新人弁護士とベテラン弁護士の対話型ケーススタディ『会社法務のチェックポイント』本日2/12刊行!
失敗から学ぶ!間違わない会社法務の基礎・基本
株式会社弘文堂(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鯉渕友南)は、若手弁護士のための法律実務の入門書『会社法務のチェックポイント』を2019年2月12日に刊行します。
本書では、法律実務家が新規に事件の受任をする際に、事前に何を「勘所」としておくべきかを簡潔に確認でき、また、深く争点を掘り下げる際に、どの判例や論文、専門書を参照すればよいのかを効率的に調べる端緒となるものとして、実務処理の道標(チェックポイント)を示しています。
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【本書の概要】
本書では、役員人事や株主総会、株式の譲渡や相続、そして支配権争いなど、中小企業の顧問等で若手弁護士が悩みがちな会社関係の問題を幅広くピックアップしています。各論点ごとに設定されたケースと、それをめぐる新人弁護士と先輩弁護士との対話パートで法律相談における思考の順序のイメージをつかみ、続くチェックリストとそれに対応した解説内容を押さえれば、事前準備は万全です。関係裁判例の要旨を要約・整理した「参考判例」、そして会社法務に役立つ書籍をコメントとともに「会社法務のためのブックガイド」として紹介しています。
【本書の特徴】
●【Case】と【対話】で流れをイメージできる
事件類型ないし事件の各段階ごとに【Case】を設定し、新人弁護士ノボルが先輩弁護士たちと事件受任や事件処理にあたって議論をする【対話】パートが設けられています。新人弁護士が陥りがちな勘違いを先輩弁護士が優しく、そして厳しく指摘してくれる親しみやすい対話形式で、事件処理やそこに求められる思考の大まかな流れをつかむことができます。
●【Check List】で「落とし穴」への備えは完璧!
【対話】パートに続いて、本書の最大の特徴といえる【Check List】を設けており、紛争類型ないし事件の段階ごとの留意事項を効率的に確認することができます。突然、慣れない相談案件がきた場合でも、【Check List】の各項目を確認し、不安なチェック項目に対応する【解説】を読むことで、相談者に対して不安のない対応が可能となります。
●簡潔かつポイントを押さえた【解説】
【解説】は、判例の羅列や専門書の引用などは極力避けるようにして、結論をポイントのみ記載するように心がけました。そのうえで、必要に応じて参照すべき文献や判例についても記載しており、さらに深く検討したい場合にも有用な内容となっています。
●【ブックガイド】や【コラム】にも注目!
本書冒頭に【ブックガイド】を設けています。会社法務に関する必読文献について、各々の特長やおすすめポイントを記載しており、本書を足がかりとしてさらに調査を深めていただくための、良きガイドです。また、今さら聞けない基礎知識や弁護士が失敗しがちな「落とし穴」にクローズアップしたコラムも読みどころです。
【本書の内容】
ここでは、本書に掲載している一例を抜粋して紹介します。
〈CASE〉
X株式会社の代表取締役A(X社の大株主でもある)は、新規事業を始めるにあたり、その分野のトップランナーであるY株式会社の営業部長Bを引き抜くこととし、Bに対してX社取締役のポストと高額の報酬を提示して勧誘した。その結果、BよりX社に移ることにつき内諾を得た。そこで、Aは臨時株主総会を開催してBの取締役選任とBに対する報酬額につき総会決議を得た。Bは、X社の取締役に就任した。
しかし、Bが取締役に就任して新規事業を担当するようになってからも、Aが期待したほどには新規事業の売上は伸びなかった。AはBに失望し、Bに現在支払っている報酬は、高額すぎてBの働きに見合わないため、4割程度カットしたいと考えている。
〈対話〉
ノボル:Bの報酬額、すごいですね。うらやましいなぁ…。
兄弁:Y社から引き抜いたんだから、それくらい出す必要があるだろ。しかし、ほかの取締役の報酬額と比べて
もずば抜けて高いのに、よく決議が通ったな。定款には特に報酬の定めはなかったんだろうか。
ノボル:X社の定款を確認しましたが、株主総会で定めると書いてあるだけでした。
兄弁:その場合、報酬の減額も株主総会で決めればいいのかな?
ノボル:今の報酬額は株主総会の決議で決めたものなので、もう一回、株主総会の決議をして減額すればいいんじゃないでしょうか。
兄弁:Bが同意しなくても、一方的に減額できるのか?
ノボル:うーん、それもBがかわいそうですよね。Bとしては、それだけの報酬をもらえると思ってX社に来たのに。
兄弁:キミ、弁護士なんだから、「かわいそう」とかじゃなくて、もっと法的に分析してみろよ。取締役と会社の関係は法的には何なの?
