製造AIを、PoCから現場の実行へ。GhostDrift、フィジカルAIの実行・結果を検証するAIアシュアランス技術5件を国際出願

AIの「大丈夫」だけでは、機械を動かさない。二つの保証課題をLean 4で形式化。10月14日、広島で製造業のAI担当者に向けて基本的な考え方を紹介

株式会社GhostDrift数理研究所

製造AIを、PoCから現場の実行へ。

AIの検証は通った。では、その判断でロボットや設備を動かし、次の工程へ進めてよいのか。

画像検査AIが「この部品は次工程へ送ってよい」と判断したとします。PoCでAIの精度を確認できていても、その判断をそのまま本番設備の実行につなげてよいとは限りません。

判断した後に人や物の位置が変わっていないか。許可した動作が実際に行われたか。予定した結果が得られ、その結果を次工程が前提にしてよいか。

製造現場では、AIの性能だけでなく、こうした「判断から実行、結果確認まで」をどう確かめるかが課題になります。

株式会社GhostDrift数理研究所(代表取締役:前木秀光)は、このAIの判断を現実の動作へつなぐ際の保証課題に取り組むため、フィジカルAIの実行制御・結果検証に関する5件のPCT国際出願を行いました。

あわせて、「各工程で確認したことを、つないだ全体でもどこまで保てるか」「モデル上で確認したことを、今回の実行結果についてどこまで言えるか」という二つの課題について、どのような場合に保証をつなげたり結果を認定したりできないのか、また、どの条件なら可能なのかをLean 4で形式化し、GitHubで公開します。

フィジカルAIは研究室から製造現場へ

AIとロボティクスの統合は、すでに製造・物流の現場で進み始めています。

国際ロボット連盟(IFR)は2026年1月、ロボティクスの主要トレンドとして、AIと自律化、IT・OT融合、安全とセキュリティなどを挙げ、AIによる自律化に伴って、ロボットのテスト・検証・人間による監督がより複雑かつ重要になると指摘しています。[1]

BMW Groupは2026年2月、米国スパータンバーグ工場で、ヒューマノイドロボット「Figure 02」が10か月間で3万台超のBMW X3の生産を支援したと公表しました。担当したのは板金部品の取り出し・位置決めで、同社は導入初期から生産IT、労働安全、生産プロセス管理、工場内物流を関与させる重要性も示しています。[2]

さらにIFRは2026年2月、物流・倉庫をAIとロボティクスの統合が先行する領域に挙げ、製造・産業自動化についても、自動車、電子機器、精密組立などを重要な領域としています。[3]

AIが現実の設備を動かすようになるほど、「AIが何を判断したか」だけでなく、「その判断をどの条件で実行し、結果をどう確認するか」が重要になります。当社は、この部分をフィジカルAIにおけるAIアシュアランスの重要な対象と捉えています。

■ 製造AIの本番実装で、分けて考えるべき二つの保証

例えば、ロボットが部品を運び、別の設備が加工し、さらに別の装置が検査する工程を考えます。

課題1:工程をつないだ全体の保証。 
運搬、加工、検査が、それぞれの前提条件の下で正しく動くことを確認していても、前工程が保証した内容が次工程の必要条件を満たしているとは限りません。

課題2:モデルから実行結果への保証。 
計画やモデルの中で期待する性質が成立していても、その保証を今回の実行結果に適用できるかは、別に確かめる必要があります。

関連する問題は外部の研究でも扱われています。形式検証研究「ModelPlex」は、検証済みモデルの保証を実システムへ適用するための実行時適合確認を扱っています[4]。また、自律ロボット群に関するプレプリント研究では、個々の機体が規則に適合していても、組み合わせによって全体方針への違反が生じる例がシミュレーションで報告されています[5]。


当社はこの二つの課題について、何が不足すると保証できず、どの条件が成立すれば保証をつなげられるかを、公開可能な抽象数理モデルとして整理しました。

■ 2本のLeanで、保証の限界と成立条件を第三者が確かめられる形に

製造AIを現場へつなぐ、二つの保証課題。

Lean 4は、明示した定義や前提のもとで、結論が論理的に導かれるかをコンピューターで確認する証明支援システムです[6]。

今回公開する2本では、フィジカルAIそのものの安全性を証明するのではなく、「工程をまたいで保証をどこまでつなげられるか」「得られた情報から実行結果をどこまで認定できるか」を抽象モデルで形式化しています。定義・定理・証明はGitHubで公開し、第三者が再検証できる形にしています。

