日本流域の要・琵琶湖流域風土 ~三井寺環境から読み解く- 「歴史・文化・自然」の脈の断絶と再生~

琵琶湖が変われば、日本が変わる!ー杜の財団x風土再生学会が、三井寺とともに第8回環境シンポジウム<今を生き抜く風土学~平和学> を開催します!

一般財団法人 杜の財団

天台寺門宗総本山三井寺(園城寺)。「大地の再生®」による境内内施工。

-生態系脈循環機能の回復・保全にむけて

 三井寺は、琵琶湖の南西岸の水脈の出口(琵琶湖第一疏水)に広大な境内と山岳仏教の象徴である長等山を擁します。本シンポジウムでは、1960年代より開発の歴史に向き合ってきた三井寺および琵琶湖の生態系環境を、「大地の再生®」の視点と技術、文理融合型総合智としての「風土学 (fudology)」の視点から読み解きます。そして、未来の自然共生型市民社会のあり方について参加者の皆様とともに考えてまいります。

 今日の日本は、災害の激甚化、気候変動、動植物の異常発生や異常行動などに影響を受け、人の日常生活がこれまで通り営めなくなっている待ったなしの状況に置かれています。これに対し、杜の財団は、代表理事・矢野智徳を中心に、約30年間にわたり全国1,000箇所以上で「大地の再生®」活動を展開してきました。その環境改善の現場から得られた実践知により、独自の環境改善技法で2024年秋に特許を取得しました。同時に、地球と大地を健全に保ち自然と人間が共存共栄するためには、生態系脈循環機能(※1)の回復、保全、育成が急務であることを、これまでの全7回にわたる環境シンポジウムで全国各地の皆様に訴えてまいりました(※2)。

(※1)地上と地下において空気と水が健全に流れ(脈機能)、大地が全体として呼吸し、バクテリアや小動物の活性化をうながし有機物が循環することで生態系全体のバランスが保たれること。

(※2)第1回-東京・代々木、第2回-大阪・立命館大学、第3回-神奈川・小田原城、第4回-茨城・桜川流域、第5回-和歌山・紀の川流域、第6回-栃木・日光東照宮他、第7回-東京・代々木・阿佐ヶ谷、井の頭公園

第7回環境シンポジウム(東京都武蔵野市・井の頭恩賜公園)フィールドワークでの「大地の再生®」実習。

-琵琶湖の特殊性

 今回の舞台となる琵琶湖は、北は日本海、南は瀬戸内海、西は大阪湾、東は濃尾平野と伊勢湾に囲まれ、これらの海域・陸域から四方向の気流が渦巻く特殊な場です。日本列島も、全方位を海に囲まれ、海流の寒暖差、季節風をはじめとした気流の影響を受け、春夏秋冬の変化と多様さを感じられる世界的に稀有な気候風土を有する場です。琵琶湖は、その地理的特性と気流・海流の影響から、日本列島そものもの縮図であり、日本的な気候風土の要所と言えます。

-第8回環境シンポジウムの視点

 本シンポジウムでは、自然生態系とその多様性に基づいた人間の営みを包摂する概念である「風土」の要として琵琶湖をとらえます。また、琵琶湖の上流域から下流域までを全体としてとらえる「琵琶湖流域」という視野から、この流域にまつわる環境課題について市民的議論を行うものです。認定NPO法人びわ湖トラスト様の後援を得て、琵琶湖を奥山、水上、そして当流域の縮図としての三井寺境内環境の 3 つの視点から、人の都合を優先した開発による環境変化をあぶりだし、自然と人間が共存するよりよい社会をつくるための市民活動や生活空間のあり方を考察します。

 琵琶湖と三井寺に存在していた自然生態系は、琵琶湖疏水開発にはじまり、長等山を貫通する湖西線トンネルや西大津バイパス、そのほかの琵琶湖の総合的な開発事業など、現代の都市開発や治水事業に影響されてきました。三井寺は、1960年代から10年以上にわたり、建設省(当時)・近畿地方建設局とのあいだで大津市の渋滞解消を目的とするバイパス計画に対し孤軍奮闘してきた歴史を背負っています。これは、一度決められた公共工事計画に対し、その場の人々が本来の暮らしと自然環境、あるいは憲法で保障されているはずの各種の自由を犠牲にせざるを得ず、そこに現代的都市の利便性が成り立ってきたという数多の事例の象徴的事件であると言えます。

