【調査レポート】奨学金は平均282万円。500万円以上のケースも!
「勉強する機会が得られて良かった」の一方、年収には看過できない男女差
カネとホンネ調査研究所は、都市部(※)に居住する20~39歳で会社員の男女912名を対象に、奨学金についてのアンケート調査を実施しました。
※東京、愛知、大阪、福岡
カネとホンネ調査研究所(https://kanetohonne.jp)は、働く世代の日常的な懐事情や、人生の節目における金勘定を、その本音とともに調査することで実態を解明し、広く世の中に提供することを目的としています。
今回の調査によって、サラリーマンの27.3%、4人に1人が奨学金を利用していることが分かりました。奨学金の額は平均で282万円、返済期間は13.5年でした。なかには、400万円以上(23.2%)や、500万円以上(11.2%)など、多額の奨学金を借り入れているケースもみられました。奨学金を利用したことについては、「勉強する機会が得られて良かった」「親に負担をかけずに済んでよかった」とポジティブな意見が多くみられ、高等教育をうける機会が得られる貴重な制度であることが、あらためて明らかとなりました。年収については、20代から30代にかけて18%のアップがみられました。一方、奨学金の額は変わらないものの、男女の年収に24%の差があることが分かりました。硬直化した労働慣行をあらためる必要があるのかもしれません。
調査サマリー
サラリーマンのうち27.3%、4人に1人が奨学金を利用
奨学金の額は282万円。500万円以上借り入れるケースも
勉強する機会を得られて良かった!奨学金は貴重な制度
男女で教育コストは同じでも、年収に24%の差!
1.サラリーマンのうち27.3%、4人に1人が奨学金を利用
20代から30代のサラリーマンに、奨学金を利用したかどうか聞いたところ、27.3%が奨学金を利用したと回答しました。大学に進学したが奨学金を利用してない層は46.9%、大学に進学せず、奨学金も利用していない層は25.8%でした。なお、サラリーマンのうち大学に進学したのは70.0%、そのうち奨学金を利用した割合(大学進学者のうち奨学金を利用した割合)は33.0%の計算となります。
2.奨学金の額は282万円。500万円以上借り入れるケースも
奨学金の金額と返済期間を聞いたところ、奨学金の額は平均で282万円、返済期間は13.5年でした。利子を除くと年間の返済額は20.9万円、月間だと1.7万円の計算となります。産労総合研究所によると、2023年度の大卒初任給は21.8万円。手取りだと18万円程度になり、そこから1.7万円の支払いをするのは楽ではないかもしれません。
なお、20代と30代で奨学金の借入額や返済期間はほとんど同じで、ここ20年変わっていないことが分かります。
奨学金の額を詳しくみると、200万円台が32.1%でもっとも多くなっています。大学の4年間、毎月5万円程度を借り入れたものと思われます。高校や大学院でも奨学金を利用した場合、当然金額は大きくなります。400万円以上が23.2%、500万円以上でも11.2%となります。
3.勉強する機会を得られて良かった!奨学金は貴重な制度
現在、奨学金をどう思っているか聞いたところ、もっとも多い意見は「勉強する機会が得られて良かった」が37.8%、「親に負担をかけずに済んでよかった」も同じく37.8%でした。次いで、「返済は思ったほどつらくなかった」「返済のため、生活が厳しい」「これから先の返済が不安」と続きます。多数意見はポジティブですが、金銭面でややネガティブな意見がみられました。
前項のとおり、社会人生活をスタートする時点で多額の負債を抱えているケースもみられ、少なくない人が不安を抱えている一方、奨学金は勉強する機会を得られる貴重な制度であることが、あらためて明らかとなりました。
4.男女で教育コストは同じでも、年収に24%の差!
次に、奨学金を借りた人にその年収を聞きました。年代別にみた場合、奨学金の額はあまり変わりませんが、年収は20代が400万円のところ、30代が470万円でした。年齢にともなってキャリアが形成され、その結果、年収があがったのでしょう。10年のキャリアで年収が18%あがった計算となります。それよりも、問題は男女差です。
奨学金の額は男性が279万円、女性が284万円とほとんど変わりません。つまり、学業を修めるにあたり、金銭的に支援が必要な額は男女で変わりがないということです。教育にかかるコストは男女で同じだと言い換えても良いでしょう。しかし、年収は男性が478万円であるのに対し、女性は385万円に過ぎません。男性の年収は女性より24%多い計算となります。10年のキャリアによる年収アップの18%を超えているのです。多大なコストを払ってきた女性からすると、とても納得いかないでしょう。
少子化の進む日本で、労働生産性をあげるのは至上命題のはずです。硬直化した労働慣行をあらためなければ、その結果が、そのまま我々に返ってくるかもしれません。
【調査概要】
調査名称:奨学金についてのアンケート
調査期間:2023年12月11日
調査対象:都市部(東京、愛知、大阪、福岡)に居住する、20~39歳で会社員の男女
調査数 :912名。うち奨学金利用者は249名
調査方法:Webアンケート
■カネとホンネ調査研究所(Kane-Honne Research Institute)
カネとホンネ調査研究所は、働く世代の日常的な懐事情や、人生の節目における金勘定を、その本音とともに調査することで実態を解明し、広く世の中に提供することを目的として設立しました。
これまで明白なようで曖昧だった、お金にまつわる本音を独自調査で解明。客観的なデータにこだわり、公平公正な視点で、令和日本の“カネとホンネ”を紐解いていきます。
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