Physical AI Verified Composition(課題1に対応) 

前工程から次工程へ渡す情報の中で、次の判断に必要な違いが失われると、その後で同じ情報を処理しても、失われた違いは取り戻せません。一方、各工程の保証に加えて、前工程の結果を次工程の前提へつなぐ条件が成立すれば、抽象モデル上、任意の有限長の工程について保証をつなげられることを形式化しています。

製造現場でいえば、「装置ごとに確認した」だけでなく、「その確認結果を次の装置でも根拠として使えるか」を問うものです。

公開先:https://github.com/GhostDriftTheory/physical-ai-verified-composition

Physical AI Outcome Assurance(課題2に対応) 

AIや制御システムがモデル上で妥当とされた命令を出しても、ロボットや設備が実際にその通り動き、目的の結果になったとは限りません。例えば「部品を所定の位置へ運べ」という命令が正常に送られ、設備から「完了」という応答が返ってきても、部品が本当に所定の位置にあるかは別の問題です。

今回の形式化では、得られた情報だけでは「成功した場合」と「成功していない場合」を区別できないなら、その情報だけで成功と断定することはできないことを示しています。あわせて、どのような情報があれば結果を判定できるのか、モデル上で確認したことを対象となる実行に結び付けられる十分な条件を形式化しています。

製造現場でいえば、「命令した」「完了通知が来た」ではなく、「実際に目的の状態になったと判断できるか」を問うものです。

公開先:https://github.com/GhostDriftTheory/physical-ai-outcome-assurance

両形式化は、5件の国際出願そのものを証明するものではありません。出願技術に共通する問題構造を、公開可能な抽象モデルとして切り出したものです。

■5件の国際出願――「確認したつもり」を、設備を動かす根拠にしない

5件の出願では、上記の抽象モデルとも共通する課題について、観測・実行制御・実測結果の確認・完了判定など、フィジカルAIへの具体的な適用を想定した技術を扱っています。以下、「5つの確認」として整理します。

Physical AIを動かすための、5つの確認。

1.その動作に必要な場所を、確認できているか

予定する動作に応じた観測条件と、実際に確認できている範囲を検証し、見えていない場所を「問題がない」と扱ったまま実行しない技術。

2.カメラに写った情報が、AIの判断から抜け落ちていないか

必要な領域が判断に寄与しているかを検証し、確認できない場合は保留し、欠落が確認された場合には結果の採用を禁止する技術。

3.判断したときの条件が、実行する今も成立しているか

実行直前の条件と実行内容を確認し、「さっきは動かしてよかった」という理由だけで現在の実行を許可しない技術。

4.許可した動作が、実測で確認できているか

機械への命令出力を制御するとともに、実測情報から物理的な結果を検証し、命令の記録だけでなく実際の結果を後続判断の根拠にする技術。

5.途中までしか終わっていない仕事を、完了扱いにしていないか

「成功して終わった」「安全に中止できた」「まだ結果が分からない」を区別し、未確認の仕事を完了済みとして次工程へ渡さない技術。

5件に共通するのは、検証結果を記録するだけでなく、実行・継続・完了扱いの可否に反映することです。確認できないまま処理を進めず、確認できた条件の下でAIやロボットに仕事を任せるための技術群です。

■ 応用領域——工場の自動化から、高い信頼性が求められるフィジカルAIへ 

本技術群の応用先は物流に限りません。半導体・電子機器・精密機械・自動車・医療機器などの製造工程に加え、医療機器そのものの作動や、電力設備、移動ロボットなど、AIの判断が物理的な作用につながる領域も研究開発の対象として視野に入れています。出願には、製造設備、医療機器、電力設備などへの適用を想定した記載があります。

なお、これらは応用を想定する領域を示したものであり、個別の医療機器等における実証完了や、安全性評価・承認・認証の取得を示すものではありません。

■ 国際出願の概要

出願の主な対象

国際出願番号

動作に必要な観測条件の導出・検証

PCT/JP2026/033033

必要な画像領域が判断に反映されたかの検証と、結果の採否制御

PCT/JP2026/032877

判断時と実行時の条件の整合性検証

PCT/JP2026/033034

機械への命令出力と、実測に基づく物理的結果の検証

PCT/JP2026/033035

実行結果・必要な終了条件の確認と、後続処理の制御

PCT/JP2026/032147

※各行は、出願内容を本発表のために平易に表現しています。

※PCT国際出願は特許権の取得を意味するものではありません。また本技術群に関連する出願の優先日は最古で2025年10月に遡り、先行する国内出願を基礎に優先権を主張しています。研究開発の経緯は2026年7月公開のZenn記事でも紹介しています。

