できる環境が整いつつあります。
一方で、入試データが可視化されたからといって、医学部入試そのものが易しくなったわけではありません。
少子化が進行する中でも医学部志願者数は高水準を維持しており、国公立・私立を問わず実質倍率は依然として他学部と比べて高い状況が続いています。
医師という職業の安定性や社会貢献性に魅力を感じて再挑戦する再受験生の層も厚く、競争環境は依然として厳しいと言えます。
医進の会では、公開されているデータおよび自校の指導実績をもとに再受験生の合否状況を整理した結果、再受験生全体の医学部合格率は概ね20%前後で推移していると推計しています。
その一方で、合格に至った再受験生の多くは、データに基づいて出願校を検討し、自身の学力や特性と大学ごとの傾向との「相性」を考慮した出願戦略を取っているケースが目立ちます。
私立医学部の合格率データを詳細に見ると、大学ごとの傾向が浮かび上がります。2024年度の公開データをもとにした一例は以下のとおりです。

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大学名 |
現役合格率 |
1浪合格率 |
2浪合格率 |
3浪以上 合格率 |
分析 |
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岩手医科大学 |
23.9% |
32.3% |
14.6% |
29.2% |
現役よりも1浪・3浪以上の合格率が高く、多浪生にとって「狙い目」の大学と言えます。経験値や粘り強さが評価される傾向にあると推測されます。 |
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東京医科大学 |
48.8% |
30.9% |
13.0% |
7.3% |
現役生の合格率が圧倒的に高く、浪人年数を重ねるごとに合格率が急落します。多浪生にとっては厳しい戦場となります。 |
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東邦大学 |
56.9% |
25.2% |
7.3% |
7.3% |
現役志向が極めて強く、2浪以上での合格は全体の1割未満となり、極めて高い学力が要求されます。 |
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日本医科大学 |
58.7% |
30.2% |
7.9% |
3.2% |
最難関私大の一つであり、現役・1浪での合格が主流で3浪以上は3.2%と、門戸は非常に狭いです。 |
表1:私立大学医学部における現役・浪人別合格率の比較(2024年度)
このデータから導き出されることは「偏差値だけで志望校を選んではならない」ということです。
例えば、模試の偏差値が同程度であったとしても、多浪生が東京医科大学や東邦大学を第一志望に据えることは、統計的確率論から言えば極めてリスクが高いです。
逆に、岩手医科大学のような寛容な大学を戦略的に受験校に組み込むことで、合格の可能性を底上げすることが可能となります。
国公立大学も再受験生に対する寛容度は二極化しています。
特に地方国立大学においては、地域医療を担う人材確保の観点から、年齢よりも「地域への定着意欲」や「臨床医としての適性」を重視する傾向が見られます。

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大学名 |
特徴とデータ的根拠 |
再受験生への示唆 |
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島根大学 |
再受験生や多浪生に対して「かなり寛容」とされます。倍率は5.4倍~6.1倍と高いですが、これは再受験生が集まる傾向があるためです。 |
倍率の高さに怯まず、過去問対策を徹底すれば勝機があります。面接での志望動機(地域医療への貢献)が鍵となります。 |
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弘前大学 |
30代・40代の合格実績が複数確認されています。学士編入試験を実施していることもあり、多様な経歴を持つ学生を受け入れる土壌があります。 |
社会人経験をポジティブに評価する傾向。面接点の配点が高いケースもあるため、経歴のプレゼン能力が問われます。 |
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岐阜大学 |
寛容度ランキングで上位に位置し、東海圏の再受験生にとって重要な選択肢です。 |
堅実な学科試験対策に加え、面接対策が重要です。 |
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長崎大学 |
22歳以上の合格者が一定数存在します(受験者93名中、合格者25名、合格率26.9% ※R5年度データより算出)。 |
年齢による一律の足切りはないことがデータで証明されています。実力勝負が可能です。 |
医学部再受験の成功率が「およそ20%」であるというデータは、一見すると絶望的な数字に見えるかもしれないですがこの80%の不合格者層には、以下のような層が含まれています。
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記念受験層: 明確な対策を立てず、夢だけを追って受験する層。
