「つながり」が「がんサバイバーのQoL向上」に貢献する可能性を示唆。女性特有がん罹患者100人が参加したSNS×AI×デジタルデバイスによるヘルスアップチャレンジプロジェクトの成果公開!
SNSコミュニティ『PeerRingピアリング』会員100人のコロナ禍での日常を検証。一般平均を大幅に上回る運動量とプロジェクト継続率97%に、SNSでのつながりが影響していることが示唆された。
がん罹患に伴う様々な悩みを抱える女性達のQoL向上を目的とした本プロジェクトの成果を公表いたします。
【成果概要】
- 参加者の平均歩数は9,391歩/日となり、一般女性の平均(※1)よりもアクティブであった。また中程度以上の運動時間は平均236分/週で、がんサバイバーのための運動ガイドライン(※2)で推奨されている150分/週を上回っていた。
- SNS上の交流データと身体活動データの解析結果から、測定・運動の継続には、SNS上の参加者同士の励まし合いが影響していることが示唆された。
- 3か月間の検証期間における継続率は97%、プロジェクト終了時のアンケート結果(回収率:83%)では、回答者の95%から「本プロジェクトに満足した」との総合評価を得た。終了時の感想として、「運動のモチベーション維持に役立った」といった回答が複数寄せられた。プロジェクト開始前のアンケートでは43%が「定期的な運動習慣なし」と回答した参加者にとって、本プロジェクトが運動習慣獲得のきっかけとなった可能性がある。
【プロジェクト概要】
調査対象者
女性特有がんを経験したPeer Ring会員100名(参加者中、64%が治療中・36%が経過観察中)
取得データ
- Fitbit Inspire HR™ による身体活動(運動量、心拍数等)データ、睡眠状況(睡眠時間、睡眠ステージ等)データ
- 毎日のアンケートによる、日常生活データ(体重、日々の体調、主観的睡眠評価、主観的食事評価等)
- SNSサイトPeer Ringでの投稿データ
調査項目
- 身体活動データ、睡眠データ、日常生活データの分布
- 1.とSNS投稿との関連性
- 参加者の継続率・満足度
調査実施期間
2020年8月10日(月)~2020年11月9日(月)
調査主体
株式会社リサ・サーナ、株式会社ヒューマノーム研究所、株式会社ニューロスペース
【プロジェクトの背景】
- 最新の統計情報によると、特に20〜50代の働き盛りにかけて、乳がん・子宮頸がん・体がんなどの女性特有のがん罹患率が高く、この世代の男性のがん罹患者数を上回っています。(※3)女性がん患者は、妊娠・出産・ホルモンバランスへのがん治療の影響、副作用による容姿の変化や体調不良、またそれらに対する不安など様々な悩みを抱えがちです。リサ・サーナは、女性がんサバイバーを対象としたSNS「Peer Ring」を運営し、治療に伴う様々な悩みを抱える女性が仲間とつながり、励ましあえるピア・コミュニケーションの場を提供しています。
- 適度な運動が、治療の副作用である倦怠感や抑うつ状態を軽減し、患者のQoL(Quality of Life:生活の質)を向上させる研究結果は広く知られ、2019年には専門医による「がんサバイバー(がんと診断された経験がある方)に関する運動指針(※2)」が発表されました。また、日本乳がん学会による「患者さんのための乳癌診療ガイドライン(2019版)」(※4)では、適度な運動で乳癌の再発・死亡リスクが低下することがほぼ確実との見解が示されています。運動の効果に関する研究成果は増加傾向にありますが、日本国内の女性がんサバイバーの身体活動状態を調査した研究は少なく、知見が不足しています。
【プロジェクトの詳細】
- 本共同研究は、健康・行動データの計測やAIを活用した解析を得意とするヒューマノーム研究所、睡眠課題解決の多数の実績と専門知見を有するニューロスペースとの協働により、女性がんサバイバーの身体活動・睡眠等の実態、およびSNS「Peer Ring」上での交流と身体活動継続との関連性を調査しました。
- がん罹患経験者であるPeer Ring会員100名がデジタル活動量計「Fitbit Inspire HR™」を3ヶ月間装着し、バイタルデータを取得。加えて毎日のアンケートで身体活動・睡眠・日常生活に関するデータを取得。これらにより、プロジェクト期間中の参加者の身体活動・睡眠・日常生活データの分布を解析。並行して、期間中の参加者のSNS『Peer Ringピアリング』上での交流データとの相関性を調べました。
- 参加者の属性は、以下の通りでした。(プロジェクト開始当初のもの) 癌種:乳がん 68%、卵巣がん 14%、子宮体・頸がん 13%、その他 5% 治療状況:経過観察中 36%、ホルモン療法中 37%、抗がん剤等で治療中 27% 年齢:40代 50%、50代 34%、30代 11%、60代 5% 運動習慣:なし 43%、1か月に数回 21%、1週間に2~3日 21%、1週間に4日以上 15%
- 計測期間終了後、取得データサマリー・運動・食事・睡眠の専門家からのコメントを掲載した個別フィードバックを作成し、参加者向けに送付しました。また、プロジェクト終了後、個別フィードバックを含むプロジェクト全体への満足度を、アンケートにて確認しました。
【調査結果の詳細】
■SNS交流との関係性
※横軸は期間中のSNS投稿数(記事の投稿数、コメント数、「いいね」を受け取った 回数の合計値)、縦軸は1日あたりの歩数を示しています。
Peer Ring のSNS上での交流は活発で、月間投稿数は2万件を超えています。本プロジェクトに関するスレッド内でも活発な情報交換や励まし合いがあり、互いに誘い合って遠隔で競い合うレースも自然発生しました。また、参加者のSNS活動(記事の投稿、コメント、「いいね」のアクションの総数)と運動量の関連性を検討したところ、SNS活動回数の多い人は運動量も多い傾向が見られました。これらの状況から、SNS上での励まし合い、誘い合い等の交流が歩数の増加に影響していた可能があると考えられます。
