ADX設計施工による環境共生型リゾート「MIRU AMAMI」 新たに14室の新宿泊棟がグランドオープン
ADXにとって初の「EARTH WALKER」シリーズの建築が完成!
この度、株式会社ADX(本社:福島県二本松市、代表:安齋好太郎)が株式会社ネストアット奄美(本社:鹿児島県大島郡、代表取締役:エン・バク・チム)と共に建築計画を進めてきたリゾートホテル「MIRU AMAMI」の新宿泊棟として計14棟のオリジナルヴィラが完成、2024年7月下旬にグランドオープンすることが決定しました。
同宿泊棟の設計・施工においては、当社が本年4月に発表したブランド「EARTH WALKER」のカスタムシリーズの仕組みを採用しており、同ブランドとして初めての施工事例となります。
そのロケーションの背景にある地域の自然や文化的魅力を表現するディスティネーションホテル「MIRU COLLECTION」は、世界中から注目されるリゾートホテルグループ。中でも「MIRU AMAMI」は2020年のオープンからこれまで、地域の自然保全活用への参加や、環境保全のために特定のライセンスを持ったガイドツアーの提供など、奄美大島独自の自然や文化を守りながら発展させていくことに尽力してきました。
この度、「森と生きる」をフィロソフィーに掲げ日本各地の自然立地で環境配慮型建築を手掛ける当社ADXと「地域の自然を守るだけではなく、もっと豊かにしていく」というビジョンが重なり、新しく14棟の宿泊棟を増築し2024年3月31日に竣工しました。
■ 奄美の大自然に包まれ、森と共生する独立型ヴィラ
奄美大島の北部エリアに位置する「MIRU AMAMI」は、豊かな自然環境に優しく溶け込みながら、訪れる人々が奄美の自然を存分に五感で感じ取れる場を提供します。その実現のために、環境への配慮した設計を重視しています。
奄美の地域文化や在来種を生かしたデザイン&ランドスケープ
奄美大島には大小約200の集落があり、集落ごとに独特な文化や慣習を残しています。その伝統的な集落文化に敬意を表し、既存の「Sea Village」エリアの13棟と今回新築する「Forest Village」エリアの14棟をそれぞれの集落として表現、同じリゾート内でも趣の異なる滞在を楽しむことができます。また、在来種や奄美の気候に適応する植物を中心とした植物をヴィラの周辺や屋上、テラス等にも植栽を配置し、周囲の自然と一体となった森をつくり出します。この森が、動植物に新たな生息地を提供し生物多様性に寄与することを目指します。
奄美の自然に没入できるゲストルーム(客室)
それぞれの宿泊棟は、いくつかの植木鉢を積み重ねていくように構成されています。植物が生い茂った自然の中にうずまるような感覚を味わえるゲストルームです。葉が落ちて、大地に分解されて、やがて新しい命の土台となるように力を再び得て、青い空と海の待つ開けた世界を体験できる場所。このようなイメージのもと、自然の不思議な力が満ちる空間が完成しました。
今回の新しいキャビンでは、コルクの壁が奄美のざわめく風の音や波の音を吸収するため、室内には静寂が広がります。サファイヤのような静かな海を室内から眺め、一歩バルコニーへ出ると、突然大きな波の音に包まれます。既存棟とは異なる海との繋がり方を実現したキャビンです。
また、家具や壁面に丸みを持たせたデザインを取り入れ、空間を分断することなく有機的に流れるような構成に。同時にコリンウッドや炭化コルク、芭蕉和紙、夜光貝など、経年変化も楽しめる自然由来のマテリアルを組み合わせることで、室内でも自然環境に触れるような体験を生み出しました。
さらに、静かで落ち着きのある洞窟のような寝室とは対照的な明るく開放感のある浴室は、奄美の海をイメージしたタイルに天窓からの光が煌めき、滞在者を都会では味わえない非日常へと誘います。
室内面積:
SEASCAPE VILLAS 40.16㎡
BAYVIEW VILLAS WITH OUTDOOR BATH 40.16㎡
BAYVIEW VILLAS 31.05㎡
収容人数:
最大3〜4名(セミダブルベッド2台・ソファベッド 1台)
■ 豊かな自然や生態系を尊重したサステナブルな設計
従来のリゾート開発は、森やビーチを切り開く大規模な造成や大量のコンクリートを使った基礎工事、建設現場での大量の廃棄物など自然環境への負荷が小さくありませんでした。一方今回建設したヴィラは従来の開発とは一線を画し、自然環境負荷を最小化したサステナブルな工法で開発を行いました。
独自の測量データ「森のカルテ」により、地形を生かした配置計画
ADXでは、3D測量データや土中、水中から採取される生物由来のDNAを調査・分析し、森林地域が持つ多面的な価値を統合的に可視化、評価する「森のカルテ」というアセスメントを行っています。今回の計画時にも3D LiDARを用いた簡易的な調査を実施し、敷地内の地形をデータ化することで最適な配置計画を実現しています。
亜熱帯海洋性の気候に合わせたヴィラを設計
奄美大島の亜熱帯海洋性気候に適応し、地域固有の生態系に配慮した建築方法を採用。高床式の独立基礎工法や国産針葉樹を使用したバイオ素材のフラン樹脂加工技術、炭化コルクの内装材など、環境負荷の低減と持続可能な資材使用に取り組みました。さらに、シロアリ防除技術を用いることで建物の長期的な保護も図り、よりサステナブルな建築を目指しています。
