がん集学的治療研究財団、10の臓器別・機能別研究班を結成!「肺癌班」「乳癌班」「大腸癌班」など、領域毎に研究を深化
がん予防と治療の研究を発展させ、患者さんのQOLを最優先にサポートを展開
公益財団法人がん集学的治療研究財団(東京都江東区、会長:藤田 讓・理事長:山岸 久一、以下「がん集学財団」)は、臓器別・機能別研究班を結成の運営を開始したことを発表いたします。
研究班は、「肺癌班」、「乳癌班」、「食道癌班」、「胃癌班」、「大腸癌班」、「膵癌」「免疫班」、「がんと再生医療班」、「医療機器班」、「手術術式班」の10つになります。
今後とも、領域毎に深い専門性が求められるがん予防と治療の研究を発展させ、患者さんのQOL(Quality of Life)を最優先にサポートに努めてまいります。
臓器別・機能別研究班結成の背景
がん集学財団は、厚労省医政局所管の財団法人として1980年に発足しました。がん治療の研究助成・情報発信・開発支援・交流会など、様々な方面から、がん治療と予防の発展に貢献してきました。
この度がん集学財団は、新たな臓器別・機能別研究班(以下「研究班」)を設置しました。がんの予防と治療に関しては、領域毎に深い専門性が求められます。そこで、研究班は、肺癌、乳癌、食道癌、胃癌、大腸癌、膵癌、免疫、がんと再生医療、医療機器、手術術式の10班を結成しました。
具体的には、がん集学財団が展開する新規の臨床研究や試験に関する企画や研究組織の改善策について、それぞれの研究班が協議する体制にします。この過程で、医療の最前線で必要とされる研究領域や具体的な戦略を考察します。研究班の目的は、次のような活動を行い、理事会に対して提案や報告を行うことで、日本のがん予防と治療の発展に貢献します。
既に乳癌班において、新規臨床試験の提案が進行中であり、近日中に詳細の発表を予定しています。
がん集学治療財団は、今後とも、患者さんのQOL(Quality of Life)を最優先に、がんの予防と治療のサポートに努めてまいります。
臓器別・機能別研究班、代表者のコメント
【肺癌班】池田 徳彦 先生(東京医科大学呼吸器甲状腺外科 主任教授・日本肺癌学会理事長)
ここ数年、肺がんの診療は早期、進行期症例とも大きな進歩がありました。早期がんでは縮小手術が標準手術と同等以上の治療効果を証明され、日常臨床に定着いたしました。進行がんではゲノム医療の導入後、その結果によって分子標的治療や免疫チェックポイント阻害剤の適応が判断されます。今後は治療の更なる個別化を前提とした複数の薬剤併用、治療法の融合へと発展していきます。がんの生物学的な特性の評価にAIも導入されるでしょう。当研究班は肺がんのより最適な治療開発を中心に推進してまいります。
【乳癌班】井本 滋 先生(杏林大学乳腺外科 教授・前乳癌学会理事長)
この度、山岸久一理事長のご推薦により乳がん臓器別研究班を担当することになりました杏林大乳腺外科の井本と申します。乳がんの診療体系は日々変化しています。他の臓器がんと同様に手術、薬物、放射線が集学的治療の3本柱ですが、がんゲノム医療が実装されEBMに基づくprecision medicineが行われています。
乳がんでは国内にも多くの臨床研究グループが活動していますが、当研究班としてはtranslational researchを中心に推進して参りますので、ご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。
【胃癌班】市川 大輔 先生(山梨大学第一外科 教授)
近年、胃がんに対する新たな分子標的薬剤の登場や、免疫療法に関する新たなエビデンスが報告され、胃がん薬物療法の治療成績がこれまで以上に改善してきました。切除が不能と診断された高度に進行した胃がんの中には、様々な薬物療法による顕著な効果によって手術適応となる症例も増えてきました。一方で、リアルワールドにおける胃がん症例の背景は、臨床試験に登録される症例と必ずしも一致しないため、実臨床における更に有意義なエビデンス創出を目指して活動していきたく考えております。
【食道癌班】松原 久裕 先生(千葉大学大学院医学研究院先端応用外科 教授)
