Ryu Matsuyama、初の東京キネマ倶楽部公演にて優河とのコラボ楽曲を披露!
Ryu Matsuyamaの計6公演に及ぶライブツアー『to get there』が、10月から12月にかけて全国で開催された。
9月にリリースとなった3rdフルアルバム『from here to there』を携えた今回のツアーは、前半の4公演をボーカルのRyuによる弾き語りソロ編成で、後半の2公演をバンド編成で実施。本稿では、優河 with 魔法バンドをゲストに迎えた、12月14日(水)の東京キネマ倶楽部でのライブの模様をレポートする。
老若男女を問わず幅広い客層が集まったライブ当日。もともとグランドキャバレーだったレトロな雰囲気が漂う場内には、今年の初夏にRyu Matsuyama×新代田FEVERで共催した3ヵ月連続ツーマン企画『hands』のときと同じく……いや、さらに壮大なスケールでMOND And PLANTSによる植物の装飾が施され、とても味わい深い空間が創られている。ともに魅力的な声を持つ2組の競演(※Ryu Matsuyamaのニューアルバムに優河は客演参加した)、果たしてどんな一夜になるのだろうか。
先にステージへ上がったのは、優河 with 魔法バンド。ドラマーの神谷洵平が体調不良のため、優河(Vo&Gu)、岡田拓郎(Gu)、千葉広樹(Ba)、谷口雄(Key)というドラムレスでの出演に急遽なったけれど、よりアコースティック感の強いこの変則的な編成も、今回ならではのグルーヴが楽しめるという点で貴重なものだったように思う。
どんなスタイルの演奏であれ、やっぱり優河の声はすごい。彼女が歌い始めると、一瞬にして会場の空気が変わる。スモークがほんのり漂う中、倍音成分や包容力を湛えた、それでいて余分な感情が乗りすぎていない独特の儚いボーカルをもって、まずは「やわらかな夜」「WATER」と、最新アルバム『言葉のない夜に』の収録曲を聴かせ、瞬く間にオーディエンスの度肝を抜いた。
「今日はRyu Matsuyamaのおめでとう会ということで、最後まで楽しんでいってください」
手短に挨拶を済ませ、続いては「さざ波よ」。優河のボーカルが一段と際立ち、天高く舞い上がっていくかのような伸びやかな歌声、その心地よすぎる響きに、思わずため息が漏れそうになってしまう。魔法バンドのメンバーも、彼女の類い稀な才能を楽しみながら寄り添っているように見える。程よく歪んだギターでスパイスを加える岡田、時に弓を用いてウッドベースを弾く千葉、多彩な鍵盤で彩りを添える谷口。3人がドラムの穴をうまく補うアンサンブルは、その名のとおり魔法的な耳当たりだ。
「sumire」ではオルタナフォーク、「手紙」ではメロウネス、「空想夜歌」では精霊のような存在感。さまざまな表情を見せる優河の歌唱を聴くうち、会場にいた人のほとんどが心の中をサーッと洗われるような、得も言われぬ陶酔を覚えたはず。この深いやさしさを帯びた歌声は、単純に“透明感がある”と形容するのも違うし、一朝一夕で身に付けられるものではない。
“いつか夢で見ていた世界”というリフレインが印象的な「夜明けを呼ぶように」を、まさに暁を思わせる落ち着いた照明の中で披露すると、「いなくなった人のことを想う歌が多いので、なんだか違う意味になっちゃいそうだけど。来週のライブ(Ryu Matsuyamaとのツアーの大阪公演)は神谷さんが居てくれるといいな。みなさん祈っていてください」と冗談交じりに話す場面も。
その後も、最新曲「people」やドラマ『妻、小学生になる。』の主題歌として書き下ろした「灯火」などを余韻たっぷりに届けた優河。オーディエンスはじっと聴き入ったり身体を揺らしたりしながら、夢のようなひと時を楽しんだ。
次は、いよいよ主役のRyu Matsuyama。英語詞で歌う冒頭の「snow」から、こちらもRyu(Vo&Pf)の声が絶大なインパクトを放つ中、Tsuru(Ba&Cho)とJackson(Dr&Cho)はその美しさを活かしつつ、冬の空気感がイメージできるひんやりとした音を丁寧に重ねていく。
「Blackout」に入るとリズムにファンキーさが増し、Ryu Matsuyamaのライブならではのカッコよさが会場全体に広がった。アコースティック寄りだった優河 with 魔法バンドのあとだけに、リュウマツの演奏は楽器の鳴りがいっそうパワフルに感じられるし、約半年前のツーマン企画のときに比べ、3人の繰り出す音にメリハリと奥行きが増した印象だ。初出演となった東京キネマ倶楽部の雰囲気も、Ryu Matsuyamaのサウンドにすごく合っている。
