通信制高校との共創支援モデル『校内キャリアサロン』、事業振り返りと今後の展開について
「校内キャリアサロン」は2024年9月から本格的にスタート。事業開始から約6か月間で合計22校(目標比110%)に導入されました。
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NPO法人キャリアbase(所在地:千葉県柏市、代表:草場 勇介)は、2024年6月、休眠預金等交付金を活用した『高校生世代の子育て家庭「くらしと学びの危機」緊急支援事業』(資金分配団体:キッズドア様、READYFOR様)に採択されました。本事業の実行団体として、2024年9月~2025年2月まで、通信制高校内における『校内キャリアサロン』のプロジェクトを推進してきました。
『校内キャリアサロン』とは
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『校内キャリアサロン』とは、通信制高校に通う生徒が、進路や将来に不安を覚えたときに、学校外の信頼できる大人に気軽に相談できる場として設けるサロンです。週1回~(1回3時間程度)通信制高校のキャンパス内に開設し、オフライン・オンライン、いずれの形式でも活用可能です。キャリアコンサルタントやカウンセラー等の有資格者を中心に、キャリアbaseから人材を派遣し、決まった曜日・時間にサロンに常駐し、運営してきました。
※「校内キャリアサロン」スタートの背景や、通信制高校の現状等については、こちらのプレスリリースよりご確認ください。
『校内キャリアサロン』の活動実績
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高校現場での校内キャリアサロンの運営は、2024年9月から本格的にスタートし、2025年2月までの約6か月間で合計22校(目標比110%)に導入されました。サロンの実施回数は合計247回(目標比107%)、利用人数は延べ757名(目標比189%)と、当初の想定を大きく上回る生徒から利用していただくことができました。
※いずれも2025年2月25日時点の実績
また、関連する活動として、
・オンライン職業講話の実施
・キャリア教育ガイダンスやイベント実施
・保護者向けセミナーの実施
・キャリアサポーター育成講習、交流会の実施
・高校生向け就活応援BOOK『みなとりドリ。』の制作
など、生徒向けのプログラムだけでなく、保護者やキャリアサロンの運営に携わるキャリアサポーターへの継続的な講習も行うことで、提供価値の向上に努めてきました。
『校内キャリアサロン』の振り返り
事業の振り返りとして、校内キャリアサロンを導入している学校の教職員や、活動に参画しているキャリアサポーターを対象としたアンケートを実施しました。
■教職員向けアンケート結果(一部抜粋)
Q:校内キャリアサロンに対する満足度を教えてください。
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Q:校内キャリアサロンのどのような点に価値を感じましたか?(複数選択可)
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Q:来年も継続して校内キャリアサロンを利用したいと思いますか?
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Q:校内キャリアサロンを実施する上で、難しかったと感じた点はありますか?(複数選択可)
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<教職員の声>
・当教職員とはまた別視線で生徒をみてもらえ、生徒自身の進路選択能力や自己指導能力を伸ばせていると思いました。
・何から考えて良いか分からないといった生徒にアプローチをすることができる点が良いと感じました。回数を重ね、欠席してしまう生徒が多い点が課題でした。
・当校を担当してくれたキャリアサポーターの方は、プロ目線かつ親しみやすいお人柄で、生徒側の受け入れもスムーズで、こちらも安心してお任せできました。
・教師以外で頼れる場所ができたことが良かったと思います。
・進路相談を月1回開催していただき、プロの視点でアドバイスを受けられ私達スタッフも対応方法など勉強になりました。いろいろな大人が関わることで、生徒自身の視野が広がったように思います。
・キャリアサポーターの方がとても細かな所にまで気を配って下さり、生徒目線で対応して下さいました。課題は全く感じず、とても大満足なプログラムでした。
・求人検索や応募準備を一人で実施するのは生徒にとってハードルが高い為、サポートしていただけてとても助かりました。参加者がもっといるといいなと思います。
■キャリアサポーター向けアンケート結果(一部抜粋)
Q:校内キャリアサロンの活動に参画してみての満足度を教えてください。
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<キャリアサポーターの声/活動に対する振り返り>
・キャリアコンサルタントとして、高校生の進路相談・キャリア支援に携わりたいと前から思っていました。ただ、なかなか公立の学校に「進路相談員」として入っていく術が見つからず、スキルマッチングサービスや人脈を活用して個人的に活動をしていました。そんな時、キャリアbaseさんの校内キャリアサロンの情報が入り、まさに私がやりたかったことと思い応募させていただいたので、初めから満足度は高かったです。
・面談に来た子がまた次の予約をし、次の面談でもまた会いにきてくれたこと。たくさん会いに来てくれる生徒が、回数を重ねる事に表情が明るくなったこと。涙を流しながら話を打ち明けてくれた生徒たちの心に触れたこと。キャンパスの先生とメッセージのやり取りをしながら支援方法などを考え合ったこと。イベントを通じて一緒に笑い合ったこと。毎回心に残る時間ばかりで、本当に貴重な経験になりました。
・高校生との対話を通じ、勇気づけられたり新たな視点を得られたり、対大人とは違った魅力がありました。話すことが苦手だと感じている生徒が、サロンに来てたくさん話をしてくれたことが1番印象に残っています。
Q:校内キャリアサロンにおいて、キャリアサポーターとしてどのような価値を発揮できたと思いますか?