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戦略欠如層: 自身の学力特性と大学の出題傾向のミスマッチを放置したまま特攻する層。
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メンタル崩壊層: 多浪のプレッシャーに押しつぶされ、試験本番で実力を発揮できない層。
逆に言えば、正しい戦略とメンタル管理、そして適切な環境を用意できた上位層に限れば、実質的な勝率は50%以上に高まると考えられます。
次で詳述する「5つの要素」は、この20%の側に入るための具体的な条件になります。
医進の会が考える「合格する再受験生の5つの共通点」
本分析を通じて、医学部再受験で合格を果たした受験生には、学力以外にも共通する思考・行動特性が存在することが明らかになりました。
自分を客観視する「メタ認知力」
医学部合格者に共通する最も重要な要素は「客観的自己評価能力」です。
再受験生が陥りやすい最大の罠は、学力不足そのものではなく、「自分の実力を正しく把握できていないこと」にあります。
多浪生や再受験生は、一度高校時代に学習した範囲であるため、教科書や参考書を読んだだけで「わかっているつもり」になり、基礎的な演習を疎かにする傾向があります。
しかし、医学部入試が求めているのは「なんとなく知っている」レベルではなく、制限時間内に正確にアウトプットできる「運用可能な知識」になります。
合格する再受験生は、プライドを捨てて「自分は何もわかっていない」というゼロベースの地点から学習を再構築できる能力を持っています。
彼らは、模試の判定や過去問の点数という冷酷なデータを直視し、「なぜ解けなかったのか」「どこで思考が止まったのか」を、感情を排して分析します。
相性の良い大学を選ぶ「マッチング力」
合格者は「行きたい大学」ではなく、「受かる大学」を選ぶ柔軟性を持っています。
再受験生が志望校を選定する際、単に「多浪に寛容か」だけでなく、自身の得意科目と大学の配点比率の相性を見極める必要があります。
英語強者・数理弱者の戦略: 英語の配点が高い私立大学や、面接・小論文の配点が高い大学(弘前大学など)をターゲットにします。
国公立単願の危険性: 経済的な理由で国公立しか受けないという再受験生は多いですが、これはリスクが高いです。「背水の陣」は精神的にプレッシャーを感じます。
成功する再受験生は、経済的負担を考慮しつつも、奨学金制度や地域枠活用を含めて私立大学も視野に入れ、合格の可能性を最大化します。
「都心の大学でなければ嫌だ」というこだわりは、再受験生にとって致命傷になり得ます。
データが示す通り、都心の私立医大(東京医大、東邦大など)は現役生との競争が激化しており、多浪生の合格率は低いです。
一方で、東北地方や中国・四国地方の大学(岩手医科大、島根大、川崎医科大など)は、広域から多様な人材を求めています。
公開されている入試結果および医進の会による独自分析からも、多浪生・再受験生に対する大学ごとの評価傾向には明確な差が見られます。
合格する再受験生は、プライドを捨てて「どこの医学部でも行く」という覚悟を決めています。
この覚悟が、選択肢を広げ、結果として合格を引き寄せます。
例えば、東北医科薬科大学のように修学資金制度が充実している大学を選ぶことで、経済的な問題をクリアしつつ、医学への道を拓くといった戦略的思考が可能になります。
プロを頼る「環境構築力」
「独学で合格」は極めて稀な例です。
データによれば、再受験の成功率を上げるためには、医学部専門予備校を利用し、理想的な学習環境下で勉強することが推奨されています。
予備校を利用するメリットは主に3点あります。
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時間と場所の制約からの解放: オンライン授業や自習室の活用により、移動時間を削減し、生活の全てを学習に捧げる環境が整います。
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情報の質の担保: ネット上の不確かな情報(噂レベルの寛容度情報など)に惑わされず、正確なデータに基づいた指導を受けられます。
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ペースメーカー機能: 講師が学習進捗を管理することで、「今日は何をすればいいか」という迷いの時間をゼロにします。
全範囲を完璧に網羅しようとすることは、再受験生にとって非効率です。
合格者は、出題頻度の高い分野と自身の苦手分野を優先順位をつけて学習に取り組みます。
満点を取る必要がないことを知っています。
合格最低点+αを取るために、難問や奇問には手を出さず、標準問題を確実に正解するトレーニングを積みます。
身の回りの整理整頓(整理・整頓)が合格者の特徴として挙げられています。
机の上が散らかっている受験生は、頭の中も整理されておらず、知識の引き出しがスムーズにいかないことが多いです。
また、プリントや教材の管理能力は、将来医師としてカルテや検査データを管理する能力に通じるものがあり、面接官が無意識に見抜いている可能性すらあります。
規則正しい生活、質の高い睡眠、そして整理された学習環境。これら一見地味な要素が、長期戦となる受験生活のメンタル安定に寄与します。
経歴を武器にする「面接力」
