日本映画撮影監督協会(JSC)、文化庁「クリエイター等支援事業」による国際舞台で活躍できる映画撮影者の育成プログラムを推進~活動報告第2弾「韓国」~
~世界で活躍できる撮影監督育成のためのリサーチとネットワーク形成~

日本映画撮影監督協会(JSC)は、文化庁・日本芸術文化振興会による「クリエイター等」支援事業」の一環として、国際的に通用する映画撮影者の育成を目的としたプログラムを展開しています。本記事は、活動報告第1弾「タイ・マスタークラス支援」に続く第2弾として、韓国で実施した映像制作現場研修ツアーの成果についてご報告します。シンポジウムやスタジオ訪問、映画祭での交流を通じ、次世代の撮影監督育成に繋がる知見とネットワークを形成する機会となりました。
スケジュール:
9月16日(火)
羽田→金浦空港 移動
機材レンタルショップ「SLR」訪問
CGK × JSC | Cinematic Quantum Cross-Border Cinematography Dialogue 開催
9月17日(水)
DEXTER STUDIOS視察
CJ ENM STUDIO CENTER視察
機材レンタルショップ「Some Film & Digital」訪問
9月18日(木)
機材レンタルショップ「Pro Cam」訪問
ソウル駅→釜山駅 移動
釜山国際映画祭視察
9月19日(金)
韓国映画アカデミー「KAFA」訪問
釜山国際映画祭視察
CGK × JSC シンポジウム「Cinematic Quantum Dialogue」

研修初日には、ソウルのSLR RENT CINE STUDIOにて韓国映画撮影監督協会(CGK)との合同シンポジウムを開催。
CGK代表のチュ・ギョンヨプ氏が「カメラとレンズで語る者同士、今日は思う存分意見を交わそう」と発言し、JSC副理事長の谷川創平は「作品の観点では日韓に距離はない」と応えました。
さらに『殺人の追憶』の撮影監督キム・ヒョング氏は「今こそ協力と信頼を基盤に、アジアから世界市場へ共に挑戦すべき」と呼びかけ、会場は喝采と熱気に包まれました。
3時間にわたるディスカッションでは、韓国の制度的な労働環境整備や撮影監督の権利擁護の仕組みが紹介され、日本側からも若手を守るための制度の必要性が語られました。終了後の懇親会では国境を越えた交流をいっそう深めました。


映像制作の最前線を体感
研修中には、韓国のトップレベルのスタジオや教育機関を訪問し、制作環境の素晴らしい充実度と厚みを実感しました。
DEXTER STUDIOS
VFXスーパーバイザーが脚本段階から参画する体制をリサーチ。技術だけでなく物語を共に創る姿勢に強い刺激を受けました。
CJ ENM Studio Center
OTT作品を支える巨大スタジオ群を見学。1,600㎡規模のスタジオや本格的なVPスタジオが年間通して稼働する様子に圧倒されました。
KAFA(韓国映画アカデミー)
国の支援を受けた最新設備と教育プログラムを確認。「教育と労働環境の相乗があるからこそ世界的人材が育つ」との参加者の声もありました。
さらに、釜山国際映画祭では若い観客の熱気とOTT企業の存在感を体感し、映画祭の持つ「マーケット機能」の重要性を再認識しました。



今回の成果と展望
今回の研修を通じて明らかになったのは、法律や助成金といった仕組みの有無が、現場環境に大きな差を生み出すという点です。韓国は労働時間の規制を法律で定め、さらに国の補助制度を活用することで、健全な労働環境を整え、世界市場に応える作品を次々と生み出しています。
一方、日本はまだ個人の努力に依存する部分が大きく、制度面での改善が急務であることが浮き彫りになりました。
今回の経験は、次世代の撮影監督を世界へ送り出すための大きなステップであり、国際的な映像文化交流の土台づくりに繋がるものです。
JSCは今後も、海外の映像団体との連携やマスタークラスを通じて、国際舞台で活躍できる映画撮影者の育成を推進してまいります。
活動の最新報告は、随時こちらで発信していきます。


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