量子コンピュータ企業現役CEO3名が語る「革新的な量子コンピュータ技術への期待と課題」

キャプテラは、量子コンピュータ企業現役CEO3名へインタビューを行い、量子コンピューティングの現状と展望のまとめを公開した。

キャプテラ

詳細は本記事「量子コンピュータでできることは?ビジネスにもたらす影響について、現場最前線のプロに聞く」
https://www.capterra.jp/blog/3483/what-can-quantum-computers-do)でご覧いただけます。

1、量子技術の進歩によってシミュレーション技術が大きく発展する

大規模な組み合わせ最適化問題を解く技術として現在注目を集めている「量子アニーリング」。すでに実用化も始まっているこの技術の普及によって見込める成果として、株式会社Quemix (キューミックス) の松下雄一郎代表取締役CEOは以下のように予想しています。

 

「量子コンピュータを使えば予測やシミュレーションが格段に協力になり、ものづくりや創薬開発は加速され、物流やスケジュールの最適化が進み、実社会へ浸透していくことになるでしょう」

株式会社Quemix 松下雄一郎

 

一方、blueqat (ブルーキャット) 株式会社の湊雄一郎代表取締役社長は、日本の技術力については「世界の中ではトップクラスに優位な立場にあり、物理学が強い国ともありビジネスチャンスは多い」としながらも、さらなる勢いを確保する必要があることを指摘しています。

 

量子通信や暗号、量子ソフトウェア開発などに力を入れている日本ですが、今後さらに競争が激しくなるこの分野において官民ともに積極的に取り組む必要がありそうです。

 

 

2、量子コンピュータの実用化が可能な企業が大きく不足している

特定の問題に対して効率的な最適解を見出すことのできる量子コンピュータは、エネルギー消費を抑えられるというメリットがあるため、電力共有不安の時代では重宝されると思われます。

 

すでに量子コンピューティングが実用化されている分野がある中、今後は暗号技術や金融などのシミュレーション、素材や薬の開発、機械学習などの分野での活用が期待されています。blueqatの湊氏は、あらゆる業界にチャンスがあると見ている一方、各分野のドメイン知識を用いて量子コンピュータを実用化できる企業が大きく不足していることを指摘しています。

「あらゆる分野において量子技術とドメイン知識を融合して顧客提供できるような企業の登場が待ち望まれています。」

blueqat株式会社 湊雄一郎

 

 

3、量子変革に向けて、中小企業が今から準備するべき3点

・人材の確保

Quemixの松下氏は、最適化を自社できちんと行う場合は「自分たちで研究者や、それなりの知識を持った人 (数学者、理論物理学者、理論化学者) を社内の中で確保する必要がある」と指摘しています。

 

・情報収集と動向の把握

blueqatの湊氏によると、現在は他社動向や情報収集が非常に大事な時期であり、日々生まれる量子のニュースに目を通すことを推奨しています。また、「量子教育に際してのビジネス応用の方法を段階を経て会得するためのセミナー」が増えている一方、「今後は専門的な知識は不要でノーコードなど、量子の知識がなくても恩恵が受けられるインフラ作りが可能になる」と展望します。

 

・経営陣の積極的な関与

グルーヴノーツの最首氏は、海外と比べて日本には量子技術に取り組むユーザー企業が少ないことを指摘しています。

「会社のトップが量子について勉強し身につける努力をすれば、大企業にできない、中小企業ならではの斬新なビジネスを展開することが期待できます。」

株式会社グルーヴノーツ 最首英裕

 

 

4、量子スタートアップ企業のCEO3名が挙げる量子技術に取り込む際の注意点

量子技術に取り組む際にはいくつかの課題があります。お三方の挙げる特に注意すべき点はこちらです。

 

量子技術の習得に関しては教育が重要で、技術的な習得とビジネス面での応用の二つがあり、この二つを両立させられている企業は多くありません。業界で増えているそのような応用セミナーをぜひ活用してください。

♦︎blueqat株式会社 湊雄一郎

 

量子コンピュータと古典コンピュータは、得意不得意があります。量子コンピュータはうまく性能を引き出せると超並列計算が実行できるという優れた点がある一方、並列計算の必要がない演算には一切向いてません。用途の見極めにご注意ください。

♦︎株式会社Quemix 松下雄一郎

 

量子コンピュータは、あくまで一つのツールに過ぎないのです。馬車しかなかった時代にトラックが登場しても、トラックの構造や製造工程に精通している必要がなかったように、量子コンピュータが社会にどのような本質的な価値をもたらすのかというところに目を向けるべきです。

♦︎株式会社グルーヴノーツ 最首英裕

 

 

5、まとめ

本格的な実用化はまだこれからという状況ではありますが、量子コンピュータは遅かれ早かれ破壊的な変革をもたらすと言っても過言ではありません。

専門知識を持った人材の育成や、量子技術を応用した新たなビジネスモデルの構築など、今後の進展や技術の進化に対応するためにアンテナを張って注目していただきたいと思います。

 

詳細は本記事「量子コンピュータでできることは?ビジネスにもたらす影響について、現場最前線のプロに聞く」

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E-mail : kotoe.shioiri@gartner.com

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代表者名
塩入琴恵
上場
未上場
資本金
-
設立
1999年01月