近年、医師の資質としてコミュニケーション能力や倫理観が重視されるようになり、面接試験のウェイトが高まっています。
再受験生が必ず問われるのが、高校卒業から現在までの経歴、いわゆる「空白期間」についてである。ここで「自分探しをしていた」「なんとなく過ごしていた」といった回答は致命的です。
合格者は、この期間を「医師になるために必要な準備期間」として再定義し、プレゼンテーションする能力を持っています。
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社会人経験: 「顧客との折衝経験から、相手の立場に立って考えることの重要性を学んだ。これはインフォームド・コンセントにおいて活きると確信している。」
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他学部での経験: 「工学部で学んだデータ解析の視点は、根拠に基づいた医療(EBM)の実践に役立つ。」
このように、過去の経験を医学への志望動機と有機的に結びつけることができれば、面接官に対し「回り道をしたからこそ、深みのある医師になれる」という印象を与えることができます。
再受験生の場合、一度別の道を選んでいるからこそ、「なぜ戻ってきたのか」という覚悟の強さが問われます。経済的な安定やステータスを求めての志望と見透かされれば、即座に不合格となります。
成功者は、自身の原体験(家族の病気、医療過誤のニュース、ボランティア経験など)に基づいた、具体的かつ情熱的なストーリーを持っています。
そして、そのストーリーを独りよがりにならず、客観的な言葉で伝える訓練を積んでいます。
面接では、話す内容だけでなく、立ち居振る舞い、身だしなみ、視線、声のトーンといった「非言語情報」が評価の大部分を占めます。
特に再受験生は、年齢相応の落ち着きと、素直に指導を受ける謙虚さのバランスが求められます。
「社会人経験があるから」と横柄な態度を取ったり、逆に「自分は年寄りだから」と卑屈になったりしてはいけないです。清潔感のある服装と、相手の目を見て話す誠実な態度が重要です。
これらはトレーニングによって改善可能なスキルであり、ここを疎かにしないことが合格への最後のワンピースとなります。
退路を断ちつつ柔軟な「メンタル力」
医学部再受験は、経済的な負担が大きいです(受験料、予備校費、入学後の学費)。
家族や支援者とオープンに話し合い、理解を得ておくことが不可欠です。
成功する再受験生は、事前に予算の上限や期間(「あと2年でダメなら諦める」など)を家族と合意しています。
この「退路の明確化」が、逆説的に「今しかない」という集中力を生み出します。
「医学部以外は考えられない」という視野は、精神的な余裕を奪います。
成功者の多くは、万が一医学部受験に失敗した場合の代替プラン(他学部への進学、就職、医療関連資格の取得など)を心の中で準備しています。
「ダメなら死ぬしかない」ではなく、「ダメでも人生は続くが、どうしても医師になりたいから全力を尽くす」というしなやかさが、本番での過度な緊張を防ぎ、実力を発揮させる要因となります。
かつて医学部入試では「女性は不利」という不文律がありましたが、公正化の進展によりその傾向は一変しました。
2023年度のデータによれば、国公立大学における合格率は男性31.5%に対し女性28.3%、公立大学では男性32.3%に対し女性30.0%と接近しています。
さらに特筆すべきは私立大学であり、男性8.7%に対し女性9.2%と、女性の合格率が男性を上回る逆転現象が起きています。
これは、女性の再受験生にとって大きな追い風になります。
「結婚・出産後のキャリア」を懸念して敬遠されていた時代は終わり、純粋に学力と適性で評価される時代が到来したと言えます。
特に私立大学においては、女性の緻密な学習スタイルやコミュニケーション能力の高さが、面接や小論文を含めた総合評価で有利に働いている可能性があります。
医進の会による最新データに基づいた指導
予備校が持つ過去のデータや、最新の志願者動向を分析することで、その年の「穴場」が見えてくることがあります。
例えば、前年度に倍率が急騰した大学は翌年敬遠されて倍率が下がるといった「隔年現象」や、入試科目の変更に伴う志願者の流動などです。
医進の会では、最新の入試データをリアルタイムで入手し、出願戦略に反映できる点にあります。
情報戦を制する者が、医学部入試を制します。
実際こちらでは他の予備校で何年も不合格になっていた40代の女性の再受験生が国際医療福祉大学に、同じく40代の男性の再受験生が東北医科薬科大学に合格したことがあり、年齢で医学部再受験を諦める前に相談してください。
これまでの経歴と学力に最適な受験校を紹介したり、再受験生用にカウンセリングも行ったりしています。
医進の会は単に授業をするだけではなく、人生の戦略を共に練る再受験生のパートナーでもあります。
調査概要
調査名:医学部再受験生における合格者共通要素の独自分析
調査主体:医学部予備校 医進の会
調査方法:公開されている医学部入試結果データの分析、および医進の会に在籍・合格した再受験生の指導実績データを基にした傾向分析
調査期間:2020年度〜2025年度入試データ
対象:医学部再受験生(社会人・多浪生を含む)
※本内容は医進の会が独自に集計・分析した結果です。
公式サイト:https://ishin-kai.info/
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