薬剤師についてのドラッグストアについて調査を実施!最もやりがいを感じるのは「病状を直接聞いて、薬剤師の判断で薬を選べる」で36.2%
最も大変なことは「夜間や土日の勤務があること」で29.3%
合同会社スマスタは、薬剤師の転職情報メディア『ハッピーファーマシスト』で「薬剤師がドラッグストアで働くことについてのアンケート」を実施しました。
調剤以外の仕事に魅力を感じる意見が多い一方で、夜間土日の勤務や長時間労働などの労働環境に対する不満を感じる薬剤師が多いことがわかりました。
https://smast.co.jp/happypharmacist/drugstore
調剤以外の仕事に魅力を感じる意見が多い一方で、夜間土日の勤務や長時間労働などの労働環境に対する不満を感じる薬剤師が多いことがわかりました。
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■調査概要
調査方法 | インターネットによる調査 |
調査対象 | ドラッグストアに勤務経験のある薬剤師の男女 |
調査期間 | 2020年12月15日~12月24日 |
調査エリア | 全国 |
サンプル数 | 58名 |
■ドラッグストアで働くメリット(魅力ややりがい)を教えてください
まずは実際にドラッグストアで働く中で感じる、魅力ややりがいを伺いました。
(複数回答可)
- 薬剤師の判断で薬を選べる
- OTCや介護用品に詳しくなる
- 給料が高いこと
- お客さんと距離が近い
- 医薬品以外に詳しくなれる
- お客さんに頼られる
- 人間関係が良好
- 接客の技術が高まる
- 流行の商品に詳しくなる
- 社員割引がある
- 平日に休める
- 平日に休める
- 休みが多い
- その他
回答の第一位は「薬剤師の判断で薬を選べる」、第二位は「OTCや介護用品に詳しくなる」、第三位「給料が高いこと」でした。
それぞれの代表的な意見は下記の通りです。
1位. 病状を直接聞いて、薬剤師の判断で薬を選べる 36.2%
- お客さんの症状を聞き取りして臨床推論し、OTCで解決できるのか、受診勧奨するかの判断ができる点。次回来局時にOTCで症状改善したと言われた時はこちらも嬉しくなる。
- お客さんの訴えから、言葉通りではない本当に必要なものを聞き出し、提案できた時はやりがいを感じます。OTCではなく、医療機関を受診した方がいいと判断してあげるのもお客さんを救えたなと感じます。
- 誇張表現ですが、「お医者様になれる」という部分です。ドラッグストアでは体調不良を訴える患者様が病院を受診せずいらっしゃるため、薬剤師自身が問診をしてその患者様に合ったお薬を選んだり、場合によっては病院を受診するよう促します。そのため現在の症状をしっかり確認し、たくさんの可能性を潰して症状に目星をつけないといけません。これはお医者様がされていることと同じです。それによるアドバイスや薬の販売、受診勧告をしたのち、患者様にあの時はありがとう!よくなった!と笑顔で再来店されるととても嬉しい気持ちになります。
- 門調剤だけでなく、OTCや介護用品など幅広い知識が身につく。店舗によっては栄養士さんがいたりして勉強になる。
- 基本的に面対応の為、多種類のOTCに触れる機会が病院や調剤薬局に比べ圧倒的に多い為、この点の知識が養われる事が期待できる。
- 基本的に面対応の為、多種類のOTCに触れる機会が病院や調剤薬局に比べ圧倒的に多い為、この点の知識が養われる事が期待できる。
- 3位 給料が高いこと 25.9%
- 仕事以外の時間(趣味など)に時間、気力、体力を残せるのが魅力です。休みが多く給料高いので、それが可能になります。
