大正製薬ホールディングス株式会社(4581)のMBOに関する意見
2023年12月1日
カタリスト投資顧問株式会社
大正製薬ホールディングス株式会社(4581)のMBOに関する意見
カタリスト投資顧問株式会社(以下「当社」)は、当社が投資助言を行う国内投資信託であるマネックス・アクティビスト・マザーファンド(以下「MAMF」)及びケイマン籍の会社型投資信託であるJapan Catalyst Fund(以下「JCF」)を通じて、日本企業にエンゲージメントを行っております。
当社は、長期的な視点を持ってMAMFとJCFの重要投資先である大正製薬ホールディングス株式会社(以下「大正製薬」)へのエンゲージメント活動を行って参りました。 2023年11月24日、大正製薬は経営陣によるMBOを発表しました。本件MBOに関し、下記の通り意見を公表いたします。
大正製薬は、国内OTC医薬品(※)事業の潤沢なキャッシュフロー創出能力を用いて、ハウザン製薬、UPSA社など海外OTC医薬品企業の買収によってグローバル化戦略を進めてきており、グローバル7位のOTC医薬品企業にまで成長してきました。海外企業の買収を繰り返すことで着実に成長してきた日本企業は稀有であり、素晴らしい事業経営がなされていると当社は認識してきました。
また、武田製薬によるアリナミン製薬のカーブアウト、GSKとPfizerによるHaleonのカーブアウト、そしてJohnson & JohnsonによるKenvueのカーブアウトなど、製薬企業がこぞってOTCビジネスをスピンアウトさせ、OTC医薬品市場はグローバルな再編の波のなかにあります。 このような外部環境において、より強いリーダーシップを発揮して機動的な企業活動をするために、MBO は合理的な経営判断であると考えます。
しかしながら、東京証券取引所からPBR1倍割れ改善要請が公表され、PBR1倍が最低水準であるとの社会的通念が形成されつつあるなかで、1倍を下回る0.85倍というMBO価格での市場からの退場は、少数株主を軽視した判断であると我々は考えます。本件MBOにおいて、少数株主保護のための最後の砦である特別委員会が適切に機能しなかったのではないかと疑念し、ここに意見表明します。
当社は様々なステークホルダーとの対話を通じて、真のコーポレートガバナンス改革を推進し、日本の資本市場の進歩、企業価値・株式価値の向上、延いては日本企業の生産性の向上に取り組んで参ります。
以上
※OTC医薬品:医師の処方が必要な「医療用医薬品」ではなく、薬局やドラッグストアで購入できる市販薬のこと。OTCとはOver The Counterの略。
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