第14回 シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション 応募数は過去最多の昨年に引き続き今年も1200件以上 応募作品1206点より、受賞作品10点が決定!
喜多俊之氏、後藤陽次郎氏、中村勇吾氏、原研哉氏、深澤直人氏の豪華審査員を迎えて開催!
今回は、『「 」を表すしるし』をテーマとし、自由な発想で「 」を埋め、そのしるしを表すアイデアを募集しました。今回の応募作品総数は、過去最多の昨年の応募数1282点と並ぶ、1206点の応募があり、そのうちの10点を受賞作品として決定しました。
受賞作品一覧 |
グランプリ 1作品(賞金300万円)
「My Face Stamp」 ―「心」を表すしるし(姫野 剛)
準グランプリ 2作品(賞金50万円)
「はる、しるし」 ―「出会い」を表すしるし(富岡啓祐)
「重さを示す印鑑」 ―「行為の重さ」を表すしるし(大沢拓也、須藤 哲)
審査員賞 5作品(賞金20万円)
喜多賞 「SHACHIHATA CARD」 ―「身軽さ」を表すしるし(坂本俊太、吉岡俊介、安達 岳)
後藤賞 「BARCODE TAPE」 ―「隠された情報」を表すしるし(広川楽馬、迫 健太郎、中塩屋祥平)
中村賞 「学びの記憶」 ―「日々の研鑽」を表すしるし(小髙浩平)
原賞 「筆跡えんぴつ」 ―「特性」を表すしるし(石川和也)
深澤賞 「光のしるし」 ―「正確な位置」を表すしるし(矢島章亜)
特別審査員賞 2作品(賞金20万円)
「秘密の質問」 ―「秘密」を表すしるし(若田勇輔、内山智義、村山周平)
「料理のための落款印」 ―「私の料理」を表すしるし(渥美 航、佐野千畝、吉成真里)
シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティションとは |
シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティションは、シヤチハタ株式会社が1999年から10回にわたり開催してきたプロダクトデザインのコンペティションです。2008年を最後に一旦休止していましたが、2018年に10年の年月を経て再開しました。
第14回となる今年は、『「 」を表すしるし』をテーマとし、自由な発想で「 」を埋め、そのしるしを表すアイデアを募集いたしました。今回の応募作品総数は、過去最多の昨年の応募数1282点と並ぶ、1206点の応募があり、そのうちの10点を受賞作品として決定しました。
審査員 コメント |
喜多俊之 Toshiyuki Kita
プロダクトデザイナー
喜多俊之デザイン研究所 代表
イタリアやドイツ、日本のメーカーから家具、家電、ロボット、家庭日用品に至るまでのデザインで、多くのヒット製品を生む。作品の多くがニューヨーク近代美術館、パリのポンピドーセンターなど世界のミュージアムにコレクションされている。著書に『デザインの力』(日本経済新聞出版社)、『地場産業+デザイン』(学芸出版社)、『デザインの探険』(学芸出版社)など。
~審査コメント~
テクノロジーの時代らしい「しるし」の捉え方の変化と、人間の尽きることない発想力を感じたコンペだった。判子が古代から今日まで脈々と伝わってきた理由として、シンボルに対する人間の心理が深く関わっているように思う。モノとしての機能はもとより、しるすという行為がもたらす精神的な作用を掘り下げていくと、このテーマはさらに発展の余地があるのではないだろうか。プロダクトは世の中に受 け入れられ、浸透していくことが命題であるので、この受賞作の中からヒット作が生まれることを期待している。
後藤陽次郎 Yohjiro Gotoh
デザインプロデューサー
デザインインデックス 代表
1994年にロンドンの「ザ・コンランショップ」を日本に導入し、商品構成からオリジナル商品の開発、デザインディスプレイの監修などを行う。その他「ペプシマン」、元麻布ヒルズ、六本木ヒルズレジデンスのモデルルームのインテリアコーディネイト、“二期倶楽部 東館”の総合プロデュースなど多方面で活躍。
~審査コメント~
全体的に『「 」を表すしるし』という今回のテーマを生かしている応募作が多かったように思う。感情や気持ちを伝えるものから作った料理に押す印鑑まで、銘々に伝えたいメッセージをカギカッコに上手く捉えており、意図を汲みながら楽しんで見ることができた。毎年応募作の傾向として前年の受賞作の影響を受けたものが散見されるが、その中でも前例に捉われない新鮮な作品がいくつか見られたことは嬉しく、また頼もしくも感じた。そこに応募者の意識の高さが感じられ、クオリティも総合的にレベルアップしている印象を受けた。
