博士人材育成をテーマに産学が集結「イノベーションは心を豊かにできるか ― 日本文化という視点から考える ―」一般社団法人 産学協働イノベーション人材育成協議会(C-ENGINE)がシンポジウムを開催
10月31日(金)、京都大学楽友会館にてC-ENGINEシンポジウム2025を開催。博士人材育成、研究インターンシップ、文化・科学の交差と創造の源泉について、産学多様な立場から議論いたしました。
産学がともに考える博士人材育成の新たな形

開会挨拶では、代表理事・國府寛司(京都大学理事・副学長)が2014年の設立以来C-ENGINEが進めてきた博士課程学生向け研究インターンシップの歩みを紹介。
累計777件のマッチングを達成し、「研究力を高め、産学が協働して社会に貢献する人材育成」を進めてきたと述べました。
ご来賓として、経済産業省 イノベーション・環境局 川上悟史 大学連携推進室長、文部科学省 高等教育局 学生支援課 春山浩康 課長が登壇。博士人材が企業の基礎研究段階から活躍することの重要性が語られ、C-ENGINEの「大学横断・就職目的に限定しない研究インターンシップ」が博士教育の理想的なモデルとして評価されました。

博士学生による実践報告 ― 異分野で挑む研究インターン
実際に研究インターンシップに参加した2名の学生が、その経験について発表。京都大学・疋田純也氏(理学研究科物理学専攻)は、三菱電機での研究インターンシップを通じ「研究力の実践的な手応え」を報告。奈良女子大学・竹内陽香氏(人間文化総合科学研究科自然科学専攻)は、ダイキン工業での数理最適化研究を通じて「探求心と対話力の重要性を実感した」と語りました。両名ともに、異分野研究に挑戦し、実践を通じて研究力・課題発見力を高めた経験をご紹介いただきました。


「文化の溝」から創造が生まれる ― 基調講演より
国際日本文化研究センターの井上章一所長による講演「イノベーションと文化の溝」では、文化の違いや違和感こそが新しい発想を生む源泉であると指摘。
「靴を脱ぐ/脱がない」などの生活文化の差、食文化の混淆(たらこスパゲッティなど)を例に、常識と思われるものも視点を変えると相対的であり、衝突や混淆から創造性が生まれると指摘。文化の境界に立ち、当たり前を疑い、他者との違いを受け入れながら観察する姿勢こそ、イノベーションの出発点であると結びました。


文理を越えて“脱藩”せよ ― 座談会でのメッセージ
続く座談会では、井上氏と國府氏が「イノベーションは心を豊かにできるか」をテーマに対談。異文化・異分野の接点としての研究インターンシップの意義を共有し、井上氏は「専門の枠を越え、興味に従う“おっちょこちょいな精神”こそ創造の源」と強調しました。
國府氏も「C-ENGINEはまさにその“文化の越境”を体現する場」と述べ、博士学生が産学連携を通じて広い視野を得る重要性を訴えました。


イノベーションに“文化と感性”を
閉会挨拶では、古藤悟C-ENGINE理事(三菱電機株式会社研究開発本部シニアフェロ―)が、技術革新だけでなく文化・感性・地域性を取り込む重要性を再確認。デジタル時代における“見落とされがちな価値”をどう見出すか、産学で引き続き検討していく姿勢を示しました。本協議会の活動へのご理解とご参画を呼びかけました。
C-ENGINEは、博士人材の研究力と社会的実践力を育む「研究インターンシップ」を通じて、産学協働による新たなキャリア形成のモデルを構築していきます。
異分野・異文化の交わりから生まれる創造性を次世代へつなぐ取り組みを、今後も拡充してまいります。
◆参考:
【開催報告】C-ENGINEシンポジウム2025「イノベーションは心を豊かにできるか」
https://www.c-engine.org/2025/11/11/11840/(シンポジウムの録画をご覧いただけます)
C-ENGINEの研究インターンシップについて詳しくはこちら
トランスファラブルスキルRISEについてはこちら
開催概要
名称:産学協働イノベーション人材育成シンポジウム 2025
テーマ:イノベーションは心を豊かにできるか ― 日本文化という視点から考える ―
日時:2025年10月31日(金)14:15-16:45
会場:京都大学 楽友会館
主催:一般社団法人 産学協働イノベーション人材育成協議会 (C-ENGINE)
参加者:大学・企業関係者 約60名(現地会場およびオンライン)
団体概要
名称:一般社団法人 産学協働イノベーション人材育成協議会(C-ENGINE)
設立:2014年1月20日
代表理事:國府 寛司(京都大学理事・副学長)
活動内容:博士課程学生を対象とした研究インターンシップの企画・運営、大学・企業のマッチング支援、産学協働による人材育成モデルの構築
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