フィッチ・レーティングスの格付け調整を受け、モルディブ政府が財政改革と経済見通しに関する新たな取り組みを発表

　モルディブ財務省は、2024年8月29日に格付け会社「フィッチ・レーティングス」が発表した信用格付けの変更を受けて、政府の財政改革に向けた新たな取り組みを明らかにしました。

　フィッチ・レーティングスは、モルディブの長期外貨建て発行体デフォルト格付けを「CCC+」から「CC」に引き下げました。この格下げは、モルディブの外部および財政セクターにかかる圧力を反映しています。モルディブ政府は、包括的な財政再建措置を通じてリスクを軽減し、二国間および多国間の支援を得て、中期的な資金調達の確保に引き続き努めてまいります。

追加の収入を確保し、支出を適切に管理するために策定した政策は以下の通りです。

• 空港税および手数料、グリーン税、負の外部性と関連する商品への輸入関税の見直し

• 目的地原則の適用に向けた物品およびサービス税（GST）法の改正および税基盤の拡大

• 国家開発基金を含む外国通貨の政府への流入強化

これらの措置は、外部セクターからの圧力を軽減し、外国通貨建て債務の返済能力を向上させ、政府の信用プロファイルを強化することを目指しています。

支出削減措置は以下の通りです。

• 政府系企業の効率化: 企業統治の強化、労働力の最適化、企業間のシナジーの推進

• 補助金の見直し: 主要な間接補助金を、より効果的な対象を絞った直接補助金に置き換え

• 社会保障制度の改善: 非効率的な部分への対処

• 石油価格の安定化: 世界的な価格変動から保護するため、石油価格ヘッジ戦略の実行

• 裁量的支出の管理強化: 避けられる支出についての厳格な管理

　政府は、漁業補助金の見直しや国連開発計画の支援による大量調達イニシアチブをとるなど、重要な改革をすでに実施しています。 改革政策の策定において大きな進展があり、追加措置の実施は今後数週間以内に開始される予定で、詳細は近日中に発表されます。

　これらの改革は、現在および中期的な資金調達要件の削減を目指し、財政状況や外部環境の改善に貢献します。政府は、パートナーと連携し、即時および中期的な資金調達ニーズに対応しています。

モルディブ財務省は、観光業の好調なパフォーマンスと相まって、政府は財政と債務の持続可能性を回復できると確信しています。現在の財政戦略では、国内の財政改革アジェンダを実施することで、2028年末までに債務対GDP比率を90％未満に削減する見込みです。政府は、これらの措置が将来的に国債の信用格付けに好影響を与えると信じています。

　なお、モルディブ金融管理局（MMA）は、同国の経済見通しと金融措置についての詳細を明らかにしました。

　同局は、経済の発展と持続に向けた戦略的な変更や計画が重要であると強調します。モルディブの経済は、観光業や主要産業の成長により好調を維持しています。8月27日までのデータでは、前年同期比で観光客の来島数が11％増加し、今年の1月からの平均宿泊数も前年同期比で7％増加しています。

　これらの要因を踏まえ、MMAは2024年のGDP成長率を4.9％、2025年には6.5％と予測しています。この成長の主な要因は、年末までに新しいターミナルが開業するヴェラナ国際空港による観光客の増加です。その結果、2023年の経常収支赤字21.4％から、今年は19.9％に減少する見込みです。

　さらに、外貨準備金とその構成要素について、昨年7月と今年同時期の比較を行いました。今年7月末の外貨準備金は3億9500万ドルで、そのうち使用可能準備金は4500万ドルです。昨年同時期にインド準備銀行との間で行われた1億ドルの通貨スワップを考慮すると、総準備金は5億9400万ドル、使用可能準備金は1億2900万ドルとなります。これには、2019年12月以降に国家開発基金に交換・預け入れされた米ドルも含まれています。

　2023年11月末時点で国家開発基金の米ドル保管口座は500万ドルでしたが、現在は6500万ドルに増加しています。この増加は、米ドルを交換せずに国家開発基金に保管するという政府の方針によるものです。使用可能準備金を含めると、基金の総額は1億500万ドルとなり、2024年度国家予算で設定された6億600万ドルを超える見込みです。

　MMAとモルディブ政府は、準備金の状況を改善するためのリファイナンスグリーンボンドの発行を最終調整しています。また、南アジア地域協力連合（SAARC）フレームワークの下で、インド準備銀行との間で4億ドルの外国為替スワップ契約を締結するための公式技術協議を完了しました。この契約は、近日中に署名される予定です。

　モルディブの外国為替市場での為替レート維持の主な課題は、無制限の銀行当座貸越による過剰流動性です。この措置は、COVID-19パンデミック後の経済的課題とキャッシュフロー管理の問題に対応するために導入されました。その結果、2024年7月末時点で銀行システムの過剰流動性は平均67億ルフィアに達しています。MMAは、この過剰流動性に対処し、為替レートの安定化を図るために金融措置を講じる予定です。また、モルディブの商業銀行が直面する外国為替流動性の問題を軽減するために、金融政策の見直しを進めてまいります。

　中期的な財政および債務戦略の実施により、国の財政状況の改善が見込まれています。MMAは、財務省や関連政府機関、金融機関と協力して策定・実施した戦略に強い自信を示しています。

【モルディブ政府観光局（MMPRC）について】

モルディブ・マーケティング＆パブリック・リレーションズ・コーポレーション（Maldives Marketing & Public Relations Corporation 通称：MMPRC）は、“Maldives...The Sunny Side of Life”をスローガンに、インド洋に浮かぶ1192の島々から成るモルディブ諸島の観光マーケティングを担う、モルディブ政府公式観光促進機関です。360度統合的マーケティング手法で世界の主要市場にモルディブの魅力を積極的に広めており、世界の主要15市場においてPRおよび営業代理店を任命しています。モルディブ政府観光局管轄の下、モルディブは国際観光分野で絶大な評価、賞賛、賞を獲得しています。

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