AIが学校の副担任に——教育AIエージェント「fukutan」のβ版をリリース。ICU高校とともに実証実験中
学校で安心して使えるAIエージェントが、"副担任"のように先生をサポート
AIエージェントの安全運用プラットフォームの開発、運用を行う株式会社datagusto(本社:東京都、代表取締役:パー麻緒)は、副担任のように学びを支える教育AIエージェント「fukutan(フクタン)」のβ版(*1)をリリースしました。
fukutanは、教員の授業設計や生徒の習熟度に合わせた指導を支援するとともに、生徒が授業で分からない点などを質問・相談できる相手として、副担任のように学びの場を支えます。
2025年9月より国際基督教大学高等学校(ICU高校、*2)での実証実験を開始し、約100名の生徒が数学・国語などの授業で活用。「教員の作問・振り返りの負担が軽くなった」「授業内のつまずき把握が早くなった」などの声が寄せられています。2025年12月からは実証範囲を拡大し、古文、物理、探究など多教科へと展開しながら、さらなるサービス開発を進めてまいります。
*1: β版は、学校現場での運用検証を行いながら機能改善を進める提供形態です。
*2: 同校は、文部科学省によるスーパーグローバルハイスクール(SGH)指定に5年間取り組んだ実績を持ち、現在は独自のGlobal Learning Programsへと発展させてプログラムを展開しています。
fukutanサービスサイト: https://fukutan.datagusto.ai/

副担任AI「fukutan」とは
fukutanは、当社が開発した教育AIエージェントです。授業内外での教員・生徒とのやり取りを通じて、授業準備・課題作成・学習状況の把握など、授業運営に伴う業務を支援します。教員は、授業の組み立てや課題の内容を相談しながら作成できるほか、生徒の習熟度に合わせた課題を作成し、生徒ごとに出し分けることが可能です。生徒は、配布された課題に取り組み、フィードバックを受けたり、分からない点を質問・相談したりできます。
また教員は、生徒の回答や利用状況(学習ログ)をタイムリーに収集・分析し、授業計画の立案や改善に役立てることができます。事前に登録した情報や学習ログをもとに、教員がfukutanに指示することで、クラスの生徒一人ひとりの学習状況に応じた課題作成・配布を行うことが可能になります。
このように、fukutanは作問→配布→学習支援→可視化→個別最適化のサイクルを通じて、授業改善と学習支援を後押しします。

学校教育の今とこれからを支える|開発の背景
教育現場では、教員の業務負担が増大し、生徒一人ひとりと向き合う対話やフィードバックの時間を十分に確保しにくい状況が続いています。加えて、探究活動など「問いを立て、試行錯誤しながら学ぶ」授業が重視される一方、その過程を支える人的リソースは限られています。結果として、指導の質が担当者の経験や個人の工夫に依存しやすく、継続的な授業改善や、生徒の学習状況の把握が難しくなるケースもあります。さらに、知識を継承し、学校全体の指導力を支える経験ある中堅層の人材が不足していることも課題です。
一方で、生成AIの進展により、知識の獲得そのものは以前より容易になりつつあります。これからの学校教育には、知識のインプットに加えて、生徒が自分の考えを言語化し、深め、他者と対話しながら学びを発展させる力を育む支援が重要になります。
fukutanは、授業内外でのやり取りを通じて生徒の学習状況を把握し、教員の授業設計・課題作成・振り返りを支援します。生徒にとっては思考を整理し発展させる「壁打ち相手」となり、教員にとっては個別最適化と授業改善を進めるための補助線となることで、学びの深化と教員の省力化の両立を目指します。
“安心して使える生成AI”を目指して
AIエージェントの教育利用では、ハルシネーション(事実と異なる内容の出力)だけでなく、不適切・有害な内容の生成、個人情報や成績などの取り扱いに配慮が必要な情報の取り扱い、著作権への配慮など、複合的なリスクが指摘されています。fukutanは、当社のAIセーフティプラットフォーム「datagusto(データグスト)」を組み込み、静的なルール(定型フィルタや事前制約)だけでは拾いきれない“意図しない挙動”にも対応できるよう、利用状況に応じて制御を更新する動的ガードレールを設けています。具体的には、不適切表現の検知・抑制、個人情報の検知・保護、参照範囲の制限、ログの記録・監査とアラート、教員/生徒など役割に応じた権限制御を組み合わせ、学校の運用ルールに沿った形で、安心して活用できる環境づくりを支援します。
datagustoについて詳しくはこちら:
急速に広がるAIエージェントの「暴走リスク」を未然に防ぐ。AIセーフティプラットフォーム「datagusto」提供開始(プレスリリース)
現場の声|ICU高校での実証導入から
fukutanは、2025年9月より国際基督教大学高等学校(ICU高校)にて実証導入を開始しました。はじめは数学の授業で活用され、その後、国語へと展開。2026年2月までに、利用生徒数は約100名に至っています。
数学では、生徒ごとの理解度や回答傾向を踏まえた課題を配布し、生徒は授業中にAIと対話しながら解答・確認を進めました。教員は、生徒の回答や学習ログをもとに、クラス全体だけでなく一人ひとりの状況を把握し、必要に応じて課題の難易度や出題観点を柔軟に調整しています。
国語では、高校2年生向けの授業で『山月記』を題材に、作品理解を深めながらリライトし、原作と読み比べる活動を実施。AIとの対話を“材料”として用い、生徒同士の対話や、作品を批判的に捉える視点を育む学習につなげています。
また2025年12月からは実証範囲を拡大し、古文、物理、探究など多教科へと展開しながら、さらなる開発を進めてまいります。


