中央開発と早稲田大学の共同研究、比抵抗モニタリング装置「レス・トール」で特許取得
この技術を用いることで、斜面崩壊の先行現象を検知し、警報を発する「斜面崩壊警報システム」としての運用が期待できるだけでなく、地表下数mを対象とした、河川やため池の堤体、地下水の塩水化などのモニタリングの分野での適用も期待されます。
レス・トールとは?
地盤の比抵抗(電気の流れにくさ=電気伝導度の逆数)は、地中に含まれる水の量と相関することが知られています。
土砂崩れの多くは表層崩壊と呼ばれる現象で、雨水が地盤に浸透し、水を通しにくい基盤岩の上に帯水層と呼ばれる水の通り道が形成され、表土層が滑り落ちようとする駆動力が基盤岩層との間に働く抵抗力より大きくなった場合に崩壊に至ると考えることができます。
このため,比抵抗を常時モニタリングすることによって帯水層を捉えることができれば,斜面災害の警報システムになりうると考えられます。
中央開発(株)と早稲田大学物理探査工学研究室は、逆シュランベルジャー法という測定方法を用いることで、高頻度の測定、リアルタイムの解析、装置の小型・省電力化、携帯電話回線による遠隔操作を実現しました。
どうしてレス・トール?
レス・トールを英語表記にするとRes-Thor。ResはResistivity(比抵抗)、Thorは北欧神話に登場する雷神(トール)の名を借りています。「トールは雷・天候・農耕などを司る神で、電気探査にも、大雨にも通じるし、何よりカッコいいですね。」という発案者(技術センター長 王寺秀介・主任技師兼探査技術室長 上原大二郎)の命名により決定しました。
モルテン・エスキル・ヴィンゲ作 『トールと巨人の戦い』(1872年)
スウェーデン国立美術館所蔵(出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Thor%27s_Battle_Against_the_J%C3%B6tnar_(1872)_by_M%C3%A5rten_Eskil_Winge.jpg)
出願情報
項 目 | 概 要 |
特許番号: | 特許第7250873号 |
発明名称: | 地盤の比抵抗モニタリング装置及び斜面崩壊警報システム |
特許権者: | 中央開発株式会社 |
発 明 者: | 田中誠,王寺秀介,上原大二郎,上田匠 |
出願番号: | 特願2021-151280 |
出 願 日: | 令和3(2021)年9月16日 |
登 録 日: | 令和5(2023)年3月24日 |
中央開発株式会社について
中央開発(株)は1946(昭和21)年、日本初の地盤コンサルティングカンパニーとして、戦後復興を目的にスタートした会社です。以来、国内における標準貫入試験の実用化を行うなど、地質調査業界のパイオニアとして、国内外のインフラ整備に関わるビッグプロジェクトに携わりながら、土木設計、情報解析、IoT機器を用いた防災コンサルティングなど建設コンサルタントへ事業領域を拡大して参りました。
近年では”地質DX”と銘打ったデジタルトランスフォーメーションを推進しています。点群データ活用やSfM処理技術、保有するボーリングデータを活用したAI分野での研究開発に取り組み、建設コンサルタント業界における新たな価値の創造に努めています。
詳しくは、中央開発(株)のWEBサイトをご覧ください。
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