- 働く時間や売り上げに応じて賞与や給料、手当が上乗せされる。減らされることはめったにない。
- 成果主義を導入している企業が多いため、各カテゴリー毎に毎月の販売目標をクリアーしていけば、おのずと給料が上がってくること。
- 個室を完備した薬局。患者の不満として「他の患者に自分の薬の話を聞かれるのがイヤ」とよく耳にするので、診察室のような個室を完備した薬局のニーズはあるかと。
▼分析
医師の処方箋に基づく調剤ではなく、自分が薬を提案し、感謝されることにやりがいを感じる薬剤師が多い結果となりました。
OTC医薬品に詳しくなることで、昨今の流れであるセルフメディケーションに携われるのもドラッグストアの魅力と感じられるようです。
■ドラッグストアで働くデメリット(大変なことなど)を教えてください
次にドラッグストアで働いていて、大変と感じることを伺いました。
- 夜間や土日の勤務があること
- 残業や長時間労働が多い
- 薬剤師としての職能を発揮しにくい
- 肉体労働が多い
- 様々な知識が求められる
- クレームが多い
- ノルマがある
- 相談する相手がいない
- その他
店舗の環境によって大変と感じることが異なるため、票がバラけた結果となりました。
回答の第一位は「夜間や土日の勤務があること」、第二位は「残業や長時間労働が多い」と「薬剤師としての職能を発揮しにくい」でした。
それぞれの代表的な意見は、下記の通りです。
1位.夜間や土日の勤務があること 29.3%
- 営業時間が長いので、生活のリズムが崩れやすいのがデメリットです。例えば23時まで営業していると、寝るのは必然的に24時を回ることになります。意識して生活リズムを整えておかないと、崩れやすいです。
- 営業時間が8時~23時と長く、日によって早番だったり遅番だったりします。睡眠時間の確保や体調管理が難しいです。
- ドラッグストアは基本年中無休のため、お盆やGW、年末年始の休みはありません。休みを自由に取れないのは、家族を大事にする方にはデメリットになると思います。
同率2位.残業や長時間労働が多い 24.1%
- 私がOTC専門でやっているときはサービス残業・休日出勤がすごかったです。基本的には日付をまわらずに帰宅できなかったです。都会の店舗は人員もそろっており休みもとりやすい状況でしたが、田舎になると人手が足りず勤務形態はボロボロでした。
- 勤務時間が基本的に長い。土日祝も出勤のことが多く、年間休日も少なめ。(その分給与は反映されている)
- 不定期な休日、長時間労働、取りづらい有休休暇などワークライフバランスを考えると業界では最悪なレベルだと思います。
- 調剤が少ない店舗だと、接客メインになり、時には品出しやレジもやる会社もあり。好きな人は楽しいが薬剤師なのに、そんな仕事はやりたくないと思う人はデメリットだも思う。
- 仕事の範囲が薬以外にも広がり薬剤師の仕事に集中できないことがある。薬剤師として薬の知識を生かして働きたいと考えている人にとって品出しや棚替えは相当ストレスだと思います。
- 社内での評価は、薬剤師としての能力より商売人としての能力が対象になる。いかに売り上げや客数を上げるかということ。周りの上司や同僚、従業員の多くは非薬剤師であり、薬剤師の存在感や意義、重要性を理解していない者も多い。そのような環境のため、医療人としての仕事感はないに等しい。(あっても次第になくなる)
夜間・土日の勤務や長時間労働・肉体労働などの労働環境に不満を感じる薬剤師が多い結果となりました。
OTCの案内以外の仕事も多く、薬剤師としての職能を発揮しにくいと悩む方も多くおられました。医療現場の薬剤師とは、全く違った苦労があるようです。
■土日祝日はどれくらい休めますか?月の残業時間はどれくらいですか?