三井寺境内で約2年間にわたり、手作業を中心とした水脈施工を根気強く続けてきた。

山岳仏教の霊山・長等山では奥山エリア谷筋の表土乾燥が深刻化。土壌の通気・通水機能回復のために行った今秋の作業風景。

-市民科学、「風土」の再生、そして国土強靭化へ

 私共が本環境シンポジウムを異なる地域で開催してきた理由は、その場の「風土」のなかに暮らす人々が、自らが生活する元環境(水の利、地の利、気候、植生など)である自然生態系に目を向けてほしいという想いからでした。その地に根付き蓄積されてきた人の記憶・智恵・科学を見直し、それらを自らのものとして使いこなすことが、今まさに荒廃の極致に差し掛かっている日本列島の「風土」の再生になると考えるためです。 これが「市民科学」として定着し成長することが、「市民自治」へとつながります。市民自身が、災害の本来的要因が人の現代的開発にあることを科学的視点でとらえなおし、自然が発する赤信号を正しく受けとめ、日本の風土に根付いてきた治水土木の技術について、理解を深めていただきたいと考えています。そのうえで、自分と自分の大切な人、それを取り巻く地域社会、そして自然生態系全体の命をつなぐ気概と力を市民自身のなかに育む必要があります。ほんとうの国土強靭化は、このような「市民科学」「市民自治」のうえに立脚すべきであり、年を追うごとに激甚化する大雨洪水、竜巻被害の増加、あるいは頻発する熊問題の「人災」的側面を市民自身が正しく理解し、自然への関わり方を短期のうちに方向転換しなければ、失わずに済んだはずの命を救えない社会になってしまうと考えています。


 私たちは本シンポジウムにおいて、琵琶湖流域にお住まいの市民の方々、環境保全に関する専門分野の方々、行政の方々など、すべての立場や役割を包摂し、それを超えた議論と行動を喚起していきたいと考えております。さらには、フィールドワークを通じて、琵琶湖ならではの「風土」を体感し、「大地の再生®」による現場の実感を皆様と共有したいと強く願っております。流域風土再生のため、多様な人々の連携の機運を醸成すべく、皆様のご参加を心よりお待ちしております。


《参加申込先》

https://symp2025biwako.peatix.com/

《開催概要》

・日時: 2025年11月14日(金)、15日(土)、16日(日)(全3日間)

・主催: 一般財団法人杜の財団、風土再生学会、天台寺門宗総本山三井寺(園城寺)

・協賛:認定NPO法人びわ湖トラスト

・プログラム

● 11月14日(金)|基調講演・専門家発表「琵琶湖流域風土の現状と未来への提言」

● 11月15日(土)|琵琶湖流域風土フィールドツアー(貸切船にて琵琶湖の環境状態を観察、三井寺境内施工解説)

●11月16日(日)|三井寺奥山フィールドツアー(三井寺境内施工解説、環境改善実習)

・登壇者 (敬称略)

福家 俊彦(天台寺門宗総本山三井寺長吏、認定NPO法人びわ湖トラスト理事長)

熊谷 道夫(立命館大学琵琶湖・環境イノベーション研究センター客員教授、気象・海洋物理・陸水学)

粟生田 忠雄(風土再生学会副会長、新潟大学農学部助教、環境・農学、地域環境工学、農村計画学)

堀 信行(風土再生学会会長、東京都立大学名誉教授、地理学、風景論、風土論)

藤田 盟児(奈良女子大学工学部特任教授、建築芸術学、保存再生都市史、建築史)

矢野 智徳(一般財団法人杜の財団代表理事、合同会社杜の学校代表、造園家、環境再生医)        他

《本リリースに関するお問い合わせ》

info@morinozaidan.com(一般財団法人杜の財団事務局)

一般財団法人杜の財団

公式ホームページ
https://morinozaidan.com/

当財団の三つの目的
⑴各地域の切迫した環境問題ー風土の環境再生を提案・実践する(大地の再生®︎)
⑵人材、知財、地財を次世代へつなぐ
⑶大地の再生技術を研究実用化し、各地域の風土の杜づくりに資する

公益ー
本来、風土は公共の財産。山から海への流域生態系は、つながってこそ機能するからです。自然のエネルギーは足し算でなく掛け算。四喜が実現して自然がもとの力を取り戻せば、ほかの生き物と同じく人にも大きな恩恵がもたらされます。すべてが相乗的に息づくとき、コンクリートさえも生き生きと再生するでしょう。

育成ー
人は群れをなしてこそ真価が発揮される動物。かつてはどの集落にもあった「結(ゆい)」は、教育・福祉・コミュニケーションの機能を自ずと果たし、コミュニティの基盤をつくってきました。大地の再生®︎の視点と技術を次の世代につなぐために、人財を育成し、「財」としての風土を護り、育てていきます。


研究ー
地理学、農学、園芸学、建築学ほか各界の研究者と連携・協働し、これまで矢野智徳が生の現場で培った大地の再生の視点と技術(現在、特許出願中)を科学的に検証し、さらなる研究を進めていきます。研究の成果はニュースレターの発行などで普及・啓発につとめ、誰もが実践的に学べ、使えるものにしていきます。


杜の財団 法人概要
法人名 一般財団法人 杜の財団
設立 2023年12月19日
代表理事 矢野智徳
所在地 山梨県上野原市大倉79
事業内容 環境再生技術「大地の再生®」技術の普及・啓発・研究・開発
電話 0554-62-4002
メール info@daichisaisei.net

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会社概要

一般財団法人 杜の財団

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URL
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業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
山梨県上野原市大倉79
電話番号
0554-62-4002
代表者名
矢野智徳
上場
未上場
資本金
-
設立
2023年12月