7月2日から国連で武器貿易条約の交渉スタート! 日本は具体的なイニシアティブを
7月武器貿易条約(ATT)交渉会議
2012年7月2日から27日まで、ニューヨークの国連本部にて、武器貿易条約
(ATT)の交渉会議が開催されます。ATTについては、2006年から国連でのプロセスが進展し、2010年以降の準備委員会を経て、来る7月の交渉会議で条約の採択が目指されています。2003年にNGOが開始した「コントロール・アームズ」キャンペーンは、武器の国際移転の厳しい規制を訴え続け、厳格な内容のATTの成立を訴え続けてきました。
ATTに関する2006年以降の一連の国連総会決議では、いずれも共同提案国が110か国を超えていることにも示されるように、非常に多くの国がATTの成立を支持しています。しかし、「総論賛成」の国々も、各論では意見が分かれます。さらに、ATTの成立に反対する国々も会議に出席します。そうしたなかで、7月会議は、表決ではなく「コンセンサス」で条約を採択することになっています。
日本政府の役割
日本は、国連総会決議の110か国以上の共同提案国の中に入っており、なかでも2006年決議の初期の段階で共同提案国となった7か国に含まれています。しかし、それら7か国のうち、国連での実際の交渉の場で、事実上のリード国として会議で具体的なイニシアティブをとり、かつ、厳格な内容の条約を強く求めているのは、オーストラリアとコスタリカだけです。また、2012年2月の第四回準備委員会では、会議で交渉された文書内容について日本政府から具体的・実質的な発言がほとんどみられず、NGOによる日本の評価は低いものでした 。
「コントロール・アームズ」日本キャンペーンは、人間の安全保障や通常兵器規制の推進を謳う国として、日本が以下のように具体的・実質的なイニシアティブをとることを求めています。
【日本政府に求めていること】
日本政府は、7月会議において、とりわけ以下の項目に関する条約内容に関し
て、本会議や主要委員会などの場で具体的・実質的な発言をしたうえで、具体的な条文の書き方についてイニシアティブをとってください。
● 日本は、この条約の要となる、国際人権法、国際人道法、国際刑事法、持続可能な開発、汚職などに関する移転許可基準(各国が移転申請の可否を判断するにあたって照らし合わせる基準)を条約に盛り込むよう、強く主張してください。
● Small Arms Surveyの調査によれば、日本は2001年から2008年までの小型武器の主要輸出国です。これは、日本からの猟銃やスポーツ用ライフルの輸出額が大きいことによります。日本は、市民が所持を認められている小型武器の移転も条約で規制することについて、これまで公に具体的な支持を表明していません。中南米の国々の多くは、市民用として移転された銃が流出して犯罪に使われることを指摘し、厳格な規制を求めています。また、国によっては、市民も殺傷能力が非常に高い銃を所持することができます。ただし、軍や警察用の武器と全く同じ移転規制や記録制度を市民用の銃に適用するのは、困難な面もあります。日本は、そうした武器を条約の規制対象にするべく、具体的な規制・記録方法について他国に働きかけ、反対国を説得してください。
● 通常兵器のうちでも、弾薬や、部品・構成部分については、条約で規制することに反対する国々がみられます。しかし、銃を持っていても、弾薬がなければ撃ち続けることができません。また、部品ごとに移転して、移転先で組み立てれば条約で規制されない、といった抜け穴は作るべきではありません。ただし、弾薬や部品・構成部分についても、移転規制や記録にあたっての若干の難しさがあります。日本は、弾薬や部品・構成部分を条約の規制対象にするべく、具体的な規制・記録方法について他国に働きかけ、反対国を説得してください。
● 条約について、議論の実質的なベースになっている2011年7月議長非公式文書には、条約に基づいて各国が規制した移転に関する報告書を一般公開する制度が盛り込まれていません。そのため、このままでは条約の履行状況が全く公にされないことになります。この点について、2012年3月末の日本政府の見解書は、具体的に意見を表明していません。日本は、各国が報告した内容の全てについて、何らかの形で一般に公開する制度が条約に盛り込まれるよう強く主張し、反対国を説得してください。