中村勇吾 Yugo Nakamura
インターフェースデザイナー
tha ltd. 代表
ウェブサイトや映像のアートディレクション、デザイン、プログラミングの分野で横断/縦断的に活動を続けている。主な仕事に、ユニクロの一連のウェブディレクション、KDDIスマートフォン端末「INFOBAR」のUIデザイン、NHK Eテレ「デザインあ」のディレクションなど。
~審査コメント~
SNDCは、未来のビジョンを示すと同時に現時点でのプロダクト化を可能とする、独特のバランスが求められるデザインコンペだが、今回は全般的にその点が良かった。モノが示すビジョンとして面白く、また素直に欲しいと思うものが数多くあり、見応えがあった。これまでは絵に描いた餅のような、企画の面白さだけで勝負するものが目立ったが、今回は地に足がついた作品が多く見受けられ、精度が高まって来ている のを感じた。商品化された受賞作が売れていると聞き、この審査が世の中のニーズと合致していることに喜びと安堵を感じている。
原研哉 Kenya Hara
グラフィックデザイナー
日本デザインセンター 代表
デザインを社会に蓄えられた普遍的な知恵ととらえ、コミュニケーションを基軸とした多様なデザイン計画の立案と実践を行っている。無印良品、蔦屋書店、GINZA SIX、JAPAN HOUSE、らくらくスマートフォン、ピエール・エルメのパッケージなど活動の領域は多岐。
一連の活動によって内外のデザイン賞を多数受賞。著書『デザインのデザイン』(岩波書店刊、サントリー学芸賞)『白』(中央公論新社刊)は多言語に翻訳されている。
~審査コメント~
今年は、輪郭の中に2、3文字が入っているいわゆる判子の世界とは少し離れたところのアイデアが出てきた。シヤチハタの新しい世界を開くような、従来のネーム印から発想が離陸し始めたことを感じられる作品が多く、審査も楽しかった。電子化が進んだとはいえ、電子の世界で判子を押してもつまらない。幸せはフィジカルな世界にあるということがこのコンペで実証されつつあり、そこにまだ可能性があると思う。今日の社会に鑑み、従来のIからWeへの主語変換が必要とされる中で、印鑑もその視点で考えれば開拓の余地がありそうだ。
深澤直人 Naoto Fukasawa
プロダクトデザイナー
NAOTO FUKASAWA DESIGN 代表
卓越した造形美とシンプルに徹したデザインで、国内外の大手メーカーのデザインとコンサルティングを多数手がける。電子精密機器から家具、インテリアに至るまで手がけるデザインの領域は幅広く多岐に渡る。デザインのみならず、その思想や表現などには国や領域を超えて高い評価を得ている。受賞歴多数。
2018年3月作品集「Naoto Fukasawa EMBODIMENT」(Phaidon)発刊。
~審査コメント~
今回は、人間の感受性に素直に訴えて成功した作品が、グランプリ、準グランプリに選ばれたと思う。全体としてはごてごてしたアイデアや非現実的なものが減り、さらっと強く、はっきりとした提案をする人が増えた。それだけコンペのレベルが上がり、選定も難しくなったと言える。また、これまでの応募作は感情的なものが多かったが、その手の作品が少なくなったことは、個人的にはいい傾向だと思っている。伝統的な儀式としての押印を重んじつつ、IT化に踏み込んだシヤチハタのマインドを、応募者が きちんとキャッチアップしていると感じた。
受賞作品 |
グランプリ
My Face Stamp
-「心」を表すしるし
姫野 剛 Tsuyoshi Himeno
押印は物事を進める上で重要なコミュニケーションであり、そこには決意や熱意、感情など、押印する人の「心」がある。「My Face Stamp」は、表情の印影で心を表し、伝える電子印鑑。非対面でのコミュニケーションが増えたことにより、難しくなった気持ちの伝達を手助けする。
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「SNSスタンプ全盛の昨今の潮流を考えれば、顔の判子という発想は自然な流れであり、なぜ今までなかったのかと思う。自分を最もストレートに表す顔が、印影だけで非常に上手く表現されている」(深澤) 「ネット上で顔のアイコンが増えてきた中で、顔の判子はネットの文化が一回りして現実空間に戻ってきたような、不思議な魅力がある」(中村)
「文字がない判子という点が、シヤチハタの可能性を広げる気がした。イラストではなく写真を使うところもいい。サイズや形を変えれば大小さまざま顔が表現でき、いくつも押して集合体にすることで、判子従来のIに代わりWeの概念を表現できるところに魅力とポテンシャルを感じる」(原)
