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ファームエイジ株式会社
会社概要

持続可能な農業”放牧”から学ぶ~~ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト WEBセミナーVol.04実施レポート公開~

ファームエイジ株式会社

2022年2月21日 ニュージーランド政府、フォンテラジャパン株式会社、ファームエイジ株式会社が主体となるニュージーランド北海道酪農協力プロジェクトにて、放牧酪農に関するWEBセミナー「放牧酪農WEBセミナー Vol.04」を開催致しました。当日は酪農家、関係団体など、北海道のみならず全国から40名程の方にご参加いただきました。

トピックは、ニュージーランド(以下NZ)におけるオーガニック酪農と未来の畜産をテーマに、NZコンサルタントからのアドバイスいただきながら、それらを交えてディスカッションを行いました。参加者からは、多くの質問が寄せられ、活気にあふれた90分になりました。
■オーガニック酪農と未来の畜産 キャシーさん


1、牧場の概要
  • スピーカーのキャシーさんと旦那様のジェイミーさんの2人で経営(家族経営)
  • 1977年に旦那様のお父さんが農場をスタート。
  • 徐々に牧場の株を購入し、現在はキャシーさんご夫婦がオーナー
  • 土地と家畜の所有、加工、ブランドと、3つに分けて管理
  • 草地面積270ha(内借地が25ha)
  • 乳牛126頭(うち搾乳牛61頭)肉牛135頭、ヒツジ250頭など、すべての動物は通年放牧
  • 基本的に年間を通じて穀物の栽培はしておらず、餌は牧草をメイン
  • 土壌分析は3年に1回実施。pHの調整と不足を石灰や微量要素を活用し、補っている
     

2、生産物(加工品)や販売について

  • 自社でヨーグルトの製造。市場の需要に対して生産量を調整しており、余剰のミルクは牧場内のブタに給与することもある。
  • ヨーグルトは1週間で5~6回作っており、自社内でボトル詰めまで行って、代理店を通じNZ全土に向けて販売中



3、オーガニック認証について
  • オーガニック認証登録は農場、工場で取得。
  • 一般的な農場との違いは、管理方法やストッキングレート(土地当たり牛を何頭飼養できるか)が挙げられる。単純な土壌生物学や家畜の栄養学だけでなく、気候対策や植物の再生周期であったり、天体が与える影響など多くの要因を理解して、経営している。



4、農場の運営について
  • 芸術作品のように、いろんな情報をもとに決断・変化していくようにしている。
  • 放牧酪農を通じて持続可能な農業に取り組んでいる。
  • 家畜の多様性を重視している。ヒツジによって牛の寄生虫管理を行ったり、ヤギによって除草管理を行っている。さらに木が多くあることで、多様な野鳥や昆虫の住処が出来る。
  • 草地管理については、通年で生産が可能。
  • 飼養頭数をコントロールしながら、どれだけ草が残るかを見極めている。
  • 特に春から夏の牧草は栄養価が高く、水分を多く含んでいるため、牛が食べ過ぎて鼓腸症にならないようサイレージなどをたまに与えて管理する取り組みも行っている。



5、今後について

  • 環境や社会、家畜福祉など、多様性のあるビジネスを意識している。
  • 収入に関してもミルクやヨーグルト、肉など多様な収入が得られるようにしている。
  • ヨーグルトに関してはプロバイオティックの付加価値がついており35年販売
  • 大きな市場ではなくても、家族経営でも付加価値をつけて、自分たちの製品を販売可能
  • NZでも市場に変化が起きており、畜産そのものが環境に良くないという話も出てる。
  • 例えば、植物から生成された代替ミルクもあるが、長距離輸送されてきたものも多い。
  • 私たちが行っている身近にある牧草という自給飼料を与える放牧スタイルは、環境にも人にも良いものではないかと思っている。



■質疑応答

Q:バイオファームというブランドを形成するために、どのような手段を取られましたか?

A:ブランドづくりには差別化が必要です。私たちは宣伝するためのお金はそれほどありませんでしたし、特別な物語もありませんでした。但し、できるだけ多くのお客様がバイオファームの商品をどこでも手に取れるように、いろんなお店においてもらうように努力しました。幸運にも、たまたまスーパーマーケットの棚が開いていたり、電子化による恩恵を受けたり、うまく軌道に乗りました。専門家に聞くと、自分の商品にブランド価値をつけるには10年以上かかるといわれ、今はその言葉に納得ができています。

Q:キャシーさんの牧場のミルクはいくらで販売されているのですか?
A:1リットルあたり1ドル50セントで、加工場へ販売しており、加工したミルクを1リットル当たり4ドル5セントのヨーグルトにして販売しています。

Q:オーガニックとそうでないヨーグルトとの金額差はいくらですか?
A:NZ人にとってオーガニックであるかどうかは、あまり意識されません。さらに、放牧が主体なので、グラスフェッドであることも大きな差にはなりません。従って、キャシーさんのヨーグルトと市販のヨーグルトの金額差はそれほどありません。金額は7ドル20セントぐらいです。一方で代替ミルクのヨーグルトは、12ドルぐらいと少し高めに販売されています。