● 「コンセンサス」のルールによる会議の結果、上記の項目をはじめとする最低限の重要な内容すら盛り込まれないような条約案が提示されたときには、日本は反対の姿勢を明確に示してください。アメリカやロシア、中国など、より多くの国の賛同は重要ですが、もし賛同した国々が署名・批准したとしても、それらの国々の行動を実質的に縛ることができないような弱い条約では、現在の状況を何ら変えることにはなりません。
● 「コントロール・アームズ」キャンペーン
武器の拡散と乱用を防ぐために2003年10月に発足した国際キャンペーンです。アムネスティ・インターナショナル、オックスファム、IANSA(国際小型武器行動ネットワーク)などのNGOが参加しています。
【厳格な内容のATTを強く推進している国々】
ウルグアイ、オーストラリア、オーストリア、オランダ、ガーナ、コスタリカ、ザンビア、タンザニア、トリニダー ド・トバゴ、ナイジェリア、ニュージーランド、ノルウェー、バングラデシュ、メキシコ
【厳格な内容のATTにすることに懐疑的な国々】
アルジェリア、イラン、エジプト、キューバ、シリア、中国、パキスタン、ロシア
【ATTの形成は推進しているが、各論に入ると反対意見が多かったり、「コンセンサス」での合意のために過度に妥協する可能性が懸念される国々】
アメリカ、アルゼンチン、イギリス、インドネシア、カナダ、ケニア、ジャマイカ、スイス、スウェーデン、スペイン、ドイツ、日本、フィリピン、ブラジ
ル、フランス、南アフリカ共和国
※「コントロール・アームズ」国際キャンペーンによる、2012年6月現在の状況分析より
<写真>
世界各地で、強い武器規制を求めるキャンペーンが行われた。写真は、アムネスティ・スペイン支部(6月27日)。武器よりも、バナナなど果物のほうが貿易規制があることを皮肉っている。
銃口がねじまがった銃のモニュメント。国連前。
2012年7月2日から27日まで、ニューヨークの国連本部にて、武器貿易条約
(ATT)の交渉会議が開催されます。ATTについては、2006年から国連でのプロセスが進展し、2010年以降の準備委員会を経て、来る7月の交渉会議で条約の採択が目指されています。2003年にNGOが開始した「コントロール・アームズ」キャンペーンは、武器の国際移転の厳しい規制を訴え続け、厳格な内容のATTの成立を訴え続けてきました。
ATTに関する2006年以降の一連の国連総会決議では、いずれも共同提案国が110か国を超えていることにも示されるように、非常に多くの国がATTの成立を支持しています。しかし、「総論賛成」の国々も、各論では意見が分かれます。さらに、ATTの成立に反対する国々も会議に出席します。そうしたなかで、7月会議は、表決ではなく「コンセンサス」で条約を採択することになっています。
日本政府の役割
日本は、国連総会決議の110か国以上の共同提案国の中に入っており、なかでも2006年決議の初期の段階で共同提案国となった7か国に含まれています。しかし、それら7か国のうち、国連での実際の交渉の場で、事実上のリード国として会議で具体的なイニシアティブをとり、かつ、厳格な内容の条約を強く求めているのは、オーストラリアとコスタリカだけです。また、2012年2月の第四回準備委員会では、会議で交渉された文書内容について日本政府から具体的・実質的な発言がほとんどみられず、NGOによる日本の評価は低いものでした 。
「コントロール・アームズ」日本キャンペーンは、人間の安全保障や通常兵器規制の推進を謳う国として、日本が以下のように具体的・実質的なイニシアティブをとることを求めています。
【日本政府に求めていること】
日本政府は、7月会議において、とりわけ以下の項目に関する条約内容に関し
て、本会議や主要委員会などの場で具体的・実質的な発言をしたうえで、具体的な条文の書き方についてイニシアティブをとってください。