準グランプリ
はる、しるし
-「出会い」を表すしるし
富岡啓祐 Keisuke Tomioka
「押す」ではなく、「貼る」しるし。印を押すとき、あるいは自分の名前をしるすとき、それは人との出会いや、物や時との出会いのとき。しるす度に長さを変えていき、視覚と手触りでその経験を体感する。そんな「はる、しるし」の提案。
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「付箋の延長の感覚で、現実的なニーズがありそう。何より佇まいがいい。朱い塊で、それを薄皮一枚めくっていくと、どんどん減っていくというモノとしての成り立ちが面白い」(中村)
「シールを貼るという、押すとは違うしるしのつけ方がいい。独特の朱の塊は、剥き出しのリップスティックのような存在感がある」(原)
重さを示す印鑑
-「行為の重さ」を表すしるし
大沢拓也 Takuya Ohsawa
須藤 哲 Satoshi Sutoh
電子印鑑が普及し、クリックひとつで手軽に押印できるようになった反面、印鑑が本来持つ重みや重要性を感じることが難しくなってきている。金属の削り出しで印鑑の形を六角柱型に仕上げることで、質感や重量感、陰影によってずっしりとした印象を与え、行為の重要性を感性に訴える。
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「押印という厳粛な儀式を簡便化しプラットフォームを構築したシヤチハタの、原点回帰のような提案である点が興味深い」(深澤)
「物理的な切り口で印鑑が持つ心理的な重みを再確認させる作品」(喜多)
「プロトタイプも上手くできていた。押しやすく、精度が高い」(後藤)
審査員賞
喜多賞
SHACHIHATA CARD
-「身軽さ」を表すしるし
坂本俊太 Shunta Sakamoto
吉岡俊介 Shunsuke Yoshioka
安達 岳 Gaku Adachi
(チーム名:ノボリトクダリ)
カード状の印鑑の提案。スポンジシートの版 面を持つカードは、側面に力を与えると立体 化し、従来の印鑑と同じように使える。電子化に伴い様々なものがカタチから解放されるなか、印鑑にも現代生活に沿った「身軽さ」 を与えることで「持っておきたいモノ」へ。
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「従来の判子の機能は維持しつつ、平面がパッと立体に変わる新規性。判子といえば立体という既成概念を取り払い、新しいスタンダードに成り得る可能性を秘めた、時代性を感じる作品」(喜多)
後藤賞
BARCODE TAPE
-「隠された情報」を表すしるし
広川楽馬 Rakuma Hirokawa
迫 健太郎 Kentaro Sako
中塩屋祥平 Shohei Nakashioya
(チーム名:JDS)
オリジナルバーコードを使ってテープを作成するサービス。バーコードには20字程の英文字を情報として記録できる。バーコードを伸ばしてテープにすることで、メッセージを入れて荷物の梱包に使ったり、名前や連絡先を記録してネームタグ代わりに使うことも可能。
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「テープの提案は意匠に寄ったものが多い中で、秘密めいたメッセージ性を持たせているところが新鮮。バーコード自体のデザインも美しく、汎用性が伝わるプレゼンテーションの仕方も良かった」(後藤)
中村賞
学びの記憶
-「日々の研鑽」を表すしるし
小髙浩平 Kohei Odaka
カーボンやトレーシングペーパー、PETを用 いた、筆跡を刻印する下敷き。学習した分だけ、赤く染まっていく。その赤は、学んだ時間の可視化であり、「日々の研鑽」を表すしるしだ。
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「自分の膨大な作業のログというしるしの解釈がユニーク。ノートの裏写りなど、誰しも子供の頃に経験したことがある記憶のいいところだけをパッキングしたポエティックな作品。使用体験としても楽しく興味深いものになっていると思う」(中村)
原賞
筆跡えんぴつ
-「特性」を表すしるし
石川和也 Kazuya Ishikawa
従来の鉛筆は2H、2Bなど文字で濃さが示さ れているため、鉛筆を使い始める小学生が選ぶにはわかりにくい。また鉛筆は試し書きができないため、芯の濃さを確認する術がない。 そこで芯の濃さをグリップに筆跡でしるし、直感的に芯の濃度がわかる鉛筆を考案した。
