2021 年(第 30 回)ブループラネット賞 特設サイトを新たに開設受賞者への特別インタビュー動画を公開
地球環境国際賞
公益財団法人旭硝子財団(理事長 島村琢哉、所在地 東京都千代田区)は、地球環境国際賞であるブループラネット賞の特設サイト(https://www.af-info.or.jp/blueplanet/special2021/)を新たに開設し、2021年(第30回)受賞者の特別インタビュー動画を公開いたしました。
本年度の受賞者は、短寿命気候汚染物質(SLCPs)と呼ばれる二酸化炭素以外の汚染物質が非常に大きな温室効果をもたらすことを発見し、自身で統括した褐色雲(ABCs)に関する国際現地プロジェクトを通して、ブラックカーボンの気候への影響を明らかにしたヴィーラバドラン・ラマナサン教授(米国)と、SDGs(持続可能な開発目標)の源流の一つともなった統合的、学問横断的であり、開発の問題を経済、環境、社会の3つの観点からとらえる「サステノミクス」の考え方を創出したモハン・ムナシンゲ教授(スリランカ)の2名です。
本年度の受賞者は、短寿命気候汚染物質(SLCPs)と呼ばれる二酸化炭素以外の汚染物質が非常に大きな温室効果をもたらすことを発見し、自身で統括した褐色雲(ABCs)に関する国際現地プロジェクトを通して、ブラックカーボンの気候への影響を明らかにしたヴィーラバドラン・ラマナサン教授(米国)と、SDGs(持続可能な開発目標)の源流の一つともなった統合的、学問横断的であり、開発の問題を経済、環境、社会の3つの観点からとらえる「サステノミクス」の考え方を創出したモハン・ムナシンゲ教授(スリランカ)の2名です。
本賞は、地球環境の修復を願い、地球サミットが開催された1992年(平成4年)に設立され、地球環境問題の解決に関して社会科学、自然科学/技術、応用の面で著しい貢献をされた個人、または組織に対して、その業績を称える国際的な賞です。毎年原則として2件を選定し、受賞業績1件に対して、賞状、トロフィーおよび賞金5千万円が贈られます。
今回の特別インタビュー動画は、新型コロナウイルス感染症の影響で受賞者の来日および表彰式典や記念講演会が中止となったため、それに代わる内容としてウェブサイトに公開しました。本サイトでは例年の式典の流れに沿って、当財団理事長島村の挨拶、秋篠宮皇嗣殿下からのお言葉等も紹介しています。
ラマナサン教授は、インタビュー(聞き手:気象業務支援センター研究推進部研究員 鬼頭昭雄氏)で、SLCPsの温室効果やその排出量低減策について、ローマ法王やダライ・ラマ14世などの信仰指導者を巻き込んだ気候変動に関する啓蒙活動について語りました。
ムナシンゲ教授は、インタビュー(聞き手:慶應義塾大学経済学部教授 大沼あゆみ氏)で、世界を持続可能にするにはサステノミクスに基づく包括的な戦略が必要であることや、先進国の富裕層は責任ある生産と消費をすべきこと、それがSDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」に取り込まれていることについて語りました。
深刻化する地球環境問題の解決に向け、お二人の真摯な想いが伝わる内容となっています。ぜひご覧ください。
―――――――――――――――― 本年度(第 30 回)の受賞者情報 ――――――――――――――――
1. ヴィーラバドラン・ラマナサン教授(米国) 1944年11月24日 インド生まれ
カリフォルニア大学サンディエゴ校スクリプス海洋研究所 教授
気候持続可能性 エドワード A フリーマン寄附講座
ラマナサン教授は、短寿命気候汚染物質(SLCPs)と呼ばれる二酸化炭素以外の汚染物質の気候への影響を数十年に渡って研究してきた。対象は、メタン、対流圏オゾン、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)※1、ブラックカーボン(煤)※2などである。クロロフルオロカーボン類(CFCs)※3の非常に大きな温室効果を発見し、自身で統括した褐色雲(ABCs)に関する国際現地プロジェクトを通して、ブラックカーボンの気候への影響を明らかにするなどの貢献があった。教授は、SLCPの削減は温暖化を速やかに抑制し、大気汚染を大幅に改善することを示し、その後SLCP削減のための国際的な活動を主導した。
※1 オゾン層を破壊しない「代替フロン」。二酸化炭素の数百倍~数万倍の温室効果がある。
※2 大気中を浮遊する微小粒子(エアロゾル)の成分の一つ。ディーゼルエンジンの排気ガス、石炭の燃焼、
森林火災、薪などバイオマス燃料の燃焼など、炭素を主成分とする燃料が燃焼した際に主に発生。
※3 フロンの一種で、オゾン層破壊物質。二酸化炭素の約5千~1万倍の温室効果がある。
2. モハン・ムナシンゲ教授(スリランカ) 1945年7月25日 スリランカ生まれ
ムナシンゲ開発研究所 創設者・所長
ムナシンゲ教授は、統合的、学問横断的であり、開発の問題を経済、環境、社会の三つの観点からとらえるサステノミクスの考え方を創出した。革新的な概念である「公正な包括的グリーン成長(BIGG)」や「ミレニアム消費目標(MCGs)」はサステノミクスから生まれた。BIGGは、各国に発展の度合いに応じた持続可能な開発の道筋をとることを求め、また、MCGsは、世界生産のほとんどを消費する裕福な人々に地球への負荷を低減するため、消費目標の遵守を求める。教授は、これらの考え方を世界に広めるため、環境経済学と環境政策を用いて実践的な活動を展開している。
―――――――――――――――― 本年度(第 30 回)の選考経過 ――――――――――――――――
国内472名、海外748名のノミネーターに推薦書を送り、127件の受賞候補者が推薦されました。候補者の分野は、多い順に環境経済・政策が31件、生態系29件、気候、地球科学19件などでした。候補者は38ヶ国にわたり、途上国からの候補者は33件あり、全体の26%に相当します。選考委員会による数次の審査をもとに顕彰委員会に諮った後、理事会で、1件はヴィーラバドラン・ラマナサン教授が、もう1件はモハン・ムナシンゲ教授が受賞者として正式に決定されました。
―――――――――――――――― ブループラネット賞について ――――――――――――――――
人類が解決を必要としているグローバルな諸問題の中で、最も重要な課題の一つが地球環境の保全です。地球温暖化、酸性雨、オゾン層の破壊、熱帯雨林の減少、河川・海洋汚染などの地球環境の悪化は、いずれも私達人間の生活や経済活動が大自然に影響を及ぼした結果です。旭硝子財団は、地球環境の修復を願い、地球サミットが開催された1992年(平成4年)に、地球環境問題の解決に向けて著しい貢献をした個人または組織に対して、その業績を称える地球環境国際賞として「ブループラネット賞」を創設いたしました。
賞の名称の「ブループラネット」は人類として初めて宇宙から地球を眺めた宇宙飛行士ガガーリン氏の言葉「地球は青かった」にちなんで名付けました。この青い地球が未来にわたり、人類の共有財産として存在しつづけるようにとの祈りがこめられています。
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