※本発表は、あらゆる事故の防止や、すべての対象機器における実機検証の完了を示すものではありません。適用には、対象機器や利用環境に応じた条件設定・検証が必要です。

■ AIアシュアランス領域で進めてきたこと 

GhostDrift数理研究所は、AIアシュアランスを研究だけで終わらせず、技術開発、形式検証、知財化、現場実証、国際発信、知識普及まで一体で進めています。

  • AI判断を後から確かめる技術:「責任OS」「ADIC」を開発し、AIが何を根拠に判断したのかを第三者が検証できる仕組みをLean 4で形式化・公開。

  • 確認できなければ実行させない技術:必要な条件や証拠がそろわなければ重要な処理を進めない仕組みを、サイバーセキュリティなどへ展開。

  • 知財化と国際発信:AIの判断、評価、実行、プライバシー、フィジカルAIなどの技術を継続的に特許化し、PCT国際出願を推進。研究成果や解説動画も英語で発信し、海外への展開を見据えています。

  • 現場でのPoC:オンザリンクスと医薬品2~8℃コールドチェーンで、条件を満たした場合だけ次の処理へ進めるAIアシュアランス基盤を実装・検証。

  • AIの評価そのものも検証:「評価OS」を公開し、評価基準を変えても結論が維持されるかを確かめる仕組みを研究。

  • 広島AIプロセスを実装へ:原則を、現場で確認できる条件・証拠・検証項目へつなぐ「Hiroshima AI Process Assurance Mappings」を公開。

  • 社会実装と普及:広島AIアシュアランス協議会の発起、カンファレンス、電子書籍、日英の動画シリーズなどを通じ、AIアシュアランスの実装と知識普及を推進。

■ 代表コメント――AIアシュアランスを、日本の産業競争力へ 

日本企業には、品質、安全性、現場改善など、長い時間をかけて積み上げてきた強みがあります。AIやロボットが実際の仕事を担う時代には、その強みを「この条件なら実行できる」「この結果なら次工程へ進める」と検証可能な形にすること自体が、新しい競争力になると考えています。

AIアシュアランスは、事故を防ぐためだけの技術ではありません。PoCで終わっていたAIを本番の設備や製品へつなぎ、日本企業が持つ品質や信頼性を、取引先や海外企業にも確認できる形に変える。知名度や企業規模だけではなく、「信頼できることを示せるから選ばれる」という競争をつくれる可能性があります。

私たちは、AIの判断・実行を検証可能にするAIアシュアランスのパイオニアとして、形式検証、国際特許、PoC、広島AIプロセスとの接続、日英での発信を進めてきました。今回公表する一連の国際出願では、AIの「判断」から、機械の「実行」と「結果」までを対象としています。日本のものづくりが積み上げてきた信頼を、AI時代に世界で選ばれる力へ変えていきたいと考えています。
ー株式会社GhostDrift数理研究所 代表取締役 前木秀光

■ 10月14日、広島――広島AIプロセスの理念を、製造AIの実装へ

AI物流を入口に、Physical AIの社会実装へ。

株式会社オンザリンクス主催「製造業AI物流カンファレンス2026 in 広島」に、当社・広島AIアシュアランス協議会発起人として登壇します。

広島AIプロセスが目指すのは、安全・安心で信頼できるAIです。当社は、その理念を製造・物流の現場で、「何を確認できればAIの判断を実行してよいのか」まで落とし込むことが、これからの社会実装で重要になると考えています。

工場内物流は、AIの判断によってモノが動き、設備が動き、次工程が始まるため、Physical AIの社会実装を具体的に考えられる代表的な領域です。

そのため本カンファレンスは、物流部門だけでなく、製造業のAI担当者が、広島AIプロセスの理念を現実のPhysical AIへどうつなぐかを考える場でもあると捉えています。

当社の登壇セッションでは、製造・物流の具体例を通じて、モデルの精度以外に何を確認し、生産技術・品質保証・安全管理などの部門と何を共有すべきかを、今回の公開研究と出願技術を交えて紹介します。