・先生でもない、親でもない、第三の大人として学校に入り、高校生の支援をすることに価値を発揮できたと思います。私自身、元々教員をしていた背景や採用担当者として多くの学生さんと関わってきた背景があるので、高校生1人1人の個性を大事にし、その人にあった支援をしていくことは得意としています。今回の事業でも、それらが発揮できたと考えています。
・非常に短期間ではありましたが、先生方に「頼りにしている」と言っていただけたことで、日々忙しい先生方のお役にも立てていれば嬉しいです。私の報告で気づきがあったと仰っていただくこともあり、第三者的な関わりがお役に立つ部分があるのだろうと感じます。同様に、生徒さんに関しても、進学、アルバイト、家庭のこと、さまざまなお話を伺いましたが、先生とは違う、指導せず、かつ自分に向き合ってくれる大人がいること、そして考えを否定されないことは重要で、安心して話ができるのだろうと思います。話をする中で考えが整理できたり、内省できたりというシチュエーションが見られますので、そこが価値なのではないかと思います。
・先生とは違う立場で生徒と会話ができました。先生方にもそれは感じていただけたようで、「生徒の話を聞いてあげて欲しい」「居場所だと思ってくれる生徒が1人でもいれば、ありがたいと思ってます」というお話も頂きました。
・与えられたスペースが、生徒の目に触れる場所ではなかったので、基本的には自分から生徒に話しかけて関係を構築していきました。そこで気づいたのは、相談したいことがあるけど、自分から誰かに声をかけて話を聞いてもらうことが苦手な子もたくさんいるということです。先生から紹介された生徒以外にも、ちょっとした悩み相談などにのることができたのは、こちらからの声かけがあったからかなと思っています。
これらのアンケート結果からも、学校側・キャリアサポーター側、双方からの満足度が高い状態で事業を進められてきたことが分かります。「親でもない、先生でもない、第三者としての立ち位置」、かつ、キャリアコンサルタントやカウンセラー等の資格を持つプロの目線でのサポート・関わりが、本事業の中で発揮できた、大きな価値の一つであると考えています。一方で、開催回数、校内でのサロン実施場所の確保など、新たな課題をつかむことができたので、来年度以降もさらに発展的な活動になるよう、改善を重ねていきます。
『校内キャリアサロン』今後の展望
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キャリアbaseは、これまで延べ246校、28,000名以上の生徒に対し、キャリア教育や就労支援を行ってきました。この活動は、学校で進路指導にあたる先生方と連携し、先生からの依頼や相談に応じてキャリア教育や個別の伴走支援を実施するものでした。
この「学校との繋がり」は私たちの大きな強みですが、一方で、学校の先生とキャリアbase、または先生と生徒が連携できない場合、私たちの支援が生徒に届かないという課題もあります。つまり、学校の先生が把握している顕在的な生徒には支援が届いているものの、先生に相談ができていなかったり、学校側で把握しきれていない、困っている潜在的な生徒にはリーチできていないのです。
私たちは「進路未決定のままの卒業をなくす」ことをミッションに掲げていますが、この「リーチできていない層」が、もっとも支援が必要な生徒の実態に近いと感じています。そこで、今後はこうした潜在的な層にも支援を届けるための一つの手段として、校内キャリアサロンの強化に取り組みます。校内キャリアサロンを「学校内アウトリーチ」として位置づけ、先生に相談しにくい、または声を上げにくい「本当に困っている生徒」へも確実に支援が届くよう、体制の強化と継続に努めていきます。
NPO法人キャリアbaseでは、私たちの活動理念に共感し、一緒に活動してくださる方を募集しています。活動に興味がある・話を聞いてみたい!という方は、キャリアbaseのホームページよりお問い合わせください。
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特定非営利活動法人キャリアbase
NPO法人キャリアbaseは、通信制高校に通う高校生を中心に、社会的自立をサポートする活動として「個別就労支援・居場所・キャリア教育」を行うNPO団体です。
2021年から「学校と社会の架け橋に」をスローガンに掲げ活動を開始し、これまでに、のべ28,000名を超える高校生・教職員へのキャリア教育と、累計280名を超える生徒への個別就労支援を実施してきました。
【団体概要】
団体名:特定非営利活動法人キャリアbase
所在地:千葉県柏市松葉町2-15-13
理事長:草場 勇介
設立:2021年11月
ホームページ:https://career-base.jp/
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