”見えない障害”失語症者50万人の課題解決を目指す「失語症の地域支援プロジェクト」始動。在宅ケアのユースタイルラボラトリーが言語聴覚士専門集団ことばの天使と協働。

失語症リハビリ問題を解決する国内初のAI実装アプリ開発、失語症者や家族・支援職を繋ぐ「失語症の日（4月25日）」イベント開催、コミュニケーション障害と在宅ケアに関する医療福祉従事者向け勉強会毎月開催

3月25日厚生労働省にて「失語症の地域支援プロジェクト始動」記者会見を開催しました

全国最大規模で障害福祉の在宅ケア事業を運営するユースタイルラボラトリー株式会社（東京都中野区　代表大畑健、以下ユースタイルラボラトリー）は、言語聴覚士の会員コミュニティとオンライン言語リハビリサービスを運営することばの天使株式会社（大阪府大阪市　代表多田紀子、以下ことばの天使）と共に、”見えない障害”失語症者50万人の課題解決を目指す「失語症の地域支援プロジェクト」を始動します。

４月25日の「失語症の日」をきっかけとして、4月25日（金）、26日（土）、27日（日）に失語症者やご家族、支援職を繋ぐイベント「失語症の日イベント」を国内最大規模となる全国17会場で同時開催するほか、言語聴覚士不足によるリハビリ問題をAIで解決する国内初のAI実装アプリ開発に向けたクラウドファンディングを開始します。なお、医療福祉従事者を対象とした、失語症やコミュニケーション障害と支援がテーマのオンラインセミナー「在宅医療とケアを繋ぐユースタイルケア勉強会」は2025年1月から12月まで毎月開催しており、現在毎回500名以上の申込をいただいています。

■失語症を取り巻く社会課題

失語症とは、脳卒中や頭部外傷などにより、脳にある言語脳の損傷によっておこる後遺症の一つで、聞く・話す・読む・書く・計算が困難となる言語障害です。毎年新規に脳卒中を罹患する患者は約29万人ですが、そのうち失語症を発症する人は約4.9万人（約17％）と少なくなく、潜在的失語症者は現在国内で約50万人、見た目には分かりにくい障害であるため”見えない障害”とも言われています。

失語症者のリハビリを担う言語聴覚士は、現在、有資格者４万２千人弱と、同じリハビリ職である理学療法士の21万4千人弱に比べ、1/5以下、さらに多くは病院に勤務し、超高齢社会で激増している嚥下障害者への対応に従事しており、失語症者への継続的支援が圧倒的に不足しているという課題があります。

失語症者の課題に対し【全国でつながる失語症の日イベント】【支援人材の育成年間セミナー】【継続的リハビリのためのAI実装アプリ】の三方向からアプローチする「失語症の地域支援プロジェクト」を立ち上げ、各種取り組みを実施いたします。

■失語症の日イベント

失語症は、今でも医療機関においてさえ認知が不十分で、十分なケアがされていない障害です。このため、適切なリハビリを受ける機会を逸したり、地域や職場でたくさんの誤解、中には人権に関わるような不利益を被ることも多々あります。

「失語症についてもっと多くの人に知ってほしい」は、多くの失語症者や家族の望みです。

そこで、覚えてもらいやすいよう「425（し・ツー・ご）」を「失語」と語呂合わせにし、2020年に多田紀子をはじめ失語症支援に関わる言語聴覚士・団体、当事者団体による失語症の日制定委員会が「4月25日　失語症の日」を記念日に登録しました。毎年、4月25日前後の週末に、全国的にイベントを開催し、今年で通算６回目の開催となります。

失語症者や家族は、同じ障害がある人が「どうやって暮らしているのか」、医療や福祉関係者は「どのように支援をしたらよいのか」についての情報を求めています。当イベントでは、地域で暮らす失語症の人や家族に登壇いただいています。

　今年は「仲間を募ろう！繋がろう」をテーマに、全国17会場を同時につなぎ、オンライン×リアルのハイブリッド開催を予定しており、オンラインコンテンツとして、当事者会を立ち上げた失語症者と家族によるプレゼンテーション、地域で開催されている失語症の集い、片麻痺クッキングなどを配信します。各会場では動画配信のあと、交流会や失語症者支援の勉強会を開催します。全国最大規模の失語症の日イベントとして、18法人・団体の後援、5社の協賛をいただき運営します。

ことばの天使ほか2社と当イベントを共催するユースタイルラボラトリー株式会社は、全国およそ100カ所で展開する重度障害者向けの在宅介護「重度訪問介護サービス」事業所や訪問看護事業所、訪問介護事業所を通じて、イベントの告知を各エリアでおこなうほか、東京本社を含む５事業所（東京・名古屋・大阪・神戸・福岡）をイベント開催会場として提供します。

