バイオ系スタートアップ TL Genomics 静岡県ファンド支援とVC出資で資金調達 骨髄移植後のがん再発モニタリング技術を社会実装    自治体と連携し患者の不安解消へ

検出感度10倍・コスト1/20の国産検査キット開発へ TL Genomics、静岡県ファンドサポート事業の採択およびVC出資により製造拠点を静岡東部に整備

株式会社TL Genomics

DNA技術を用いた医療検査を開発する株式会社TL Genomics(神奈川県藤沢市、代表取締役:久保知大)は、静岡県のスタートアップ支援制度「ファンドサポート事業」によるファンド支援、およびMVC(名南グループのVC)からの出資による資金調達をを完了しました。

調達した資金をもとに、骨髄移植後の再発兆候を検出するDNA検査「キメリズム検査」の製造販売承認および保険適用取得を進め、静岡県内にIVD(体外診断用医薬品)の製造拠点を整備します。

■ 背景:年間3,500人が直面する「保険で受けられる再発検査がない」現実

白血病をはじめとする血液がんの根治療法として行われる骨髄移植(同種造血細胞移植)。日本では年間約3,500件の同種移植が実施されており、過去30年間で件数は増加傾向にあります(日本造血・免疫細胞療法学会/日本造血細胞移植データセンター 全国調査報告書 2024年度)。

移植後の患者にとって最大の不安は「がんの再発」です。再発を早期に検出するには、移植後の血液中に患者自身のがん細胞が「どれだけ混在しているか」を定量的に評価する「キメリズム検査」が必要です。しかし現在、日本にはこの検査に対応した保険適用の体外診断用医薬品(診断キット)が存在しません。

既存検査の問題点は2点あります。

第一に、現在保険適用のある「異性間FISH法(染色体検査)」は、ドナーと患者の性別が異なる場合にしか使えず、同性間の移植では検査自体が不可能です。また再発の経過観察には使えないという致命的な制約があります(令和6年版 診療報酬点数表)。

第二に、同性・異性を問わず検査できる「STR-PCR法」は保険適用がなく、1回の検査費用が36,000円(タイピング+モニタリングセット)と患者負担が大きい上、検出感度が5%超と低く、再発初期の微細ながん細胞を見逃すリスクがあります。

その結果、移植後の患者は「再発しているかもしれない」という不安を抱えながら、明確な数値的根拠のないまま長期の経過観察を強いられています。本技術が実用化されれば、骨髄移植後の再発兆候を早期に把握できる可能性があり、血液がん患者の治療戦略に大きく貢献すると期待されています。

■ 技術:大阪大学との共同研究で確認した「3つの優位性」

大阪大学 医学部附属病院 血液腫瘍内科学 福島健太郎准教授

当社が開発した「InDel-dPCR法」は、デジタルPCR技術と個人識別DNA「InDelマーカー」を組み合わせた独自手法です。大阪大学血液腫瘍内科学(福島健太郎准教授)との共同研究のもと、臨床研究100症例で有用性を確認。大阪大学との共同特許(特願2023-182457)に基づく国産診断技術です。

優位性① 検出感度:従来法比 約10倍

既存のSTR-PCR法の検出限界が5%超であるのに対し、当社技術は0.5%の微量なが ん細胞も検出可能。再発の超早期発見につながります。

優位性② コスト:海外製品比 約1/20

InDelマーカーを使った同種の診断キットは欧州に既に存在しますが、コストが高額なため日本市場への普及が進んでいませんでした。当社は「1度に10個以上のInDelマーカーを同時解析する技術」を独自開発することで、海外製品の約1/20のコストを実現。キット価格はタイピング用25,000円/テスト、モニタリング用15,000円/テストを目標としています。

優位性③ 適用範囲:同性・異性を問わず検査可能

異性間FISH法の制約を克服し、あらゆる患者・ドナーの組み合わせに対応します。

なお、本検査は日本造血・免疫細胞療法学会の支援研究に認定されており、専門医からの学術的支持も得ています。

■ 今回の資金調達と静岡県との関係

今回の調達は、静岡県が運営する「ファンドサポート事業」(県認定VCから出資を受けたスタートアップに対し助成する制度)の採択によるものです。静岡県認定VCであるMVCから出資を受けました。 

代表の久保知大は2021年から静岡県三島市に移住し、静岡SHIP・三島LtGのメンバーとして地域と関わりを深めてきました。2026年内には静岡県内にIVD製造拠点を整備する予定で、ファルマバレーセンター(長泉町)を候補地として選考を受けているほか、静岡県立がんセンターとの連携も視野に入れています。

MVC Limited Partnership マネージャー・永田凌也氏のコメント

「TL Genomicsは、卓越した独自技術を基盤とするディープテック企業として、ヘルスケアおよびメディカル分野における革新的なソリューションの創出に取り組んでいます。これからのヘルスケア市場において確かな優位性を築くポテンシャルを有したスタートアップであり、TL Genomicsとともに新たな医療のスタンダードを創造していけることを大いに期待しています。」

当社代表・久保知大のコメント

「MVC様のご出資に深く感謝申し上げます。新しい技術から新しいヘルスケアのあり方を提案する当社ビジョンにご共感いただき、大きな挑戦へと送り出していただきました。これまでの経験を活かし、長期的な成長をし続けるオンリーワン企業を目指します。」

■ 開発スケジュールと今後の展開

  • 2026年 論文・学会発表、製造販売承認申請、研究用キット販売

  • 2027年 保険適用の申請(予定)2028年上市・保険診療開始(予定)

  • 2028年 上市・保険診療開始(予定)

保険適用後の国内市場規模は、年間約4,000件の同種移植を基に、タイピング検査4,000件+モニタリング検査40,000件(移植後最大10年・計10回)で年間約7億円(当社試算)と推計しています。

将来的には、家庭用PCR装置・無痛自己採血キットを活用したPOCT(Point of Care Testing:在宅検査)への展開も視野に、骨髄移植後の再発モニタリングをより身近な医療にすることを目指します。

■ 会社概要

会社名 :株式会社TL Genomics (URL: https://tlgenomics.com

代表者 :代表取締役社長 久保 知大

所在地 :神奈川県藤沢市遠藤2020-5 湘南藤沢インキュベーションLABO #3

設 立 :2015年1月

事業内容:骨髄移植に関する検査・診断薬開発

     染色体解析による疾病リスク・妊娠力検査の開発・販売 (Myエイジ、MyエイジF)

     その他、医療に付帯するサービス

■ 本プレスリリースに関するお問い合わせ

ぜひ本件について取材のご検討をお願いいたします。代表・久保より技術開発の背景や患者への思い、静岡での事業展開について直接ご説明いたします。

広報担当(瀬川)asegawa@tl-genomics.com

【引用データ出典】 ・日本造血細胞移植データセンター/日本造血・免疫細胞療法学会「造血細胞移植学会 全国調査 2024年度報告書」https://www.jdchct.or.jp/data/report/2024/ ・令和6年版 診療報酬点数表(厚生労働省)D006-5 染色体検査

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会社概要

株式会社TL Genomics

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URL
https://tlgenomics.com/
業種
医療・福祉
本社所在地
神奈川県藤沢市遠藤2020-5 湘南藤沢インキュベーションLABO #3
電話番号
0466-47-8655
代表者名
久保知大
上場
未上場
資本金
1億円
設立
2015年01月