ドラマ『オールドファッションカップケーキ』の主題歌として今年大いに話題を呼んだ「blue blur」も、客席から起こる手拍子に乗せ、リラックスした感じでプレイ。
ブラスアレンジを織り込んだポップな「kepler-452b」も颯爽と披露され、Ryuの恍惚のファルセット、ピアノ×ベース×ドラムの屈強なアンサンブルはどんどん輝きを増す。優河やBIMをフィーチャーしつつ、Ovallのmabanua、関口シンゴ、Shingo Suzukiと共同制作した充実のアルバム『from here to there』を完成させられたことにより、おそらくバンドの土台みたいなものがグッと固まってきているのだろう。
「お越しいただき、ありがとうございます。喋り始めると調子に乗っちゃうから、曲をやりますね(笑)」
自分たちがあれこれ喋るよりも、『from here to there』の世界観にどっぷりと浸ってほしい。そして、できるだけたくさんの楽曲を聴いてもらいたい。この日のために時間を作って、会場まで足を運んでくれたお客さんに対し、Ryuをはじめとする3人はそんな想いを抱いていたのだと思う。どこか懐かしい感じのメロディが沁みる「all at home」以降は、ニューアルバムからのナンバーをふんだんに届ける展開に。
“遊び足りない”というフレーズが耳を惹く「reckless child」では、カオティックに炸裂したJacksonのドラムでバンドのフィジカル面が再び冴えわたるなど、後半になればなるほどメンバーからは多彩なアプローチが飛び出す。
流れるようにインスト曲「satellite」を聴かせたあと、優河が静かにステージへ登場。Ryuと優河のみの編成で、大切なコラボ曲「kid」が満を持して披露された。2人の美しい声がゆらめくように重なり、子供の頃に見ていた景色が鮮やかに蘇る。そんな贅沢な時間は、紛れもなくこの日のハイライトのひとつだった。
幻想的なバラード「you, as always」、ここぞのアンセムとなっていた「yet」を経て、ついにライブも大詰め。
「9月28日に『from here to there』というアルバムを出して、今回のツアーが『to get there』。“ここからそこへ、そしてそこへ行くために”というタイトルを付けました。ここに辿り着くまでにいろんな苦労もあったけど、3人でよく進んでこられたなと思いますし、こうやってみなさんの前で演奏できたことがすごく幸せです。本当にありがとうございました!」
Ryuがそう感謝を伝え、本編ラストはアルバム未収録の新曲「to get there」。Ryu Matsuyamaらしい壮大で柔軟なサウンドスケープが光る一方、“見てきた景色がぼやけてきたけど、もう一歩前に進もう”と歌うメッセージで貪欲な姿勢も窺わせてくれた。
アンコールでは、やっとゆっくり話す時間も。競演した優河を「10年来の仲なんですけども、あやつは本当に素晴らしいですね。モンスターみたいな声してますよ(笑)」と褒め称え、今回のツアーについても「いろんなところへ行って、いろんな方々に会って、人と会うってこんなに大切なんだなと改めて思わされました」と胸の内を明かすRyu。
最後の最後は、Ryu自身の複雑な気持ちだったり、人と関わること、お互いに理解し合うことの大切さを綴った「hands」を演奏。優河 with 魔法バンドとの写真撮影も済ませ、ハッピーなムードのまま終演を迎えた。
取材・文=田山雄士
撮影:丸山剛由
【セットリスト】
〈優河 with 魔法バンド〉
01.やわらかな夜
02.WATER
03.さざ波よ
04.sumire
05.手紙
06.空想夜歌
07.夜明けを呼ぶように
08.魔法
09.people
10.灯火
〈Ryu Matsuyama〉
01.snow
02.Blackout
03.HeartBeat
04.blue blur
05.kepler-452b
06.all at home
07.reckless child
08.satellite
09.kid feat. 優河
10.you, as always
11.yet
12.to get there
En01.hands
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