松岡正剛のイシス編集学校、新たなアドバイザリーボード「ISIS co-mission」を発足
田中優子、大澤真幸、鈴木健、武邑光裕、今福龍太、宇川直宏、津田一郎、井上麻矢氏ら就任
編集工学者・松岡正剛が校長を務めるイシス編集学校は、インターネット上の教室で編集工学、情報編集術を学ぶ学校として2000年に開校しました。これまで受講者はのべ3万人を超えています。コースを受講し編集術を学んだ者が指導陣(師範代)になる独自のシステムで、900人以上の師範代を輩出しています。
今回新たに設立した「ISIS co-mission」には、9名の有識者がイシス編集学校のアドバイザーとして就任します。5月13日から開講する春の基本コース第53期[守](応募締切:4月30日)から、それぞれの専門、技能、経験を活かして、学校運営やカリキュラムにアドバイスをいただきます。また、学校関連イベントへの登壇をはじめとし、様々な協業を行う予定です。「ISIS co-mission」メンバーと共に、イシス編集学校に学ぶ方々はもちろん、イシス編集学校未就学の一般の方にもご参加いただける学びの場づくりも行っていく予定です。
●「ISIS co-mission」特設サイト
https://es.isis.ne.jp/isis-co-mission
●就任する「ISIS co-mission」有識者メンバー(50音順)
・井上麻矢氏(劇団こまつ座代表、エッセイスト)
・今福龍太氏(文化人類学者、批評家)
・宇川直宏氏(現”在”美術家、DOMMUNE主宰)
・大澤真幸氏(社会学者)
・鈴木健氏(スマートニュース株式会社 共同創業者 代表取締役会長)
・武邑光裕氏(メディア美学者)
・田中優子氏(法政大学名誉教授、江戸文化研究者)
・津田一郎氏(数理科学者)
・鈴木康代氏(イシス編集学校 学匠)
●就任に際するメッセージ:
・井上麻矢氏(劇団こまつ座代表、エッセイスト)
私自身がイシス編集学校で学んだことの基礎に帰りながら、劇団こまつ座を継いで以来15年経営してきました。物語について、特に、自分なりの物語をつくった上で世に出していくということを、徹底的に教えていただきました。こまつ座社員も編集学校で学ばせていただきました。松岡正剛先生が教えてくださったことを次の世代の人たちに伝えるべく、お手伝いができればと考えています。
・今福龍太氏(文化人類学者、批評家)
イシス編集学校は、松岡正剛氏の方法の学校であり、「教える」と「学ぶ」が2極分化してしまったいま、理論と実践を統合的にとらえなおし、教え学ぶことの同根性を発見する学校だと思います。これは私自身も考え続けたテーマです。制度的教育の在り方に疑義を持ち、2001年から奄美自由大学を運営していますが、こうした経験と知見をもって、志を同じくする編集学校と共闘していきます。
・宇川直宏氏(現”在”美術家、DOMMUNE主宰)
中学3年で松岡正剛氏が世に問うた雑誌『遊』を耽読して以来、その活字から滲み出る教養によって”ゲノム編集"された読者の一人が、何を隠そうこの私です。SNSの夜明けといわれた2010年、ライヴストリーミングチャンネルDOMMUNEを開局。工作舎=編集工学研究所のカット&ペーストによって生み出されたそんな私の思考(嗜好)からは、明らかに松岡正剛氏からの遺伝情報の影響が沢山見受けられます。この度、恐れ多くもアドバイザーに任命された私ですが、イシス編集学校とDOMMUNEは従兄弟のような関係なので、もともと無意識的にアドバイザーリー・ネットワークを構築していたとも考えられます。生成AIの時代と並走しながらも、世の趨勢に流されることなく、これを機にますます血縁を深めていきたいと考えています。改めましてよろしくお願いいたします!!!!!
