体外診断用医薬品『カルプロテクチン POCT モチダ』新発売のお知らせ
持田製薬株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:持田 直幸、以下「持田製薬」)、三洋化成工業株式会社(本社:京都市東山区、代表取締役社長:安藤 孝夫、以下「三洋化成」)および日水製薬株式会社(本社:東京都台東区、代表取締役社長:小野 徳哉、以下「日水製薬」)は、「潰瘍性大腸炎※1の病態把握の補助」を使用目的とする体外診断用医薬品『カルプロテクチン POCT モチダ』を3月25日に発売しましたのでお知らせいたします。
『カルプロテクチン POCT モチダ』は、イムノクロマト法※2を用いたカルプロテクチン※3の体外診断用医薬品です。別売している小型の専用測定装置※4を用いる簡便な操作により、短時間(12分)で1検体ずつの測定が可能であり、臨床現場即時検査(POCT:Point of Care Testing)にも対応した診断薬です。糞便中のカルプロテクチン濃度を定量値として得ることができます。
潰瘍性大腸炎の患者は全国で16万人以上とされています※5。その診断や経過観察では、都度の内視鏡検査が行われていますが、内視鏡検査には半日程度の時間を要します。また、体内にスコープを挿入することから、患者の身体的・経済的負担も大きいものとなっています。
患者の負担を軽減するために、三洋化成は2016年に、「潰瘍性大腸炎の病態把握の補助」を使用目的とするELISA法※6を用いたカルプロテクチンの体外診断用医薬品の製造販売承認を国内で初めて取得しました。2017年から持田製薬が「カルプロテクチン モチダ」として主に臨床検査センターへ販売していますが、臨床検査センターでは検体を集約して測定するため、結果が得られるまでに1週間程度かかっています。臨床現場では、診断結果をその日の診療行為に活かしたいとのニーズがあり、短時間でカルプロテクチンを測定できる臨床現場即時検査用の診断薬が要望されていました。
このようなニーズに対応した『カルプロテクチンPOCTモチダ』は、スイスのBÜHLMANN Laboratories AGから導入した臨床現場即時検査用の診断薬であり、国内での開発を経て2020年6月12日に三洋化成が「潰瘍性大腸炎の病態把握の補助」を使用目的として承認取得し、同10月1日に保険収載されました。
発売にあたりましては、三洋化成が製造販売元として輸入および製造を、持田製薬が医療機関に対する販売プロモーションを、日水製薬が販売を担当します。なお、専用測定装置は日水製薬が販売します。
今般、臨床現場即時検査用の診断薬である『カルプロテクチン POCT モチダ』をラインナップとして追加することで、臨床検査センターだけでなくクリニックなども含め、多くの医療機関で簡便に使用できるようになるため、寛解※7導入・維持を目標にした治療(treat to target)が進められつつある潰瘍性大腸炎診療の進展に寄与すると考えています。また、潰瘍性大腸炎患者の早期診断・早期治療開始にも貢献し、臨床現場の負担軽減や医療の質の向上、さらには患者の負担軽減や生活の質(QOL)の維持・向上につながると考えています。三社は、医療現場のニーズに応える製品を通して、今後も臨床現場における医療の質の向上に貢献してまいります。
【製品の概要】
販売名:カルプロテクチン POCT モチダ
一般的名称:カルプロテクチンキット
測定原理:イムノクロマト法
使用目的:糞便中のカルプロテクチンの測定(潰瘍性大腸炎の病態把握の補助)
製造販売元:三洋化成工業株式会社
発売元:持田製薬株式会社
販売:日水製薬株式会社
<参考>
※1 潰瘍性大腸炎は、炎症性腸疾患に含まれ、大腸の粘膜に慢性の炎症や潰瘍が発生する原因不明の疾患であり、頻回な下痢と腹痛を伴います。潰瘍性大腸炎は国の難病に指定されており、根本的治療法は確立されていません。そのため、患者は内科的治療で症状を緩和しつつ長期間の治療、検査を続けなければならず、外科的治療が必要な場合もあります。
※2 イムノクロマト法は、毛細管現象と抗原抗体反応を利用した検出方法です。本品では、テストカセットに検体となる便抽出液を滴下すると、金コロイド標識抗体と検体中のカルプロテクチンが結合した複合体を形成し、その複合体が毛細管現象により移動し、テストライン上の薬剤と反応すると赤紫色のラインを形成します。テストライン(下図T)、コントロールライン(下図C)、それぞれの反射光強度を専用測定装置で測定することで、糞便中のカルプロテクチン濃度(μg/g)を算出します。
※3 カルプロテクチンは、主に好中球(一部、単球や活性化マクロファージ)から分泌されるカルシウム結合タンパク質であり、腸管内の炎症や細菌感染に対して防御的に機能する物質と考えられています。比較的安定であり、便中のカルプロテクチン濃度と腸管内の炎症の程度とが相関することから、炎症性腸疾患の診断マーカーとして世界各地の医療現場で使用されています。
※4 販売名:Quantum Blue Reader「ニッスイ」
※5 2015年厚生労働省発表:特定疾患医療受給者証所持者数より
※6 ELISA法(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)は、マイクロプレート等を用いて検体中に含まれる目的の抗原あるいは抗体を、特異抗体あるいは抗原で捕捉するとともに、酵素反応を利用して検出・定量する方法です。最終的には、一般的な分光光度計で吸光度を測定し対象となる抗原あるいは抗体の濃度を算出します。
※7 寛解は、病気の症状が一時的あるいは継続的に軽減、または、ほぼ消失し、臨床的にコントロールされた状態です(完治ではありません)。
以 上
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