「カスピ海乳酸菌」の便通改善作用および「免疫力スコア」の改善を確認
―日本農芸化学会 2022年度大会で発表予定―
フジッコ株式会社(本社神戸市:代表取締役社長執行役員 福井正一)は、「カスピ海乳酸菌(クレモリス菌FC株、※1)」の継続摂取による便通改善作用および免疫力スコア(※2)の改善を明らかにしました。この研究成果は、日本農芸化学会2022年度大会(会期:2022年3月15日(火)~18日(金)、Web開催)において発表いたします。
近年、乳酸菌をはじめとしたプロバイオティクスの機能性として、整腸作用の他に免疫賦活作用が報告されています。これまでにフジッコでは、「カスピ海乳酸菌」でも人を対象とした試験で便通改善作用や整腸作用を確認してきました(※3)。また、「カスピ海乳酸菌」を含むヨーグルトの摂取頻度が高いほど風邪が重症化しにくいこと(※4)、「カスピ海乳酸菌」の摂取により免疫細胞を活性化すること(※5)も明らかにしてきました。
今回の研究では、便秘がちな健常成人男女に、「カスピ海乳酸菌」を含む錠剤を4週間摂取してもらい、便通改善および免疫力スコアに及ぼす影響を調べることを目的として試験を行いました。免疫力スコアは、ストレスや病気、老化の影響を受けやすい免疫機能に絞り、複数の検査項目に基づき総合的に免疫力を評価できる指標であり、得点が高いほど免疫機能が総合的に良好であることを意味します。その結果、「カスピ海乳酸菌」の継続摂取により排便状況が改善するだけでなく、便中の乳酸菌数やビフィズス菌数が増加することが明らかになりました。さらに、キラーT細胞(※6)へ分化する特定の免疫細胞の数が少ない対象者のみを集めた層別解析により、「カスピ海乳酸菌」の継続摂取が免疫力スコアを高めることが明らかになりました。
これらの結果から、「カスピ海乳酸菌」は便通改善作用や整腸作用だけでなく、加齢に伴い減少する一部の免疫細胞の数を増加させることで、免疫機能を高める可能性が示されました。
■発表の詳細 「Lactococcus cremoris subsp. cremoris FC株の継続摂取が健常者の便通および免疫賦活作用に及ぼす影響」
日本農芸化学会2022年度大会(会期:2022年3月15日~3月18日、Web開催)発表日時:3月16日(水)13時00分
演題番号:2G06-01
【方法】疲れやすく、便秘傾向の20~71歳の男女88名を4つのグループに分け、それぞれに「カスピ海乳酸菌」を含まない錠剤(プラセボ群)、50 mg含む錠剤(低用量群)、75 mg含む錠剤(中用量群)、100 mg含む錠剤(高用量群)を4週間摂取してもらった。摂取前と摂取4週間後に、排便状況や便中の腸内細菌数、血中の免疫細胞数や抗体濃度を測定した。
【結果】「カスピ海乳酸菌」を含む錠剤の継続摂取によりすべての群で排便日数(図1)、排便回数の有意な改善が認められた。またプラセボ群と比べて中用量群で乳酸菌群数(図2)が、低用量群でビフィズス菌数の変化量がそれぞれ有意に増加したことから整腸作用を介して排便状況が改善することが示唆された。血中の免疫細胞数に関し、中用量群でのナイーブT細胞(※7)数が有意に増加したものの、他の免疫指標や感冒症状に関する体調アンケートの有意な改善は認められなかった。しかしながら、加齢に伴い低下することが報告されているCD8+CD28+ T細胞数が全被験者の平均値未満の被験者を集めて層別解析を行ったところ、プラセボ群と比べて中用量群でナイーブT細胞数およびCD8+CD28+T細胞数が有意に増加し、免疫力スコア(図3)の改善が認められた。
【結論】「カスピ海乳酸菌」を含む錠剤の継続的な摂取により、便通改善効果や腸内環境の改善が認められた。また、CD8+CD28+T細胞数が低値の被験者のナイーブT細胞、CD8+CD28+T細胞数を上昇させることで、免疫力スコアを改善し、免疫機能を高める可能性が示された。
(※1) 2021年3月の再分類により、学名はLactococcus lactis subsp. cremorisから Lactococcus cremoris subsp. cremoris に変わっています。
(※2) 東京医科歯科大学大学の廣川勝昱名誉教授と宇津山正典講師による評価方法。免疫力に関わる複数の免疫細胞の数や機能を1(低い)、2(中程度)、3(高い)の3段階でスコア化して合算した値で、得点が高いほど免疫機能が総合的に良好であることを意味する。
(※3) 第 67 回 日本栄養・食糧学会大会 (2013)で発表、戸田ら, 薬理と治療, 45(6), 989-997 (2017)
(※4) 後藤, Foodstyle21, 18(12), 160-163 (2014)
(※5) Kosaka A et al., Int immunopharmacol, 14(4), 729-723 (2012)
(※6) キラーT細胞:病原体やウイルスが感染した細胞を排除する働きを持つ免疫細胞。
(※7) ナイーブT細胞:ウイルスや病原菌が感染した細胞や腫瘍細胞がもつ抗原にさらされたことのないT細胞のこと。他の免疫細胞からの抗原刺激を受けることにより、活性化されウイルス感染細胞や腫瘍細胞を排除する。
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