・大澤真幸氏(社会学者)
松岡正剛氏がやっていることが、今後も続かないといけない。これは日本にとって大事なことだと思っています。知識伝達だけの勉強ではなく、総合的な知、価値観、美意識といったものが全体として継承されていくべきだと考えます。広い意味での文化継承、ものの見方の継承と変容に向けて一助になれば幸いです。
・鈴木健氏(東京大学特任研究員、スマートニュース株式会社 共同創業者 代表取締役会長)
起業家としての仕事と、研究者としての仕事、この2つの軸足をもって、コンピュータを使って新しい社会システムの300年後を構想することに取り組んでいます。他のコミッション・メンバーとも問題意識を共有するところが多く、編集工学研究所の未来に共感しており、イシス編集学校のこれからに何らか寄与できればと考えています。
・武邑光裕氏(メディア美学者)
ベルリンに7年滞在し現地の大学を経験、ヨーロッパやアメリカの教育の在り方を研究してきました。マイクロ・スクールが世界で進む中、日本は新しい教育システムの整備が遅れています。私自身たちあげた武邑塾も10周年を迎え、新しい局面を迎えました。松岡正剛氏がされていることは、新しいカウンター・カルチャーの提示です。この流れを日本の中で持続的に全うしていく必要性がさらに増しており、この流れの中で何らかご支援できれば幸いです。
・田中優子氏(法政大学名誉教授、江戸文化研究者)
私自身が身をもってイシス編集学校の守破離(コース)を体験するなかで、ここでは「ものの見方が変わる」ことを実感しています。これは大変重要なことであり、分野で区切られている大学という世界には全くないことです。学び・発見・表現は、こちらの方向に向かわないとダメなのだと考えています。ものの見方が変わる仕組みをつくり、それを言葉にしていく仕組みを発展させていく必要があります。その観点から、イシス編集学校の可能性に期待しています。
・津田一郎氏(数理科学者)
2023年に松岡正剛氏と共著を出版いたしました。私自身の専門分野は数学や物理をベースにした数理科学ですが、松岡氏とのプロジェクトは、違う分野と交錯し、際(バウンダリー)を感じます。物理・数学という学問のゆるぎない土台ではなく、常に土台を揺るがしていたいですし、揺らいでいるところから新しいことが生まれると考えます。今はデザインや物語にも関心が及んでおり、こうしたテーマでもイシス編集学校と共同し、新しいことを生み出せればと考えています。
・鈴木康代氏(イシス編集学校 学匠)
イシス編集学校では、学生、医師、デザイナー、教師、主婦など多種多彩な人々が属性を離れて編集稽古をしています。稽古では、多くの人が子どもの頃のようにあらゆる制約を超えて想像力の翼を広げて、いきいきと学ぶようになります。16年前に入門した私自身もそうでした。好奇心をエンジンに、世界知、方法知、個人知が次々とつながって、学びが身体化され、世界の見え方が変わっていくのです。膠着化した組織のルールや専門的な知も自由編集できる状態になっていきます。さらに編集学校のユニークなところは、学び手から師範代、師範になり、主客逆転が動的におこることにもあります。校長である松岡正剛が編集工学を実践し継承してきた場は、唯一無二な「方法の学校」となりました。25年目を迎える節目に、ISIS co-missionのみなさんと共に日本各地で編集をおこしていければうれしいです。
●「ISIS co-mission」の目指すこと
イシス編集学校は、「ISIS co-mission」のメンバーとともに、編集工学や情報編集術を通じて、これからの社会に必要な知識やスキルを提供していきます。「ISIS co-mission」のメンバーは、定期的に開催される編集学校のイベントにも登壇し、編集工学や情報編集術に関する最新のトピックや見解を共有します。一方で、編集学校のカリキュラム更新、アップデートにも関与し、指導陣などへフィードバック、ディレクションを行います。これらの活動を通して、「ISIS co-mission」はイシス編集学校と共に、これからの社会に寄与できる編集工学を身につけた人材育成、社会全体に対して貢献していくことを目指します。
漢字研究の第一人者である白川静氏によれば、旗は神々の霊魂が宿る旗竿のことで「遊」という字が示すように、ある集団の出遊の際に持ち出されるものでした。
