「支援される被災地」で終わらない。人口減少が進む岩手・山田町で、人と仕事を地域に残す仕組みづくり

シングルマザー63人が就労支援プログラムに参加、23人にWEB業務を委託。人口約1.3万人の町から、他の人口減少地域にも応用できる仕組みを探る

一般社団法人BlessU

岩手県山田町の多世代・多機能拠点「リタニティハウス」

東日本大震災から15年。岩手県沿岸部の山田町では、復旧・復興のその先にある「人口減少」という課題が、地域の未来に直結しています。

人口が減れば、働く人が減る。子育てをする人が減る。地域活動を担う人も、誰かを見守る人も減っていく。

では、人口が増えるのを待つしかないのか。

一般社団法人BlessU(岩手県下閉伊郡山田町、代表理事:中居知子)は、別の方向からこの課題に向き合っています。

今、この地域にいる一人ひとりの力を、どうすれば地域の力につなげられるのか。

シングルマザーをはじめ、子ども、高齢者、地域住民などが、学び、働き、つながる多世代・多機能拠点「リタニティハウス」を運営し、「支援する/される」という関係だけでは終わらない地域の仕組みづくりを進めています。

東日本大震災から15年。復旧・復興のその先で、人口減少という課題に向き合う岩手県山田町

開所から約1年。これまで就労支援プログラムに参加したシングルマザーは63人。そのうち23人にBlessUがWEB関連業務を委託し、5人が転職しました。地域交流イベントは27回、高齢者・地域住民など延べ881人が参加。相談・伴走支援は71人にのぼります。

これは63人を「支援した」という話だけではありません。

人口約1.3万人の町で、地域にいる人の力を、仕事や役割へつなぎ直す実践です。

開所から約1年。63人の学びを、実際の仕事へ

リタニティハウスの開所以降、就労支援プログラムに参加したシングルマザーは63人。そのうち23人にBlessUがWEB関連業務を委託し、5人が転職しました。

シングルマザー以外の参加者は7人。地域交流イベントは27回開催し、高齢者・地域住民など延べ881人が参加。相談・伴走支援は71人にのぼります。

【2026年4月現在】

就労支援プログラムに参加したシングルマザー 63人

BlessUからWEB関連業務を委託 23人

転職 5人

シングルマザー以外の参加 7人

地域交流イベント 27回

高齢者・地域住民などの参加 延べ881人

相談・伴走支援 71人

数字だけを見れば、「63人を支援した」という実績に見えるかもしれません。

しかし、BlessUがつくろうとしているのは、支援実績の積み上げではありません。

人口が減り続ける地域で、これまで十分に発揮されていなかった一人ひとりの力を、仕事や地域の役割へつなぎ直すことです。

シングルマザーのデジタルスキル習得と就労を支えるプログラムを実施

人口が減る地域で、「今いる人」の力を眠らせている場合じゃない

人口減少への対策というと、移住促進や企業誘致など、地域の外から人や仕事を呼び込む取り組みに注目が集まります。

もちろん、それらは重要です。

一方で、地域にはすでに暮らしている人がいます。

子育てをしている人。介護をしている人。働きたいと思いながら、時間や場所の制約によって働き方を選びにくい人。一度仕事から離れ、もう一度始めるきっかけを探している人。

「今は働けない」「支援が必要」という状態と、その人が持っている力は同じではありません。

できない人なのではなく、できることを試す機会がなかったのかもしれない。

仕事ができないのではなく、今の生活に合う働き方が地域になかったのかもしれない。

人が少ない町だからこそ、一人が持っている力を失っている場合じゃない。

BlessUがシングルマザーの就労支援から始めた取り組みの根底には、この考えがあります。

「学んだ」で終わらせない。地域に仕事をつくる

BlessUでは、休眠預金を活用し、シングルマザーのデジタルスキル習得と就労を支える「ステップアップ180プログラム」を実施してきました。この事業の資金分配団体が、一般社団法人グラミン日本です。

