子どもの「体験格差」実態調査中間報告書を公表 ~全国2,097人の小学生保護者へのアンケートからみえた「体験の貧困」とは~

『低所得世帯の子どもの約3人に1人が、1年を通じて習い事や旅行などの学校外の体験が何もない』『物価高騰の影響で、低所得世帯の約2人に1人が体験機会減少』

子どもの教育格差の解消に取り組む公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン(東京都墨田区、代表者:今井悠介・奥野慧、以下CFC)は、全国の小学生の子どもを持つ保護者2,097人を対象に、子どもの学校外での「体験活動(スポーツ、音楽などの習い事・クラブ活動、キャンプ、芸術・スポーツ鑑賞、旅行など)」の実施状況等について、実態調査を行いました(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の小林庸平氏と喜多下悠貴氏が調査協力)。
子どもの「体験活動」は、子どもの学習意欲や主体性などの社会情動的スキルに影響をもたらすとされ、文部科学省でも重要な教育政策として推進されています。しかしながら、子どもの「体験格差」に焦点を当てた調査はこれまで十分に行われておらず、全国規模の実態調査は今回が初めてとなります。


※調査報告書(全文)は以下よりダウンロードしてください。
URL:https://cfc.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/report_taikenkakusa.pdf

  • 調査結果のサマリー

結果①:経済的に厳しい家庭の子どもの約3人に1人が、学校外の体験機会が何もない(=体験の貧困)【P18~27参照】

学校外で行う体験活動(習い事やクラブ活動、自然体験や文化的体験等)への参加状況について調べたところ、低所得世帯の子どもの約3人に1人が、1年を通じて何もしていないことがわかりました。世帯年収600万円以上の家庭と比較すると、2.6倍の差が生じています。

また、世帯年収が低い家庭ほど、「経済的理由」で子どもがやってみたい体験をさせてあげられなかった経験があると回答した割合が高いことがわかりました。

結果②:物価高騰により、特に経済的困難を抱える家庭で子どもの体験機会が減少している【P28~31参照】

物価高騰による子どもの学校外の体験機会への影響を調査した結果、低所得世帯の約2人に1人が、体験機会が減少した又は減少する可能性があると回答しました。物価高騰の影響で、体験機会の格差が今後さらに拡大することが懸念されます。

結果③:現在の経済状況が厳しい保護者ほど自身が小学生だった頃の体験機会が少ない【P32~34参照】

保護者が小学生の頃に行っていた体験について調査したところ、現在の世帯年収が低い家庭の保護者ほど、小学生の頃に学校外の体験活動を何もしていなかった割合が高いことがわかりました。

  • 当事者の声(一部抜粋)

・やりたいと言われても、どれも、経済的に無理なので、子供自身が、無理だよねって、何も言わなくなりました。  だんだんわかる年齢になり、子供なりに我慢しているようで、申し訳なく思っています。
愛媛県/小学4年生保護者(40代女性)

・母子家庭のため、周りの友達と同じように色々な習い事をさせてあげることができず悔しい。  スイミング、ダンス、英会話、ピアノ、したいことをたくさんさせてあげたかった。
新潟県/小学2年生保護者(20代女性)

・海水浴や旅行に行きたがっていたが、コロナ感染で仕事を休む日があったりで、休暇もとりづらく、経済的にも余裕がなかった。
大阪府/小学4年生保護者(40代女性)

・野球チームに入らせてあげたいがひとり親の為経済的に余裕がなく道具やユニフォームが用意してあげられなかった
神奈川県/小学4年生保護者(50代女性)

  • 調査概要

■対象者
小学1年生~6年生の子どもがいる世帯の保護者

■調査期間
2022年10月12日~10月14日

■調査方法
インターネットアンケート調査会社のモニターを利用したWEB調査(全国調査)

■有効回答数
2,097件

■主な調査項目
・世帯年収、家族構成、保護者学歴、保護者職業
・学校外の体験活動や学習活動の参加状況及び年間支出
・子どもがやってみたいと思う体験をさせてあげられなかった経験・理由
・物価高騰が子どもの学校外の体験や学習に与えた影響
・保護者の小学生の頃の経験(体験活動の参加状況) など

■調査体制
実施主体:公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン
協力:小林庸平(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 主任研究員)、喜多下悠貴(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 副主任研究員)
助成:みてね基金

  • 調査・分析協力者のプロフィール

小林 庸平(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 政策研究事業本部 経済政策部 主任研究員)
一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了、博士(経済学)。経済産業省産業構造課課長補佐などを経て、現職。専門は、公共経済学、計量経済分析、子どもの貧困、エビデンスに基づく政策形成(EBPM)。主著に『徹底調査 子供の貧困が日本を滅ぼす 社会的損失40兆円の衝撃』文春新書(共著)等。

喜多下 悠貴(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 政策研究事業本部 公共経営・地域政策部 副主任研究員)
東京大学大学院教育学研究科修士課程修了、修士(教育学)。専門は教育政策、地域における子ども支援など。主著に『地域協働による高校魅力化ガイド』岩波書店(共著)等。

※本調査は、上記の専門家による調査設計や分析についての助言、協力のもと実施いたしました。ただし、調査内容や結果に関する一切の責任は、調査実施主体であるチャンス・フォー・チルドレンにあるものとします。

  • 団体概要

実施主体:公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン

国内の子どもの貧困・教育格差解消を目的に、2009年にプロジェクト発足、東日本大震災の発生を受け、2011年6月に法人設立。経済的な理由で学校外教育を受けることができない生活困窮家庭の子どもたちに、学校外教育で利用できる「スタディクーポン」を提供するとともに、大学生ボランティアによる相談支援を行っている。
HP:https://cfc.or.jp/

助成:みてね基金

「みてね基金」は、株式会社MIXIが提供する子どもの写真・動画共有アプリ「家族アルバム みてね」の社会貢献活動です。子どもやその家族を取り巻く社会課題の解決を目的として活動している非営利団体を支援しています。
HP:https://fund.mitene.us/

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


関連リンク
https://cfc.or.jp/
ダウンロード
プレスリリース素材

このプレスリリース内で使われている画像ファイルがダウンロードできます

会社概要

URL
https://cfc.or.jp/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都墨田区錦糸1丁目11-1 ノイエヤマザキ5階
電話番号
03-5809-7394
代表者名
今井悠介
上場
未上場
資本金
-
設立
2011年06月