主催：失語症の日実行委員会（共催）

ことばの天使株式会社/ニューロテック メディカル株式会社/ユースタイルラボラトリー株式会社/NPO法人Reジョブ大阪

後援：株式会社朝日新聞社/大阪地域医療連携合同協議会/一般社団法人回復期リハビリテーション病棟協会/言語生活サポートセンター/一般社団法人全国介護事業者連盟/一般社団法人全国デイ・ケア協会/チーム医療推進協議会/ 就労継続支援B型事業所 トークゆうゆう/公益社団法人日本医師会/一般社団法人日本介護支援専門員協会/一般社団法人日本言語聴覚士協会/一般社団法人日本高次脳機能学会/特定非営利活動法人日本失語症協議会/一般社団法人日本脳卒中学会/公益社団法人日本脳卒中協会/一般社団法人日本訪問リハビリテーション協会/日本メロディックイントネーションセラピー協会/公益社団法人日本理学療法士協会

協賛：アクセスライフ株式会社/株式会社AGRI CARE/Ghoonuts株式会社/言葉をつむぐ会/株式会社星湖舎 (五十音順)

会場：北海道、宮城、東京、静岡、愛知、京都、大阪、兵庫、鳥取、香川、福岡など全国17会場で実施します。

失語症の日実行委員会のホームページ

■医療福祉従事者向け勉強会「在宅医療とケアを繋ぐユースタイル勉強会」

失語症の日4月25日に開催予定の専門職セミナー

失語症のリハビリに欠かすことのできないことばの専門家である言語聴覚士は、地域において慢性的に不足しています。このため、ことばの障害がある人や家族は、病院を退院して自宅に戻った後「言語聴覚士がいない」ために適切なサポートを受けることができずにいます。こうした社会課題を解決するためには、医療・福祉に携わる多職種の方が、ことばの障害について知識をつけ、言語聴覚士不在でも、ある程度の支援が可能になることが必須だと考えています。言語聴覚士自身も、「多職種の方に、ことばの障害と支援のコツについてわかりやすく伝える」ことを学ぶ必要があります。

ことばの天使とユースタイルラボラトリーは、年間を通じて言語聴覚士の支援スキルの要素を、訪問看護師、介護士、作業療法士といった他の専門職や若手言語聴覚士に伝えることを目的に、オンラインセミナー「在宅医療とケアを繋ぐユースタイル勉強会」を企画しました。

2025年１月からスタートしましたが、毎回500名以上の申込をいただき「明日から現場で使える実践的な内容」と大変好評をいただいています。実際に、看護師、言語聴覚士、介護士、作業療法士、医師など普段は共に学ぶ機会が少ないとされる多職種間でのナレッジ・スキルの共有と交流が促進されています。

「在宅医療とケアを繋ぐユースタイルケア勉強会」を毎月開催中　

■AIと言語聴覚士によるハイブリッドリハビリテーション「Speech Link」を開発

ことばの天使株式会社は、「失語症の地域支援プロジェクト」の一環として、AIを活用し、失語症者のリハビリ機会を拡充する画期的なアプリと、経験豊富な言語聴覚士による伴走がセットになったハイブリッド型のパッケージを開発します。中核となるWebアプリには、最新のChatGPT Realtime APIを組み込むことで、発話されたキーワードを瞬時に解析し、適切な言葉や文章を提案し、会話を促します。

1）特長

いつでもどこでも言語リハビリが可能に
通院の必要がなく、ご自宅や外出先からスマートフォンやタブレット、PCで簡単にアクセスできます。時間や場所の制約から解放され、ご自身のペースでリハビリが可能です。

AIと言語聴覚士のハイブリッドサポート
専門知識を持つ言語聴覚士による個別評価とプランニングに基づき、AIがリアルタイムフィードバックで、24時間いつでも伴走します。これは、言語聴覚士不足の解決策にもなります。

2）操作イメージ

インストール不要のWebアプリなので、スマートフォンやノートパソコンなど、デバイスを選びません。ログイン後3ステップでAIにアクセスできます。サンプル画面には、2つのモードがあることがわかります。

最初の「宿題モード」は、初回のアセスメントで、言語聴覚士との間でテーマを設定し使うことができます。例えば「自己紹介」を設定した場合、自己紹介に関連する話題がAIから次々と振られます。1日5〜10分の想定です（上限は10分/1日）。その一方、「フリートークモード」も搭載しており、これは20分まで、自由なトピックスで会話ができます。

「宿題モード」では、会話が終了した直後に、語の多様性、発話明瞭度など5つの軸で会話を分析してくれます。このように、データが蓄積されていくことで、日、週、月という任意の間隔での比較が可能になり、モチベーション向上にも繋がっていきます。

そして、初歩的な操作だけで誰でも簡単に使えるインタフェースを目指して設計しており、失語症者本人や家族、リハビリスタッフが連携しながら使うことも可能です。

3）開発スケジュールとクラウドファンディング

2025年春からベータ版による実証実験版を複数利用者に提供開始し、利用者からのフィードバックをもとに改良を重ねます。3月24日から開始のクラウドファンディングでは、さらなる開発資金と運用資金として200万円、マーケティング費用として150万円を募り、2025年7月の正式リリースを目指します。支援者には先行体験プログラムやイベント参加権を提供予定です。