しかし、デジタルスキルを学ぶこと自体をゴールにはしていません。

地方で人材育成をしても、その先に仕事がなければ、「学べる地域」にはなっても「働ける地域」にはならないからです。

そこでBlessUは、WEB関連業務を受託し、プログラム参加者へ実際の仕事として委託してきました。

これまでに業務を委託したのは23人。

研修を受けて終わるのではなく、実際の仕事を経験するところまでつなぐ。

ここに、人口減少地域でデジタルスキルを学ぶもう一つの意味があります。

BlessUが受託したWEB関連業務の一部を、スキルを身につけた参加者へ実際の仕事として委託

WEB業務の中には、発注元と働く人が同じ地域にいなくても成立する仕事があります。

地域内にある求人だけを選択肢にするのではなく、地域外から受注した仕事を、山田町に暮らしながら担う。

これは「人口流出を止める仕組みができた」という話ではありません。

ただ、「仕事をするためには地域を離れる」という選択だけではなく、「この地域に暮らしながら働く」という選択肢を増やすことはできます。

人口減少を一つの事業で解決することはできない。

それでも、地域に残れる理由を一つずつ増やすことはできる。

BlessUは、仕事を「人が地域で暮らし続けるための選択肢」の一つとして捉えています。

仕事だけでは、人は地域につながらない

一方で、仕事さえあれば地域の課題がすべて解決するわけでもありません。

働き始めても、子育てとの両立でつまずくことがある。生活の中で問題が起きることもある。誰にも相談できず、孤立することもあります。

だからリタニティハウスは、就労支援だけを行う場所ではありません。

仕事を学ぶ人の隣に子どもがいる。高齢者が子どもを見守る。学生が地域活動を企画する。相談に来ていた人が、新しく来た人に声をかけることもある。

開所以降、地域交流イベントは27回。高齢者・地域住民など延べ881人が参加しました。

地域交流イベントには、子どもから高齢者まで多世代が参加

BlessUでは、そこで生まれる関係を「なんちゃって家族」と呼びます。

家族ではない。でも、困ったときに思い出す。挑戦したら一緒に喜ぶ。失敗しても、その人との関係まで終わらせない。

高齢者だから「支えられる人」。シングルマザーだから「支援される人」。子どもだから「守られる人」。

そんなふうに役割を固定しない。

昨日支えてもらった人が、今日は誰かを支えることもある。

BlessUが地域に残したいのは、「支援され続ける人」ではなく、支え合う人が増えていく循環です。

子守りボランティアが母の学習を支える
中高生ボランティアは子どもたちの憧れの的に

一人のお母さんに生まれた選択肢は、本当に「一人分」なのか

活動の中で、デジタルスキルを学び始めた母親が、自宅でもパソコンに向かうようになりました。

すると、その隣で子どもが自分から宿題を始めました。

「勉強しなさい」と言ったわけではありません。

母親が学ぶ姿を、子どもが見ていたのです。

一人の母親に学ぶ機会が生まれる。仕事に挑戦する。その姿を子どもが見る。

そして、誰かに支えてもらった経験を持つ人が、今度は別の誰かを支える。

一人に生まれた選択肢は、一人の中だけで完結するとは限りません。

だからBlessUは、就職者数だけを成果とは考えていません。

母親から子どもへ。家庭から地域へ。

一人の力が周囲へ波及していくところまで含めて、地域の力にしていきたいと考えています。

母親の学びや挑戦は、家庭や子どもたちにもつながっていく

人口約1.3万人の町から、他地域でも使える「型」を探る

BlessUは、山田町で行っていることを、そのまま全国へ広げようとしているわけではありません。

人口構成も産業も、使える地域資源も、人と人との関係も、地域によって違います。

だから、他地域へ渡したいのは「リタニティハウス」という建物ではありません。

渡したいのは、「型」です。

人が持っている力を見つける。

挑戦できる機会をつくる。

実際の仕事につなげる。

地域の中で役割を持つ。

失敗しても、もう一度挑戦できる。

そして、支えられた人が誰かを支える側にもなる。

この考え方を、それぞれの地域にある人や資源に合わせて組み替えることはできないか。

2026年には、兵庫県丹波篠山市で活動するNPO法人スマイルポケットが山田町を訪問しました。

山田町の仕組みをそのまま移植するためではありません。

「この考え方を、自分たちの地域だったらどう使えるだろう。」

地域を越えた対話が始まっています。

兵庫県丹波篠山市で活動するNPO法人スマイルポケットがリタニティハウスを視察

現時点で、この仕組みの「再現性が実証された」と言うことはできません。

山田町で機能したものは何か。山田町だからできたものは何か。他の地域でも応用できるものは何か。

それを一つずつ確かめ、それぞれの地域に合わせて組み替えられる「型」にしていく。

