「小1の壁」で過半数が働き方の変更を検討
子育てと仕事の両立は大変(84.7%)と感じつつ、家計のために働く(87.8%)両立のための三要素は「配偶者の理解」「放課後の子どもの居場所」「職場の理解」
■WEBアンケート調査サマリー
調査詳細:https://npoafterschool.org/archives/news/2023/03/38990/
- 子どもの小学校入学にあたって過半数が「働き方の見直しを検討(50.7%)」、「子育ての負担(や悩み)が増えた(57.3%)」と回答
- 子育てと仕事の両立は大変(84.7%)と感じつつも、家計のために働く(87.8%)
- 子育てと仕事の両立のための三要素は「配偶者の理解(67.1%)」、「放課後の子どもの居場所(53.6%)」、「職場の理解(53.5%)」61.1%が子どもの放課後の過ごし方に悩む。子どもの放課後の充実に求めるものは「子どもだけで安全に遊べる場」、「友達と一緒に自由に遊べる場」(それぞれ51.6%)
■今回の調査の背景
小1の壁は、子どもの小学校入学を機に子どもの預け先に困り、子育てと仕事の両立が難しくなる社会的な課題です。保育園では延長保育がある場合が多いですが、公的な学童保育では通常18時が終了時刻という状況があります。また、小学生になると、時短勤務制がなくなる企業も多く、子どもの小学校入学を機に、働き方の変更を迫られる保護者が多くいるのが現状です。加えて、男性の育休取得率が低いように、日本では子育てへの参画に男女格差が未だ大きい状況です。今回の調査では、子育てと仕事の両立に課題を多く感じているだろう女性に焦点を当て、実態の調査を行いました。
■子どもの小学校入学で過半数が「働き方の見直しを検討」、「子育て負担感増」
子どもの小学校入学にあたって、過半数の方が「働き方の見直しを検討(50.7%)」、全体の37.9%が実際に働き方を変えたと回答しました。働き方を変えた人のうち約4割が、時短勤務に変更(27.4%)や正社員から別の雇用形態へ変更(12.4%)など、子育てと仕事のバランスや、子どもの生活リズムに合わせるため、柔軟な働き方を求めて就労形態を見直していました。
また、子どもの小学校入学によって「子育ての負担(や悩み)が増えた」と57.3%が回答。子育ての負担が増えた理由として、「子どもの勉強サポート(76.6%)」、「夏休みなどの長期休みのケア(73.1%)」など、保育園時代には経験が少なかった悩みが上位にあがりました。家事・子育てに費やす時間が増えた人の中には、「イライラする、ストレスを感じるようになった(66.7%)」や「自分の体調不良が起きた(26.5%)」といった心身の不調を感じるケースも見受けられました。
■ストレスを感じながらも働く理由は「家計のため(87.8%)」:両立の三要素は「配偶者の理解」、「放課後の子どもの居場所」、「職場の理解」
就労意欲についても調査したところ、84.7%が働きながら子育てするのが大変だと考えつつも、95.8%が今後も働き続けたいと考えていることが分かりました。また、働く理由は、自己実現(17.3%)やスキルアップのため(20.6%)ではなく、「家計のため」という回答が87.8%となりました。
小学生の子どもを持つ働く女性の多くが、子育てと仕事の両立に悩み、「小1の壁」で心身にストレスを感じながらも、家計を支えるために懸命に働いている姿が浮き彫りとなりました。そして、子育てと仕事の両立に必要なものを尋ねたところ、「配偶者の理解(67.1%)」、「放課後の子どもの居場所(53.6%)」、「職場の理解(53.5%)」が必要というニーズが得られました。
■保護者の声:放課後に「子どもだけで安全に遊べる場」、「友達と一緒に自由に遊べる場」を