この度、新たに発足いたしました臓器別・機能別研究班、食道がん班長を務めさせていただくことになりました。食道癌治療の新たな可能性を探求し、最善・最良の治療法を提供することを目指していきます。実際の治療現場で生じている疑問点を礎に新進気鋭の班員の皆様の叡智・専門知識等を最大限に発揮していただき、企業との共同研究となる臨床研究を提案、実践して食道癌治療の発展に寄与したいと考えております。本財団の発展にも貢献できるよう頑張りたいと思います。皆様のご支援とご指導を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
【大腸癌班】小林 宏寿 先生(帝京大学医学部附属溝口病院外科 教授)
現在、医療を取り巻く環境は厳しく、これまでに比べて新規臨床研究、特に企業と協力した研究の実施が難しい状況にあります。しかしながら、医学の進歩は様々な研究なしには達せられません。大腸がんはもっとも日本人が罹患する確率が高い悪性疾患です。男性では悪性疾患による死亡原因の第2位、女性では第1位となっており、治療成績の向上が求められています。この度、防衛医科大学校外科学講座の上野秀樹教授、三重大学大学院医学系研究科消化管・小児外科学講座の問山裕二教授とともに大腸癌領域の研究班を担当させていただくことになりました。医学の進歩に貢献できるよう新規臨床研究を推し進めてまいります。また、新規臨床研究のご希望がございましたらご連絡いただけましたら幸甚です。皆様のご支援・ご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。
【膵臓癌班】山上 裕機 先生(昭和大学 特任教授・膵がん治療センター長)
膵癌はいまだに治療成績が不良であり、また他臓器癌で有効性が認められている免疫チエックポイント阻害剤の治療効果も限定的です。膵癌の腫瘍浸潤リンパ球を中心とした癌微小環境の詳細な解析により、将来有望な免疫療法を開発することが急務といえます。さらに、動脈浸潤を有する局所進行膵癌でも近年開発された新規抗がん剤による術前治療により、拡大手術が可能になってきました。術後補助化学療法もS-1を中心としていくつかのレジメンが適応となっています。本財団の膵癌治療班により、基礎的・臨床的研究が活性化され、難治癌である膵癌の治療成績が向上することを願っています。
【免疫班】 河野 浩二 先生(福島県立医科大学 副学長・理事 消化管外科学講座 主任教授)
歴史と伝統のある「がん集学的治療研究財団」の免疫研究班班長をご指名いただき、光栄に存じます。本研究班は、山岸理事長の発案で、臓器横断的に共通のテーマによる研究を推進するための、新しい研究班と伺っております。これから研究班を組織し、研究費を捻出するところからの出発ですが、具体的な研究テーマの案としては、「ICI治療後の不応病変に対するConversion Surgery標本に対するがん微小免疫環境の検討」を考えております。全国の腫瘍外科教室の中で、がん免疫研究に造詣の深いメンバーを募り、まずは小規模な観察研究として標本を収集し、論文として情報発信できたら幸いです。よろしくご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
【がんと再生医療班】山岸 久一 先生(京都府立大学 名誉教授)
認知症や神経難病に対する自己脂肪由来幹細胞治療は一定の治療成績が出てきていますが、がんに対する治療については、がんを大きくする報告や逆にがん成長を抑制するという相反する報告がなされ、一定の研究報告がなされていません。そこで、我々は3つの食道癌株について、がん細胞対幹細胞の比を1:5,1:10,1:100にした時のがん細胞の増殖状態を観察する予定です。
【医療機器班】宇山 一朗 先生(藤田医科大学 教授)
この度、がん集学財団の新設された研究班の一つである医療機器班の班長に就任いたしました。医療機器の進歩はがん治療において重要な役割を果たしており、我々の使命は革新的な機器開発とその臨床応用を通じて、患者様のQOL向上に貢献することです。これからの活動では、手術支援ロボット、AI診断・ナビゲーションなどの最新の技術と知見を活かし、臨床現場で直面する課題解決に取り組んでまいります。皆様のご協力とご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