人口規模の小さな山田町で実際に取り組んできたからこそ、同じように人口減少に向き合う地域へ渡せるものがあるのではないか。

BlessUは今、その可能性を探っています。

「支援される被災地」で終わらない

東日本大震災から15年。

被災地には、長い間、多くの支援が届けられてきました。

その支援に支えられてきた地域だからこそ、次は「何を残すのか」を考える時期に来ています。

建物が復旧した後も、人の暮らしは続きます。

人口減少、働き手の減少、地域活動の担い手不足。

復旧・復興だけでは終わらない課題が、地域にはあります。

これから必要なのは、地域にある人や資源をつなぎ、仕事や役割を生み出す力を、地域の中に持つことではないか。

人を支援につなぐ。その先で、学びにつなぐ。仕事につなぐ。地域での役割につなぐ。そして、その人がいつか別の誰かを支える側にもなる。

「支援される被災地」で終わらない。

山田町で始まっているのは、復興のその先を、自分たちでつくっていく実践です。

助成金には期限がある。でも、地域の暮らしには期限がない

この仕組みを続けるには、財源が必要です。

助成金や補助事業には期間があります。しかし、母親の人生も、子どもの成長も、地域で生まれた人間関係も、年度末で終了するわけではありません。

BlessUでは、企業からのWEB業務受託、参加者への仕事の創出、企業・行政・NPO・地域住民との協働、助成金、寄付などを組み合わせながら、活動を地域の仕組みとして残す方法を模索しています。

考えなければならないのは、「誰がお金を出し続けるのか」だけではありません。

「どうすれば、この仕組みを地域の中に残せるのか。」

今回のクラウドファンディングも、そのための一つの挑戦です。

目標300万円。「もう一度やってみよう」と思える場所と機会を残す

一般社団法人BlessUは、2026年9月4日から10月31日23時59分まで、目標300万円のクラウドファンディングを実施しています。

寄付金は、リタニティハウスの維持運営、相談・伴走支援、デジタルスキル・就労支援、PC・オンライン環境の整備、子どもたちが過ごす環境、地域交流活動などに活用します。

守りたいのは、建物そのものだけではありません。

「もう一度やってみよう」と思った人が、実際に一歩を踏み出せる場所と機会です。

2026年10月31日まで、目標300万円のクラウドファンディングを実施

人口が少ないから、できない。

それを、ひっくり返したい。

人口が少ないからこそ、一人の力を、一人分で終わらせない。

山田町で始まったこの実践を地域に残し、次の人口減少地域でも使える仕組みへ育てていくため、BlessUはクラウドファンディングへの寄付と情報拡散を呼びかけています。

クラウドファンディング

「弱かったんじゃない。やり直す場所がなかっただけ」被災地・岩手でシングルマザーが過疎地域を変える!

実施期間:2026年9月4日~10月31日 23:59

目標金額:3,000,000円

一人ひとりが、もう一度挑戦できる場所と機会を地域に残していく

一般社団法人BlessUについて

一般社団法人BlessUは、岩手県山田町を拠点に、シングルマザー、子ども、高齢者、地域住民などが、それぞれの力や役割を見つけ、学び、働き、つながる地域づくりに取り組んでいます。

2023年4月、共生地域創造財団から事業の移譲を受け独立。多世代・多機能拠点「リタニティハウス」の運営、シングルマザーのデジタルスキル習得・就労支援、相談・伴走支援、子どもの居場所づくり、地域交流などを行っています。

目指しているのは、支援され続ける人を増やすことではなく、支え合う人を増やすこと。

一人の人生に生まれた選択肢を、その人一人のものとして終わらせず、子どもへ、家庭へ、地域へつないでいく仕組みづくりに取り組んでいます。

本件に関するお問い合わせ先

一般社団法人BlessU

担当:代表理事 中居 知子

所在地:028-1332 岩手県下閉伊郡山田町中央町10-2

TEL:0193-65-8286

E-mail:info@mothers-blessu.org

お問い合わせ内容:取材、視察、事業連携、クラウドファンディングに関するお問い合わせ
公式サイト:https://mothers-blessu.org

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会社概要

一般社団法人BlessU

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URL
https://janpia.mothers-blessu.org
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
岩手県下閉伊郡山田町中央町10-2
電話番号
0193-65-8286
代表者名
中居知子
上場
未上場
資本金
-
設立
2023年02月