ノボル:委任です。
兄弁:うん。報酬額の合意は委任契約の一内容だろ。
ノボル:はい。…あ、そうか!報酬の減額は契約内容の変更になるから、契約の両当事者の合意が必要ですね。
〈解説〉
1 取締役の報酬の決定手続
取締役の報酬については、会社の経営状態や当該取締役と会社との関係によっては無償の場合もあるが、通常は有償であり、会社から取締役に対し報酬が支払われている。では、会社が取締役に対して報酬を支払う場合、どのような手続を踏む必要があるか。
(1) 株主総会の決議株式会社と取締役との法的関係は委任であり(会330)、通常は、両者の間で報酬に関する何らかの合意がなされる。
この点、会社側が報酬合意に関して意思決定する場合、当該事項は会社の業務執行に属するから、本来は取締役会にて決定すべき事項とも思われる。しかし、取締役会にて決定すると、自ら不当に高額の報酬を定めてしまう「お手盛り」の危険があるため、会社法361条1項は、定款において報酬の額等を定めていない限り、株主総会の決議によって定めると規定している(参考判例①)。
そして、実務上、定款において報酬の具体的金額等を定めることは稀であり、「取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として当会社から受ける財産上の利益については、株主総会の決議によって定める。」などと定款に定めておき、株主総会の決議に委ねることが多い。そのため、通常は、取締役に報酬を支払うにあたっては、株主総会の決議を得ることになる。
【《実務の技法シリーズ》各タイトル】
《2019年2月12日刊行》
市川充=岸本史子 編著『債権回収のチェックポイント』
取引先の支払遅延から始まって、準備段階・法的手続の段階……と、事案の段階ごとに潜むさまざまな落とし穴を避ける勘所を伝授。
《2019年2月14日刊行》
髙中正彦=吉川愛 編著『相続のチェックポイント』
遺産分割、遺留分、相続放棄、遺言等の相続関連紛争に必須の実務知識を整理する。関連する相続法改正もコラムでフォローした最新版。
《2019年3月下旬刊行予定》
髙中正彦=加戸茂樹 編著『交通賠償のチェックポイント』
交通賠償に精通する弁護士が、基本的な考え方を、必読文献の紹介とともに、ていねいに説明する。
《以降続刊予定》
髙中正彦=安藤知史 編著『倒産処理のチェックポイント』
髙中正彦=岸本史子 編著『離婚のチェックポイント』
市川充=吉川愛 編著『不動産賃貸借のチェックポイント』
市川充=加戸茂樹 編著『労働のチェックポイント』
【書籍情報】
書名:会社法務のチェックポイント(実務の技法シリーズ1)
市川充=安藤知史 編著/美和薫=吉田大輔 著
判型:A5判
頁数:284頁
刊行日:2019年2月12日
定価:本体2,700円+税
ISBN:978-4-335-31381-3
発行元:弘文堂
URL:http://www.koubundou.co.jp/book/b432042.html
https://amzn.to/2RKlXSy
【本書の概要】
本書では、役員人事や株主総会、株式の譲渡や相続、そして支配権争いなど、中小企業の顧問等で若手弁護士が悩みがちな会社関係の問題を幅広くピックアップしています。各論点ごとに設定されたケースと、それをめぐる新人弁護士と先輩弁護士との対話パートで法律相談における思考の順序のイメージをつかみ、続くチェックリストとそれに対応した解説内容を押さえれば、事前準備は万全です。関係裁判例の要旨を要約・整理した「参考判例」、そして会社法務に役立つ書籍をコメントとともに「会社法務のためのブックガイド」として紹介しています。
【本書の特徴】
●【Case】と【対話】で流れをイメージできる
事件類型ないし事件の各段階ごとに【Case】を設定し、新人弁護士ノボルが先輩弁護士たちと事件受任や事件処理にあたって議論をする【対話】パートが設けられています。新人弁護士が陥りがちな勘違いを先輩弁護士が優しく、そして厳しく指摘してくれる親しみやすい対話形式で、事件処理やそこに求められる思考の大まかな流れをつかむことができます。
●【Check List】で「落とし穴」への備えは完璧!
【対話】パートに続いて、本書の最大の特徴といえる【Check List】を設けており、紛争類型ないし事件の段階ごとの留意事項を効率的に確認することができます。突然、慣れない相談案件がきた場合でも、【Check List】の各項目を確認し、不安なチェック項目に対応する【解説】を読むことで、相談者に対して不安のない対応が可能となります。
●簡潔かつポイントを押さえた【解説】
【解説】は、判例の羅列や専門書の引用などは極力避けるようにして、結論をポイントのみ記載するように心がけました。そのうえで、必要に応じて参照すべき文献や判例についても記載しており、さらに深く検討したい場合にも有用な内容となっています。
●【ブックガイド】や【コラム】にも注目!