数学の授業風景。AIと相談してもわからなかったところを教員がサポートする。


国語の授業風景。生徒同士が教え合いながら、AIとの壁打ちや作文に取り組んでいた。
【教員のコメント】
松坂 文 教頭・帰国生徒教育センター長
教育現場では業務の多くがアナログに残り、教員が“本来向き合うべき仕事”に十分な時間を割きにくい状況があります。私はICTの活用によって授業運営の無駄を減らし、その分、生徒と向き合う時間を増やしたいと考えてきました。そうした中で、当校卒業生であるパー・麻緒さんが開発する、授業で安心して利用できるAIエージェントを知り、試してみることにしました。
私が担当する数学では、海外滞在が長く第一言語が英語の生徒も多く、学力にばらつきが出やすい状況です。50分の授業ですべての生徒に個別対応するのは難しいため、理解が進んでいる生徒にはAIと対話しながら課題に取り組んでもらい、つまずいている生徒には段階を踏んだ支援ができる形を模索しました。学習ログが残り、後から「どこでつまずいたか」を把握できる点にも期待しています。
授業は、教員が教室の空気や生徒の状態を読み取りながら組み立てる“人の仕事”です。しかし、ベテラン教員が減る中で、若手が授業力を伸ばすための時間をどう確保するかが重要になります。AIが機械的な業務や整理作業を支えることで、若手教員が教材研究や授業設計に時間を使えるようになる。その土台づくりとして、fukutanの活用に可能性を感じています。
松尾 哲朗 教諭(国語科)
導入後は、授業設計の壁打ちや教材づくりの負担が軽くなりました。たとえば現代文では、文章比較のように生徒への問いかけの切り口が難しい場合でも、たたき台を速く作れるようになり、授業に合わせて調整する時間を確保できます。また、生徒が対話し、自分の考えを批判的に見直していくプロセスの中で、AIを“思考を進めるための相手”として活用できています。授業で、生徒にわかってほしいこと、実現してほしいことについて考えることに焦点化できました。探究的な活動では、どうしても生徒によって稼働の偏りが生まれ、グループの活動が見えにくくなることが課題でした。fukutanを使って取り組むことで、グループ内で「誰が何をして、どんな思考や学習を進めたのか」が可視化されます。結果として、教員側も状況を把握したうえで、より透明性のある評価と適切な指導につなげられるようになりました。国語という科目は、生徒の理解度を客観的に測ることが難しい分野だと感じています。しかし、fukutanでAIと対話しながら学習を進めることで、生徒が自らの考えをアウトプット(言語化)するプロセスが生まれます。これにより、曖昧だった理解が整理され、単なる正誤確認に留まらない、より本質的な読解へと導くことができたように思います。
fukutanをあなたの学校でも試してみませんか?
fukutanは現在、全国の高等学校を中心にPoC(一定期間の試験導入)実施校を募集しています。国語・数学・英語・理科・社会・探究など複数教科での活用を想定し、授業での使い方や運用設計を学校の状況に合わせてご提案します。
「先生・生徒の双方が安心できる環境で、生成AIを授業に取り入れたい」とお考えの学校関係者の方は、下記お問い合わせフォームよりご連絡ください。担当者より、導入までの流れ(説明→要件整理→PoC設計)や事例をご案内します。
国際基督教大学高等学校(ICU高校)について
国際基督教大学高等学校(ICU高校)は、帰国生教育に正面から取り組み、帰国生と国内生それぞれの長所を生かしながら、多様な生徒が共に学び理解を深める教育環境づくりを掲げる高校です。少人数や到達度別クラスなど、生徒一人ひとりを大切にする学びを特徴としています。2014年度には文部科学省のスーパーグローバルハイスクール(SGH)に指定され(5年間)、現在は独自のGlobal Learning Programs(GLP)としてプログラムを発展させ、探究・プロジェクトの学びを発表し合う場(GLP LEAP!等)も設けています。
学校名:国際基督教大学高等学校
校長:中嶌裕一
教頭:青山明子
教頭・帰国生徒教育センター長:松坂文
株式会社datagustoについて
株式会社datagustoは、自律的に行動するAIエージェントの信頼性確保と安全性向上に取り組む技術スタートアップです。AIエージェントの“意図しない挙動”によるインシデントを未然に防ぐ、AIセーフティプラットフォーム「datagusto(データグスト)」と、副担任のように学びを支える教育AIエージェント「fukutan(フクタン)」を提供しています。
創業者パー麻緒はPwCにおいてAIガバナンス領域の専門コンサルティングを担当し、Bay AreaのAlchemist Accelerator初の日本人女性起業家に選出されました。また、共同創業者でありCTOの中村達哉はWebデータマイニングを専門として大阪大学大学院で博士号を取得した研究者であると同時に、ヤフー(現LINEヤフー)で社内データ基盤に関するプロダクトの開発・運用を行った経験を持つエンジニアです。現在はdatagustoの開発を通じてAIエージェントの開発・運用を推進しています。
その技術力と事業性が評価され、英国政府のGlobal Entrepreneurship Programにも採択。国内ではリコー主催の統合型アクセラレータープログラム「TRIBUS 2020」に採択され、現在も複数の大手企業とパイロットプロジェクトを推進しています。
社名: 株式会社datagusto
代表: 代表取締役社長 パー麻緒
事業内容: AIエージェント信頼性プラットフォームの開発・提供
datagustoサービスサイト: https://datagusto.ai/
fukutanサービスサイト: https://fukutan.datagusto.ai/
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