アセチレンガス製造時の副生成物『カーバイドスラリー』と 排ガス由来のCO2を原料にしたCCU材料の製造技術を共同開発
~軽質炭酸カルシウム10トンの製造に成功し「コンクリート・地盤改良材」などへの社会実装を加速~
白石工業株式会社(取締役社長:大田雅彦)は、株式会社鴻池組(代表取締役社長:渡津弘己)、高圧ガス工業株式会社(代表取締役社長:黒木幹也)、吉澤石灰工業株式会社(代表取締役社長:松原維一郎)の4社で、アセチレンガス製造時の副生成物であるカーバイドスラリーと排ガス由来のCO2を原料とする軽質炭酸カルシウム(以下、カーバイド軽カル)の製造技術を共同開発しました。
<参考図> カーバイド軽カルを用いたカーボンリサイクルのサプライチェーン
■技術開発の背景
アセチレンガス(C2H2)は、カーバイドカルシウム(CaC2)と水の反応により発生します。アセチレンガス製造時の副生成物であるカーバイドスラリーは主成分が水酸化カルシウム(Ca(OH)2)であり、従来は酸洗浄廃液の中和処理などに活用されていました。
他方で、生石灰製造により排出されるCO2は、排出量削減に向けた様々な取り組みが模索されてきました。
■技術開発の成果
当社らは、カーバイドスラリーと排ガス由来のCO2を原料として、CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization:CO2回収・利用)材料である軽質炭酸カルシウム(CaCO3:カーバイド軽カル)の製造技術を共同開発しました。ラボスケールから検討をスタートし、2023年にスケールアップを進め、2023年10月に実機設備においてカーバイド軽カル10トンの製造に成功しました。
■本技術の効果
このカーバイド軽カル製造技術はCO2を資源と捉え、炭酸カルシウムとして鉱物化し、CO2を固定するカーボンリサイクル技術の一つです。カーボンリサイクル技術は、日本政府が制定した「カーボンリサイクルロードマップ」において、一層の普及促進が掲げられています。また、早期の社会実装に向けて、政府主導の様々な支援プログラムが進められています。
カーバイド軽カルを1トン製造したときのCO2の固定化量は約440kgになります。このカーバイド軽カルをCCU材料として使用した「コンクリート・地盤改良材」など様々な建設分野の材料に適用すべく用途開発にも積極的に取り組んでいます。
■「CO2固定・鉱物化」技術(カーバイド軽カルの特徴)
・100年以上におよび蓄積されてきた当社の軽質炭酸カルシウム合成技術により、各用途の要求に合わせて粒子制御された軽カルです(当社と鴻池組の共同で特許出願済み)。一例として、コンクリートの強度向上などが可能です。
・カーバイド軽カル1トン製造に伴い生じる副産物は50kg以下(5%以下)であり極めて少ないことが特長です。生コンスラッジ・廃コンクリート・鉄鋼スラグなどをカルシウム源として炭酸カルシウムを製造するプロセスと比較しても、副産物の発生量が極めて少ないプロセスとなっています。
・カーバイド軽カルの原料となるカーバイドスラリーは主成分が水酸化カルシウムであり、CO2との反応性が高く、導入する排ガス中CO2の70%以上を吸収することが可能です。
■カーバイド軽カルの主な用途
・コンクリート(プレキャスト・現場打ち)
・地盤改良材(流動材・スラリー・粉体)
・可塑性充填材
・シーリング材
・外壁材
・各種フィラー(充填材・増量材)
白石工業株式会社について
白石グループは、ゴムやプラスチック、塗料、紙、シーラント、農材そして食品分野など様々な素材の原料となる「炭酸カルシウム」を専門に取り扱っています。海外拠点を含む22社によって構成され、製造を中心とする白石工業株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役会長:白石恒裕、URL https://www.shiraishi.co.jp/)化学品専門商社の白石カルシウム株式会社、研究開発の株式会社白石中央研究所をはじめ、各社が一丸となって多角的な事業展開を行っています。
【会社概要】
社名:白石工業株式会社
本社所在地:大阪市北区中之島2丁目2番7号
中之島セントラルタワー9階
代表取締役会長:白石 恒裕
設立:1919年11月
HP:https://www.shiraishi.co.jp/
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