パネル工法でヴィラ建設期間を1/3に短縮
自然立地での建設施工においては、現地の資材・職人不足を補うために、一定程度遠隔地から材料を運搬したり、技術人材を派遣することが求められます。一方で、現地施工期間が長期化することにより環境負荷も問題視されてきました。そこで本プロジェクトでは、床、壁、天井などの部材をパネルとしてあらかじめ工場で製造し、現場で組み合わせて建築するパネル工法を採用。現地でのヴィラ建設期間を従来工法の1/3である約2ヶ月まで短縮しました。
長期的な環境モニタリングの実施
今回は、計画・設計・維持管理段階で検討した環境配慮の取組が実際に効果を発揮しているかを検証するため、長期的なモニタリング調査を実施しています。建築物のライフサイクルでの環境負荷を定量的に評価するLCA(ライフサイクルアセスメント)調査等により、自然環境への影響を定量化・モニタリングします。
■ EARTH WALKER(アース・ウォーカー)について
EARTH WALKERとは、株式会社ADXが4月に発表した新しい建築プラットフォーム。冒険家の精神を持つ人々が、勇ましい山々、巨大な氷河、多様な生命の宿る豊かな森などのような、まだ見ぬ未開の地において安全に滞在し、豊かな自然を楽しめるよう設計されています。
「EARTH WALKER」は、インフラが制限された過酷な自然環境でも快適に生活できる水準まで機能を高めた「サミットシリーズ」と、森や湖畔など都市からアクセスしやすい自然の中で快適に暮らすための「カスタムシリーズ」で構成されます。
「カスタムシリーズ」は「サミットシリーズ」の意志を汲みながらも、より実現性と事業性を確保したシリーズとなり、今回の「MIRU AMAMI」もこのシリーズの1つとして設計・施工しました。高いメンテナンス性と施工の安全性を実現するとともに、国産材の活用を促す高い木質化率を追求している点が特徴的な建築ブラットフォームを活用しています。
ADX EARTH WALKER プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000077057.html
■ ADX代表 安齋好太郎よりコメント
奄美大島・徳之島は沖縄本島北部・西表島とともに「世界自然遺産」として登録され、「生物多様性」の基準を高く評価された背景から、”奄美の森は奇跡の森である”とも言われています。実際に奄美大島が位置する場所は気象条件において生物地理区の境界線「渡瀬ライン」が位置しており、生物生息域の北限と南限、両方の境目となります。これによって多様な生物が共存する稀有の島となっており、国土面積の0.2%程度である奄美大島において、国内全体の生物種の約13%が確認されているというのは大変興味深い点です。
この貴重な大自然にお邪魔する感覚で、可能な限り環境負荷を抑え自然に溶け込む建築の在り方を模索してきました。地中に潜っていくような、母なる大地に還るような感覚で、この「MIRU AMAMI」でのご滞在を楽しんでいただけたらと思います。
■ 施設概要
名称:「MIRU AMAMI」新宿泊棟
所在地:〒894-0412 鹿児島県大島郡龍郷町芦徳 800
アクセス:奄美空港から車で20分
敷地面積:3,487.61㎡
延床面積:539.91㎡
客室面積:31.05㎡ / 40.16㎡
総戸数:14棟
構造:木造
設計:ADX
施工:ADX・中村建設
■ MIRU COLLECTIONについて
MIRU COLLECTIONは、現代的で意識を高める旅を求めるトラベラーのためのライフスタイルホテルです。これまでNest at Nest Hotelsとして親しまれた私たちは、様々な意味を含む「みる」という日本語に想いを込め、ゲストの感性に語りかける唯一無二の旅体験と出会う新しい滞在の提案をいたします。自然や文化を引き出した思慮深い建築デザイン、快適で驚きのあるおもてなし。Miru Collectionからゲストへのお約束として、未知なる美しさに動かされた心が、赴くままに旅する最高の物語をサポートをいたします。
https://mirucollection.com/ja/home-2/
■ 株式会社ADX 会社概要
安齋好太郎率いる建築チーム。「森と生きる。」をフィロソフィーとし、自然と共生する建築を最重視し、自然に戻しやすい素材だけを使う工夫や建材のトレーサビリティの設計、さらには建築が増えるほど森が豊かになっていくリジェネラティヴな環境再生型の事業展開を目指す。設計・施工・プロダクト開発・森林地域における開発行為や環境に配慮したものづくりのコンサルティング等を行い、近年の代表プロジェクトに「五浦の家」「One year project」「K5」「SANU 2nd Home」「KITOKI」などがある。
<本件に関するお問い合わせ先>
株式会社ADX 広報担当
press@adx.jp / kohei@kiiiro.jp
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