本書冒頭に【ブックガイド】を設けています。会社法務に関する必読文献について、各々の特長やおすすめポイントを記載しており、本書を足がかりとしてさらに調査を深めていただくための、良きガイドです。また、今さら聞けない基礎知識や弁護士が失敗しがちな「落とし穴」にクローズアップしたコラムも読みどころです。
【本書の内容】
ここでは、本書に掲載している一例を抜粋して紹介します。
〈CASE〉
X株式会社の代表取締役A(X社の大株主でもある)は、新規事業を始めるにあたり、その分野のトップランナーであるY株式会社の営業部長Bを引き抜くこととし、Bに対してX社取締役のポストと高額の報酬を提示して勧誘した。その結果、BよりX社に移ることにつき内諾を得た。そこで、Aは臨時株主総会を開催してBの取締役選任とBに対する報酬額につき総会決議を得た。Bは、X社の取締役に就任した。
しかし、Bが取締役に就任して新規事業を担当するようになってからも、Aが期待したほどには新規事業の売上は伸びなかった。AはBに失望し、Bに現在支払っている報酬は、高額すぎてBの働きに見合わないため、4割程度カットしたいと考えている。
〈対話〉
ノボル:Bの報酬額、すごいですね。うらやましいなぁ…。
兄弁:Y社から引き抜いたんだから、それくらい出す必要があるだろ。しかし、ほかの取締役の報酬額と比べて
もずば抜けて高いのに、よく決議が通ったな。定款には特に報酬の定めはなかったんだろうか。
ノボル:X社の定款を確認しましたが、株主総会で定めると書いてあるだけでした。
兄弁:その場合、報酬の減額も株主総会で決めればいいのかな?
ノボル:今の報酬額は株主総会の決議で決めたものなので、もう一回、株主総会の決議をして減額すればいいんじゃないでしょうか。
兄弁:Bが同意しなくても、一方的に減額できるのか?
ノボル:うーん、それもBがかわいそうですよね。Bとしては、それだけの報酬をもらえると思ってX社に来たのに。
兄弁:キミ、弁護士なんだから、「かわいそう」とかじゃなくて、もっと法的に分析してみろよ。取締役と会社の関係は法的には何なの?
ノボル:委任です。
兄弁:うん。報酬額の合意は委任契約の一内容だろ。
ノボル:はい。…あ、そうか!報酬の減額は契約内容の変更になるから、契約の両当事者の合意が必要ですね。
〈解説〉
1 取締役の報酬の決定手続
取締役の報酬については、会社の経営状態や当該取締役と会社との関係によっては無償の場合もあるが、通常は有償であり、会社から取締役に対し報酬が支払われている。では、会社が取締役に対して報酬を支払う場合、どのような手続を踏む必要があるか。
(1) 株主総会の決議株式会社と取締役との法的関係は委任であり(会330)、通常は、両者の間で報酬に関する何らかの合意がなされる。
この点、会社側が報酬合意に関して意思決定する場合、当該事項は会社の業務執行に属するから、本来は取締役会にて決定すべき事項とも思われる。しかし、取締役会にて決定すると、自ら不当に高額の報酬を定めてしまう「お手盛り」の危険があるため、会社法361条1項は、定款において報酬の額等を定めていない限り、株主総会の決議によって定めると規定している(参考判例①)。
そして、実務上、定款において報酬の具体的金額等を定めることは稀であり、「取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として当会社から受ける財産上の利益については、株主総会の決議によって定める。」などと定款に定めておき、株主総会の決議に委ねることが多い。そのため、通常は、取締役に報酬を支払うにあたっては、株主総会の決議を得ることになる。
【《実務の技法シリーズ》各タイトル】
本書を、紛争類型別の法律実務入門シリーズ《実務の技法シリーズ》の第1巻として刊行いたします。本シリーズではこのほか、以下のタイトルの刊行を予定しています。
《2019年2月12日刊行》
市川充=岸本史子 編著『債権回収のチェックポイント』
取引先の支払遅延から始まって、準備段階・法的手続の段階……と、事案の段階ごとに潜むさまざまな落とし穴を避ける勘所を伝授。
《2019年2月14日刊行》
髙中正彦=吉川愛 編著『相続のチェックポイント』
遺産分割、遺留分、相続放棄、遺言等の相続関連紛争に必須の実務知識を整理する。関連する相続法改正もコラムでフォローした最新版。
《2019年3月下旬刊行予定》
髙中正彦=加戸茂樹 編著『交通賠償のチェックポイント』
交通賠償に精通する弁護士が、基本的な考え方を、必読文献の紹介とともに、ていねいに説明する。
《以降続刊予定》
髙中正彦=安藤知史 編著『倒産処理のチェックポイント』
髙中正彦=岸本史子 編著『離婚のチェックポイント』
市川充=吉川愛 編著『不動産賃貸借のチェックポイント』
市川充=加戸茂樹 編著『労働のチェックポイント』
【書籍情報】
書名:会社法務のチェックポイント(実務の技法シリーズ1)
市川充=安藤知史 編著/美和薫=吉田大輔 著
判型:A5判
頁数:284頁
刊行日:2019年2月12日
定価:本体2,700円+税
ISBN:978-4-335-31381-3
発行元:弘文堂
URL:http://www.koubundou.co.jp/book/b432042.html
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