■プロジェクト終了後アンケート結果
プロジェクト終了後のアンケート調査では、参加を継続した97人中、83%(81人)から回答が得られました。総合評価では、回答者のうち合計77人(95%)が、「とても満足した」「まあまあ満足した」と回答し、NPSは+25.9でした。
「あまり満足できなかった」方の声としては、記述式回答の中で、家事や仕事と運動との両立の難しさや、日々記録を継続することの難しさが挙げられており、運動プログラムとしてはこれらを解決したものが求められていることが推測されました。
一方で、「自分の食事パターンや睡眠パターンを見直すきっかけになりました。」「この企画に参加したお陰で、片道1時間程度の距離は歩いて出かけるようになりました。以前の自分では考えられません。」など、本プロジェクトが運動習慣獲得のきっかけとなった、との感想も多く寄せられました。他に、治療のため休んでいた仕事に復帰するタイミングで、体力回復に役立ったなど、サバイバーならではの運動へのニーズがあることも分かってきました。SNSコミュニティでのつながりや励まし合いが、運動習慣獲得とQoLの向上に貢献する可能性が高いという結果を踏まえ、がんサバイバーのヘルスアップに継続的に寄与す新たなサービス開発を目指します。
【出典元】
※1 令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf
※2 保健指導リソースガイド 「がんサバイバーのための運動ガイドライン」を発表
http://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2019/008686.php
※3 最新がん統計(国立がん研究センター がん登録・統計)
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
※4 日本乳癌学会 患者さんのための乳がんガイドライン2019年版
http://jbcs.gr.jp/guidline/p2019/
注:Fitbit、及びFitbitのロゴは、フィットビット・インクの米国及びその他の国々における商標、サービスマーク、かつ、または、登録商標です。その他のFitbitの商標は www.fitbit.com/legal/trademark-list をご参照ください。本リリースで言及されている他のすべての商標、サービスマーク、製品名称は、その各々の所有者の所有物です。
【女性特有がん コミュニティ型SNS『PeerRingピアリング』概要】
◆WEBサイト公式オープン:2017年7月1日 https://peer-ring.com
◆アプリ名:Peer Ring ピアリング
◆価格:無料
◆対応OS: iOS 9.0以降 iPhone、iPad、iPod touch Android 4.1以降
◆ダウンロード:App Store、Google Play にて「ピアリング」と検索
◆会員数:9,790人(2021年2月16日現在)
【株式会社リサ・サーナ 会社概要】
がんに向き合う仲間どうし、温かに支えあえるSNS『Peer Ringピアリング』を運営。がん治療による生活課題を抱えるユーザーと、課題解決の技術・サービス・商品を持つ企業・団体をつなぐプラットフォームを提供しています。また2021年1月より、がん治療に役立つ食事の工夫を提供するレシピサイト「カマエイド」の運営も開始。がんと向き合う方のQoL向上に多方面から貢献して参ります。
会社名: 株式会社リサ・サーナ
所在地: 横浜市都筑区中川1丁目4番1号ハウスクエア横浜情報館316号
代表者: 代表取締役 上田暢子
URL:https://risa-sana.co/
事業内容: がんサバイバーのQoL向上に関わる研究調査・調査支援、マーケティングリサーチ、商品・サービス開発・PR支援、ケア製品等の販売
【株式会社ヒューマノーム研究所 会社概要】
「人間とは何かー」 最先端人工知能(AI)技術の開発・活用と、健康のあり方を変えるデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進することにより、人間とそれを取り巻く環境を理解し、個々が自分らしく楽しく暮らせる健康社会を実現する研究所です。
会社名: ヒューマノーム研究所
所在地: 東京都中央区築地2-4-10 SAテンハウス2階
代表者: 代表取締役社長 瀬々 潤
URL:https://humanome.jp/
事業内容: ヒトやヒトの理解に向けたAI・データ解析技術の研究開発、生体・環境計測によるDX推進に関するAI技術支援・共同開発、AI開発普及に向けたノーコード環境開発 等
【株式会社ニューロスペース 会社概要】
企業向け睡眠改善プログラムを国内大手企業に提供し、企業の健康経営と生産性最大化を支援。また、最先端睡眠テクノロジーを活用し、独自の睡眠計測デバイスと解析アルゴリズムをもとに、共同研究開発も行う睡眠テクノロジーベンチャーです。
会社名: 株式会社ニューロスペース
所在地: 東京都墨田区横川1丁目16番3号 横川倉庫2F センターオブガレージ
代表者: 代表取締役社長 小林 孝徳
URL:https://www.neurospace.jp/
事業内容: 睡眠センシング技術および簡易評価アルゴリズムの開発、睡眠ビジネスに関わる研究開発の技術的支援、睡眠改善プログラムによる企業の健康経営の支援、睡眠ソリューション開発支援ならびにアルゴリズムAPIのライセンス提供
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