画像検査を設備動作につなぎたい方、複数のロボット・設備を連携させたい方、AI搭載製品を開発する方にとって、自社の実装課題へ置き換えて考える機会を目指します。

広島AIプロセスの理念を、現場で「確かめられる条件」へ。

AIが「できる」と示した後、何を確認できれば現実の仕事を任せられるのか。

その次の一歩を、広島で考えます。

開催概要

名称:製造業AI物流カンファレンス2026 in 広島
日時:2026年10月14日(水)10:00~17:30
会場:広島国際会議場・オンライン同時開催
主催:株式会社オンザリンクス
参加費:無料・事前登録制
当社登壇:15:25~16:05 セッションF「AIが製造業の競争ルールを変える」
※プログラムは変更となる場合があります。

参加登録・詳細:

製造業AI物流カンファレンス2026 in 広島 公式サイト

■ 一次資料・検証範囲・留意事項 

一次資料・関連研究 

[1]International Federation of Robotics, Top 5 Global Robotics Trends 2026, 2026.
[2]BMW Group, “BMW Group to deploy humanoid robots in production in Germany for the first time,” 27 Feb. 2026(同リリース内 “Successful pilot at BMW Group Plant Spartanburg provides key insights for use of humanoid robots in production” を参照).
[3]International Federation of Robotics, AI in Robotics — New Position Paper, 2026.
[4]Stefan Mitsch, André Platzer, “ModelPlex: verified runtime validation of verified cyber-physical system models,” Formal Methods in System Design, 49, 33–74, 2016.
[5]Nikolaos Kekatos et al., “Mission-Level Runtime Assurance for LLM-Assisted ISR Swarms over a Verification-Aware Fabric,” arXiv:2607.23532, 2026.
[6]Lean Language Reference, “Validating a Lean Proof.”
https://lean-lang.org/doc/reference/latest/ValidatingProofs/

検証範囲・留意事項 

当社では、Lean 4を用いた研究について、定義・前提・評価基準・対象範囲を示し、そのもとで導かれる結論を第三者が再検証できる形で公開しています。形式証明の成立と、前提となる外部情報の正確性、評価基準の妥当性、数学モデルと現実の対応関係は区別して扱います。

本発表の2件の形式化は、抽象モデルにおける保証の限界と成立条件を対象とするものであり、個別の実機・製品の安全性・性能や、5件の出願技術全体を証明するものではありません。また、工程の合成は有限長を対象としており、形式化で示した条件が、現実のシステムにおける唯一の条件であることを示すものではありません。
外部資料の引用は背景・関連研究を示すものであり、各発行主体・著者による当社技術の評価・推奨を示すものではありません。

■関連リンク 

・GhostDrift数理研究所 プレスリリース一覧
https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/182721 

・自律型AIの判断を後から確かめる「責任OS」基礎理論
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000182721.html 

・医薬品コールドチェーンのAIアシュアランスPoC
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000182721.html 

・AIの評価そのものを検証する「評価OS」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000182721.html 

・AIアシュアランス/AIガバナンス動画シリーズ(日英)
https://www.ghostdriftresearch.com/videos

■会社概要

■ 株式会社GhostDrift数理研究所について

株式会社GhostDrift数理研究所は、AIの判断や処理を、根拠に基づいて検証できるようにする数理基盤「責任OS」をはじめ、物流、サイバーセキュリティ、プライバシー、フィジカルAI等におけるアシュアランス技術の研究開発を行っています。

AIの出力をそのまま信頼するのではなく、「どの条件なら、その判断や実行を採用できるのか」を機械検証可能にすることを通じて、AIの社会実装を支えることを目指しています。

会社名:株式会社GhostDrift数理研究所
代表者:代表取締役 前木秀光
所在地:東京都新宿区

■ 本件に関するお問い合わせ

株式会社GhostDrift数理研究所
広報担当:前木(まえき)
取材・技術連携に関するお問い合わせは、当社公式サイトのお問い合わせフォームよりお願いいたします。

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


会社概要

株式会社GhostDrift数理研究所

3フォロワー

RSS
URL
https://www.ghostdriftresearch.com/
業種
情報通信
本社所在地
東京都新宿区北新宿4-4-4 110号室
電話番号
-
代表者名
前木秀光
上場
未上場
資本金
100万円
設立
2026年02月