【イベントレポート】”地球に沿う”環境活動を総称した『アネシスMILJØ プロジェクト』発表会を開催しました。

株式会社アネシス

2025年6月30日 11時00分

　株式会社アネシス（熊本県熊本市、代表取締役：加藤龍也）は、2025年6月3日(火)に、
「アネシスMILJØ（ミリヨ）プロジェクト発表会」を九州大学大橋キャンパスにて開催いたしました。プロジェクト発表会では、株式会社アネシス常務取締役の薮内真由美と九州大学大学院芸術工学研究院の木藤健二郎准教授が登壇し、「アネシスMILJØプロジェクトのコンセプト」「MILJØプロジェクトで用いる分譲地開発における”土中環境”の可能性」「実証モデルハウスおよび分譲地の紹介」について発表しました。

アネシスMILJØプロジェクトのコンセプト

　MILJØ（ミリヨ）とは、ノルウェー語で「環境」を意味します。
　アネシスMILJØプロジェクトとは、『”地球に沿う”』をテーマにさまざまな環境活動を総称したプロジェクトです。
　その第一弾としてスタートするのは、より環境に配慮した外構、庭づくりの取り組みです。
九州大学大学院芸術工学研究院の木藤健二郎准教授（以下、木藤氏）による支援、そして熊本県阿蘇郡で造園業を営む株式会社古閑舎（熊本県阿蘇市一の宮町、代表取締役：古閑英稔）の共同で実現しました。
　はじめに薮内真由美（以下、薮内）が「アネシスMILJØプロジェクト」について発表しました。薮内は「私たち（アネシス）は一般企業ですが、商業的な価値だけでなく、地球に沿った持続的な地球環境を守っていくことをやっていきたい」と述べました。
「アネシスMILJØプロジェクト」開始にあたり、以下の3つの背景となる課題を挙げました。

①地下水保全
②SDGｓや災害対策など見えない価値の伝えづらさ
③分譲地や住宅そのものの価値向上

　そして、「住宅会社として環境のみならず、災害時にも安全に暮らしていけるような防災環境を家づくりから街レベル、そして未来に繋がるような取り組みとして”アネシスMILJØプロジェクト”をスタートさせました。」と説明しました。

MILJØプロジェクトで用いる分譲地開発における”土中環境”の可能性

　つづいて木藤氏から分譲地開発における”土中環境”の可能性について発表がありました。

木藤氏は「本プロジェクトの基本的な考え方として、土中の水のみちと地表の水のみちを作っていき、水の循環を改善し、より健全な土壌環境を構築することを基本的な考え方にしています。」と述べました。

土中の水のみち

「土中の水のみち」とは、一般的に土壌が固く水に浸透しにくいという課題に対し、以下の方法で解決を図るものです。

●杭を打ち、その穴に石や藁を詰める。

●「雨庭（あめにわ）」と呼ばれる、砂利と土を混ぜたスポンジ状の土壌を作る。

これにより、水や空気が土壌に浸透しやすくなり、菌糸が育ちやすい環境が整います。
結果として植物が元気に育ち、災害時の水害リスクも軽減できると考えられています。

地表の水のみち

「地表の水のみち」は、従来の雨水を側溝に集中させるシステムとは異なり、土中の水のみちを住宅地や街全体に分散配置し、都市型水害のリスクを低減します。

　木藤氏は「住宅単体だけでなく、街全体のスケールで水循環を改善し、緑豊かな環境と一体化した景観を創出することが”MILJØプロジェクト”の重大な目標として掲げられれば」と語ります。

実際に木藤氏が携わったノルウェーのプロジェクトを例に挙げられました。そこでは単なる雨水処理施設としてだけでなく、自然と共生し、人々に豊かな体験を提供する空間としてデザインされている住宅地と一体的に整備された公園をご紹介されました。住宅地に降った雨水が公園何の雨庭に運ばれる仕組みとなっています。ただ雨庭を作るのではなく、自然を育む土や土地の地形を活かしたランドスケープデザインが特徴です。

実証モデルハウスおよび分譲地の紹介

　イベントの最後に、薮内が実証モデルハウスと分譲地について紹介しました。

実証モデルハウスは、2025年6月に完成した「シャルムコート北区飛田7号地モデルハウス（熊本市北区飛田）」です。このモデルハウスは土地に杭を打ち込んだり、雨庭を設けて「水のみち」をデザインしている点が特徴です。

　実証分譲地は、2025年8月に完成予定の「アクアガーデン富合（熊本市南区富合）」です。

全9区画からなるこの分譲地は、分譲地全体でMILJØのコンセプトに基づいた外構デザインを施します。具体的には、雨水浸透を促す雨庭の導入、無機質なフェンスではなくウッドフェンスの採用、駐車スペースへの植栽ブロックの設置など、独自のルールを設けています。これにより、緑豊かな美しい街並みを目指しています。

発表後の質疑応答では多くの質問が寄せられ、熱気冷めやらぬ中で閉会となりました。

登壇者

薮内真由美

株式会社アネシス常務取締役

【略歴】

九州芸術工科大学大学院芸術工学専攻終了後、アネシスへ入社。

入社後は営業、設計を経て人事、経営企画、新規事業開発などを経験。

現在は経営戦略本部に所属。

2023年4月1日付、株式会社アネシス常務取締役就任

2024年11月11日に設立した「熊本未来股份有限公司」の代表を務める

木藤健二郎

九州大学大学院芸術工学研究院

環境設計部門准教授

【略歴】

慶応義塾大学、同大学院、カルフォルニア大学バークレー校大学院修了。

日本、中国、米国で働いた後、ノルウェーで11年間ランドスケープ設計に従事し、緑地、都市空間、緑地における雨水管理の設計・計画に携わる。ランドスケープデザイン、持続可能な地域社会のための環境設計を専門。現在は日本の大規模開発や典型的な宅地分譲地での応用・実装、その他地域の魅力をリンク・増強して、歩きたくなるような空間デザインに取り組んでいる。