カイコ由来タンパク質を用いた経口ワクチンの開発を行うKAICOが2.6億円の資金調達を実施
KAICO株式会社(福岡市西区、代表取締役:大和建太、以下:KAICO)は、2020年5月25日に公表したシリーズAの追加ラウンドとして、リアルテックファンド3号投資事業有限責任組合、双日株式会社、東京センチュリー株式会社及び株式会社ユーグレナを引受先とする2億6千万円の第三者割当増資を実施したことをお知らせいたします。前回の調達と合わせて当社のシリーズA累計調達金額は総額5億2千万円となります。
KAICOは、昆虫のカイコを利用して難発現タンパク質の医薬品・診断薬・試薬を開発することを目的に、2018年4月に設立した九州大学発ベンチャーです。2020年から新型コロナウイルスのスパイクタンパク質を生産しており、本年9月にはこのタンパク質を利用して新型コロナウイルスの抗体測定サービスを開始しています。
KAICOは、昆虫のカイコを利用して難発現タンパク質の医薬品・診断薬・試薬を開発することを目的に、2018年4月に設立した九州大学発ベンチャーです。2020年から新型コロナウイルスのスパイクタンパク質を生産しており、本年9月にはこのタンパク質を利用して新型コロナウイルスの抗体測定サービスを開始しています。
■KAICOの解決したい課題・背景
近年の創薬市場はバイオ医薬品と呼ばれるタンパク質製剤がメジャーとなり、治療薬が無かった疾病にも効果をもたらしていますが、それでも求められるタンパク質全てが生産できるわけではありません。KAICOは九州大学のオリジナルカイコを利用し、ワクチン、バイオ医薬品、診断薬などの大きな潜在需要がありながら、低コスト生産が実現できていない難発現性タンパク質を大量生産できる生産プラットフォームを商業的に構築しています。
また本年4月には、KAICOの開発生産したワクチン抗原タンパク質が、経口摂取によりワクチン効果があることを確認し特許出願いたしました。通常、ワクチン原料となるタンパク質は、口から摂取するとアミノ酸に分解されてしまうため、免疫の獲得は困難ですが、一部のカイコ由来のタンパク質において、経口摂取でも注射と同じように免疫を持つことが確認されました。
経口ワクチンが実現すれば、必要な時にドラッグストア等で購入して自分で摂取することができます。注射のための医療人材が不要で常温管理も可能なため、世界中各地に輸送し摂取することができます。
KAICOがワクチン開発で取り組むノロウイルスは、日本では2~3日で完治する感染症ですが、衛生環境の悪い開発途上国では死に至るケースもあり、年間20万人(そのうちの5万人が幼児)がノロウイルスで命を落としています実情があります。KAICOはこの地域にこそ経口ワクチンを届けたいという思いで開発に取り組んでいます。
また動物ワクチンにおいては、日本の一次産業が盛んな地方において、獣医師の不足が深刻化してきており、1頭1頭にワクチンを注射するのではなく、餌に混ぜて摂取させることで作業者の負担軽減に繋がります。
■カイコ由来タンパク質の生産フロー及び強み
KAICOのコア技術であるカイコ・バキュロウイルス発現法*は、個々のカイコがバイオリアクター(生体反応器)の機能を果たすため、開発したタンパク質は頭数を増やすだけで、医薬品・ワクチンの量産が可能です。未知の感染症が発生した場合、本プラットフォームは少量多品種の生産に対応可能であるため複数薬の同時並行開発ができ、尚且つ即座のスケールアップ大量生産が可能となります。
KAICOは大量発現に適したバキュロウイルスと、挿入するDNAコンストラクト作成にノウハウを保持しています。
*カイコ・バキュロウイルス発現法
目的タンパク質DNAをバキュロウイルスに挿入し、このバキュロウイルスをカイコ体内に注入することで、ウイルスの増殖に従う目的タンパク質が発現されます。発現された目的タンパク質は体内から回収・精製を行うことで試薬、注射などの医薬品液体原料となります。また蛹(さなぎ)にバキュロウイルスを感染させて目的タンパク質が発現されたのち、蛹を粉砕することで経口タイプのワクチン原料としても接種可能となります。
■今回の資金調達の目的と今後の展開
KAICOは、本年4月に特許出願した経口ワクチンの実用化を目指し、人用(新型コロナウイルス、ノロウイルスなど)、動物用として開発ターゲットを定め開発を進めています。これら経口ワクチン実用化の研究開発を加速するため、シリーズAに追加した資金調達を実施しました。
今回の資金調達では、新規投資家として研究開発型のテクノロジーに特化したファンドであり多角的なハンズオン支援を行うリアルテックファンド、動物用経口ワクチン原料であるカイコタンパク質の一部は、家畜用飼料との配合、また海外展開を予定しており、総合商社である双日株式会社からも出資いただきます。
また経口ワクチンの前段階としてカイコによるサプリメントの開発、販売を予定しており、それらのノウハウを持ち合わせた株式会社ユーグレナからも出資をうけ、同社の協力も得てサプリメントの開発、販売を推進していきます。
■投資家コメント
<リアルテックファンド 代表 永田暁彦様>
KAICOはカイコ由来タンパク質発現における高い技術力とその技術特異性の高さを武器に、世界の課題解決を本気で目指すチームです。特に、開発を進める経口ワクチンはパンデミックから世界を救うことが出来る技術であると確信しています。KAICOのミッションが実現するその日まで、リアルテックファンドは全力で支援していきます。
<双日株式会社 ベトナム事業推進室長 上田学様>
今回の資本提携を通じて、KAICO社の高い技術力と双日グループが有する機能・ネットワークをかけ合わせ、新興国の畜産・水産業向けに安価で効果の高い動物用ワクチンを提供します。カイコで開発するワクチンを活用し、まずはベトナムの家畜の疾病発生を予防し畜肉の安定供給と第一次産業の持続的発展への貢献を目指します。
<東京センチュリー 事業開発部門長 北川淑人様>
KAICOは、九州大学発のべンチャー企業で特殊なカイコや知的財産を活用したタンパク質を医薬品等に活用するため、大量生産できる商業的プラットフォームの構築を計画中です。弊社は、今回増資を通じて、KAICOが目指す経口ワクチンの実用化など、健康社会の発展につながる取り組みをサポートしていきたいと考えています。
<株式会社ユーグレナ 執行役員CFiO 若原智広様>
当社は微細藻類ユーグレナの大量培養と活用に関する研究を行い、ヘルスケア等における新素材として広め、成長してまいりました。カイコという新素材を活用した経口ワクチンの開発等に挑戦するKAICOの取り組みに大変共感しており、生物を活用した研究開発系ベンチャー企業の仲間として、開発や販売面で支援していきたいと考えております。
■会社概要
会社名 KAICO株式会社
代表者 代表取締役 大和建太
設立日 2018年4月2日
本社所在地 福岡県福岡市西区九大新町4-1
事業内容
(1) タンパク質の受託発現
(2)試薬・診断薬・医薬品原料の製造・販売
HP http://www.kaicoltd.jp
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