ドラッグストアで働くことの不満として多く挙げられた、土日祝日の出勤。
そこで土日祝日はどの程度休めるのか、そして残業状況も伺いました。
土日祝日はどの程度休めるのかの回答の第一位は「土日祝日はほぼ全て出勤」、第二位は「土日祝日は希望すれば休める」、第三位「土日祝日のうち月3回くらい休める」でした。
それぞれの代表的な意見は下記の通りです。
1位.土日祝日はほぼ全て出勤 29.3%
- 正社員の場合、土日祝の休みはほぼないです。パートの場合、契約時に土日祝は出ない、との契約をすることはできます。
- 自分の店舗は正社員1人体制プラスパート薬剤師で賄ってるため、基本的に土日は休めない。祝日も休めない。どうしても休みたい時は事前に3ヶ月前に言わないといけない。
- あまり休めなかったが、土日祝はどこも混雑しているので、逆に平日休みで、世の中が混んでない時に出かけられるのは良かったです。
- 土日祝日は希望があれば休めます。シフト制なので、全部が全部出勤しないといけないわけではありませんが、基本土日祝日が忙しいので、希望がなければ出勤します。
- 基本、月に8-9日休むことができたが、その多くが土日祝日だった。薬剤師が複数いる店舗であれば平日も含め、ある程度自由に休む日を選べると思う。
- 土日祝日のお休みは月に2.3回貰えてました。新人の頃は遠慮してもう少し少なかったと思いますが、開店時間が長い所が多いので、ある程度勤務時間の融通はきく所が多いと思います。
- シフトが基本なので、月に3,4日は土日休むこともできる。しかし土日続けて休めるのはレアだと思う。残業は店舗にもよるが、月10時間程度だったと思う。
調剤併設店の主に調剤側で働いていた方の休み状況
土曜日は出勤で日祝は休み 54.5%
- ドラッグストア併設の調剤薬局に従事していたので、調剤薬局の勤務体系でした。日曜日祝日は休みでした。
- 土曜日は午前中まででした。日曜日は定休日です。
土日祝日は店舗(調剤だけ)が休みなので休み 45.5%
- 土日祝日が休みなので、毎回休めてます。
- 調剤併設のドラッグストアなので、調剤の休み通り、土日祝はカレンダー通り休めます。私はパートなので残業もほぼありません。
■1ヵ月当たりの残業時間
残業状況の回答の第一位は「残業なし」、第二位は「月15~20時間程度」、第三位「月10時間程度」でした。
1位.残業なし 33.3%
- パートなので、残業なしだった。
- 月の労働時間は決まっているので残業はあまりないが、夜間の時間帯に多く入らざるを得なかった。
- 私の務めていた企業では労務管理が徹底され、残業は基本なし。必要な残業も許可制で許可外で勤務すると懲戒を受けることもあった。労務管理に対する経営者の意識の違いと思われます。
- 午後に入ってくれるパートさんが少ないときは、残業時間は20時間を超える月もあります。
- 来店者が多い時はレジ締めの補助や閉店作業で毎日1時間程度残業(月15~20時間)することはあった。
- 識の違いと思われます。
- 残業は店舗にもよるが、月10時間程度。
残業はほぼなし(月5時間未満) 55.6%
- 月の残業時間は2~3時間だと思います。
- 残業時間はありませんでした。こればかりは薬局によると思います。
- 月の残業は現在8~9時間ほど。薬局業務以外の残業はないからある程度抑えられている。
- 残業は15時間ほどです。
▼分析
約3割の薬剤師が、土日祝はほぼ休めないと回答されました。薬剤師の配置数に余裕がある店舗では、土日祝もある程度は休めているようです。長時間残業の印象が強いドラッグストアですが近年は働き方改革が進み、残業が減少している企業も増えてきています。
■ドラッグストア以外へ転職を検討したことがありますか?またその理由も教えてください。
ドラッグストアに勤めているときに、ドラッグストア以外へ転職を考えたことがあるかどうかを伺いました。
- 転職を考えたことがある 86.8%
- 転職を考えたことはない 13.2%
ドラッグストア以外に転職を考えた理由
- 薬剤師の職能を活かしたい
- 体力的な負担が大きい
- 土日祝や夜間の勤務を避けたい
- 転職の選択肢を広げるため
- 色々な経験を積みたい
- 休みが取りにくい
- ノルマが大変
- ブラック企業だった
- その他
※複数回答可
