スマリテ「スマート販売機」を日本郵船の原油タンカーで実証導入トライアル実施

船上でのアルコール管理を一部自動化し、業務負荷を大幅削減

株式会社スマリテ

2025年12月11日 11時00分

【概要】

株式会社スマリテ（本社：東京都中央区、以下「スマリテ」）は、日本郵船株式会社（本社：東京都千代田区、以下「日本郵船」）と共同で、2024年12月から2025年9月にかけて、原油タンカーにおける船内アルコール（ビール等）管理の自動化トライアルを実施しました。

本トライアルでは、スマリテが開発する「スマート販売機」および「クラウド管理システム」を活用し、これまで本船担当者が人手で行っていたアルコールの配布・記録業務を一部自動化。その結果、約87％の作業時間削減と記録精度の向上が確認され、今後は他船への段階的な導入を検討しています。

【背景】

外航海運の船員は、通常交代制の勤務シフトで働きます。

勤務中や勤務直前のアルコール摂取は厳禁とされていますが、日本郵船ではD＆Aポリシー（Drug and Alcohol Policy）を定め、勤務時間外も含めたアルコールの摂取量を厳格に制限しています。

これまでの運用では、本船担当者が毎日、希望者を確認し、飲料の配布、配布記録と消費記録の手作業による入力・集計を行っていました。

この入力・集計作業に加えて、配布量・代金・給与天引き処理など複数の帳票管理も必要であり、効率化が課題となっていました。

【トライアル概要】

実施期間：2024年12月〜2025年9月

対象船舶：日本郵船運航原油タンカー「TOWA MARU」

導入システム：スマート販売機（重量センサー＋AIカメラ識別）、クラウド管理システム

▼完全キャッシュレス　　

クレジットカードタッチ決済や電子マネーに対応

現金管理の手間やリスクを完全に排除

▼電子錠開閉システム

個人認証済みユーザーのみが開錠可能

▼LINEミニアプリ

アプリインストール不要/開錠・決済までシームレスに安全に完了

本トライアルでは、船内での日常的な配布・記録業務を効率化するため、スマリテの無人管理システムを船舶仕様にカスタマイズして導入しました。

従来、本船担当者が手作業で行っていた在庫確認や記録、購入制限の管理などをデジタル化。
船内ネットワークを活用し、乗組員が簡単かつ公平に利用できる仕組みを整え、また、遠隔からでもデータの確認・集計が行えるようにすることで、業務の見える化と透明性を実現。
国籍や職務の異なる乗組員が同じルールのもとで利用できるよう、シンプルで直感的な操作設計も採用しました。

この取り組みにより、現場の負担を減らすだけでなく、公平性・安全性・効率性を両立する新たな管理モデルを構築することができました。

【成果】

・業務時間を約87％削減（約7.5時間/月 → 約1時間/月）

・帳票整理時間を半減（約3〜4時間/月 → 約1〜2時間/月）

・出庫記録の自動出力により、ヒューマンエラーを抑制・クラウド管理システム上で陸上本部からも閲覧可能となり、透明性が向上

・乗組員の負担軽減によるモチベーション・エンゲージメントの向上

・AI映像識別システム利用によるDX導入の推進

結果として、トライアル船では「アルコール管理に費やす時間がなくなり、航海士が学習や休養に時間を使えるようになった」との声が寄せられました

【今後の展開】

日本郵船では、今回の成果を受け、まず他のVLCC船5隻程度への追加導入を検討しています。

将来的には、貨物船やLNG船など他船種への展開に加え、船上で得られる業務データを陸上の管理システムと連携させるなど、より広範な海上業務DXの推進を見据えています。

スマリテは、船舶モデルの最適化を進めながら、現場のデータを活用した「海上DXのプラットフォーム」構築に向けて取り組んでまいります。