Q:なぜヨーグルトのみ乳生産に特化することにしたのですか?飲むタイプですか?
A:飲むタイプです。歴史的な要因はありますが、かつて、乳製品を個人での販売ができない法律がありました。私たちはパーマストンノースというエリアにあるヨーグルト工場で作ってもらう予定だったのですが、そこが閉鎖してしまったため、自身で加工するしかなくなったという背景もありました。さらに、牛乳の場合でも温めて殺菌するなど、同様の手間が掛かるため、結果的に私たちにとっては利幅が大きいのはヨーグルトだったということです。

Q:代替ミルクなどに対して、ご自身の製品メリットのどのようなことを消費者に伝えることを意識されていますか?
A:世界的な市場トレンドとして、代替商品は急速に伸びています。ただ、私たちのような小規模農場だからこそ、できることがあると考える必要があります。例えば、家畜福祉の観点です。親牛を子牛と離すほうが育成するうえでは効率的ですが、親子が寄り添って生きていくほうが家畜にとっては幸せなはずです。そういったストーリーを消費者に伝えたりできることが、大切だと考えます。私たちは、農業をやりながらも消費者であります。そういった視点を忘れて効率ばかりを重視してしまうと、おかしなことになってしまうと考えています。

Q:通年生産しているのですか?
A:私たちの農場はNZでは珍しく季節分娩ではありません。理由は年間を通してヨーグルトを作っているからです。

Q:草地の管理方法はどのようにされていますか?
A:通常の放牧とほとんど同じですが、違いがあるとすれば、ヒツジやヤギを使って寄生虫対策や除草管理を行ってます。pHの調整と土壌分析を行っていますので、そこで足りない要素は補助的にマグネシウムやカルシウム、硫黄やほう素を使うことがあります。

Q:NZの他の農家よりも草の管理に多くの時間を使っているのではないでしょうか?
A:もちろんです。他の農家よりも多く歩いていると思います。モーターバイクもありません。なぜなら、農場の環境変化はとても早いからです。このプレゼンテーションを作る1週間程度でも、変化しますし、歩くことで動物をよく観察できます。それにより、体調管理や食べた後の草地をみることで、変化に気づくことができます。冒頭に農場はアートだとご説明しましたが、こうした変化に合わせて自分たちの運営方法を変えていく必要があると思っています。

Q:除草剤は使えないと思いますが、電気柵の下はどのように管理されていますか?
A:そこまで細かい管理はしていません。必要に応じて、芝刈り機で刈ることもありますが、ヒツジを使って短い草を食べさせることもあります。

Q:寄生虫対策としてヤギやヒツジを導入しているということですが、具体的にどういう手段をとられていますか?
A:ヒツジと牛につく寄生虫は異なっています。牛にとって良くない寄生虫をヒツジが食べてくれます。ですので、NZでは牛の寄生虫対策として、ヒツジを導入するというのはよく見られる光景です。


■(まとめ) 草の品質をどのように管理するかが大切 NZコンサルタント キース ベタリッジ
今日は天候の悪い中、多くの方に参加していただき、感謝申し上げます。重要なのは日本でも草の管理をしっかり行っていくことだと思います。私自身もこのプロジェクトに長年かかわって、草の品質をどのように管理するかが重要であると感じています。
特に日本の場合は、春先に草が伸びすぎないよう管理すること、それをコントロールするためにどのようなローテーションを組むかという、牧区をどのように分けるか、伸びすぎたものはサイレージにするなど、質を管理しながら、草をどこまで活用できるかが重要なポイントになります。


■(まとめ) 「知識がある」から「できる」へ ファームエイジ株式会社 高田


今回はNZ酪農家のキャシーさんにお話しいただきました。キャシーさんはNZでも珍しいオーガニック農場を営んでおり、尚且つ、家族経営で加工品まで作っているというお話しが聞けたことが有益だったと思います。一方で、代替ミルクであったり、今後の畜産の在り方についてもお話もありましたが、自然から生まれる草を活用する放牧酪農はまだまだ多くの可能性があるのではないかということも伺うことができました。
以前もお話しした通り、知識があるだけではなく、それをどのように発揮できるかが大切になります。酪農・畜産において、持続可能性を意識した取り組みの一つが、放牧という選択肢なのだと思っています。さらにその向こうには地域のコミュニティであったり、消費者がいますので、多くの方と情報共有しながら今後もこのような活動を続けていきたいと思います。

■次回の予定
日程が確定次第、HP、SNS上などでご案内差し上げます。
また、記事についてご不明点などございましたら、以下の問合せ先までご連絡ください。

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業種
商業(卸売業、小売業)
本社所在地
北海道石狩郡当別町金沢
電話番号
0133-22-3060
代表者名
小谷 栄二
上場
未上場
資本金
3195万円
設立
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