林野庁「新しい林業」経営モデル実証3年目の採択を受け、新たなサプライチェーンのモデル構築を目指す
~京阪奈+三重 需要地と供給地の事業連携による新しい地方創生型SDGs林業への挑戦~
バイオマスパワーテクノロジーズ株式会社(代表取締役:北角 強)は、林野庁が進める【「新しい林業」に向けた林業経営育成対策のうち経営モデル実証事業】(以下「新しい林業」実証)に、令和4年度・5年度に続き令和6年度も採択を受けました。6月より令和6年度の「新しい林業」実証事業を開始し、過去2年間に植栽したセンダン等の生育状況を定期的に計測・比較検証すると共に、新たな取組としてドローンを活用した造林後の生育状況・獣害対策の状況把握、広葉樹のエネルギー用途以外の用材としての活用可能性検討等を行う計画です。
林野庁「新しい林業」経営モデル実証について※1
事業の概要
伐採から再造林・保育に至る収支のプラス転換を可能とする「新しい林業」を実現するためには、低い生産性や高い労働災害率といった林業特有の課題を解決する必要があります。このため、造林・生産・販売等に係る先進的技術の導入を推進するとともに、事業体の経営力向上や労働安全対策の強化を推進することで、生産性と労働災害率の改善を図り、「長期にわたる持続的な経営」を実現できる林業事業体を育成します。
この趣旨に基づき林野庁では、一般社団法人林業機械化協会による公募により、新たな技術の導入による伐採・造林の省力化や、ICTを活用した需要に応じた木材生産・販売など、林業収益性等の向上につながる経営モデルの実証により、「新しい林業」経営モデルの構築・普及の取組を支援する「新しい林業」経営モデル実証を令和4年度より実施しています。令和6年度は全国で6件の提案を選定しており、うちその1件が、バイオマスパワーテクノロジーズ(株)を事業実施主体とする「京阪奈+三重」地域での取り組みです。
※1 林野庁HP 「新しい林業」について より引用
https://www.rinya.maff.go.jp/j/routai/keiei.html
バイオマスパワーテクノロジーズ(株)の実施する、令和6年度の事業内容について
1. 事業概要
本事業は、京阪奈地区および三重地区において、種苗・木材生産とその利活用を通じて、需要地(京阪奈+三重エリアの製材工場【川中】、都市部の地域密着型の工務店【川下】)と供給地(種苗・素材生産事業者【川上】)が相互に事業連携し、もって地域経済を活性化させ、地方創生型SDGs林業に挑戦しようとする新たな取り組みです。
山林のICTデータを整備して森林情報だけでなく毎木単位で情報を「見える化」し、需要側のニーズを組み入れたゾーニング概念(適地適木)にもとづく多様な森林づくりを立案することで、収益を最大化するサプライチェーンを作り上げ、新たな安定したロングテール型収益構造を形成することを目指しています。スギ・ヒノキのみではなく早生樹・広葉樹などの多様な木材を生産し、キャンプ場などの空間的な利用も含めて新たな価値を創出していく将来目標を掲げています。
2. 目的
バイオマスパワーテクノロジーズ(株)は、三重県松阪市で地域の多様な燃料(間伐材・一般木材、建設資材廃棄物等)を活用する出力1,990kWのバイオマス発電所の運営を行っています。2020年7月には、発電事業の持続可能性向上、林業事業の更なる推進を目的として株式会社玉木材(本社:奈良県五條市)をグループに迎え、川上から川下まで一気通貫した事業を行うことで、林業の成長産業化を目標に森林・林業のイノベーションを推進・事業化に取り組んでいます。
バイオマスパワーテクノロジーズ(株)と(株)玉木材は、五條・吉野地区、及び三重県内に約4,000haに及ぶ山林の所有または施業委託を受けており、「2050カーボンニュートラル」「脱炭素社会」の観点から、「SDGs × ESG時代に相応しい新たな林業・エネルギー事業」の構築・実現を通じて、地域経済活性化に貢献し、資源循環型経済の構築に寄与するSDGs型山林事業を展開しています。「新しい林業」経営モデル実証事業においては、これまでの吉野林業地で行われていたスギ・ヒノキの優良大径木のみを軸にした森林づくりだけではなく、地形や樹種の条件に応じた適切な獣害対策を組み合わせた上で、多様な樹種・多様な生産物から新たなサービスを異業種と相互連携して構築することを目指します。
3.実施体制
木質バイオマス発電事業・森林経営・林業事業を手がけるバイオマスパワーテクノロジーズ株式会社を代表経営体として、同社のグループ会社であり奈良県内で素材生産をおこなうとともに本事業における主たる実証フィールドを提供する株式会社玉木材、および三重県内で種苗生産をおこなう株式会社古家園にて構成しています。また、木質バイオマスに関するコンサルティング業を手がける株式会社森のエネルギー研究所が調査・報告の支援を行います。
4.令和6年度の主な実証内容
【森林資源把握】
奈良県五條市内の玉木材保有山林において、令和4年度・5年度の植栽木残存・生育状況と獣害対策の現状把握(防獣ネット・ヘキサチューブ破損有無の確認)を、ドローンを活用することで視認にかかる人工数・見回りコストを削減することができるか検証します。
【流通販売】
広葉樹のエネルギー用途以外の用材としての活用可能性を探るため、広葉樹材の樹種別需要見込みや用途ごとの原木単価・必要な直径、取引状況等の取りまとめ等を行います。
【再造林】
センダンをはじめ、ウバメガシ・コナラ・クヌギといった令和4年度・5年度に植栽した広葉樹苗木の獣害被害・生育状況について、樹高・根元径計測等を一定期間毎に行うと共に、下草刈りの必要性についても検証を行います。
これらの結果を踏まえた経済性評価を実施し、主伐~再造林~保育に至るまでの林業事業が黒字化するシステムの確立を目指します。
「新しい林業」実証においては、林業関係者への情報交換の実施などを含め、引き続き「新しい林業」モデルの普及啓発を図っていきます。また、令和5年度にバイオマスパワーテクノロジーズ株式会社が採択を受けた、経済産業省所管の早生樹事業(NEDO新たな燃料ポテンシャル(早生樹等)を開拓・利用可能とする“エネルギーの森”実証事業)とも連携しながら事業を進めて参ります。
本件に関するお問合せ先
バイオマスパワーテクノロジーズ株式会社 専務取締役 西川弘純
TEL:0598-67-2561
MAIL:hirozumi.nishikawa@bpt.co.jp
株式会社森のエネルギー研究所 取締役 菅野明芳
TEL:0428-84-2445
MAIL:akikan@mori-energy.jp
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