【手術術式班】瀬戸 泰之 先生(国立がん研究センター中央病院 病院長)
食道がん根治切除術は侵襲大なる術式として知られており、術後合併症発生率も高く、その克服が喫緊の課題になっています。これまで、低侵襲化を目指し、胸腔鏡やロボットの使用、胸腔を経由しないアプローチ(縦隔鏡)などが臨床応用されています。すでに、様々なデータを活用した検証が始まっています。本班の活動としては、そのようなongoingの研究も念頭におきながら、真の低侵襲手術は何かを検証していきたいです。
「がん集学的治療研究財団」への寄付について
がん集学財団は、個人・法人の皆様のご寄付により事業が支えられています。
当財団はがんの研究にたずさわる医学関係者を対象に広く学術研究の助成援助を行い、併せてがんの治療成績向上に貢献することを目的として昭和55年に厚生省の認可を受け設立し、平成25年4月1日には公益財団法人として認可されました。
がん集学財団では、がんの集学的治療を中心として、がん研究機関に対する研究費の助成はもとより、がん治療に関するデータの収集とその解析、講演会の開催及びその援助など、がん治療成績向上のために公益事業を行っております。
つきましては、公益財団法人がん集学的治療研究財団の事業の成果を一層充実させるため、ご協力賜りたく、よろしくお願い申し上げます。
【公益財団法人がん集学的治療研究財団への寄付に関するお問い合わせ先】
URL:https://www.jfmc.or.jp/donation/
Eメール:soumu@jfmc.or.jp
℡:03-5627-7594
「がん集学的治療研究財団」概要
基本概要
組織名称:公益財団法人がん集学的治療研究財団
設立日:昭和55年6月23日(厚労省医政局所管の財団法人として設立)
所在地:〒136-0071 東京都江東区亀戸1-38-4 朝日生命江東ビル3階
お問い合わせ:https://www.jfmc.or.jp/contact/
組織
役員構成
【会長】藤田 讓 元 朝日生命保険相互会社 社長
【理事長】山岸 久一 京都府立医科大学元学長 名誉教授
【常務理事】桑野 博行 遠賀中間医師会 おかがき病院 地域総合支援センター センター長
【理事】市川 大輔 山梨大学医学部外科学講座第一教室 教授
【理事】井本 滋 杏林大学 医学部 乳腺外科 教授
【理事】宇山 一朗 藤田医科大学先端ロボット・内視鏡手術学 主任教授
【理事】今野 弘之 国立大学法人 浜松医科大学 学長
【理事】三枝 稔 学校法人先端教育機構 特別顧問・評議員
【理事】瀬戸 泰之 国立がん研究センター中央病院 病院長
【理事】谷下 一夫 一般社団法人日本医工ものづくりコモンズ 理事長
【理事】松原 久裕 千葉大学大学院医学研究院先端応用外科学 教授
監事
杉原 健一 光仁会 第一病院 院長
松本 謙一 サクラグローバルホールディング株式会社 代表取締役会長
評議員
14名
各種委員会
一般研究選考委員会、臨床試験審査委員会、医療機器委員会、利益相反委員会、財務委員会、データベース事業支援委員会、広報委員会
事業内容
臨床試験関連事業
患者様に負担の少ない治療法を選択すべく、50を越える臨床研究を実施し、その成果は治療ガイドラインに記載されるなど、現実の治療に生かされてきた。
一般研究助成事業
がんの集学的治療や医療機器に関する研究を選抜し、研究資金を助成。
データベース事業
過去の大腸癌7試験についてデータベース化し、解析研究を実施。
医療機器事業
市販後調査、試作品評価の他、講演会・交流の場の提供を行うなど開発支援も実施。
講座・講演会事業
出版物の発行(一般研究助成事業成果報告書/JFMC機関誌 等)、市民公開講座の実施。
上記の他、今回、新たに幹細胞を用いた認知症・難病治療をサポートする事業を開始。
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