ヒートポンプ普及想定によるエネルギー自給率向上への寄与
~ヒートポンプで汲み上げる環境熱(温熱)の計上~
○ ヒートポンプ普及想定によるエネルギー自給率の試算結果
本報告と同時報告の「ヒートポンプ等の普及見通しに関する調査報告」における高位シナリオ※1の推計結果をもとに、本報告では図-1のヒートポンプで汲み上げる環境熱(温熱)をEUと同様に再生可能エネルギー熱として計上し、2050年度ヒートポンプ普及想定による一次エネルギー消費量変動分を考慮した試算を行ったところ、以下の通り、我が国のエネルギー自給率向上に寄与する結果となりました。


我が国の2023年度のエネルギー自給率は15.3%※3と発表されていますが、推計の結果、高位シナリオにおけるヒートポンプで汲み上げる環境熱(温熱)を計上すると18.9%(3.6pt寄与)になりました。
また、2050年度ヒートポンプ普及想定に伴う環境熱(温熱)の計上およびヒートポンプ普及想定による一次エネルギー消費量変動分を考慮し、エネルギー自給率を算定したところ24.9%(9.6pt寄与)になりました。この一次エネルギー消費量の変動分は、2050年度非化石転換が進んだ電源構成※4を加味しています。
○ エネルギー自給率の試算内容
本プレスリリースのエネルギー自給率は、式2、式3のように試算しました。

【B】-66PJ :ヒートポンプ普及想定による(化石+非化石)電力の変動分
【C】1,688PJ:ヒートポンプ普及想定により電気に代替されるガス・灯油・重油の減少分

式2に使用した環境熱(温熱)は、表-1の2023年度の温熱合計の数値を使用し、式3に使用した環境熱(温熱)は、表-1の2050年度の温熱合計の数値を使用しています。また、式3では、2023年度の実績に対し、「ヒートポンプ等の普及見通しに関する調査報告」の2050年度ヒートポンプ普及想定による電力変動分(非化石分、化石+非化石分)、電気に代替されるガス・灯油・重油の減少分が考慮されています。なお、高位シナリオの試算対象である部門・用途のヒートポンプ以外の電化、及び試算対象外の部門・用途※8における「エネルギー消費の変化」及び「電源構成の変化」は考慮していません。
○ ヒートポンプの役割
本報告の試算結果より、再生可能エネルギー熱の利用が可能なヒートポンプは、環境熱(温熱)の計上により、我が国のエネルギー自給率に大きく寄与することが言えます。さらにヒートポンプの普及拡大により、ほぼ100%を海外から輸入する化石燃料の依存度低減も貢献することから、ヒートポンプは我が国が目指す2050年カーボンニュートラルの実現に資する重要技術であると考えます。
○ 「ヒートポンプ等の普及見通しに関する調査報告」についての詳細は、下記添付資料をご参照ください
別添資料:令和7年度 ヒートポンプ等普及見通し調査(報告書)
※1 「ヒートポンプ等の普及見通しに関する調査報告」における普及見通しの分析シナリオ。2050年のCN達成に向けて更に電化が推進したシナリオを指す。
※2 高位シナリオにおける試算条件の内、ヒートポンプの普及想定分を抽出し、試算に使用した。この普及想定には、ヒートポンプの将来の機器効率の改善想定も含む。
※3 資源エネルギー庁 令和5年度(2023年度)におけるエネルギー需給実績(確報)(2025年11月11日取得)
※4 公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE):2021年5月13日総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会提供資料「2050年カーボンニュートラルのシナリオ分析(中間報告)」補足版、【参考(表)】日本の発電電力量(2050年)の参考値ケース。(2025年11月11日取得)
※5,6 IEA基準発熱量による経済産業省公表値(2023年度)(2025年11月11日取得)
※7 ヒートポンプ等普及見通しに関する調査(報告書)におけるヒートポンプによる環境熱利用量分析結果まとめをもとに作成。本報告では温熱を計上しているが、冷熱を含めた分析結果はヒートポンプ等普及見通しに関する調査(報告書)に掲載。
※8 各部門における照明や冷凍冷蔵庫、「ヒートポンプ等の普及見通しに関する調査報告」で網羅できていない産業部門の運輸部門等を指す。
以 上
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