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「線の太さと濃度と、タイポグラフィ。これらの要素が一本の鉛筆の中で美しくデザインされている。いかにも審査員が賞を出しそうな作品だが、そのいかにものところをきちんと攻めてきたので、それに応える意味で術中にはまることにした」(原)
深澤賞
光のしるし
-「正確な位置」を表すしるし
矢島章亜 Fumitsugu Yajima
印鑑を「真っ直ぐ、正確に押す」ことを追求した提案。印影側面の傾斜部に設けたLEDにより、放たれた光が紙面に十字の基準線を描く。その光を目安にすることで、印影の傾きや位置を押す瞬間まで確認することができ、正確な位置への押印が可能になる。
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「少し距離がある時はぼわっとしていた光が、近づき的を絞っていくと、どんどんはっきりしていく。その光の動きが、この小さいモデルでよく表現できていると感心した。光と手の動きが連動しているため、押す行為も気持ちよいと感じた」(深澤)
特別審査員賞
秘密の質問
-「秘密」を表すしるし
若田勇輔 Yusuke Wakata
内山智義 Tomoaki UchiyamaIshikawa
村山周平 Shuhei Murayama
(チーム名:STY)
オンラインストアで秘密の質問に答えると、 判子になって届くサービス。秘密の質問が書かれた判子を押すと、その問に対する答えが印字される。自分しか知らない自分のこと、すなわち秘密を表すことにより、「自己に対する自己の証明」を可能にする。
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「パスワードの確認に使われるような質問と答えではなく、自分が尊敬する人や忘れられない思い出にまつわることを判子にし、大切な思いを詩的に物質として残せるところが良い。大切な人へのギフトにもなりそう」(岩渕)
料理のための落款印
-「私の料理」を表すしるし
渥美 航 Wataru Atsumi
佐野千畝 Chiune Sano
吉成真里 Mari Yoshinari
(チーム名:bench)
今は作った料理の写真をSNSで発信する人も多い。そこで料理の作り手を伝える、皿の縁に押す判子を提案。軟質シリコン層の印面は、食器の曲面にもきれいに押すことができ、料理に添えられた印は作品としての完成度の証にもなる。インクは食用色素を使用。
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「時流に合ったアイデアで、シヤチハタらしい判子の新たな展開が期待できる。食用色素インクの代わりに食品を用い、料理を付けて食べられるような使い方も想定したい。印影デザインが鍵になるか」(舟橋)
第14回 シヤチハタ・ニュースプロダクト・デザイン・コンペティション 概要 |
■応募受付期間:2021年 4月1日(木)~ 5月31日(月) 12:00
■テーマ: 「 」を表すしるし
自由な発想で「 」を埋め、そのしるしを表すプロダクトや仕組みなどをご提案ください。
なお、応募作品は未発表のオリジナル作品に限ります。
■参加資格:
・個人、グループ及び企業、団体。年齢、性別、職業、国籍不問
(ただし、日本語でのコミュニケーションが可能であること)。
・1次審査を通過した場合、2021年9月3日(金)までに、模型制作が可能であること。
・入賞した場合、2021年10月15日(金)18:00から東京都内で行われる表彰式に参加が可能なこと。
※1人または、1グループで複数作品の応募が可能です。
ただし、事前エントリーは1応募につき、1エントリーをお願いします。
■賞:グランプリ1作品(賞金300万円)、準グランプリ2 作品(賞金50万円)、
審査員賞5作品(賞金20万円)、 特別審査員賞2作品(賞金20万円)
※全ての受賞作品が、商品化の対象となります。また、本コンペの公式サイトで公開されます。
■一次審査提出物:プレゼンシート(サイズ:A3、枚数:1枚、形式:PDF、容量:10MB以内)
■審査基準:1.テーマの理解力|2.新規性・革新性|3. 商品化の実現性
■応募方法:公式サイト(https://sndc.design)よりご応募ください。
■表彰式:2021年10月15日(金)18時より
■主催:一般社団法人未来ものづくり振興会
■共催:株式会社美術出版社
■特別協賛:シヤチハタ株式会社
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