消化ガスを利用したバイオメタネーションのパイロット規模オンサイト実証試験に関するお知らせ-国土交通省の令和6年度下水道応用研究に採択-
荏原実業株式会社(代表取締役社長執行役員兼COO:石井 孝)は、国立大学法人京都大学(以下 京都大学)、東邦ガス株式会社(以下 東邦ガス)と三者共同で提案した“消化ガスを利用したex-situ 型バイオメタネーションリアクターによる高濃度メタン生成技術の開発”がこの度、国土交通省の令和6年度下水道応用研究に採択されました。
下水道では、約530 万t-CO2/年の温室効果ガスを排出していることから、カーボンニュートラルの実現に向けて更なる取組が必要であります。
消化ガスは約40%がCO2であり、現状ではそのほとんどが未利用です。日本国内には下水汚泥の消化施設が約300箇所あり、消化ガス由来のCO2は推定1億3,200万㎥/年発生しています。
バイオメタネーションは炭酸ガス(CO2)を水素(H2)との反応でメタン(CH4)に変換する、消化ガス中のCO2を活用できる脱炭素技術です。今回実施予定のバイオメタネーション実証試験は微生物を利用した処理技術であり、既存消化槽と同様に常温・常圧で反応します。
当社は安定した高い処理性能が得られるバイオメタネーションリアクターの開発を進めてきました。再生可能エネルギーで製造した水素を用いて、バイオリアクターによりメタンを生成し、燃料ガス、CN都市ガスとして利用することを構想しています。(図1)
今回の実証試験では、パイロット規模の担体方式バイオリアクターを用いてプロセスの実証を行う予定です。当社はカーボンニュートラルの実現に向けて、今後も引き続き、脱炭素に貢献する技術・製品及びサービスの提供を目指してまいります。
◆ex-situ 型バイオメタネーションとは
下水汚泥の消化過程で発生するガスに水素を加え反応させることで、高濃度のメタンを生成する技術です。消化槽内で水素と反応させるin-situ 型と比べ、ex-situ 型は消化槽とは別の反応槽を用いるため、反応効率等の優位性が見込まれます。
図1 本研究のex-situバイオメタネーションリアクターの構想図
本開発の内容
開発テーマ | 消化ガスを利用したex-situ 型バイオメタネーションリアクターによる高濃度メタン生成技術 の開発 |
期間 | 令和6年度~令和7年度(予定) |
実施 場所 | 消化施設を有する下水処理場 |
実施 体制 | 京都大学、荏原実業株式会社、東邦ガス株式会社 |
実施 概要 | ・パイロット規模の担体方式バイオリアクター(以下担体リアクター)を消化施設のある下水処理場に設置します。 ・消化ガスを水素ガス*とともに担体リアクターに連続注入し、生成CH4ガス濃度が都市ガス並みの95%以上となることをオンサイト試験で実証します。 ・担体リアクターを用いたバイオメタネーション処理性能の長期安定化(6カ月以上)を実証します。 ・実用化に向けた高いメタン生成速度、高濃度CH4ガスが得られる担体リアクターを構築します。 ・生成メタンガスの品質評価、製品化に向けた課題を検討し、製品ガスとしての実用化を目指します。 |
*:本オンサイト試験では、市販の水素ガスを使用します。
◆ 荏原実業株式会社の概要
本社:東京都中央区銀座七丁目14番1号
代表者:石井 孝
TEL:03-5565-2881
事業内容:環境関連機器の製造販売および上下水道施設等のエンジニアリングサービス
◆ 本リリースに関するお問い合わせ先
総合企画室
TEL:03-5565-2885
E-mail:kikaku@ejk.co.jp
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