旗をモチーフにしたロゴは、これから編集的世界観が世の中に向けて出遊する際の旗印であり、編集的世界観の担い手(旗手)としてのISIS co-missionメンバーを指しています。
●「ISIS co-mission」プロフィール
・井上麻矢氏(劇団こまつ座代表、エッセイスト)
1967年 作家、劇作家の故・井上ひさしの三女として東京・柳橋に生まれる。
千葉県市川市で育ち、御茶ノ水の文化学院高等部英語科に入学。在学中に渡仏し、パリで語学学校と陶器の絵付け学校に通う。帰国後、スポーツニッポン新聞東京本社勤務。
二女の出産を機に退職し、様々な職を経験する。その後、二期リゾートで二期倶楽部東京直営ギャラリーの企画を担当する傍ら、IFPA(英国)認定国際アロマセラピスト、フィジカルトレーナーとして活躍。2009年4月こまつ座入社。同年7月より支配人、同年11月より代表取締役社長に就任。2014年 市川市民芸術文化奨励賞受賞。2015年 井上ひさしから語られた珠玉の言葉77をまとめた「夜中の電話―父・井上ひさし最後の言葉」と、自身が企画した松竹映画「母と暮せば」【第39回日本アカデミー賞優秀作品賞受賞】の小説版「小説 母と暮せば」(山田洋次監督と共著)を連続刊行。イシス編集学校基本コース[守]を受講し、修了。その後、イシス編集学校のイベントには、ゲストとして登壇している。
・今福龍太氏(文化人類学者、批評家)
1955年東京に生まれ湘南の海辺で育つ。1980年代初頭よりメキシコ、カリブ海、アメリカ南西部、ブラジルなどに滞在し調査研究に従事。その後、国内外の大学で教鞭をとりつつ、2001年より群島という地勢に遊動的な学び舎を求めて〈奄美自由大学〉を創設し主宰する。著書に『クレオール主義』『群島-世界論』『書物変身譚』『ハーフ・ブリード』『ヘンリー・ソロー 野生の学舎』(読売文学賞)など多数。松岡正剛が主催した連塾、ハイパー・コーポレート・ユニバーシティ[AIDA]等にゲスト、講師として参加。イシス編集学校講座『多読ジム・スペシャル. 今福龍太を読む』を監修。
・宇川直宏氏(現”在”美術家、DOMMUNE主宰)
1968年香川県生まれ。現“在”美術家。映像作 家、グラフィックデザイナー、VJ、文筆家、大学教授など、80年代末より、さまざまな領域で多岐にわたる活動を行なう。2010年には日本初のライヴストリーミングスタジオ兼チャンネル「DOMMUNE」を個人で開局。記録的なヴューワー数で国内外にて話題を呼び、2011年文化庁メディア芸術祭推薦作品にも選出される。著作に『@DOMMUNE---FINAL MEDIAが伝授するライブストリーミングの超魔術!!!!!!!! 』(河出書房新社,2011)、『DOMMUNE オフィシャルガイドブック-1st』(幻冬舎,2011)、『メディアを語る (別冊思想地図β ニコ生対談本シリーズ#2)』(コンテクチュアズ,2012)他。第71回芸術選奨文部科学大臣賞受賞。編集工学研究所主催のハイパー・エディティング・プラットフォーム[AIDA]シーズン2のゲスト講師として登壇。DOMMUNEにて[AIDA]参加のビジネス・パーソンの個人史を番組に仕立てて配信した。
・大澤真幸氏(社会学者)
1958年、長野県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。社会学博士。専門は理論社会学。千葉大学文学部助教授、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を歴任。現在、月刊個人思想誌『大澤真幸THINKING「O」』刊行中、「群像」誌上で評論「〈世界史〉の哲学」を連載中。2007年『ナショナリズムの由来』(講談社)にて第61回毎日出版文化賞(人文・社会部門)。12年『ふしぎなキリスト教』(講談社現代新書、共著)で新書大賞2012大賞。15年『自由という監獄 責任公共性・資本主義』(岩波書店)で第3回河合隼雄学芸賞。
80年代からの松岡正剛との交流をへて、2020年より「ハイパー・エディティング・プラットフォーム[AIDA]」ボードメンバー。2021年には、イシス編集学校 読書術コース「多読ジムスペシャル 大澤真幸を読む」を監修。
・鈴木健氏(東京大学特任研究員、スマートニュース株式会社 共同創業者 代表取締役会長)