● 日本は、この条約の要となる、国際人権法、国際人道法、国際刑事法、持続可能な開発、汚職などに関する移転許可基準(各国が移転申請の可否を判断するにあたって照らし合わせる基準)を条約に盛り込むよう、強く主張してください。
● Small Arms Surveyの調査によれば、日本は2001年から2008年までの小型武器の主要輸出国です。これは、日本からの猟銃やスポーツ用ライフルの輸出額が大きいことによります。日本は、市民が所持を認められている小型武器の移転も条約で規制することについて、これまで公に具体的な支持を表明していません。中南米の国々の多くは、市民用として移転された銃が流出して犯罪に使われることを指摘し、厳格な規制を求めています。また、国によっては、市民も殺傷能力が非常に高い銃を所持することができます。ただし、軍や警察用の武器と全く同じ移転規制や記録制度を市民用の銃に適用するのは、困難な面もあります。日本は、そうした武器を条約の規制対象にするべく、具体的な規制・記録方法について他国に働きかけ、反対国を説得してください。
● 通常兵器のうちでも、弾薬や、部品・構成部分については、条約で規制することに反対する国々がみられます。しかし、銃を持っていても、弾薬がなければ撃ち続けることができません。また、部品ごとに移転して、移転先で組み立てれば条約で規制されない、といった抜け穴は作るべきではありません。ただし、弾薬や部品・構成部分についても、移転規制や記録にあたっての若干の難しさがあります。日本は、弾薬や部品・構成部分を条約の規制対象にするべく、具体的な規制・記録方法について他国に働きかけ、反対国を説得してください。
● 条約について、議論の実質的なベースになっている2011年7月議長非公式文書には、条約に基づいて各国が規制した移転に関する報告書を一般公開する制度が盛り込まれていません。そのため、このままでは条約の履行状況が全く公にされないことになります。この点について、2012年3月末の日本政府の見解書は、具体的に意見を表明していません。日本は、各国が報告した内容の全てについて、何らかの形で一般に公開する制度が条約に盛り込まれるよう強く主張し、反対国を説得してください。
● 「コンセンサス」のルールによる会議の結果、上記の項目をはじめとする最低限の重要な内容すら盛り込まれないような条約案が提示されたときには、日本は反対の姿勢を明確に示してください。アメリカやロシア、中国など、より多くの国の賛同は重要ですが、もし賛同した国々が署名・批准したとしても、それらの国々の行動を実質的に縛ることができないような弱い条約では、現在の状況を何ら変えることにはなりません。
● 「コントロール・アームズ」キャンペーン
武器の拡散と乱用を防ぐために2003年10月に発足した国際キャンペーンです。アムネスティ・インターナショナル、オックスファム、IANSA(国際小型武器行動ネットワーク)などのNGOが参加しています。
【厳格な内容のATTを強く推進している国々】
ウルグアイ、オーストラリア、オーストリア、オランダ、ガーナ、コスタリカ、ザンビア、タンザニア、トリニダー ド・トバゴ、ナイジェリア、ニュージーランド、ノルウェー、バングラデシュ、メキシコ
【厳格な内容のATTにすることに懐疑的な国々】
アルジェリア、イラン、エジプト、キューバ、シリア、中国、パキスタン、ロシア
【ATTの形成は推進しているが、各論に入ると反対意見が多かったり、「コンセンサス」での合意のために過度に妥協する可能性が懸念される国々】
アメリカ、アルゼンチン、イギリス、インドネシア、カナダ、ケニア、ジャマイカ、スイス、スウェーデン、スペイン、ドイツ、日本、フィリピン、ブラジ
ル、フランス、南アフリカ共和国
※「コントロール・アームズ」国際キャンペーンによる、2012年6月現在の状況分析より
<写真>
世界各地で、強い武器規制を求めるキャンペーンが行われた。写真は、アムネスティ・スペイン支部(6月27日)。武器よりも、バナナなど果物のほうが貿易規制があることを皮肉っている。
銃口がねじまがった銃のモニュメント。国連前。
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