ドラッグストア以外への転職を考えた理由の第一位は「薬剤師の職能を活かしたい、薬剤師として経験を積みたい」、第二位は「体力的な負担が大きい(肉体労働や忙しさ・夜間勤務など)」、第三位は「土日祝や夜間の勤務を避けたい」でした。
それぞれの代表的な意見は、下記の通りです。
1位.薬剤師の職能を活かしたい、薬剤師として経験を積みたい 51.0%
- 門前に病院がないので定期的に来られる方が少なく、「いつもの薬局が混んでたからこっちに来た。」と言われても、状況把握がしにくいので服薬指導が難しいです。調剤薬局は、門前の病院の患者さんが大体来てくれるので、その方の情報が詳しく分かるからやりがいを感じます。
- ドラッグストアは、医療人ではなく商売人として働く場所。仕事の実質はスーパーやホームセンターと変わらない。自分がなぜ薬剤師になったのか、薬剤師としてどのような仕事をしたいのかを冷静に考えると、医療人としての仕事ができる業種に移ろうと考えた。
- やはり医療に詳しくなれるのは調剤薬局だからです。人にもよりますがドラッグストアの薬剤師の知識は調剤薬局の薬剤師の足元にも及びません。
- 体調崩してしまったからです。やはり世間と同じような生活リズムで生活したいと考えました。若く独身のうちしかやってられません。
- 肉体労働は年齢を重ねるごとに辛くなり、体力的にきついと感じているためです。
- 土日祝や年末年始、お盆など家族と過ごす時間を確保するのが難しい。シフト制なので時間が不規則だったので規則的に働けて休める調剤薬局に行きたかった。
- 様々な仕事があり勉強になりますが、結婚後に夜のシフトが入ると家庭に影響があると感じ、営業時間が短い調剤薬局へ転職しました。
- 年収が病院や調剤薬局よりドラッグストアの方が良いので、転職するならドラッグストアがよい。また、調剤薬局は飽和化していることから今後伸び悩むイメージがあるのでドラッグストアの方が良い。
- 給料がよく、仕事自体はそこまで大変でないので転職したいと思ったことがない。仕事はお金を稼ぐためだと割り切るととても楽に働けます。
- 病院薬剤師は大学院未修のため出世に不安だし、調剤薬局はOTC接客の機会が少なくやりがいがなさそう。給料面の不満で他のドラッグストアへ転職を検討したことはあるが、それ以外に不満がない。
- OTCの知識を始めとして、仕事で得られることが日常生活に直結するので有益さを感じられており、この仕事を離れたいとは思わない。
▼分析
薬剤師の職能を活かせないことが、ドラッグストアからの転職理由1位となりました。特に新卒からドラッグストアでは、知識を活かせず経験を積めないことに不安を感じやすいようです。一方キャリアアップや年収の高さにやりがいを見出している方は、転職を考えていない結果となりました。
■所感
薬剤師58人に対するドラッグストアについてのアンケートにより、以下のことがわかりました。
- ドラッグストアで働くメリット1位は、病状を直接聞き薬剤師の判断で薬を選べること
- ドラッグストアで働くデメリット1位は、夜間や土日の勤務があること
- 3割の薬剤師が土日祝は全て出勤。残業は減少傾向
- 薬剤師の職能を活かしたいことが、ドラッグストアからの転職理由
ドラッグストアに将来性を感じる薬剤師は多いですので、興味をもった薬剤師がどれだけ働きやすい環境を作れるか、言わば働き方改革が今後のドラッグストアの課題といえそうです。
詳しくは
薬剤師がドラッグストアで働くメリット・デメリット【薬剤師58人にアンケート】
https://smast.co.jp/happypharmacist/drugstore
■『ハッピーファーマシスト』とは(https://smast.co.jp/happypharmacist/)
『ハッピーファーマシスト』は、働く薬剤師向け情報メディアです。
薬剤師向け各種調査レポートをはじめ、薬剤師の働き方や転職情報をお届けします。
薬剤師による現場の情報に加え、転職エージェント経験者による転職のコツなどをお届けします。
■会社概要
会社名: 合同会社スマスタ
所在地: 愛知県犬山市犬山北別祖97-5
代表:鈴木唯史
設立:2020年3月9日
事業内容:Webコンテンツ制作
URL:https://smast.co.jp/
電話:0568-68-7853
お問い合わせ先:info@smast.co.jp
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