子どもの放課後に関しては、61.1%の人が悩みを感じていると答えました。具体的な要望としては、半数以上が「子どもだけで安全に遊べる場」や「友達と一緒に自由に遊べる場」が欲しいと回答。「宿題や自主学習をみてくれる場(44.1%)」や「学校のなかでの習い事(41.8%)」にも要望が集まりました。また、放課後に学校施設を活用し、保護者の就労にかかわらず、希望する全ての子どもへの安心安全で、多様な体験機会と学びの機会のある居場所に対しては、78.4%が「通わせたい」と回答しました。
【学校施設を活用した放課後の居場所へのコメント】
- 学校という安心安全な場所で時間を過ごせることはとてもありがたい。中学年になると学童から追い出されるので居場所が必要。
- 夫婦ともにリモートワークでストレスフルなところに、夕方帰宅した子どもに話しかけられて、正直仕事が進みづらく、どこか安全安心な場所で仕事が終わるまで遊び+宿題などしてもらいたい。
- 親が日中就労していると、してあげられることに制限があり、様々なことを体験できる場があってほしい。
- 家にいるとゲームばかりになってしまうので、ゲーム以外のことをやってほしい。習い事の送迎が大変。
- 学童が利用できなくなる小4以上で、安全に過ごせるところが欲しい。
- サービス業の為、土日も仕事、日々長時間労働の為、子どもだけで過ごす時間が多く、子どもはただテレビ見るだけ、ゲームするだけ、の時間が多い。安心して預けられる場所があればありがたい。
- 居場所確保、時間の有効利用の意味で習い事に通わせているが、友達や家族以外の大人と安全に楽しく過ごすことも子どもの健全育成には必要。
■「小1の壁」という社会課題解決にむけて
放課後NPOアフタースクール代表理事の平岩国泰は、調査結果について次のように述べています。「子どもの小学校入学前後、多くの保護者が働き続けたいと願いながら、子育てと仕事の両立に悩みます。今回の調査が示すように、保護者の子育てと仕事の両立には、パートナーの理解、放課後の子どもの居場所確保、職場の理解が欠かせません。行政・企業・地域・家族、いずれのレイヤーにおいても両立に向けた取り組みが求められています。また、子どもの放課後は三間(サンマ:時間、空間、仲間)が失われたといわれて久しく、子どもたちの自主的な活動や、伸びやかな発育の機会が損なわれています。特に学童保育の待機児童は1.5万人以上存在するように、小学生の放課後の空間、居場所の不足はすぐに対処すべき喫緊の課題です。この社会課題をコストと時間をかけずに日本全国で解決する方策として、私たちが携わっている放課後における学校施設を活用した放課後の居場所づくりが、課題解決の一助となることを願っています。」
放課後NPOアフタースクールは、放課後に学校施設を活用し、保護者の就労にかかわらず、希望する全ての子どもへの安心安全で、多様な体験機会と学びの機会のある居場所「アフタースクール」を展開しています。全国の地方自治体や地域の方と協力して、それぞれの地域に合ったかたちで放課後の居場所づくりをご一緒させていただければと考えています。
「アフタースクール」の詳細は、こちらをご参照ください。https://npoafterschool.org/afterschool/
特定非営利活動法人 放課後NPOアフタースクールについて
「放課後はゴールデンタイム」をビジョンに、2009年に法人化。安全で豊かな放課後を日本全国で実現するため、学校施設を活用した放課後の居場所「アフタースクール」を運営。これまでに21校の開校・運営等に携わりモデルを展開しています。また、企業や団体と連携し、子育て・教育プロジェクトを実施するソーシャルデザイン事業も推進。これらの事業で培ったノウハウを日本全国に広げていくため、自治体と連携して放課後を豊かにする事業も本格的にスタートしました。事務所を東京都と大阪府に構え、スタッフ数320名、グッドデザイン賞4回・キッズデザイン賞5回受賞。活動に賛同くださる多くの方とともに、社会全体で子どもたちを守り、育む活動を加速させ、子どもたちのためのより豊かな放課後の実現に向けてチャレンジを続けています。
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