2009年東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、博士。東京大学特任研究員。著書に『なめらかな社会とその敵』(勁草書房)など。「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」ことをミッションに、2012年にスマートニュース株式会社を共同創業。2014年9月SmartNews International Inc.を設立し、現在は米国に在住している。2023年、編集工学研究所が主催する「ISIS FESTA. 情報の歴史21を読む」にゲスト講師として登壇。
・武邑光裕氏(メディア美学者)
1954年東京都生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業、1978年同大学芸術研究所修了。メディア美学者。日本大学芸術学部、京都造形芸術大学、東京大学大学院、札幌市立大学で教授職を歴任。1980年代よりメディア論を講じ、インターネットやVRの黎明期、現代のソーシャルメディアからAIにいたるまで、デジタル社会環境を研究。2013年より武邑塾を主宰。2017年よりCenter for the Study of Digital Life(NYC)フェローに就任。『記憶のゆくたて―デジタル・アーカイヴの文化経済』(東京大学出版会)で、第19回電気通信普及財団テレコム社会科学賞を受賞。基本コース[守]の特別講義「武邑光裕の編集宣言」に登壇。ビジネス・パーソンを対象としたハイパー・エディティング・プラットフォーム[AIDA]でもボードメンバーを務める。
・田中優子氏(法政大学名誉教授、江戸文化研究者)
1952年、横浜市生まれ。法政大学大学院博士課程(日本文学専攻)修了。法政大学社会学部教授、学部長、法政大学総長を歴任。専門は日本近世文化・アジア比較文化。『江戸の想像力』(ちくま文庫)で芸術選奨文部大臣新人賞、『江戸百夢』(朝日新聞社、ちくま文庫)で芸術選奨文部科学大臣賞、サントリー学芸賞受賞。2005年、紫綬褒章受賞。朝日新聞書評委員、毎日新聞書評委員などを歴任。「サンデーモーニング」(TBS)のコメンテーターなども務める。江戸時代の価値観、視点、持続可能社会のシステムから、現代の問題に言及することも多い。松岡正剛と35年来の交流があり、自らイシス編集学校の[守][破][離]コースを受講、修了している。基本コース[守]の特別講義「田中優子の編集宣言」に講師として登壇。ビジネス・パーソンを対象としたハイパー・エディティング・プラットフォーム[AIDA]でボードメンバーを務める。
・津田一郎氏(数理科学者)
1953年、岡山県生まれ。1982年京都大学大学院理学研究科物理学第一専攻博士課程修了。理学博士。カオス研究、複雑系研究、脳のダイナミクスの研究を行う。Noise-induced orderやカオス遍歴の発見と数理解析などが注目された。また、脳の解釈学の提案、非平衡神経回路における動的連想記憶の発見と解析、海馬におけるエピソード記憶形成のカントールコーディング仮説の提案と実証、サルの推論実験、コミュニケーションの脳理論、脳の機能分化を解明するための拘束条件付き自己組織化理論と数理モデルの提案などがある。2017年、noise-induced orderが数学的に正しいことがイタリアの数学者によって厳密に証明された。また2018年、イタリアとブラジルの数学者の共同研究によって、カオス遍歴の極小モデルが正しいことが厳密に証明された。2023年、松岡正剛との共著『初めて語られた科学と生命と言語の秘密 』(文春新書)を出版。
・鈴木康代氏(イシス編集学校 学匠)
福島県郡山市在中。現在、専門学校に勤務しながら編集活動を続けている。2008年松岡校長出演「ニッポンの教養」をきっかけにイシス編集学校入門、守破離、花伝所、遊風韻を受講。離稽古中に松岡校長の文巻を通して自身の創は世界に通じていると確信する。以来、師範代、師範、守番匠、守学匠を引き受け、編集工学の継承と実践に注力する。3.11後は、ふくしまを編集するプロジェクトを立ち上げ、被災地編集に取り組み歴史文化を伝える冊子を刊行。イシス未知奥連の連長を務め地域編集を継続中。2024年から2025年にかけて四国、北海道、沖縄、東北、関西など全国各地でイシス有志とエディットツアーを開催予定。
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