クラウドファンディングサイト

■本プロジェクトについて関係者のコメント（五十音順）

ことばの天使株式会社　代表取締役/NPO法人Reジョブ大阪　代表理事　多田　紀子

失語症は長期にわたって改善する障害であると、検証されているにも関わらず、現在、多くの方がリハビリを継続できない状況にあります。また周囲の方の理解が少ないために、学校や職場で困っている方も多いです。これらを解決するためには、ご本人がリハビリを継続できること、サポートできる人が増えること、失語症について知ってもらうこと、3つすべて必要だと考えます。

一般社団法人　日本言語聴覚士協会会長 内山 量史

言語聴覚士はコミュニケーションや飲み込みに問題を抱える方々を支援する専門職です。医療、介護、福祉の領域で障害のある方々の自立支援や社会参加を支えています。しかし、専門職でありながら処遇の関係で、他職種へ転職する場合が多いのが現状です。このままでは、質の維持・向上が困難となり、支援を必要とする方々に十分なサービスも提供できなくなる恐れがあります。言語聴覚士にとっても、働きやすい社会環境となることを願っています。

特定非営利活動法人　日本失語症協議会理事長　園田　尚美

ことばの障害は、社会参加や就労に大きな影響を与えます。人権に関わる課題として、例えば、自己決定権や参政権があります。失語症者のように意思表出が難しい人は、自己決定能力を軽視されたり、認めてもらえない場合が多々あります。選挙に行くことも出馬することも困難です。失語症者が家庭内や地域社会の中で、自身が考えて決めた役割を果たして生きていけるように、支援の専門性を持った人が多く輩出されることを望みます。

ユースタイルラボラトリー株式会社　訪問看護事業部長 梅田 智起

ユースタイルラボラトリーは、障害福祉、医療と在宅支援分野のサービス提供において国内最大規模の運営事業者です。また、全国介護事業者の現場運営支援サービスもおこなっています。重度訪問介護を中心に難病や重い障害のある方への在宅ケアを提供する現場で、私たちは日々専門職人材不足を痛感しています。解決案として、訪問看護師や介護士が別の専門職の一部代替をすることで、業界全体の人材不足を補っていけるのではないかと考え、本プロジェクトではセミナーの企画運営および多職種の交流促進担当に手を挙げました。失語症に限らず、私たち在宅ケア事業者がハブとなって各領域に横串を通すことで、すべての必要な人が地域や在宅で必要なケアを受けられる社会の実現を目指します。

NPO法人Reジョブ大阪 理事 　石渡　達也

私自身も失語症を経験した者として、言葉を失う不安や苦労を痛感してきました。このプロジェクトには、アプリ開発の面で参加しています。 失語症の方々が日々リハビリに励む中で、少しでも支えとなり、前に進む力になれたらと心から願っています。 皆さんと一緒に頑張っていきましょう！

ユースタイルラボラトリー株式会社について：

「すべての必要な人に、 必要なケアを届ける。」をミッションに、在宅ケア・障害福祉サービスを全国に提供しています。365日24時間医療的ケアを提供する障害者向け重度訪問介護を国内最大規模で運営するほか障害者グループホームや訪問看護など多様なサービスを拡大。近年は、フランチャイズ事業や経営サポートサービスを通じて、医療・福祉業界全体のDX化や収益性向上にも取り組んでいます。

名称：ユースタイルラボラトリー株式会社（代表：大畑 健）

本社　〒164-0012　東京都中野区本町1-32-2　ハーモニータワー18階

コーポレートサイト： https://eustylelab.co.jp/

サービスサイト：https://care.eustylelab.co.jp/

ことばの天使株式会社について：

言語聴覚士によるオンラインセラピーをはじめ、言語聴覚士の講師の育成にも注力する一方で、AIを利用したトレーニングアプリを開発し、コミュニケーション支援の可能性を追求しています。キャリアを重ねた言語聴覚士が多数在籍し、失語症・高次脳機能障害、発達障害、舌がんなど、ことばでお困りの方を対象に、オンラインでリハビリを支援する「スピーチコネクト」（旧「ことばの天使」）及び、オンラインでセラピーを行う講師育成講座「スピーチアカデミー」を展開し、支援者のキャリア・サポートを行います。「ことばは社会との架け橋」をモットーに、サポートを受ける方、提供する双方を支援する体制をとることで、コミュニケーションの喜びを社会全体で共有できる未来を目指します。

名称：ことばの天使株式会社（代表：多田紀子）

本社：〒53４-0025　大阪府大阪市都島区片町1-5-13　大手前センチュリービル4階

ホームページ: https://peraichi.com/landing_pages/view/kuruminomorionline/